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なぜドンバスの前線で、戦闘を拒否するウクライナ兵が増えているのか ――犬死の戦闘に追いやられてーー

なぜドンバスの前線で、戦闘を拒否するウクライナ兵が増えているのか
――犬死の戦闘に追いやられてーー

<記事原文 寺島先生推薦>
'Sent to certain death': Why growing numbers of Ukrainian servicemen are refusing to fight on the Donbass frontlines
投稿元 RT
2022年06月17日
<記事飜訳 寺島メソッド飜訳グループ>
2022年6月30日

多くのウクライナ人兵士が戦闘状況に恐怖を感じ、ソーシャルメディアで助けを求めている。


ロシア軍との戦闘で死亡した3人のウクライナ人兵士の埋葬式。© Mykola Tys / SOPA Images / LightRocket via Getty Images

 ウクライナの兵士が陣地を放棄し、指揮官への不満を動画で投稿するケースが増えている。戦争で疲弊した国で、なぜ脱走者が増えているのか。

 欧米諸国のウクライナへの支援総額は、120億ドルに達して、同国の2022年の軍事予算をすでに上回っている。しかも、これは世界中の一般市民からの人道的な寄付を考慮しないでも上回っている。しかも、まもなくウクライナは、米国からさらに200億ドルの軍事支援を受け取ることになるだろう。

 この巨額の資金注入と、絶え間ない海外からの武器供給で、ウクライナ軍の問題はすべて解決するように思われる。しかし、ウクライナ軍の兵士たちは、許可なく持ち場を離れ、ドンバスの前線に行くことを拒否し、ネット上で指揮官を批判するビデオメッセージを公開することが増えているのだ。今回RTは、ウクライナへの外国援助にもかかわらず、なぜ軍人の派兵に関する問題が増え、ウクライナ軍兵士の脱走が頻発しているのかについて考察してみた。

 ヴェルホヴナ・ラダ(ウクライナ議会)副議長マリアナ・ベズグラが提出した、脱走した軍人を処刑する権利を将校に与えるというスキャンダラスな法案は、5月24日に取り下げられた。しかし、このような構想が登場したことは、脱走問題が現実のものとなり、当局が警戒を強めていることを明確に示している。


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 実際、ドンバスのウクライナ軍部隊は、弾薬、食糧、大砲の支援がないなど、後方支援がない状況にますます直面している。最近、兵士が自ら投稿した動画がネット上に多数アップされている。だいたいが、前線からの無許可離脱の意思を固め、その理由を説明している。その多くは、現在ドンバスで最も残酷な戦闘が繰り広げられているセベロドネツクやリシチャンスク地域の軍人たちによるものである。

指揮官への批判

 おそらく最も衝撃的な動画のひとつは、4月28日に公開されたもので、第79空挺突撃旅団の隊員が指揮官の残虐性を説明するメッセージである。司令部によると、部隊はドネツク州のヤンポル村近くの森に連れて行かれ、死ぬまでそこに放置されたという。「私たちは5、6日間そこに座っていたが、司令官は私たちを見捨てた...。そして今、私たちは生き残ったが、生き残ったのに脱走兵にされている...。穴の中には、まだたくさんの死体が横たわっている」。彼らは、自分たちが助けを求めたのに、司令官は「戦車と接近戦をしろ」、と命令したことを強調した。現在、生き残った落下傘兵は脱走の裁判にかけられているのだ。

 興味深いことに、この動画が公開された後、インターネットのウクライナ語圏の多くの読者が、このニュースはフェイクだと言い始めた。ウクライナ大統領顧問のアレクセイ・アレストヴィッチも認めているのにである。しかし、すぐに2つ目の動画が登場した。最初の動画の話の信憑性を確認し、ウクライナ国民に訴えた理由を説明しようとする落下傘兵たちが記録した動画である。「私はもうこの旅団の制服を着ないし、ここにいる隊員の半分も同じ気持ちだ」、とアンドレイ・ベレジンスキー落下傘兵は言った

  ここ数カ月、軍人によるウクライナ軍の指揮に対する批判は珍しくない。第115領土防衛旅団は、兵士たちが砲撃や迫撃砲の下で塹壕を掘る方法について訓練を受けていなかったと報告した。

 セベロドネツクの兵士たちは、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領とヴァレリー・ザルジニー軍司令官に対して、重火器と援軍の不足を訴える動画を撮影した。兵士たちは、後方待機している指揮官の無能さを非難した。「我々は死地に送られただけだ。指揮能力もないし、指揮官もいない。そして兵士への敬意もないのです」。


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 それにもかかわらず、軍司令部はその申し立てを評価せず、すべての兵士を「脱走」として非難した。その結果、軍人の親族が参加する不祥事が勃発し、ウクライナ大統領府に助けを求めた。「夫は志願兵として出征したのに、セベロドネツクで砲撃の下にいるんです。司令部はなく、自分たちが司令官なのです。そして旅団を去った人々は脱走兵として牢屋に入れられている。どうしてなのか!何も持たずにどうやって戦うのか?シャベルで戦えというのか。それとも何も持っていないのではないか」と軍人の妻が言った。「第115旅団は脱走兵なんかじゃない! 大砲の餌食として放り込まれるだけだ。彼らは80年代の古い機関銃を持って戦車に挑んでいるのです。なぜ彼らは死んでいるのですか?司令部にいる人たちが勲章をもらえるようにするためですか?」と、別の女性は憤慨していた。

供給品

 6月上旬、「ラジオ・フランス・インターナショナル」はセベロドネツク近郊から、ドンバスでの戦闘が激化する中、ウクライナ軍で「堕落が起こっている」と報じた。「兵士たちの間で不満の動きが出てきている。物資の不足、司令部からの支援の不足について不満を募らせている」と指摘し、リシチャンスク近くの兵士たちは、前線で起きていることを「この世の地獄」と表現していると付け加えた。

 兵士の士気を大きく低下させる主な問題の1つは、補給である。ロシア軍は大砲も装甲車もあり、兵力は我々の5~6倍はある・・・。我々は1986年製の機関銃とRPG[ソ連、ロシア時代の対戦車擲弾]しか持っていない。1943年製のデグチャロフ機関銃。そして1933年製のマキシム機関銃。スウェーデンの携帯用対戦車ミサイルシステムNLAWもあるが、バッテリーが作動しなかった。これだけです」、と第20大隊のウラジミール・ハルチュク隊員は、最後の作戦についてそう語った。アンドレイ・シェフチェンコ軍曹は、ウクライナ軍が大砲を強化しなければ、何もできないだろうと考えている。

 これに先立ち、別の大手外国メディアもウクライナ軍の補給問題について報じていた。5月末、『ワシントン・ポスト』紙は、最近同紙のインタビューに応じたウクライナ人中隊長セルゲイ・ラプコが逮捕されたことを報じた。この中隊長は、前線、特にセベロドネツクやリシチャンスク方面での極めて困難な状況について「ワシントン・ポスト」に語っている。ウクライナ参謀本部や、ルガンスク地方軍政局のセルゲイ・ガイダイ議長も、ルガンスク地方におけるウクライナ軍の困難な状況について報告していたのである。

 確かに今、ウクライナ兵からこのようなメッセージが絶えないが、ラプコの話によって、実際に何が起きているのか詳細に説明されることになった。
 
ロシアが支配するドネツク人民共和国の港町マリウポルのアゾフスタル製鉄所で降伏したウクライナ兵をチェックするロシア軍人。© Sputnik / ロシア国防省

 「前線に送られる前、私たちはAK-47アサルトライフルを渡され、30分足らずの訓練を受けた。30発の弾丸を撃ったところで、弾薬が高すぎるため、それ以上はもらえないと言われました」と彼は言う。彼の中隊がドンバスに派遣されたとき、20人が即座に拒否し、脱走罪で逮捕された。「ここに来るとき、私たちは第3防衛線にいると聞かされていました。ところが、私たちは最前線に行きました。どこに行くのか分からなかったんです」。120人いた中隊のうち、隊列に残ったのは54人だけでした。残りは死んだか、負傷したか、脱走したかのいずれかだった。

 「ウクライナのテレビでは、犠牲者はゼロだと言っているが、そんなことはない」と指揮官は言う。彼は、兵士と一般市民の士気を維持するために、損失は秘密にされていると思っている。兵士は、困難な状況にもかかわらず、部隊は勇敢に戦ったが、戦闘によって彼の中隊だけでなく、その地域の他の部隊にも大きな損害が出たと指摘している。ワシントンポスト紙によると、死者の多くは負傷した兵士が迅速に避難できず、リシチャンスク軍事病院への搬送に12時間待たされたことが原因だという。

 この兵士は、それとは別に司令部との関係についても触れている。「司令部は責任を取らない。私たちの功績によって、彼らは手柄を立てるだけだ。何の支援もない」という。また、水の問題や栄養状態の悪さ(1日1個のジャガイモで満足しなければならない)も訴えた。

 このインタビューが掲載された数時間後、ウクライナ治安局(SBU)は脱走の罪でラプコの中隊から数人を拘束した。中隊長自身は職務停止となり、リシチャンスクの予審拘置所に収容され、その後の消息は伝えられていない。しかし、彼のインタビューが反響を呼んだことで、ウクライナのメディアは前線での問題を語る兵士のビデオメッセージに注目するようになった。

脱走

 他国の軍隊と同様、ウクライナにも脱走の法的責任を問う立法規定がある(刑法第408条)。さらに、戒厳令下または戦闘状態での脱走は、5年から12年の禁固刑というかなり厳しい罰則が定められている。しかし、こうした措置によっても、ウクライナ軍の一部の部隊では、兵士の離脱が止まらない。

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 紛争初期にも、個々の兵士が自発的に部隊を離れたことがあった。過酷な環境に耐えられず、自ら戦線離脱を決意したのだ。集団脱走の最初のケースは4月末に始まり、ドンバスにおけるウクライナ軍の状況悪化と関連したものであった。当時、ロシア国防省は、ウクライナ国家警備隊の部隊から860人以上の兵士が脱走したと発表している。

 第115戦区防衛旅団の小隊全体が、セベロドネツク近郊での戦闘任務の遂行拒否をゼレンスキーとザルジニーに訴えた件については、すでに書いたとおりである。その後、第58旅団と第46別働隊の部隊からも同様の声明が記録された。兵士たちは、前線で最も問題のある地域に、司令部が自分たちを大砲の餌として絶望的な状況に放り込んだと非難した。彼らはザポロジェに向かっていたが、最終的にドンバスで最も厳しい場所の一つであるポパスナ付近の前線にたどり着いた。重火器もなく、物資も届かず、指揮官も無能であることが判明した。その結果、大きな損害を被り、撤退を余儀なくされた。

 まさにそれと同じ頃、ドンバスから別の記録が登場した。第71イェーガー旅団の軍人が、銃や榴弾砲に対して丸腰で戦場に入り、その模様をビデオで撮影するという上官の命令を直接拒否したのである。兵士たちはこの命令を「犯罪的」だと考え、陣地を離れた。「我々は大砲、グラッド[戦闘車両]、迫撃砲に対して機関銃で立ち向かいます。誰も助けてくれない。常識的な武器は何もない。私たちのことを気にかけてくれない国のために、どうやって戦えばいいんだ」と兵士の一人は不満を漏らす。「肉挽き機に入って、牛の挽き肉になって出てくるのはごめんだ。戦車も歩兵戦闘車も銃もないんです」。最後に、迫撃砲は数十門しかなく、それも「希望したときしか使えない」と付け加えた。

 ゼレンスキーは、ウクライナ軍第57旅団所属の7093部隊の兵士からも訴えを受けた。重火器がない、将校がいない、将校の多くはルガンスク周辺の戦闘で死亡している、などの不満があった。これらの事例から、領土防衛部隊の隊員だけでなく、ウクライナ軍の正規部隊の隊員も撤退していることがわかる。つまり、ウクライナ軍に新たな旅団を編成できる人員があっても、それに供給する最低限の装甲車がないため、徴兵しても戦闘可能な編成を作ることは不可能なのだ。

後方からの抗議


 同時に、不祥事は後方深部にも及んでいる。リヴィウ州ストリィでの戦闘から遠く離れた場所で、領土防衛第103旅団第65大隊の戦闘員の親族が、部下が最前線で戦っている最中に、同旅団の司令官を町で捕まえて抗議行動を起こした。彼らは、リヴィウ地方を守るのではなく、準備も武器もないままドンバスに派兵させられたと述べた。

 ウクライナ軍の領土防衛の代表者との会合で、兵士の親族は、兵士達の話では戦闘を行う装備ができていないから、兵士を家に戻すよう要求した。ストルイから来たヴァレンティナ・マモンさんは、「準備の整っていない兵士たちは、機関銃と手榴弾2つを与えられ、我々の兵士をはるかに上回る軍隊を阻止するために送られた」と不満を漏らした。

 「前線には車で行き、燃料も自分で補給しなければならなかった。穴で数時間、機関銃を構えていた。そして何より、自分たちの退却者を撃ってしまったことだ。死傷者が出なかったのは幸いだった。また、志願兵がトランシーバーを持ち込んだら、大隊本部がそれを取り上げてしまった」とガリーナ・シドルは付け加えた。また、多くの女性たちは、準備の整っていない戦闘員が投入され、「素手で」敵を阻止しようとしていると言う。


DPR人民民兵の軍人によって拘束されたウクライナ軍海上歩兵第503大隊の軍人が、DPRマリウポリ近郊で地面に横たわっている。© Sputnik / Viktor Antonyuk

 抗議は、ウクライナ西部の別の地域、トランスカルパティアにも広がっている。フストでは、女性たちが攻撃したのは、その軍事委員が防弾チョッキやヘルメットなしに自分たちの部下をドンバスに送ったことである。彼女たちは、軍の入隊事務局が違反行為や収賄をしていると非難した。彼らの情報によると、3000ドルでドンバスへの派遣が免除されるらしい。

 また、心臓病や喘息の持病を持つ人が前線に送られるという話もある。「健康診断に合格していない、準備不足の人たちが、何を根拠に徴兵され、前線に送られるのでしょうか?特に私の夫は心臓発作を起こし、心臓移植が必要です」と、第101領域防衛旅団の軍人の妻であるインナ・サラウティナさんは言った。

 とはいえ、ウクライナ国防省は、事前の訓練なしに人を前線に送ることはないと先に言っておきながら、自らの過ちを認めようとしない。同時に司令部は、国内西部地域からドンバスに領土防衛部隊を派遣することは合法であると述べているのだ。

 「1月27日に改正された既存の法律があり、それによると、ウクライナ軍最高司令官の命令により、領土防衛大隊は一定の根拠に基づいて地域外の任務遂行に関与できる」と領土防衛軍司令官の顧問であるヴィタリー・クプリは述べている。

***

 脱走や補給に関する苦情、損失や自主的な降伏の事例が多数あり、ドンバスの防衛に関するウクライナ軍が大きな問題を抱えていることがわかる。前線では、兵士が脱走する様子を撮影した映像が流されることが多くなっている。この地域のウクライナ軍は、陣地が無許可で放棄されることから、明らかに不利な状況に陥っている。外国からの援助があるとはいえ、交戦状態が長引けば、疲労や経済問題、腐敗などが顕在化し、こうしたケースはますます増えていくだろう。

ロシアと旧ソ連の専門家である政治ジャーナリスト、ペトル・ラヴレニン(Petr Lavrenin)による。
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No title

 我らが”蝗軍”やフェダイーン、イラン革命防衛隊、タリバンなどに見られる士気※の高さがなぜウクライナ国民兵に見られないかをよく考えるする必要がある。
※ドンパチの世界では、士気とは”とてつもない死の恐怖と肉体的苦痛を意志の力で捻じ伏せて、たとえバカげてようが無意味だろうが命令を遂行してしまう力”と定義される。
 蝗軍やムジャヒディン、タリバンやイラン革命防衛隊等は何がないとか寝言を言わずに絶対不利な場でも戦って次々に死ぬがなお次々と戦いに身を投ずる。
 なぜ、ウクライナ兵は泣きごとを並べて逃げるのか?
 「マッチ擦るつかの間海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」
 東部2州を除くウクライナ人の7割は、ゼレンスキーの公約”ミンスク合意路線でプーチンと手打ち”の公約を支持した。彼らは自分の目を潰し手足が捥げ死ぬことになってまで同胞を殺して東部2州を再統合する気なんてない。また、人口の1%のネオナチとオルガリヒと外資が仕切るウクライナ国家の腐敗堕落はすさまじく米議会が援助をやめた年もあったほど。開戦前のゼレンスキー政権の支持率は23%とか不支持率60%というレベル。経済も洒落にならない酷さで一人当たりの名目GDPは数十万円に過ぎず、ロシアの1/3から半分程度。ウクライナ人が国を護るというというとき、その内実は故郷だの愛する人だのと言ったおためごかしではなく、ネオナチと財閥と外資が専横を極め収奪し侮辱してくるこの腐った特権階級の既得権のシステムを護るために、自分の目、自分の手足、自分の命を捨てることを意味する。そんなバカバカしいことには耐えられないから彼らは逃げるのだろう。プーチンロシアも大概だがウクライナもまたいい勝負。経済が遥かにマシなだけ、ロシアに併合されてもウクライナの平民にはまだマシかもしれない。

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