ロシア語絶滅が、現在のウクライナ政府の最優先事項
<記事原文 寺島先生推薦>
The Russian language in post-Soviet Ukraine: 30 years of discrimination against the country's most popular tongue
ソビエト崩壊後のウクライナにおけるロシア語:ウクライナで一番多くの人に話されているロシア語に対する差別の30年
RT 2022年6月10日
オルガ・スハレフスカヤ(Olga Sukharevskaya)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年7月4日

「ロシアの日」を祝福して、ロシア国旗を飾った車列がドネツクの通りを走行 ©Sputnik/Sergey Averin
ウクライナに行って、キエフ(Kiev)、ヴィニツァ(Vinnitsa)、チェルニーゴフ(Chernigov)、ハルコフ(Kharkov)などの街を歩くと、モスクワやロストフ・オン・ドン(Rostov-on-Don)にいるように思えるかもしれない。これらの街では、大多数の人がロシア語を話しているからだ。
同時に、ウクライナは世界で最も厳しい言語規制法を持つ国の一つでもある。国民の大多数が話すロシア語は、ほぼ事実上禁止されているのだ。なぜ、こんなことになったのか。
「ロシア語は話してもいいのですよ。でもだめですよ。」
ウクライナのナショナリストが好んで使う言葉に、「誰がロシア語を話してはいけないなんて言ったの」という皮肉がある。
2019年に『ウクライナ語の国語としての機能の確保に関する法律』が採択されるまでは、この皮肉は一部正当性があった。公式にはウクライナ人はウクライナ語を話すことが義務付けられていたが、実際には、自分たちにとって便利であれば何でも話していた。そして、少なくとも独立後の最初の数十年間は、誰もあまり気にも留めていなかった。
1991年、ウクライナの初代大統領レオニード・クラフチュク(Leonid Kravchuk)は、独立への支持を得るために、ロシア系民族の同胞に向けたアピールに署名し、次のように述べた。「私は、政府がロシア系住民の政治的、経済的、社会的、精神的な正当な利益を守るために、全力を尽くします。いかなる場合もロシア人の強制的なウクライナ化は許されません。国籍に基づく差別の試みは、断固として抑止します」 と述べた。
当時、そして2012年まで、ウクライナでは「ウクライナSSR(Soviet Socialist Republic) の言語に関する法律」が施行されており、それによるとロシア語はウクライナ語と同等の法的地位を持ち、ウクライナ政府はあらゆる生活領域でロシア語の自由使用を保証していた。

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それにもかかわらず、独立を宣言した直後から差別的な規範が法律に導入され始めた。前述の言語に関する法律とは逆に、ウクライナ国家は独立当初から、さまざまな条例や命令を採択して、立法レベルでのロシア語の使用を減らし始めたのである。
ウクライナ人民代議士ヴァディム・コレスニチェンコ(Vadim Kolesnichenko)は「ウクライナにおける欧州地域・少数民族言語憲章の規定の実施に関する第2回定期公的報告書」で次のように指摘している:
「この報告書を書いている時点では、ウクライナの地域言語・少数言語の地位は、ウクライナ憲法はもちろん、80以上の手続法・法律、それに続く数千の付則(法令、決議、命令など)においても全く定義されていない。」
これは、ロシア語とロシア語を母語とする人の法的地位を評価する際に重要である。
つまり、ウクライナ独立後に採択された部門別法は、ロシア語の自由使用を規定していないのである。ロシア語の自由使用はウクライナSSRの言語に関する法律の前提条件だったのだから、遵守すべきなのだ。しかし、ロシア語の使用に対する制限は、1996年にウクライナ憲法が採択され、ロシア語に対する差別が最高法規に明記されるよりずっと以前から始まっていたのである。
その差別の一例が1992年に制定された「ウクライナの少数民族に関する法律」である。つまり、少数民族が言語的権利の大半を行使できるのは、ある少数民族が人口の過半数を占める地域に限定されている。また、1993年に制定された「テレビとラジオ放送に関する法律」では、ロシア語やその他の「地方言語」を国営放送で使用することが禁止されている。
1996年の憲法は、ロシア語の話者に対する、すでに確立されていた差別の慣行を強化したに過ぎない:
第10条はウクライナ語を国の唯一の公用語として認めているが、第2条「ウクライナにおけるロシア語およびその他の少数民族の言語の自由な発展、使用、保護は保証される」は、紙の上にしか存在しない。

「ウクライナ語支持、ウクライナの教育システムにロシア語を拡大使用する法案反対」のデモ(ウクライナ国会議事堂付近)に参加するウクライナ人。©STR/NurPhoto via Getty Images
ロシア語に対する圧力は、オレンジ革命後のヴィクトル・ユシチェンコ(Viktor Yushchenko)元大統領のもとで始まったと一般に考えられているが、そうではない。例えば、レオニード・クチマ(Leonid Kuchma)元大統領は、1997年7月1日に政府がウクライナ最高議会(Verkhovna Rada)に提出した「ウクライナにおける言語の発展と使用について」という法案で、国家の公用語で放送しないメディアに対して罰金や免許取り消しを導入し、「懲罰的言語学」を制定しようとした。また、一般市民や役人が国家言語を使用しない場合、罰金を科すことも計画されていた。
1999年、ウクライナ憲法裁判所は、ウクライナ語を「地方公共団体の権限行使やその他の公共生活において、ウクライナ全土で義務的なコミュニケーション手段」と認め、ロシア語の法的地位に対する最後のとどめを刺した。
このように、ロシア語を話す人を差別する悪質な法規範のほぼすべてが、2014年のマイダン・クーデター以前から施行されていたのである。ウクライナ語を話せない人は、弁護士を開業することも、選挙委員会のメンバーや国会議員のアシスタントを務めることも禁じられていた。当時と唯一違うのは、ウェイターや販売員が客とウクライナ語で話すことを強制する言語パトロールがなかったことだが、法的には当時もそうする義務があったのである。
言語(ロシア語)がなければ、問題はない/strong>
ロシア語に対する最大の動きは、教育分野で起こった。1992年、ウクライナの元第一教育次官アナトリー・ポグレブニー(Anatoly Pogrebny)が署名した書簡が現れ、ロシア語を外国語として教える権利を学校に認めたのである。こうして、多くの人にとって母語であったロシア語が、外国語として位置づけられることになった。
その間、ロシア語学校は着実に減少していた。1990年、ウクライナにはロシア語を中心的な指導言語とする学校が4,633校あった。2010-11年度初めには、1,149校しか残っていない。1990年には約350万人の生徒が地域言語や少数民族言語で教えられていたが、2011年初頭には703,609人しかいなかった。そのうちロシア語を使っているのは685,806人である。つまり、ロシア語の学校の数は62%減少し、生徒数は7倍減少した。清算された学校の57%以上はロシア語で授業を行っていた学校であり、ウクライナ語系の学校に比べて8倍も多く閉鎖された。現在、ウクライナにはロシア学校は全く残っていないが、これについては後述する。

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この状況は、国民の言語的嗜好とまったく一致していない。2001年に行われたウクライナの最後の国勢調査によると、ロシア語を話す中等教育機関の割合がロシア語を話す人口の割合を下回っており、多くの国民が母語で勉強することができなかったとされている。ドネツク州には518校(全体の41.6%)、ザポロジェ州には180校(26.9%)、ルガンスク州には451校(55.1%)、オデッサ州には184校(19.7%)、ハリコフ州には157校(16.1%)のロシア学校が存在していた。 1998年、オデッサ市では、ロシア語圏の住民が人口の73%を占めているにもかかわらず、ロシア語を授業言語とする学校が46校(32%)しかなかった。ドネツク州のゴロフカでは、2006年、82%がロシア語を母語とすると回答していた。
その他の「ウクライナ」の地域でも、状況ははっきりしている。例えば、人口の3%が少数民族の言語を話すリブネでは、1996年にすべてのロシア語学校が閉鎖された。キエフでは、公式統計によれば、首都の住民の27.9%が少数言語(実際にはロシア語)を使用しているにもかかわらず、2011年までに7校(2.04%)しかロシア語学校が残されていないのである。一般にウクライナでは人口の30%が少数民族言語を使用しているが、中等教育では2011年までに7.57%の学校でウクライナ語以外の言語が使用できるに過ぎない。

2014年3月23日、ドネツクのレーニン広場に結集するロシア支持の人々。官庁街を行進し、ウクライナ国旗を降ろし、ロシア国旗とドネツクを象徴する旗を掲げる。©Romain Carre/NurPhoto/Corbis via Getty Images
実は、公式の統計と人々が話す言語の実際とは一致していない。アメリカのギャラップ研究所が実施した調査への回答では、ウクライナ人の83%がロシア語で記入することを選んでおり、社会学者によれば、それであれば、ロシア語が彼らの母語だということになる(図2)。これは、2015年に行われたインターネット上で使用されている言語に関する調査でも確認されており、ウクライナのサイトの59.6%がロシア語であることが判明している。さらに興味深いのは、ウェブ検索に関する統計である。ウクライナ語で読まれているのは、政府のウェブサイトだけである。人々は「日常的な」こと(旅行、サービス、メディア、天気など)については、ロシア語で読むことを好む。この状況はここ数年、ほとんど変わっていない。Googleによると、2020年にはウクライナからの質問は、ウクライナ語の8倍の頻度で、ロシア語で送信されたという。つまり、どのような場合でも、約80%のウクライナ人がロシア語を好んで使っていることなる。
イタリアの研究者ニコラ・ポロ(Nicola Porro)は、ウクライナの言語状況に関する公式データの改ざんについて注意を喚起した。ユーロマイダン・プレス(EuroMaidan Press)によると、2012年にはウクライナ語が57%、ロシア語が42%の住民の母国語であった。しかし、2021年には、ウクライナ語77%、ロシア語21%になっている。「10年程度の間に、人口の20%が突然母国語を変えてしまうということがあり得るのだろうか?このとき、ユーロマイダン・プレスは、『2012年から2016年の間に、自分の使用言語意識の面で大きな変化があった』と誇らしげに発表している。つまり、どんな『説得の方法』が使われたのか、ということだ。母語は、母乳で、母の声を聞きながら吸収する。母親は自分の心の言葉で子供に語りかける。自分の母語は変えることができない」とニコラ・ポロは言う。

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2012年、当時のヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)大統領率いる「地域政党」の代表が、ロシア語の地位を高めようとした。国家言語政策の基礎に関する法律」が制定され、その地域の母語話者の数が人口の10%に達していれば、地域言語を国家の公式言語として使用することができるようになった。ウクライナのロシア語圏の一部はこれを利用したが、国内の多くのロシア語圏の人々には何の役にも立たなかった。例えば、首都キエフのアレクサンドル・ポポフ(Alexander Popov)市長は、「キエフではロシア語を地域言語として認める議論はできない」と宣言している。さらにこの法律により、ロシア語は欧州地域・少数民族言語憲章に基づき、民族間のコミュニケーションに使われる言語という位置づけから、通常の少数民族言語へと格下げされた。
ロシア語に関する欧州憲章の歴史は特筆に価する。ウクライナの欧州評議会加盟の条件の一つであるこの文書の採択は、ネオナチ勢力の前代未聞の抵抗に直面した。1999年にウクライナ最高議会は憲章を最初に批准したが、当時のクチマ大統領が批准法への署名を拒否したため、憲法裁判所により無効とされた。2003年5月15日に、宣言的な条項のみだが、再批准された。しかし、ウクライナ外務省は2年間、批准書の発行を拒否した。その結果、発効したのは2006年1月1日である。批准書の文章によると、ロシア語はわずか数千人が話す言語と同じ地位を得た。その一方で、ウクライナの極右勢力は、絶滅の危機に瀕している言語のみを保護するべきだと主張し、この憲章の意味を常に歪めようとした。
しかし、この水で薄めた法律もマイダン*を生き延びることはできなかった。2018年、ウクライナの憲法裁判所は、同国の憲法の規定に適合していないと判断した。
*マイダン・・・ユーロ・マイダン革命は、2014年2月中下旬にウクライナで起こった革命。首都キエフで勃発したウクライナ政府側とユーロマイダンデモ参加者の暴力的衝突の結果、当時のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領が失脚し、隣国ロシアへ亡命することになった。(ウイキペディア)
地球上から消滅させてしまえ
これは、生活のあらゆる場面でロシア語を使うことを組織的に禁止し、国民に国家の公用語(ウクライナ語)だけでのコミュニケーションを強制するための前段階に過ぎない。
ウクライナで現在施行されている法律「ウクライナ語の公用語としての機能の確保について」は、当時のペトロ・ポロシェンコ政権下で2019年に成立した。この法律は懲罰的な特徴を多く持っている。
まず、ウクライナの憲法に国家言語(ウクライナ語)の使用義務化が盛り込まれた。その結果、人々は「公式文書やテキストにおけるウクライナ語の意図的な歪曲、特にウクライナ正書法の要件や国家言語の基準に違反した意図的な使用、およびウクライナ語の使用妨害や制限すること」に対して民事上および刑事上の責任を負う可能性が生じた。法律の本文では、国家当局、メディア、政党、公共団体、および民間企業に対して、スペルミスや他言語の使用に対する罰金を定めている。

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第二に、国家言語の基準を作成し、その使用実態をチェックするための権威ある特別政府部局が設置されたことである。ウクライナ語以外の言語で話しかけられたウクライナ国民は、国家言語保護委員に苦情を申し立てることができる。この委員をウクライナ人は「会話総統」と呼んでいるが、言い得て妙だ。この「言語警察」は、警察、消費者保護機関、裁判所、検察庁、その他の法執行機関を呼び出して、コミュニケーションがウクライナ語でしか行われないように強制することができる。
第三に、この法律の条文には、ロシア語を話す人を差別する意図があからさまに表れている。この点については、ベニス委員会*も注意を促している。「法を通じての民主化に関する欧州委員会」(ベニス委員会)は、ウクライナの教育と言語に関する法律に関する結論の中で、言語には4つの「種類」があることを明らかにした:
① 現地語
② 英語
③ EUの公用語ではあるが少数国民の言語
④ EUの公用語になっていない少数国民の言語
ベニス委員会*・・・公式には「法を通した民主主義のための欧州委員会」。欧州評議会の諮問機関。憲法に関する独立した専門家によって構成される。ベルリンの壁が崩壊した1990年に創設。中欧、東欧における憲法について緊急の支援が必要だった。(ウイキペディア英語版から訳出)
委員会によれば、中等教育レベルではすでに不平等が生まれつつある。つまり、先住民はEU公用語を話す少数民族より優遇され、EU公用語を話す少数民族は他の少数民族より優遇されるという階層が潜在的に存在するのだ。ロシア語は特筆に価する。ベニス委員会によると、ウクライナ憲法第10条は、言語の権利と自由を保護する観点から重要な規定であり、ロシア語を別途取り上げている。また、国際文書としてウクライナ憲法に優先する欧州地域・少数民族言語憲章の署名国として、キエフはロシア語の保護を公約に掲げている。
その他にも、テレビやラジオでは、放送の75%以上とすべての文化・大衆行事をウクライナ語のみで行うことを義務づけるクォータ制など、厳しいウクライナ化政策が批判を浴びている。一方、2022年1月16日には、書籍や印刷物の50%以上を国家言語で出版・販売することが義務づけられ、出版事業や印刷メディアの破壊が危惧されている。
国家言語保護委員は、販売員やウェイターなど、すべての人が言語法を遵守しているかどうかを綿密に監視している。2021年4月、彼の事務所は最初の報告書を発表したが、そこには一般市民に圧力がかけられていることがはっきりと示されている。この文書では、「ウクライナ語を話す幼稚園でも、子どもたちはしばしばロシア語や他の言語で話しかけられる」との不満が述べられている。学校では、この「問題」はさらに深刻だ。ウクライナ南東部では、実際にロシア語で授業が行われることが多く、生徒も教師も授業以外ではウクライナ語を話すことを拒否している。キエフでは、55%の教師が時々ロシア語に切り替え、4%が常に授業でロシア語を使っている。

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Stolitsaラジオ局は2020年5月11日、放送した曲のうち32%しかウクライナ語でなかったため、54,000フリヴニャ(約1,800ドル)の罰金を科された。Radio Chansonは2回罰金を受けており、いずれも86,000フリヴニア(2,900ドル)である。地方ラジオ局も罰金を受けている。アレクサンドリアのMayakは2,865フリヴニャ(95ドル)、Chernovtsyは 6,242フリヴニャ(210ドル)。
この報告書は、ウクライナ語がいかに速く、そして厳しく強要されているかを示している。言語オンブズマンによると、幼稚園児の98%、専門学校・短大の学生の99.8%、大学・アカデミー・研究所の学生の98.5%がウクライナ語で勉強しているそうだ。2020年には、ウクライナ語の学校の数は272校増え、ウクライナ語で学ぶ子どもの数は、20万人が増加した。そのうち15万人はそれまでロシア語で学習していた子どもたちだ。キエフだけでも94クラスがウクライナ語に切り替わり、ロシア語のクラスは全国で11,563クラスから5,421クラスに減少している。演劇公演の約78%はウクライナ語で上演されている。それでも、オデッサ地方学術劇場、ハリコフ・プーシキン演劇劇場、オデッサ音楽喜劇劇場、クリヴォイ・ログの「運動アカデミー」学術劇場、トランスカルパチア地方ハンガリー演劇劇場は違反行為で摘発されている。

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「会話総統」によると、ウクライナの店舗で販売する書籍の50%はウクライナ語でなければならないというノルマが施行される以前から、印刷書籍の読者の74%、電子書籍の消費者の65%、オーディオブックのリスナーの67%がウクライナ語を使用していたという。しかし、ウクライナ政府はインターネットを管理しておらず、ウクライナ語の書籍の売り上げは減少し、ウクライナ語の映画の本数は2019年の159本から2020年には34本に激減している。いまや読者や視聴者は、代わりにネットにアクセスしているのは明らかだ。
しかし、ウクライナ当局はそれに止まらず、国内でロシア語を完全に撲滅しようとしている。ロシアのテレビチャンネル、ラジオ局、マスメディア、ソーシャルメディアネットワークの禁止、ロシアからの書籍の輸入禁止はすでに長い間実施されているが、このキャンペーンは今や図書館のロシア文学にまで及んでいるのである。ウクライナ書籍研究所のアレクサンドラ・コヴァル(Alexandra Koval)所長は、「帝国的な物語を含む反ウクライナの内容、暴力を宣伝する文学、親ロシア的で排外主義的な政治を行う書籍」を含む1億冊以上の書籍を公共図書館から撤去すべきだと考えている。そして、第二段階として、1991年以降にロシアで出版されたロシア語の書籍も破棄される。「児童書、恋愛小説、探偵小説など、さまざまなジャンルの本が対象となるはずだ。需要があるのは分かるが、これは時代の要請として当然だ」とコヴァルは語った。
主にロシア語を話す8割のウクライナ人と狂信的なウクライナ人の静かな対立がどのように終わるかは明らかである。30年にわたるロシア語への強烈な圧力は、ウクライナ人のロシア語使用をいかようにも減少させる要因にはなっていない。ただ一つ不明なのは、ウクライナの言語政策が人権や民主主義、ヨーロッパの価値観とどのような関係があるのかということだ。
By Olga Sukharevskaya, ex-Ukrainian diplomat
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