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マニフェスト・デスティニー(天命)の成就―中国とロシアは成功する、米国が失敗したところで


<記事原文 寺島先生推薦>
Manifest Destiny Done Right. China and Russia Succeed Where the U.S. Failed

マシュー・エレット(Matthew Ehret)

2022年1月22日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年5月22日

欧亜(ユーラシア)諸国がどんな犯罪を犯したから米国とNATOの軍産複合体の標的になるのか

 「未来を予測する最良の方法は、未来を作り出すことである」
――エイブラハム・リンカーン

 世界は新しい冷戦に吸い込まれつつある。旧来の鉄のカーテン、反共のレトリック、さらには西側一極支配の戦争タカ派による核の軍刀の振り回しがある。第一次冷戦とは異なり、この新しい冷戦は、ロシアと中国、そしてイランが、「一帯一路」構想に参加しつつある国々とともに緊密に連携しているのが特徴である。

 中国、ロシア、イランなど、これらの欧亜(ユーラシア)諸国はどんな犯罪を犯したから、米国とNATOの軍産複合体の標的になるのか。



 それは、科学技術官僚(テクノクラート)による独裁・一極支配に服従しないことを選択したことである。 

 少し前のボリス・エリツィンや趙紫陽が、縮小する地政学の檻の中に閉じ込められるという陰鬱(いんうつ)な運命を、幸福感に満ちて受け入れたようにではなく、今日の欧亜の知識人たちは、文明を脅かす多面的危機の唯一の解決策が未来にあることを認識したのである。これは平凡な言い回しに聞こえるかもしれないが、地政学的な観点から言えば、未来は創造性の生きる場所である。

 資源が独占され、人類の基本的権利に敵対する社会病質的な選良(エリート)によって支配体制が形成されているとき、闘いを成功させるための唯一の抵抗の道は、不正なゲームのルールを変更し、新しい資源を創造することである。これは、1)新しい発見をする機会を増やすことで実現される。そしてその発見が2)新しい資源を生み出し、3)新しく発見された原理を新しい技術改良に変換し、4)人類の(知的、精神的、肉体的)生産力を増大させるのである。もし、1~4のステップが現在は存在しないとしたら、それらはどこにあるのだろうか?

 もう一度言う。「未来」である。

 未来の肯定的な理想が目的を達成する上で(1)、社会を前進させるという概念は、かつて西洋文明の大部分を支配していた強力な概念であった。人間は創造主の生きた姿に似せて作られ、絶え間ない創造のプロセスに参加することができるという考え方は、科学の進歩、自由、主権、生活の質の向上、人口増加において、これまでにない大きな飛躍を促す力強い概念であった。初期の米国では、この概念は「マニフェスト・デスティニー(天命)」として知られるようになった。......神がもっている計画とは、最高の文明を拡大し、進歩の果実をすべての人に与えることである。これは聖書の命令を実現するためであり、人間性を「豊かにし、広げる」、「大地を富かにし、自然を制御する」ことが期待されているのである。

 この思想から人類に多くの財が生まれたが、この思想は諸刃の剣でもあり、もし暴君や奴隷所有者や帝国主義者によって使われると大きな損害を与えるものであった。なぜなら彼らはしばしば次の事実を無視するからである。すなわち、すべての人間は創造主から譲ることのできない権利を与えられているのであり、正しい血統、宗教、言語、人種的特徴を持っていると感じる少数者だけのことではないのだ、という事実を。

 19世紀の開拓時代に流行した「天命」(マニフェスト・デスティニー)の美徳を称える絵画。


欧亜大陸の新たな「天命」の誕生

 ロシアでは、このような未来志向が、21世紀の「ロシアの天命」のような形をとっていて、シベリア極東や北極圏、さらには中央アジア、モンゴル、日本、中国などへ文明を拡大しようとしている。多くの人はしばしば、世界の出来事を「下から上へ」と視眼的に分析しようとするが、次のことは明らかである。

 2018年以降、ロシアの東部開発という大志は、中国のBRI「一帯一路」構想の北部拡張とますます合体している。それは「極地シルクロード」と名付けられ、鉄道、道路、通信基地、港湾、エネルギー計画、海の回廊の成長を拡大した。海の回廊は、人類の文明を寄せ付けないと長く考えられていた氷の地域を通るのである。

 中国は「一帯一路」構想のかたちをとった中国版「天命」の誕生を見たのである。これは2013年に発表され、変革、相互接続、相互勝利(ウィンウィン)の力を発揮し、8年前にそれの熱狂的支持者が想像したものさえこえてしまった。短期間のうちに、3兆ドル以上が140カ国が参加する大中小の社会基盤整備に費やされた(参加の度合いはさまざまである)。


 世界各地に建設された数千のBRI計画に目を向けると、高速鉄道(磁気浮上式、在来式を含む)、総合開発回廊、新しい先端都市、新しい産業拠点、パイプライン、そして、宇宙開発、原子力、核融合研究、量子コンピューターなどに関連する先端科学の構想が数多く存在することがわかる。

 これらの開発回廊は、北はロシア、中央アジア諸国を経由して伸張してきて、そのなかには「BRIの中間回廊」がある。最近では、中国からパキスタン、イラン、イラク、シリア、レバノンに至る南ルートが開花し、2022年1月12日についにシリアが署名した。また、アフリカ諸国も積極的に乗り出し、アフリカ54カ国中48カ国以上がBRIに署名している。現在、中南米18カ国、アラブ20カ国が参加している。

多様性を犠牲にしてまで合体する必要があるのか?

 中国もロシアも、未開発の資源や労働力、技術的なニーズなど大きな可能性を秘めた大国である一方、文化、宗教、言語、民族など、あらゆる分野の多様な小集団を抱え込んでいる。

 1億4600万人のロシア国民の大多数は、国土の西端5分の1に住んでおり、人口の80%がバルト海からカスピ海に広がる都市部またはその近辺に住んでいる。他方、シベリア北東部はカナダの1.3倍の広大な面積を持つのに、分散する国民が2400万人しか住んでいない。



 中国も同様の問題に直面しており、人口密度と発展部門が西側ではなく、東側の太平洋沿岸に密集している。中国の人口の94%近くはいまだに河北――騰沖(雲南省)線の東側に住んでおり、広大な内陸部には人口のわずか6%しか住んでいない。

 ロシアは193の民族を抱え、人口の20%近くを占めている。中国は漢民族が人口の91%と圧倒的に多いが、56の民族が1億1300万人存在し、その多くがチベット、新疆、内モンゴルに散らばって住んでいる。


 欧亜大陸の指導者が直面する対外膨張の課題は、次のようなものである。科学と産業の発展を、多民族・多言語の領土を越えて国内外に拡大し、その過程で何百、何千という小さな文化集団の文化遺産を破壊することなくおこなうことは、どのように可能なのか。世界史の中であまりにも頻繁におこなわれてきたように、発展は常に小さな民族の文化的多様性を犠牲にしておこなわれなければならないのか、それとも両方の要素の均衡をとる有機的な方法があるのか?

悪しき「天命」にならない方法

 皮肉なことに、最近まで「天命(マニフェスト・デスティニー)」の概念は、米国と伝統的に結びつけられてきた。しかし米国は、人口の大半が大陸の東半分に集中しているという点で、中国やロシアと人口学的な特徴を共有している。



 しかし、悲しいことに、アメリカの膨張を形づくった勢力、特に「天命」が最も影響力を持った最初の125年間は、この試練に惨敗することがあまりにも多かった。アメリカは最初の125年間で、1776年には13の後進植民地から1900年には45の工業先進州へと成長した。この間、奴隷に反対したベンジャミン・フランクリン、ジョン・ジェイ、ジョン・クインシー・アダムス、エイブラハム・リンカーン、チャールズ・サムナー、ウィリアム・スワード、ウィリアム・ギルピンの賢明な声は、あまりにしばしば英国崇拝の「ディープステート(闇の政府)」という寄生階級によって覆された。この階級は、北部のウォール街と南部の奴隷権力を牛耳っていたからだった。

 アメリカの中枢に潜むこのヒドラ(多頭の生物)は、「天命」という独自の倒錯した考えを持ち、先述の偉大な政治家たちの大志とは正反対に位置していた。

 ベンジャミン・フランクリンやアレクサンダー・ハミルトンのような奴隷制度廃止論者を率いる人物は、宗教的改宗を強要したり地元の伝統を押しつぶすことなく、知識や技術スキル、科学、技術進歩の成果を黒人や先住民に分け与えることを奨励したのに対し、北部と南部で力をもった「闇の政府(ディープステート)」は征服者のムチによってのみ力を拡大しようとしたのである。



 南部の「天命」の倒錯は、アンドリュー・ジャクソン、ジェファーソン・デイビス、アルバート・パイクが推進したものであり、黒人奴隷を増やし、黒人と先住民を「優れた」白人が踏みつけにすることを想定していた。つまり彼らを、檻のような農園や居留地に囲い込み、自分の運命に口を出すことができなくするのである。

 ジャクソンの1830年のインディアン強制移住法は、先住民の貴重な土地を空にして、それを南部の綿花栽培農家に素早く引き渡した。彼らはアフリカからの黒人奴隷の流入を急速に拡大し、自由州と奴隷州の間の緊張を高め、1861-65年の必然的な南北戦争に至ったのであった。


 しばしば忘れ去られていることは、イタリアの国家主義者マッツィーニとつながりのあるフリーメーソンの一員でもあったフランクリン・ピアース大統領(1853-1857)の下、当時の陸軍長官ジェファーソン・デイビス(後の南部連合大統領)とアルバート・パイク将軍が、奴隷州を通る大陸横断鉄道の「南部代替案」を進める責任者だったことである。

 1863年にリンカーンによって建設が開始された北部鉄道は、産業発展を広め、最終的に中国と結ぶことを目的としていたが(2)、南部鉄道は単に奴隷を主人の支配下に置くための鉄の檻として機能した。このように、南部連合の「天命」は、アフリカ大陸をイギリスの支配下に置こうとした「ケープからカイロに至る鉄道」のセシル・ローズの人種差別的構想や、アフリカからインドに至るグリーンエネルギー網を強要する今日のEU・ロンドンの「グリーンベルト構想」/OSOWOG計画」と何ら変わりはなかったのである。


 南北戦争中、英国は武器、軍艦、後方支援、カナダの情報拠点、資金を、喜んでカナダの反乱軍に提供し、その結果、リンカーンは初期に二つの前線(一つは南部、もう一つは大英帝国)で戦争をすることになるところだった(3)。

 アメリカの「天命」を正当に守る者たちは、戦争を避け、外交に頼って領土を拡大しようとしたが(1804年のルイジアナ購入、1848年のオレゴン領土、1867年のアラスカ購入など)、ウォール街とバージニアの奴隷勢力の「アメリカ」は、帝国的野心を広げるために隣人と喧嘩することを常に喜んでいた(1846-48年のメキシコ戦争や1893年のハワイ王政打倒を参照)。

 残念ながら、かつて英国の帝国主義に抵抗したアメリカの伝統は枯れ果て、今日の共和国は、抜け殻のような悲しむべき存在になってしまった。連邦政府の権力の地位から本物の愛国者を排除した。今日のアメリカは、産業基盤を空洞化させ、キリスト教的価値観や科学的進歩への信仰といった文化的つながりを破壊し、将来への展望を持たない虚無的消費者の疎外された国家となったのである。

アメリカの火の車(金融・保険・資産 VS 製造業)経済

20世紀における環境保護植民地主義の成長

 先住民を部族居留地という形でゲットー化させる人種差別的なプログラムは、何世代にもわたって先住民を社会の他の部分から隔離し、依存、貧困、薬物乱用、乳児死亡率、自殺が、全米平均より何倍も高いというサイクルに彼らを閉じ込めてしまった。

 また、このような扱いを受けている先住民は、「人間の生態系管理」という名の下で、より広範な大陸開発計画を阻止しようともくろむゲームマスター(取り仕切る人)により利用され、その計画への参加を阻害されている。 

 1960年代後半以降、先住民の集団をその地域の生態系の単なる延長として扱うことがますます流行っている。この両者(先住民集団と地域生態系)は、コンピューターモデルによって定常均衡で存在するものとされている。そのモデルは、何十年にもわたって先住民保護地区と最適な先住民増加を計算するために使われてきたものである。



 フランクリン・ルーズベルトやJFKが推進した大規模な経済成長政策が頓挫した理由を理解しようと努める者にとっては(JFKの場合は1960年代後半のベトナム戦争開始時と重なる)、この人種差別主義者による先住民保護区の利用と生態系管理は極めて重要である。

 自然保護公園や連邦政府がインフラ投資を一切禁止している広大な土地は、多くの人が信じているような温厚な自然愛好家によるものではなく、冷徹な計算による政策の結果であり、「限られた資源」という小さな管理世界に社会を閉じ込めようとする地政学的ゲームマスターによるものだったのである。


画像はイメージ。保護区(上)と国立保護区(下)。北米科学アカデミー

 リベラルな帝国主義者たちは、利己的な白人植民者によって長い間虐待されてきた先住民の窮状に「ワニの涙(ウソの涙)」を流す一方で、1970年代を通じて先住民の女性への集団不妊手術を支援し、先住民を、清潔な飲料水、持続する電力、医療、質の高い仕事すら無い状態に保つことに余念がなかった。

 アメリカ大陸横断鉄道(欧亜大陸にまで延長できる)の最も熱心な推進者の一人は、リンカーンの協力者のウィリアム・ギルピン(南北戦争中のコロラド州知事)だった。彼は、先住民保留地を「先端領域に接する刑務所の壁岩のようなもの」と鋭く指摘した。

 この新しいタイプの近代的な植民地主義の裏では、腐敗した部族指導者の金庫に資金が注入されることが多かった。彼ら部族指導者は、石油カルテルに資源を搾取させることに満足し、部族民を援助金依存と技術成長ゼロの悪循環に閉じ込めたままにしてきた。

 この観点から見ると、アフリカに適用された同様の新植民地政策の適用に、明確な並行関係を見出すことができる。

中国――尊厳ある「天命」

 西側の「ファイブ・アイズ」に管理された政治家たちが声高に非難しているにもかかわらず、BRI(一帯一路)のアフリカ提携国や自国少数民族に対する中国のアプローチは、西側支配者が何世代にもわたって展開してきた搾取と文化虐殺の悪しき伝統とまったく対照的である。
*「ファイブ・アイズ」:英国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国。スパイ衛星で通信傍受した情報を共有している。

 チベットや新疆で見られるのは、文化遺産センター、爆発的な識字率、伝統的な言語や歌、物語、踊りの賞賛と教育が政府の全面的な支援を受けていることである。

 この文化的成長の証がすべての少数民族区域に広がっていると同時に、長寿、人口密度、生活の質、貧困削減、乳児死亡率削減、高度な産業技術、清潔な水、インターネット、豊富な電力の享受などにも劇的な成長が見られる。

 宗教の面では、59の仏教寺院と253の教会は言うに及ばず、現在2万4400以上のモスクが新疆に存在する。わずか8年の間にサウジアラビアと米国が資金援助してきた中国国内のテロによる破壊にたいして、(アメリカと違って)ただひとつのアラブの国も石器時代に戻すような爆撃を、一度もしてこなかったことは、決して小さな成果ではない。

 チベットでは、高速鉄道と在来線が、貧困に長い間あえいでいた地域社会をより広い世界市場へと導き、耐久性のある技術力と訓練が若い人々の間で生き生きと育っている。




 仏教寺院も政府の全面的な支援で繁栄している。アメリカ民主主義基金NED(CIAの別働隊)が支配する中国とチベットの宣伝機関は、こうした目を見張るような中国人の生活に誰もが気づかないよう配慮してきた。

 西南アジア、アフリカ、そしてその他の地域でも、BRI関連のプロジェクトには中国企業に有利な利権が組み込まれていることは確かだが、インフラ(ハード・ソフト両面)、新しい産業拠点、教育機会が猛スピードで誕生していることは事実である。

 アフリカでは、チベットや新疆で見られたのと同じように、地元の文化的伝統が繁栄していることがわかる。もしあなたが、そんなことを見たことも聞いたこともないというのであれば、エポック・タイムスを捨てて、アフリカのローカルニュースCGTNのアフリカチャンネルを見てほしい。



 中国のアプローチは、IMF=世界銀行=USAIDのプログラムと全く対照的である。そのプログラムは貧しい国々を何十年ものあいだ不当な債務の罠の奴隷状態に置き、魚を買うためのお金は提供しても、自分たちで魚を獲ることは決して許さなかった。一方、中国は大規模な建設計画や製造拠点、そしておそらく最も重要なことだが、高度なエンジニアリング技術の発展を促してきた。

ロシアのマネタリスト(通貨主義者)の障害を克服するために

*マネタリスト:通貨供給や金利操作などの金融政策の重要性を主張する経済学者。主唱者は経済学者ミルトン=フリードマンらで、この考え方は「新貨幣数量説」とも呼ばれる。ケインズ学派とは立場を異にし、1980年代の金融政策に大きく影響を与えた。

 ロシアでは、中央銀行が民営化され、IMFの通貨政策に大きく影響されているため、プーチンの極東構想の実現は、国営銀行が長期的な成長の貴重な手段となっている中国よりもはるかに困難なものとなっている。1990年に設立されたロシアの民間中央銀行は、IMF、WTO、官僚に群がる自由主義的イデオロギーとの根強い構造的な結びつきがあり、「均衡予算」と自由市場の教義が、生産的信用の放出に優先していることに、依然として悩まされている。

 こうした障害にもかかわらず、ロシア独自の「天命」は、セルゲイ・ショイグの「シベリアの巨大開発計画」によって息を吹き返しつつあり、50万から100万の市民が住む5つの新都市の建設が始まっている。

 さらに、9300kmのシベリア横断鉄道と4300kmの南バイカル・アマル幹線鉄道の両方の近代化と複線化、モンゴル・中国さらには日本への統合の拡張・改善が計画されている。これは、モスクワから中央アジア、イランを経てインドに至る国際南北輸送回廊の拡大と連動しており、BRI(一帯一路)と極東構想のもう一つの側面として捉えられるべきである[下の地図参照]。この計画の進捗に伴い、この鉄道路線の貨物輸送量は1億2千万トン/年から2024年には1億8千万トン/年に増加すると予想されている。

 この鉄道拡張は、2019年に採択されたロシアの北方海路開発計画と密接に関連しており、2024年までに年間出荷量を8000万トンに増やそうとしている。この計画には、港や新しい北極圏の採掘拠点に加えて、40隻の新しい船舶(原子力砕氷船の増設を含む)、鉄道、北方海港の建設が含まれており、中国とヨーロッパ間の商品では10日の輸送時間が短縮されることになる。

 さらに、2022年1月15日、プーチンは、バレンツ海までの北極圏鉄道の建設案を2022年5月10日までに提出しなければならないと発表した。この鉄道はネネツ州のインディガ港まで延び、年間8000万トンから2億トンの貨物を処理できる通年型の北極港が建設される予定である。

 中国とロシアは、「氷上のシルクロード」の建設を推進するため、2019年に北極圏科学研究センターを建設することで合意し、2022年にはヤマル島に新たな国際科学研究拠点「スネジンカ(別名:雪の結晶)」の設計開始される予定である。どちらの場合も、宇宙気候学(北極は、気候変動の原動力となる星間宇宙放射の最も密度の高い侵入口)、種の進化、化学に関する純粋な科学研究が、このような新しいセンターでおこなわれる予定である。おそらく最も刺激的な研究分野は、北極圏だけでなく、月や火星といった他の天体で人間の生活を快適に維持するために必要な、新しい人工生態系の設計をテストすることであろう。両国は、今後10年以内に公開される予定の恒久的な月面基地を共同開発することで合意している。

 もし核戦争を回避することができれば、文明間の発展という刺激的な新しい章に沿った発見は、どんなコンピューターモデルでも予測することはできないが、それでもそれは起こるだろう。教育を受け、活性化され、目標に向かう人間の頭脳による創造的発見の解放は、ますます新しい技術を目覚めさせ、まだ経済的な役割を見いだせない何千もの同位体に広く利用できるようになり、原子の新しい用途が見つかるだろう。こうして元素周期表に対する人類の関係を見直すことになるだろう。このようにして、磁気浮上式鉄道、原子力推進システム、新しいエネルギー源がオンライン化され、「近い」「遠い」、「遅い」「速い」という我々の考えを劇的に変え、空間と時間そのものが凝縮されることになるのである。

 植民地時代に旧世界から新世界へ移動するのに何ヶ月もかかったことを思えば、現在の極超音速機による移動はわずか数時間であることがわかるだろう。現在、化学ロケットで火星まで300日かけて移動しているのが、原子力推進で数週間に短縮されるから、このような飛躍的な進歩が期待される。

 理想が過ぎると非難されるかもしれないが、だからどうしたというんだ?

 この過程はいま目の前にすでに展開しつつある。ほんの10年前には多くの人が不可能だと考えていた政治的、科学的現実が、すでに私たちの未来の軌道を変え始めているのだから。

 ただし、もし人類が成熟した自意識のある種へと移行することに、もういちど失敗すれば、すなわち熱核兵器が地球上に散乱する時代になるとすれば、私たちに次の機会が巡ってくる保証はどこにもない。

著者の連絡先:matthewehret.substack.com



(1)「目的論的」とは、物質世界を形成する本質的な目的または設計が存在し、人間の法に対する考えや経済的野心さえも、宇宙の構造に組み込まれたこの目的に合致する程度にのみ良いものであるという考え方を指している。

(2) 大陸横断鉄道の最も強力な擁護者の一人は上院議員のチャールズ・サムナーで、彼は1867年のアラスカ購入を弁護する決議をした(この購入により、ベーリング海峡横断を経てアメリカ大陸からユーラシア大陸へ鉄道と電信が計画されていた)。「アジアの東とアメリカの西を結ぶことは、英国の航海士メアレスが航海の記録を残したときと同様、現在も商業の願望である。もちろん、この結果を助けるものは何でも利点となる。太平洋横断鉄道は今は西に向かって走ることになるが、完成すれば、逆に東へ(アメリカ大陸へ)の新しい高速路になるからだ」。

(3) このイギリスに対する第2次戦線は、1861年、トレント事件により、ほぼ火ぶたが切って落とされた。
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