崩壊の瀬戸際にあるヨーロッパ
Europe on the Brink of Collapse?
ピーター・ケーニッヒ
グローバル・リサーチ 2019年1月17日
(翻訳:新見明 2019年2月21日)
<記事原文>https://www.globalresearch.ca/europe-brink-collapse/5665679

帝国のヨーロッパ属国城は、崩れかかっている。我々のすぐ目の前で。しかしだれもそれを見ようとしない。EUは隷属国家の複合企業体だ。トランプはEUを時代遅れだと批判する。トランプは属国が自分をどう思おうと気にかけていない。彼らが崩壊するのは当然だ。彼らEU属国は、28カ国グループからなり、人口は5億人である。推定19兆ドル相当の連合経済で、アメリカとほぼ同程度の経済規模だ。しかし重要な局面では、ほとんどワシントンの命令に従ってきた。
EUはワシントンの命令で、28カ国のEUメンバーに何の危害も加えていないロシアやベネズエラやイラン、そして無数の国々に制裁を加える命令を受け入れてきた。EUは屈辱的なNATOの軍事負担を受け入れてきた。そしてモスクワや北京に向けて高度な軍事基地を作り、ロシアと中国を脅してきた。ブリュッセルの外交政策は、基本的にNATOに引っ張られているのだ。
最初から明らかなことだが、ワシントンの気まぐれなルールに従わないロシアやその他の国々に課されてきたアメリカの制裁は、直接に、又はEUを介してなされるが、ロシア以上にEUに経済的打撃を与えてきた。これは特にいくつかの南ヨーロッパ諸国に当てはまる。南ヨーロッパ諸国の経済は、他のEU諸国よりも、ロシアやユーラシアの貿易に依存してきたのだ。
「制裁」の被害は、実に面倒なことになった。トランプが一方的に(イランとの)「核合意」破棄を決定し、イランとともに、イランと取引する者はだれでも、厳しい制裁を再び課す決定をしたのだ。ヨーロッパの石油・ガス大企業は大損害を被り始めた。その時、ドイツ主導のブリュッセルが、アメリカに従えないと、ブツブツ文句を言い始めた。さらに彼らはヨーロッパ企業を、主に石油・ガス大企業を支援し、彼らがイランと行ってきた契約を続けるとさえ言い始めた。
しかしそれは遅すぎた。ヨーロッパ企業は、ブリュッセルのEU政府の弱々しく、信頼の置けない言葉に自信を失っていた。多くの企業は長期契約を破棄し、そして核合意のあと更新したイランとの契約を破棄した。ワシントンによる処罰を恐れブリュッセルの保護を期待できないためだ。問題は英仏石油大企業トタルで、供給先をイランから、もちろんワシントンが意図したアメリカにではなく、ロシアに変えたが、すでに手遅れだった。属国はゆっくりと自殺の道を歩んでいる。
人々はもううんざりしている。ヨーロッパ人の半分以上が、ブリュッセルの毒牙から抜け出たいと思っている。しかしだれも彼らに要求しない。だれも彼らの言うことをきこうともしない。そして、それが「民主主義」(原文のまま)の中心地なのだ。だから人々は、反乱を起こしていて、至る所で抗議しているのだ。様々な形で抗議行動が起こった。ドイツでも、フランス、イギリス、ベルギー、オランダ、イタリア、ハンガリー、ポーランドでもだ。リストを上げれば切りがない。そしてそれを総称して、新しいフランス革命にちなんで「イエロー・ベスト」と呼ばれているのだ。
一連のアメリカのドイツやドイツ企業への攻撃(ドイツ企業総体への攻撃)の最近のものは、、もし彼らがノルド・ストリーム2を運用するなら、ドイツ企業に制裁を課すというアメリカ大使リチャード・グレネルの最近の脅しである。ノルド・ストリーム2は1,200kmのパイプラインで、ロシアのガスをヨーロッパに運び、2019年末までに完成予定である。それは実質的に、ロシアのヨーロッパへのガス供給能力を2倍にするものだ。それに対してワシントンは、ヨーロッパに、アメリカのシェールガス・石油を買うように求めている。そして特にヨーロッパを、経済的にかつ財政的にアメリカの勢力圏に保つことを狙っている。それはワシントンからの離脱をどうしても避け、明白に、かつ論理的にロシアとの同盟を回避するためだ。この試みは、ひどい失敗に終わるだろう。様々なドイツの大臣が(ハイコ・マース外務大臣を含め)、声だかに決意を込めて、アメリカの覇権的提案に反対している。さて、諸君はワシントンの主人を喜ばせるために懸命の努力をしてきて久しい。もう従属のくびきから解き放たれるときだ。
フランスではこの1月12,13日の週末に、イエロー・ベストが、独裁者マクロンに対して9回目の抗議行動に入った。彼の緊縮政策と、少なからず彼の労働者階級に対する卑劣な傲慢さに対して立ち上がっている。最近のマクロンの公式声明は卑劣な傲慢さを証明している。(仏語より翻訳)
「あまりにも多くのフランス人は、この国が陥っている苦悩を弁明しようとする"努力"を少しもわかっていない。」
イエロー・ベストとフランス人の大多数は、マクロンの退陣しか求めていないのだ。抗議する人々は一貫してフランス内務大臣クリストフ・キャスタネによって過小評価されている。先週末の公式人数は国内5万人のデモであったが、実際の数字は少なくともその3倍はあった。フランスの公式発表はイエロー・ベスト運動は減少していると、フランスの内外で考えられているという。そうではない。逆に彼らはフランス全土でデモを展開している。マクロン体制の暴力的制圧にもかかわらず。
RTの報道では、マクロンの命令で攻撃はさらに暴力的になり、フランス市民の抗議行動を押さえるために軍に鎮圧させている。何千人もが拘束され、何百人もが警官の暴力によって負傷した。それにもかかわらず、運動は大きな民衆の支援を得て、「イエロー・ベスト」の考えはヨーロッパ中に広まっている。この広がりは、もちろん主流メディアではほとんど報道されることはない。
実際、フランス人の80%がイエロー・ベストと彼らの「市民イニシアティブ国民投票」の考えを支持している。その国民投票で、市民は一般大衆の投票によって市民が自らの法律を提案することができるようになっている。RIC(市民イニシアティブ国民投票)は、実質的にフランス議会を回避し、フランス憲法にも書かれるだろう。同様の法律は、1848年以来、スイスでも存在し、スイス市民によって定期的に運用されている。それは直接民主主義の方法で、自分たちを民主主義と呼ぶどの国も、憲法に組み入れなければならない。
イギリスは、混乱状態だ。緊縮財政に反対する人民集会によって組織された何千人かが、ロンドンの通りに出て話している。そして衰えた保守政権を置き換えるため総選挙を要求している。彼らはフランスのジレ・ジョーヌ(イエロー・ベスト)に連帯して闘っている。イギリスの多くの抗議運動もよく目につくイエロー・ベストを着用している。
これは、これまで長く続いき、益々大きくなる「ブレグジット」の大失敗と直接関係している。つまりイエスかノーか、そしてどうやってという点で。この時点で、イギリスの将来がどうなるか誰にもわからない。プロパガンダと反プロパガンダは、人々をさらに混乱させる運命にあり、混乱した人々はたいてい「現状」にしがみつきたくなる。ある欧州議会メンバーによって組織された親「残留」プロパガンダの動きさえある。想像してみよう!主権について話そう。ブリュッセルが、ブリュッセルの命令下で残留したいかどうか、イギリス人に決定させることができないとするなら。
ああ、イギリス人は大きく別れている。しかしまた、外国のプロパガンダによって揺り動かされた段階は過ぎた。イギリス人の大多数が、2016年6月に、とりわけEU離脱の微妙な問題において明確に決定した。テレサ・メイはブレグジット過程を見事に台無しにした。多くのイギリス人は、彼女が交渉したことは、「交渉なしの離脱」よりもさらに悪いものであると感じている。このことは多分、選挙で選ばれていないEU「指導層」の黙認のもとで起こった。EU指導層は、イギリスに離脱して欲しくないし、ワシントンの厳しい注文のもとで、イギリスにEUにおける重要なアメリカの防波堤の役割を必要としているのだ。
2019年1月15日、イギリス議会は、交渉されたブレグジット状態を受け入れるか、それとも「交渉なしの」ブレグジットを選ぶのか、もしくは「リスボン条約」第5条の下でのさらなる交渉の拡大を要求するのかに関して投票するだろう。(リスボン条約は、公的な投票なしで28カ国国家元首によって導入されたが、それはEU憲法に反する導入である。)他の選択肢は、総選挙であり、そこで新しい指導者を決める。又は法律的に2年後に可能な2回目の国民投票をすることである。後者の場合、厳しい社会不安を引き起こしがちである。すでに、イギリスでしばしば見られたように残虐な警察の圧力によってである。そのような場合、ただ内乱が回避されることを望む。
何週間もわたって、イエロー・ベスト運動はベルギーやオランダに広がった。同様の理由で、緊縮財政、つまりベルギーやオランダの主権に対するEUの独裁に対して大衆の不満があるのだ。先週の土曜日、ベルギーのイエロー・ベスト運動の一人が、トラックにひかれ、殺された。当局はそれを事故として報告した。
ギリシャの場合、主流メディアの報道は、すべて「うすのろ(?)」だ。ギリシャは回復していて、ここ何年かで始めてプラス成長をして、解放された資本市場にも再投資できるようになっていると報じている。ギリシャはもはや、腹立ち紛れの悪名高いトロイカ(欧州銀行、EC委員会、IMF)に依存していないと。しかし現実は全く違っていて、ギリシャ人のほぼ3分の2は、未だ生存レベルかそれ以下の状態をさまよっている。公的健康保険には加入できず、治療も受けられず、公立学校にも行けない。何度も年金を引き下げられ、ほとんどの公共資産や公共サービスはわずかな資金で民営化された。ここ何年か、基本的に何も変わっておらず、少なくとも大多数の人々にとっては良くなっていない。トロイカは国際的にはギリシャのイメージを偽って高めるために、ギリシャの民間資本市場を開放させていて、そして洗脳された民衆に向かっては「うまくいっている、我々トロイカはよくやった」と言うのだ。
何もうまくいっていない。人々は不幸だ。不幸以下だ。彼らは怒っている。彼らはアンゲラ・メルケルの最近のアテネ訪問に対して抗議デモをした。そしてその抗議運動は警官隊によって暴力的に制圧された。これでどんなことが期待できるのか。これがヨーロッパの現状だ。意気地のない属国のかなり抑圧された状態なのだ。
1月16日水曜日、ギリシャ議会はアレクシス・ツィプラス首相に対する信任投票をするかもしれない。公式の表面的理由は、マケドニアの名称に関する論争と考えられるが、その問題は実際、ずっと以前に解決している。真の理由は、果てしない緊縮財政により長期にわたって疲弊しきった大衆の不満である。緊縮財政は、貧困層から最後の1ペニーさえ吸い取るのだ。有名なイギリスの健康ジャーナル「ランセット」によれば、ギリシャの自殺率は急上昇している。だれもそれについて語らない。ツィプラスは、信任投票で生き残れるのか。もし生き残れなかったら、早期に選挙があるのか。ツィプラスの後をだれが引き継ぐのか。「民主主義」という言葉にだまされてはいけない。ギリシャ内外のエリート層は、いかなる政策変更も許さない。その時、人民のジレ・ジョーヌ(イエロー・ベスト)が起こるかもしれない。国内不安。もうたくさんだ。
イタリアでは、五つ星運動と少数派右翼の兄弟レガ・ノルテ(北部同盟)の連立は、レガ(同盟)のマッテオ・サルビニ副首相兼国務大臣によって極右に引っ張られている。サルビニ氏が明らかに取り仕切っている。そして同盟は、ブリュッセルに強く反対しているので、ブリュッセルがイタリア予算にルール違反の罪を課そうと試みている。しかし、その同じルールが、全てのEUメンバー諸国には等しく適用されていない。例えば、マクロンはフランスのロスチャイルドの代理人だが、予算制限に関しては、特権を持っている。サルビニの反ブリュッセル、反EUスタンスは秘密ではない。彼は多くのイタリア人の支援がある。イタリアのイエロー・ベスト運動は無視できない。
帝国の属国城は崩れかかっている。それも静かにでさえなく。
それから、旧ソ連衛星国ハンガリーとポーランドが右翼政権に変わった。彼らは、ハンガリーの反移民政策や、ポーランドにおける司法制度整備に関する議論にブリュッセルの介入をありがたく思わない。この国の行動に賛成しようがしまいが、放っておいてくれ。両者のケースは明らかにこれらの国の主権への干渉である。ヨーロッパ司法の強い警告にもかかわらずポーランドは実際、司法改革過程で首になった判事を黙認し、復帰させた。ポーランドのNATOびいきとブリュッセルのNATOの影響力の行使は、ポーランドの決定を逆転させるかもしれない。それにもかかわらず、ハンガリーと同様、ポーランドの一般大衆の不満は強いままである。移民や司法は単なる表面上の口実である。途方もない氷山の一角である。現実はもっともっと深いレベルの問題である。これらの国々はどちらもかつてソ連によって手錠をかけられていたことを思い出させる。「自由」はブリュッセルによって、命令されるものではない。
*
私達が留意しなければならないことは、大中東や西欧世界として知られているものの組織的・意図的な不安定化と破壊の三つの局面である。洗脳された西洋人にとっては、東方、つまりロシアや中国は、同時に厳かに渡り合う挑戦者となっている。いやむしろ、ロシアや中国の軍事力や情報能力について知っている人々にとっては、じっと我慢しながら渡り合う相手である。
破壊を伴った不安定化工作が、三つの局面からなる。まず、中東から始まり、ほとんどの場合、欧米同盟国による無差別殺害によって絶望的なこの世の地獄になる。つまり、帝国の操り人形や外国人傭兵によって、何百万人が殺され、ヨーロッパを不安定化する難民の止めどない洪水となった。それが2番目の局面である。それは真っ最中である。それは私達のすぐ目の前で起きているが、私達はそれがわからない。
それはイエロー・ベストであり、緊縮財政であり、不平等の増加であり、失業であり、公共部門が金融制度のよってゼロにまで搾り取られることである。そして、警官や軍隊によって大衆運動が抑圧されることである。それは人民の惨めな無気力さを反映している。それは街頭での「もうたくさんだ」に通じている。それは全ては必要とされていたことだ。カオスが多ければ多いほどいいのだ。カオスの中の人民は容易にコントロールできるのだ。
ここで第3の局面に移る。ラテンアメリカである。それは既に3・4年前に始まっている。「民主主義」という帝国の毒牙から逃れるため、何十年も苦闘してきた国々が、帝国の裏庭で偽選挙や議会「内」クーデターによって鎮圧されてきた。南端のアルゼンチン、チリ、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイはボリビアを除いてやられてしまった。ベルー、コロンビア、エクアドル、遙か遠くのガイアナまでネオリベラリズム、つまりネオ・ナチに隠れたワシントンの支配者に牛耳られている。しかし、ベネズエラ、キューバ、ニカラグア、そして今はメキシコもまだ屈服していない。そしてこれからも屈服しないだろう。
ティエリー・メイサンは『カリブ海の来たるべき悲惨な破壊』で素晴らしい分析を書いている。ペンタゴンは、ラムズフェルド、セブロスキーの計画遂行を未だにどれほど追求しているのかを見てみよう。今度は「カリブ海諸国」の破壊を狙っている。友人とか政治的敵など考慮していないと、ティエリー・メイサンは見ている。彼は続けて予測する。経済的不安化期間かと軍事的準備期間の後、実際の作戦が、今後始まるだろう。まずベネズエラ攻撃が、ブラジル(イスラエルが支援)、コロンビア(アメリカの同盟国)、そしてガイアナ(言い換えればイギリス)によって行われる。その次にキューバやニカラグアが狙われるだろう。ジョン・ボルトンによればそれらが「暴政のトロイカ」だそうだ。
言えることは、将来この計画がどの程度実行されるかだ。最初からその野望は、崩れゆく帝国の実際の能力を超えている。
*
一つの共通分母となるものを考えると、現在の欧米金融制度が廃されねばならない問題なのである。凶暴な民間銀行である。私達は、野蛮で大破壊を引き起こし、制御不能の金融制度の中に生きている。一連の果てしない貪欲は、どんどん突き進み、堅い鋼鉄の壁にいつぶつかるかもしれない。いつかはぶつかる。それは単に時間の問題だ。詐欺的ピラミッド・システムによって限りなく絞りとられるのにうんざりして、辟易している。それはアメリカとドル支配体制によって打ち立てられている。そしてグローバル化した民間巨大銀行によって維持されている。
私達は、経済発展とは何の関係もない民間銀行システムに生きている。しかし、民間銀行システムは、我々消費者を貪欲に支配して、あらゆるものが私達がコントロールできない借金やお金の形で売られている。私達が重労働によって稼いだお金にもかかわらず。それは私達が経済と呼ぶものに付加価値を加えた事実にもかかわらず。いや、このシステムは完全に個人を尊重しない。それは銀行システムを生きながらえさせる必要があるとき、私達のお金を盗もうとさえする。それは「運用」し、基本的に横領する自由さえある。私達のお金が民間銀行に入ったら、私達はそれを管理できなくなる。そして、いいですか、よく考えてください。民間銀行はあなたや私のためにではなく、株主のためにあるのだ。しかし何百年もの教化を通して、私達はそれに慣らされていて、私達自身のお金を借りるために利息を求められ、何もしないで利益を待つに過ぎない媒介者を通してだ。それが、「当たり前」になったのだ。
それではいけない。このシステムは廃止されなければならない。早ければ早いほどよい。民間銀行は根絶され、地域の公共銀行に置き換えられる必要がある。その地域公共銀行は、地域経済の生産力に基づいた地域通貨で運転される。資源の窃盗を助け、地域社会のセーフティ・ネットを空洞化させるグローバル化概念を取り除き、進歩のための緊縮財政という外観の全てを取り除くのだ。もう私達は、もっとよく知るべきだ。進歩のための緊縮財政はない。あったことも一度もない。この詐欺的IMF-世銀概念は一度も、どこでも機能したことがない。
私達は私達のお金を脱ドル化しなければならない。私達のお金を脱デジタル化しなければならない。そして人々の成長の目的のために公共銀行システムを通じて共同出資しなければならない。現在一つの良い例がある。ノースダコタ銀行[訳注]だ。ノースダコタ銀行は、2008年とそれに続く危機を通して米ノースダコタ州を助けた。経済不況のかわりに経済成長をもたらした。アメリカの他の地域や西欧世界の失業が急上昇したのに対して、ほとんど完全雇用を成し遂げたのだ。私達は、自立した経済を背景に、自立したお金で共通の富を築く必要がある。
帝国とその属国がひどく崩壊しているので、彼らはその基礎からぐらついている。私達が当然で、「正常だ」と思ってきたこと再考すべき時だ。つまり詐欺的ペテンの通貨制度を、何の裏付けもない、経済でもない、金でさえない通貨制度を再考すべき時だ。私達は、全く名目法の紙幣で生活している。民間銀行によるマウス・クリックで作られた名目紙幣だ。そしてそれが我々を負債の奴隷とさせる。
もうたくさんだ。イエロー・ベストは理解した。彼らは詐欺を増殖させ続けるだけの「マクロン」を排除したいのだ。崩壊がだんだん大きくなっているとき、考え直し、再出発するときだ。帝国のヨーロッパ属国は、ばらばらになり、ワシントンや覇権戦争やお金製造機を奈落に落とそう。
*
この記事は元々New Eastern Outlookで発表されたもの。
ピーター・ケーニッヒはエコノミストで地政学アナリストである。彼はまた水資源や環境問題の専門家である。彼は30年以上世銀や世界保健機構(WHO)で環境や水資源分野に関して世界中で働いてきた。彼はアメリカやヨーロッパや南アメリカの大学で講義している。彼はグローバル・リサーチの常連寄稿者である。ICH, RT, Sputnik, PressTV, The 21stCentury, TeleSUR, The Vineyard of The Saker Blog, the New eastern Outlook(NEO), その他インターネットサイトにも寄稿している。彼は『内破:戦争、環境破壊、企業の貪欲に関する経済スリラー:世界の世銀30年の経験と事実に基づいたフィクション』の著者である。彼はまた『世界秩序と革命---抵抗者からのエッセー』の共著者である。彼は「グローバリゼーション研究センター」の研究員である。
[訳注:ノースダコタ銀行は下記のサイトを参照]
ROCKWAY EXPRESS
http://rockway.blog.shinobi.jp/%E7%B5%8C%E6%B8%88/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%80%E3%82%B3%E3%82%BF%E5%B7%9E%E3%81%AE%E5%B7%9E%E6%9C%89%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%81%AE%E6%88%90%E5%8A%9F%E4%BE%8B
るいネット
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=238679
ピーター・ケーニッヒ
グローバル・リサーチ 2019年1月17日
(翻訳:新見明 2019年2月21日)
<記事原文>https://www.globalresearch.ca/europe-brink-collapse/5665679

帝国のヨーロッパ属国城は、崩れかかっている。我々のすぐ目の前で。しかしだれもそれを見ようとしない。EUは隷属国家の複合企業体だ。トランプはEUを時代遅れだと批判する。トランプは属国が自分をどう思おうと気にかけていない。彼らが崩壊するのは当然だ。彼らEU属国は、28カ国グループからなり、人口は5億人である。推定19兆ドル相当の連合経済で、アメリカとほぼ同程度の経済規模だ。しかし重要な局面では、ほとんどワシントンの命令に従ってきた。
EUはワシントンの命令で、28カ国のEUメンバーに何の危害も加えていないロシアやベネズエラやイラン、そして無数の国々に制裁を加える命令を受け入れてきた。EUは屈辱的なNATOの軍事負担を受け入れてきた。そしてモスクワや北京に向けて高度な軍事基地を作り、ロシアと中国を脅してきた。ブリュッセルの外交政策は、基本的にNATOに引っ張られているのだ。
最初から明らかなことだが、ワシントンの気まぐれなルールに従わないロシアやその他の国々に課されてきたアメリカの制裁は、直接に、又はEUを介してなされるが、ロシア以上にEUに経済的打撃を与えてきた。これは特にいくつかの南ヨーロッパ諸国に当てはまる。南ヨーロッパ諸国の経済は、他のEU諸国よりも、ロシアやユーラシアの貿易に依存してきたのだ。
「制裁」の被害は、実に面倒なことになった。トランプが一方的に(イランとの)「核合意」破棄を決定し、イランとともに、イランと取引する者はだれでも、厳しい制裁を再び課す決定をしたのだ。ヨーロッパの石油・ガス大企業は大損害を被り始めた。その時、ドイツ主導のブリュッセルが、アメリカに従えないと、ブツブツ文句を言い始めた。さらに彼らはヨーロッパ企業を、主に石油・ガス大企業を支援し、彼らがイランと行ってきた契約を続けるとさえ言い始めた。
しかしそれは遅すぎた。ヨーロッパ企業は、ブリュッセルのEU政府の弱々しく、信頼の置けない言葉に自信を失っていた。多くの企業は長期契約を破棄し、そして核合意のあと更新したイランとの契約を破棄した。ワシントンによる処罰を恐れブリュッセルの保護を期待できないためだ。問題は英仏石油大企業トタルで、供給先をイランから、もちろんワシントンが意図したアメリカにではなく、ロシアに変えたが、すでに手遅れだった。属国はゆっくりと自殺の道を歩んでいる。
人々はもううんざりしている。ヨーロッパ人の半分以上が、ブリュッセルの毒牙から抜け出たいと思っている。しかしだれも彼らに要求しない。だれも彼らの言うことをきこうともしない。そして、それが「民主主義」(原文のまま)の中心地なのだ。だから人々は、反乱を起こしていて、至る所で抗議しているのだ。様々な形で抗議行動が起こった。ドイツでも、フランス、イギリス、ベルギー、オランダ、イタリア、ハンガリー、ポーランドでもだ。リストを上げれば切りがない。そしてそれを総称して、新しいフランス革命にちなんで「イエロー・ベスト」と呼ばれているのだ。
一連のアメリカのドイツやドイツ企業への攻撃(ドイツ企業総体への攻撃)の最近のものは、、もし彼らがノルド・ストリーム2を運用するなら、ドイツ企業に制裁を課すというアメリカ大使リチャード・グレネルの最近の脅しである。ノルド・ストリーム2は1,200kmのパイプラインで、ロシアのガスをヨーロッパに運び、2019年末までに完成予定である。それは実質的に、ロシアのヨーロッパへのガス供給能力を2倍にするものだ。それに対してワシントンは、ヨーロッパに、アメリカのシェールガス・石油を買うように求めている。そして特にヨーロッパを、経済的にかつ財政的にアメリカの勢力圏に保つことを狙っている。それはワシントンからの離脱をどうしても避け、明白に、かつ論理的にロシアとの同盟を回避するためだ。この試みは、ひどい失敗に終わるだろう。様々なドイツの大臣が(ハイコ・マース外務大臣を含め)、声だかに決意を込めて、アメリカの覇権的提案に反対している。さて、諸君はワシントンの主人を喜ばせるために懸命の努力をしてきて久しい。もう従属のくびきから解き放たれるときだ。
フランスではこの1月12,13日の週末に、イエロー・ベストが、独裁者マクロンに対して9回目の抗議行動に入った。彼の緊縮政策と、少なからず彼の労働者階級に対する卑劣な傲慢さに対して立ち上がっている。最近のマクロンの公式声明は卑劣な傲慢さを証明している。(仏語より翻訳)
「あまりにも多くのフランス人は、この国が陥っている苦悩を弁明しようとする"努力"を少しもわかっていない。」
イエロー・ベストとフランス人の大多数は、マクロンの退陣しか求めていないのだ。抗議する人々は一貫してフランス内務大臣クリストフ・キャスタネによって過小評価されている。先週末の公式人数は国内5万人のデモであったが、実際の数字は少なくともその3倍はあった。フランスの公式発表はイエロー・ベスト運動は減少していると、フランスの内外で考えられているという。そうではない。逆に彼らはフランス全土でデモを展開している。マクロン体制の暴力的制圧にもかかわらず。
RTの報道では、マクロンの命令で攻撃はさらに暴力的になり、フランス市民の抗議行動を押さえるために軍に鎮圧させている。何千人もが拘束され、何百人もが警官の暴力によって負傷した。それにもかかわらず、運動は大きな民衆の支援を得て、「イエロー・ベスト」の考えはヨーロッパ中に広まっている。この広がりは、もちろん主流メディアではほとんど報道されることはない。
実際、フランス人の80%がイエロー・ベストと彼らの「市民イニシアティブ国民投票」の考えを支持している。その国民投票で、市民は一般大衆の投票によって市民が自らの法律を提案することができるようになっている。RIC(市民イニシアティブ国民投票)は、実質的にフランス議会を回避し、フランス憲法にも書かれるだろう。同様の法律は、1848年以来、スイスでも存在し、スイス市民によって定期的に運用されている。それは直接民主主義の方法で、自分たちを民主主義と呼ぶどの国も、憲法に組み入れなければならない。
イギリスは、混乱状態だ。緊縮財政に反対する人民集会によって組織された何千人かが、ロンドンの通りに出て話している。そして衰えた保守政権を置き換えるため総選挙を要求している。彼らはフランスのジレ・ジョーヌ(イエロー・ベスト)に連帯して闘っている。イギリスの多くの抗議運動もよく目につくイエロー・ベストを着用している。
これは、これまで長く続いき、益々大きくなる「ブレグジット」の大失敗と直接関係している。つまりイエスかノーか、そしてどうやってという点で。この時点で、イギリスの将来がどうなるか誰にもわからない。プロパガンダと反プロパガンダは、人々をさらに混乱させる運命にあり、混乱した人々はたいてい「現状」にしがみつきたくなる。ある欧州議会メンバーによって組織された親「残留」プロパガンダの動きさえある。想像してみよう!主権について話そう。ブリュッセルが、ブリュッセルの命令下で残留したいかどうか、イギリス人に決定させることができないとするなら。
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ああ、イギリス人は大きく別れている。しかしまた、外国のプロパガンダによって揺り動かされた段階は過ぎた。イギリス人の大多数が、2016年6月に、とりわけEU離脱の微妙な問題において明確に決定した。テレサ・メイはブレグジット過程を見事に台無しにした。多くのイギリス人は、彼女が交渉したことは、「交渉なしの離脱」よりもさらに悪いものであると感じている。このことは多分、選挙で選ばれていないEU「指導層」の黙認のもとで起こった。EU指導層は、イギリスに離脱して欲しくないし、ワシントンの厳しい注文のもとで、イギリスにEUにおける重要なアメリカの防波堤の役割を必要としているのだ。
2019年1月15日、イギリス議会は、交渉されたブレグジット状態を受け入れるか、それとも「交渉なしの」ブレグジットを選ぶのか、もしくは「リスボン条約」第5条の下でのさらなる交渉の拡大を要求するのかに関して投票するだろう。(リスボン条約は、公的な投票なしで28カ国国家元首によって導入されたが、それはEU憲法に反する導入である。)他の選択肢は、総選挙であり、そこで新しい指導者を決める。又は法律的に2年後に可能な2回目の国民投票をすることである。後者の場合、厳しい社会不安を引き起こしがちである。すでに、イギリスでしばしば見られたように残虐な警察の圧力によってである。そのような場合、ただ内乱が回避されることを望む。
何週間もわたって、イエロー・ベスト運動はベルギーやオランダに広がった。同様の理由で、緊縮財政、つまりベルギーやオランダの主権に対するEUの独裁に対して大衆の不満があるのだ。先週の土曜日、ベルギーのイエロー・ベスト運動の一人が、トラックにひかれ、殺された。当局はそれを事故として報告した。
ギリシャの場合、主流メディアの報道は、すべて「うすのろ(?)」だ。ギリシャは回復していて、ここ何年かで始めてプラス成長をして、解放された資本市場にも再投資できるようになっていると報じている。ギリシャはもはや、腹立ち紛れの悪名高いトロイカ(欧州銀行、EC委員会、IMF)に依存していないと。しかし現実は全く違っていて、ギリシャ人のほぼ3分の2は、未だ生存レベルかそれ以下の状態をさまよっている。公的健康保険には加入できず、治療も受けられず、公立学校にも行けない。何度も年金を引き下げられ、ほとんどの公共資産や公共サービスはわずかな資金で民営化された。ここ何年か、基本的に何も変わっておらず、少なくとも大多数の人々にとっては良くなっていない。トロイカは国際的にはギリシャのイメージを偽って高めるために、ギリシャの民間資本市場を開放させていて、そして洗脳された民衆に向かっては「うまくいっている、我々トロイカはよくやった」と言うのだ。
何もうまくいっていない。人々は不幸だ。不幸以下だ。彼らは怒っている。彼らはアンゲラ・メルケルの最近のアテネ訪問に対して抗議デモをした。そしてその抗議運動は警官隊によって暴力的に制圧された。これでどんなことが期待できるのか。これがヨーロッパの現状だ。意気地のない属国のかなり抑圧された状態なのだ。
1月16日水曜日、ギリシャ議会はアレクシス・ツィプラス首相に対する信任投票をするかもしれない。公式の表面的理由は、マケドニアの名称に関する論争と考えられるが、その問題は実際、ずっと以前に解決している。真の理由は、果てしない緊縮財政により長期にわたって疲弊しきった大衆の不満である。緊縮財政は、貧困層から最後の1ペニーさえ吸い取るのだ。有名なイギリスの健康ジャーナル「ランセット」によれば、ギリシャの自殺率は急上昇している。だれもそれについて語らない。ツィプラスは、信任投票で生き残れるのか。もし生き残れなかったら、早期に選挙があるのか。ツィプラスの後をだれが引き継ぐのか。「民主主義」という言葉にだまされてはいけない。ギリシャ内外のエリート層は、いかなる政策変更も許さない。その時、人民のジレ・ジョーヌ(イエロー・ベスト)が起こるかもしれない。国内不安。もうたくさんだ。
イタリアでは、五つ星運動と少数派右翼の兄弟レガ・ノルテ(北部同盟)の連立は、レガ(同盟)のマッテオ・サルビニ副首相兼国務大臣によって極右に引っ張られている。サルビニ氏が明らかに取り仕切っている。そして同盟は、ブリュッセルに強く反対しているので、ブリュッセルがイタリア予算にルール違反の罪を課そうと試みている。しかし、その同じルールが、全てのEUメンバー諸国には等しく適用されていない。例えば、マクロンはフランスのロスチャイルドの代理人だが、予算制限に関しては、特権を持っている。サルビニの反ブリュッセル、反EUスタンスは秘密ではない。彼は多くのイタリア人の支援がある。イタリアのイエロー・ベスト運動は無視できない。
帝国の属国城は崩れかかっている。それも静かにでさえなく。
それから、旧ソ連衛星国ハンガリーとポーランドが右翼政権に変わった。彼らは、ハンガリーの反移民政策や、ポーランドにおける司法制度整備に関する議論にブリュッセルの介入をありがたく思わない。この国の行動に賛成しようがしまいが、放っておいてくれ。両者のケースは明らかにこれらの国の主権への干渉である。ヨーロッパ司法の強い警告にもかかわらずポーランドは実際、司法改革過程で首になった判事を黙認し、復帰させた。ポーランドのNATOびいきとブリュッセルのNATOの影響力の行使は、ポーランドの決定を逆転させるかもしれない。それにもかかわらず、ハンガリーと同様、ポーランドの一般大衆の不満は強いままである。移民や司法は単なる表面上の口実である。途方もない氷山の一角である。現実はもっともっと深いレベルの問題である。これらの国々はどちらもかつてソ連によって手錠をかけられていたことを思い出させる。「自由」はブリュッセルによって、命令されるものではない。
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私達が留意しなければならないことは、大中東や西欧世界として知られているものの組織的・意図的な不安定化と破壊の三つの局面である。洗脳された西洋人にとっては、東方、つまりロシアや中国は、同時に厳かに渡り合う挑戦者となっている。いやむしろ、ロシアや中国の軍事力や情報能力について知っている人々にとっては、じっと我慢しながら渡り合う相手である。
破壊を伴った不安定化工作が、三つの局面からなる。まず、中東から始まり、ほとんどの場合、欧米同盟国による無差別殺害によって絶望的なこの世の地獄になる。つまり、帝国の操り人形や外国人傭兵によって、何百万人が殺され、ヨーロッパを不安定化する難民の止めどない洪水となった。それが2番目の局面である。それは真っ最中である。それは私達のすぐ目の前で起きているが、私達はそれがわからない。
それはイエロー・ベストであり、緊縮財政であり、不平等の増加であり、失業であり、公共部門が金融制度のよってゼロにまで搾り取られることである。そして、警官や軍隊によって大衆運動が抑圧されることである。それは人民の惨めな無気力さを反映している。それは街頭での「もうたくさんだ」に通じている。それは全ては必要とされていたことだ。カオスが多ければ多いほどいいのだ。カオスの中の人民は容易にコントロールできるのだ。
ここで第3の局面に移る。ラテンアメリカである。それは既に3・4年前に始まっている。「民主主義」という帝国の毒牙から逃れるため、何十年も苦闘してきた国々が、帝国の裏庭で偽選挙や議会「内」クーデターによって鎮圧されてきた。南端のアルゼンチン、チリ、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイはボリビアを除いてやられてしまった。ベルー、コロンビア、エクアドル、遙か遠くのガイアナまでネオリベラリズム、つまりネオ・ナチに隠れたワシントンの支配者に牛耳られている。しかし、ベネズエラ、キューバ、ニカラグア、そして今はメキシコもまだ屈服していない。そしてこれからも屈服しないだろう。
ティエリー・メイサンは『カリブ海の来たるべき悲惨な破壊』で素晴らしい分析を書いている。ペンタゴンは、ラムズフェルド、セブロスキーの計画遂行を未だにどれほど追求しているのかを見てみよう。今度は「カリブ海諸国」の破壊を狙っている。友人とか政治的敵など考慮していないと、ティエリー・メイサンは見ている。彼は続けて予測する。経済的不安化期間かと軍事的準備期間の後、実際の作戦が、今後始まるだろう。まずベネズエラ攻撃が、ブラジル(イスラエルが支援)、コロンビア(アメリカの同盟国)、そしてガイアナ(言い換えればイギリス)によって行われる。その次にキューバやニカラグアが狙われるだろう。ジョン・ボルトンによればそれらが「暴政のトロイカ」だそうだ。
言えることは、将来この計画がどの程度実行されるかだ。最初からその野望は、崩れゆく帝国の実際の能力を超えている。
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一つの共通分母となるものを考えると、現在の欧米金融制度が廃されねばならない問題なのである。凶暴な民間銀行である。私達は、野蛮で大破壊を引き起こし、制御不能の金融制度の中に生きている。一連の果てしない貪欲は、どんどん突き進み、堅い鋼鉄の壁にいつぶつかるかもしれない。いつかはぶつかる。それは単に時間の問題だ。詐欺的ピラミッド・システムによって限りなく絞りとられるのにうんざりして、辟易している。それはアメリカとドル支配体制によって打ち立てられている。そしてグローバル化した民間巨大銀行によって維持されている。
私達は、経済発展とは何の関係もない民間銀行システムに生きている。しかし、民間銀行システムは、我々消費者を貪欲に支配して、あらゆるものが私達がコントロールできない借金やお金の形で売られている。私達が重労働によって稼いだお金にもかかわらず。それは私達が経済と呼ぶものに付加価値を加えた事実にもかかわらず。いや、このシステムは完全に個人を尊重しない。それは銀行システムを生きながらえさせる必要があるとき、私達のお金を盗もうとさえする。それは「運用」し、基本的に横領する自由さえある。私達のお金が民間銀行に入ったら、私達はそれを管理できなくなる。そして、いいですか、よく考えてください。民間銀行はあなたや私のためにではなく、株主のためにあるのだ。しかし何百年もの教化を通して、私達はそれに慣らされていて、私達自身のお金を借りるために利息を求められ、何もしないで利益を待つに過ぎない媒介者を通してだ。それが、「当たり前」になったのだ。
それではいけない。このシステムは廃止されなければならない。早ければ早いほどよい。民間銀行は根絶され、地域の公共銀行に置き換えられる必要がある。その地域公共銀行は、地域経済の生産力に基づいた地域通貨で運転される。資源の窃盗を助け、地域社会のセーフティ・ネットを空洞化させるグローバル化概念を取り除き、進歩のための緊縮財政という外観の全てを取り除くのだ。もう私達は、もっとよく知るべきだ。進歩のための緊縮財政はない。あったことも一度もない。この詐欺的IMF-世銀概念は一度も、どこでも機能したことがない。
私達は私達のお金を脱ドル化しなければならない。私達のお金を脱デジタル化しなければならない。そして人々の成長の目的のために公共銀行システムを通じて共同出資しなければならない。現在一つの良い例がある。ノースダコタ銀行[訳注]だ。ノースダコタ銀行は、2008年とそれに続く危機を通して米ノースダコタ州を助けた。経済不況のかわりに経済成長をもたらした。アメリカの他の地域や西欧世界の失業が急上昇したのに対して、ほとんど完全雇用を成し遂げたのだ。私達は、自立した経済を背景に、自立したお金で共通の富を築く必要がある。
帝国とその属国がひどく崩壊しているので、彼らはその基礎からぐらついている。私達が当然で、「正常だ」と思ってきたこと再考すべき時だ。つまり詐欺的ペテンの通貨制度を、何の裏付けもない、経済でもない、金でさえない通貨制度を再考すべき時だ。私達は、全く名目法の紙幣で生活している。民間銀行によるマウス・クリックで作られた名目紙幣だ。そしてそれが我々を負債の奴隷とさせる。
もうたくさんだ。イエロー・ベストは理解した。彼らは詐欺を増殖させ続けるだけの「マクロン」を排除したいのだ。崩壊がだんだん大きくなっているとき、考え直し、再出発するときだ。帝国のヨーロッパ属国は、ばらばらになり、ワシントンや覇権戦争やお金製造機を奈落に落とそう。
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この記事は元々New Eastern Outlookで発表されたもの。
ピーター・ケーニッヒはエコノミストで地政学アナリストである。彼はまた水資源や環境問題の専門家である。彼は30年以上世銀や世界保健機構(WHO)で環境や水資源分野に関して世界中で働いてきた。彼はアメリカやヨーロッパや南アメリカの大学で講義している。彼はグローバル・リサーチの常連寄稿者である。ICH, RT, Sputnik, PressTV, The 21stCentury, TeleSUR, The Vineyard of The Saker Blog, the New eastern Outlook(NEO), その他インターネットサイトにも寄稿している。彼は『内破:戦争、環境破壊、企業の貪欲に関する経済スリラー:世界の世銀30年の経験と事実に基づいたフィクション』の著者である。彼はまた『世界秩序と革命---抵抗者からのエッセー』の共著者である。彼は「グローバリゼーション研究センター」の研究員である。
[訳注:ノースダコタ銀行は下記のサイトを参照]
ROCKWAY EXPRESS
http://rockway.blog.shinobi.jp/%E7%B5%8C%E6%B8%88/%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%80%E3%82%B3%E3%82%BF%E5%B7%9E%E3%81%AE%E5%B7%9E%E6%9C%89%E9%8A%80%E8%A1%8C%E3%81%AE%E6%88%90%E5%8A%9F%E4%BE%8B
るいネット
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=238679
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