米国はインドネシアにも生物研究所を保有していた!
<記事原文 寺島先生推薦>
US Maintains Biolabs in Indonesia
(米国はインドネシアにも生物研究所を維持)
筆者:ルーカス・レイロズ(Lucas Leiroz)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2022年5月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年7月15日

ロシアがウクライナ国内の生物研究所に対する懸念を表明した後、生物兵器研究についての話題が世界中で悪い評判になっており、綿密な調査が求められる状況になっている。東欧だけが米国が地球上でこのような秘密の活動を行っていた地域ではないことが分かるまでそう時間はかからなかった。インドネシアにも生物研究所が存在している証拠が浮かび上がっており、この件に関する脅威が世界全体からの懸念を増すことになっている。
生物軍事兵器研究所のことが世界中の新聞で普通にとりあげられるようになる前から、インドネシアでは既にこの件に関する懸念が取りざたされていた。もう何十年間も、NAMRU-2 (海軍医学研究ユニット2)Naval Medical Research Unit Two)による計画がジャカルタで行われていた。この海軍の研究計画が専門としているのは、アジア大陸の数カ国で生物医学研究を行うことであり、インドネシアでは1970年から2009年まで研究を行っていた。この研究所が封鎖されたのは、インドネシア政府がこのような研究施設の存在は国家主権にとっての脅威となると発表したからだ。最も重要な問題は、公的には研究所は閉鎖したとされているが、米国による研究活動が実際は終わっていないという証拠がある点だ。つまりインドネシア当局の承認なしで、米国が今もインドネシア国内で生物研究を続けている可能性があるというのだ。
先月(2022年4月)、インドネシアの新聞であるデティク紙は、研究活動が継続されていることを非難する記事を出した。その記事によると、少なくとも米軍が太平洋パートナーシップにおける演習を実施した2016年以降、秘密の研究が継続されているとのことだった。当該地域の記者たちが入手したとされるそのような演習での文書や写真が記事内で示され、研究の存在の証拠が明らかにされた。当時、病院船USSマーシー号に狂犬病に罹患していた3頭の犬と、23人のインドネシア国民が乗船しており、西スマトラから搬送され、パダン海岸に向かっていたが、このことに関してはインドネシア保健省から事前の承認をうけていなかった。
当初はこのニュースの反響は小さかったが、このニュースの信頼性が増し、注目を集めるようになったのは、インドネシアの著名な心臓専門医であるファディラ・スパリ(Fadila Supari)医師がこの件に関する発言を行ったからだ。スパリ医師はWHOから表彰を受けたことのある医師でインドネシアの元保健相だ。スパリ医師によると、証明する文書はほとんどないが、このような研究活動がインドネシアで継続されていた明らかな証拠があるとのことだった。さらにスパリ医師は、2016年の演習時に行われたことは、そのときだけの活動ではなく、進行中であった秘密の研究活動の中の一節に過ぎないと考えている。さらに、その研究活動には、米国と国際的な研究機関とインドネシアの諸大学が関わる共同研究もあったとも考えている。
「私は、研究活動がまだ存在していることは真実だと考えています。証明はできませんが、私が見聞きしたことからすれば、諸研究機関やインドネシアの諸大学との協力の下、研究活動はまだ持続中だといえます。インドネシア政府もこのことは承知しているはずです」とスパリ医師は今週(5月最終週)のインタビューで語っている。
スパリ医師がこの件に関してどのくらい経験をもっているかについて、触れておく必要があるだろう。同医師はNAMRU-2の研究活動の調査の責任者の一人だった。その調査の結果、この研究はインドネシア国内の生物的な安全保障の脅威になるという結論が出され、2009年にこの研究施設が閉鎖されることになったのだ。そしてその2009年にスパリ医師は保健相を辞任している。スパリ医師は広範囲にわたる調査を行い、この研究施設を突然訪問することまでしていた。そのことが米当局から敵視される原因となった。ジュリアン・アサンジのウィキ・リークスのウェブサイトは、2010年に漏洩した文書を公表したが、その文書にはスパリ医師の名前が記載されており、その文書からは、スパリ医師が米軍とジャカルタ在住の大使官たちや米国との話し合いの議題となっていたことがわかる。その理由は、同医師が研究所の活動の障害となっていたからだった。そのためスパリ医師のことが米国にとって最大の戦略的関心として捉えられていたのだ。最終的には2009年にスパリ医師は米国政府に公式書簡を送ったが、その書簡において同医師が記載していたのは、ジャカルタのNAMRU研究所の設置を許した国際合意からインドネシア保健省は撤退するという内容だった。その結果、同年同研究施設は閉鎖されることになった。
興味深いことは、スパリ医師が強調していた点は、このような研究活動に世界各国の研究機関も関わっていたと考えられる点だった。おそらくこの事実により、具体的な調査や数値が公になっていない中でスパリ医師は結論を出したのだろう。NAMRU計画は、ロックフェラー財団から資金提供を受けていることが以前は公表されていた。同財団は、アジア大陸に影響を与える病気の研究に関する研究に資金を出していた。ロシア政府がウクライナの生物研究所について明らかにした情報からわかることは、いくつかの著名な機関や企業が資金を出し、東欧での秘密の研究活動に関わっていた事実だ。その中には、巨大製薬業界最大手の諸企業も名を連ねていた。一例を挙げればファイザー社だ。そうなるとアジアでも同じようなことが行われている可能性がある。というのもこれらの研究に公的機関(軍の機関)や私企業が関わっていた証拠があるからだ。
この情報は新しいものではないが、それ以来この件は、「問題となる」と考えられてきた。2009年にインドネシア政府は、米国による研究活動には生物学上深刻な危険があると非難したことで激しい批判に晒された。軍事目的のための生物研究所の存在について語れば、ずっと陰謀論扱いを受けてきた。しかし現在ウクライナの研究所の件が明らかになったことで、この問題に光が当たり、ますます多くの情報が明らかにされつつある。まだ発見されていない秘密が満載の大きな闇の箱が、今まさに開けられようとしているといったところだ。
Lucas Leiroz, researcher in Social Sciences at the Rural Federal University of Rio de Janeiro, geopolitical consultant.
US Maintains Biolabs in Indonesia
(米国はインドネシアにも生物研究所を維持)
筆者:ルーカス・レイロズ(Lucas Leiroz)
出典:INTERNATIONALIST 360°
2022年5月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年7月15日

ロシアがウクライナ国内の生物研究所に対する懸念を表明した後、生物兵器研究についての話題が世界中で悪い評判になっており、綿密な調査が求められる状況になっている。東欧だけが米国が地球上でこのような秘密の活動を行っていた地域ではないことが分かるまでそう時間はかからなかった。インドネシアにも生物研究所が存在している証拠が浮かび上がっており、この件に関する脅威が世界全体からの懸念を増すことになっている。
生物軍事兵器研究所のことが世界中の新聞で普通にとりあげられるようになる前から、インドネシアでは既にこの件に関する懸念が取りざたされていた。もう何十年間も、NAMRU-2 (海軍医学研究ユニット2)Naval Medical Research Unit Two)による計画がジャカルタで行われていた。この海軍の研究計画が専門としているのは、アジア大陸の数カ国で生物医学研究を行うことであり、インドネシアでは1970年から2009年まで研究を行っていた。この研究所が封鎖されたのは、インドネシア政府がこのような研究施設の存在は国家主権にとっての脅威となると発表したからだ。最も重要な問題は、公的には研究所は閉鎖したとされているが、米国による研究活動が実際は終わっていないという証拠がある点だ。つまりインドネシア当局の承認なしで、米国が今もインドネシア国内で生物研究を続けている可能性があるというのだ。
先月(2022年4月)、インドネシアの新聞であるデティク紙は、研究活動が継続されていることを非難する記事を出した。その記事によると、少なくとも米軍が太平洋パートナーシップにおける演習を実施した2016年以降、秘密の研究が継続されているとのことだった。当該地域の記者たちが入手したとされるそのような演習での文書や写真が記事内で示され、研究の存在の証拠が明らかにされた。当時、病院船USSマーシー号に狂犬病に罹患していた3頭の犬と、23人のインドネシア国民が乗船しており、西スマトラから搬送され、パダン海岸に向かっていたが、このことに関してはインドネシア保健省から事前の承認をうけていなかった。
当初はこのニュースの反響は小さかったが、このニュースの信頼性が増し、注目を集めるようになったのは、インドネシアの著名な心臓専門医であるファディラ・スパリ(Fadila Supari)医師がこの件に関する発言を行ったからだ。スパリ医師はWHOから表彰を受けたことのある医師でインドネシアの元保健相だ。スパリ医師によると、証明する文書はほとんどないが、このような研究活動がインドネシアで継続されていた明らかな証拠があるとのことだった。さらにスパリ医師は、2016年の演習時に行われたことは、そのときだけの活動ではなく、進行中であった秘密の研究活動の中の一節に過ぎないと考えている。さらに、その研究活動には、米国と国際的な研究機関とインドネシアの諸大学が関わる共同研究もあったとも考えている。
「私は、研究活動がまだ存在していることは真実だと考えています。証明はできませんが、私が見聞きしたことからすれば、諸研究機関やインドネシアの諸大学との協力の下、研究活動はまだ持続中だといえます。インドネシア政府もこのことは承知しているはずです」とスパリ医師は今週(5月最終週)のインタビューで語っている。
スパリ医師がこの件に関してどのくらい経験をもっているかについて、触れておく必要があるだろう。同医師はNAMRU-2の研究活動の調査の責任者の一人だった。その調査の結果、この研究はインドネシア国内の生物的な安全保障の脅威になるという結論が出され、2009年にこの研究施設が閉鎖されることになったのだ。そしてその2009年にスパリ医師は保健相を辞任している。スパリ医師は広範囲にわたる調査を行い、この研究施設を突然訪問することまでしていた。そのことが米当局から敵視される原因となった。ジュリアン・アサンジのウィキ・リークスのウェブサイトは、2010年に漏洩した文書を公表したが、その文書にはスパリ医師の名前が記載されており、その文書からは、スパリ医師が米軍とジャカルタ在住の大使官たちや米国との話し合いの議題となっていたことがわかる。その理由は、同医師が研究所の活動の障害となっていたからだった。そのためスパリ医師のことが米国にとって最大の戦略的関心として捉えられていたのだ。最終的には2009年にスパリ医師は米国政府に公式書簡を送ったが、その書簡において同医師が記載していたのは、ジャカルタのNAMRU研究所の設置を許した国際合意からインドネシア保健省は撤退するという内容だった。その結果、同年同研究施設は閉鎖されることになった。
興味深いことは、スパリ医師が強調していた点は、このような研究活動に世界各国の研究機関も関わっていたと考えられる点だった。おそらくこの事実により、具体的な調査や数値が公になっていない中でスパリ医師は結論を出したのだろう。NAMRU計画は、ロックフェラー財団から資金提供を受けていることが以前は公表されていた。同財団は、アジア大陸に影響を与える病気の研究に関する研究に資金を出していた。ロシア政府がウクライナの生物研究所について明らかにした情報からわかることは、いくつかの著名な機関や企業が資金を出し、東欧での秘密の研究活動に関わっていた事実だ。その中には、巨大製薬業界最大手の諸企業も名を連ねていた。一例を挙げればファイザー社だ。そうなるとアジアでも同じようなことが行われている可能性がある。というのもこれらの研究に公的機関(軍の機関)や私企業が関わっていた証拠があるからだ。
この情報は新しいものではないが、それ以来この件は、「問題となる」と考えられてきた。2009年にインドネシア政府は、米国による研究活動には生物学上深刻な危険があると非難したことで激しい批判に晒された。軍事目的のための生物研究所の存在について語れば、ずっと陰謀論扱いを受けてきた。しかし現在ウクライナの研究所の件が明らかになったことで、この問題に光が当たり、ますます多くの情報が明らかにされつつある。まだ発見されていない秘密が満載の大きな闇の箱が、今まさに開けられようとしているといったところだ。
Lucas Leiroz, researcher in Social Sciences at the Rural Federal University of Rio de Janeiro, geopolitical consultant.
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