ベネズエラにおけるアメリカの体制転覆:証拠文書
US Regime Change in Venezuela: The Documented Evidence
トニー・カタルッチ
グローバル・リサーチ 2019年1月25日
(翻訳:新見 明 2019年2月7日)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/us-regime-change-venezuela-documented-evidence/5666500
ラテンアメリカ国家ベネズエラは、アメリカとその同盟国によって危険な不安定化工作に直面している。彼らは反対派ホアン・グアイドを「大統領」と認め、現在のベネズエラ大統領ニコラス・マドゥーロをもはや認めないと宣言した。

それに対してマドゥーロ大統領は、アメリカ外交要員に国外退去するよう求めた。
抗議側と反抗議側双方が街頭行動を行い、心理的政治的主導権を握ろうとしていると報じられた。
なぜベネズエラなのか
アメリカ国務長官マイク・ポンペオによれば、ワシントンが突然ベネズエラに関心を抱くのは、ベネズエラ人民の苦しみのためであるという。
「ポンペオはベネズエラのマドゥーロに退陣を迫り、軍隊の支援を促す」というロイターの記事で次のように主張している。
声明でポンペオは「ワシントンは、野党指導者ホアン・グアイドを支援する。彼は
臨時政府を樹立し、選挙を準備している」と述べた。
「ベネズエラの人々は、ニコラス・マドゥーロの悲惨な独裁政治の下で長く苦し
んできた。」我々はマドゥーロに退陣を求め、ベネズエラ人民の意思を反映
する正当な指導者をもとめる」とポンペオは述べた。
実のところ、ワシントンの介入の動機は、石油輸出国機構(OPEC)によれば、ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量が証明されており、サウジアラビアよりも多く、全OPEC生産のほぼ4分の1になるからだ。
アメリカは必ずしもエネルギー分野でこの石油を必要としていない。しかしアメリカ主導の一極支配体制を維持するために、大量の炭化水素がある国を支配するか、無力化することが、発展途上国が求める世界の多極化を阻止することになる。つまり再登場した世界的勢力ロシアとか、新たに登場した世界的勢力中国に導かれる多極世界を阻止することである。

ベネズエラは、巨大な石油埋蔵量から生み出される富によって安定した政治秩序を維持し、ワシントンの現在の国際秩序に対抗する多極的な世界に依拠しているので、ウォールストリートやワシントンにとっては我慢ならないのだ。そしてアメリカは莫大な時間やエネルギーやお金や資源を使って、まずユーゴ・チャベス大統領を2002年のクーデターで倒そうとし、そして今はマドゥーロ大統領を倒そうとしている。
アメリカのベネズエラへの介入
欧米メディアでさえ、アメリカがベネズエラの反対派に資金援助することによって内政に長く介入してきたことを認めている。

イギリスのインディペンダント紙の最近の記事「ベネズエラ将軍はマデゥーロへの忠誠を誓い、アメリカに介入しないように警告する」でも認めている。(強調あり)
アメリカは、ラテンアメリカやベネズエラで民主的に選ばれた政府に介入し、
マドゥーロ氏やチャベス氏の選ばれた政府を弱体化しようとしてきた長い
歴史がある。
その試みのいくつかは、NED(米国民主主義基金)のような組織を通じて反対
派グループに資金を流すことであった。また単なるプロパガンダであること
もあった。
ワシントンの経済・政策研究センターの共同代表マーク・ワイズブロットは、
過去20年間、カラカスの政権を変えることがアメリカが追求する政策で
あった、と述べた。トランプ氏によるグアイド氏の承認は、政府を葬り去ろ
うとする最も明確な試みであった。
米国民主主義基金(NED)の現在のウェブページでは、ベネズエラ政治のあらゆる面で、介入のための膨大な資金援助が認められる。
◾地民主派の戦略的能力の構築
◾ 結束力ある戦略的コミュニケーション
◾ 人権活動犠牲者の擁護
◾ 機敏なコミュニケーション手段の開発
◾ 地元と国家の政策対話を通して市民の啓発
◾ 人道的援助救済の促進
◾ 包括的公共政策改革パッケージの策定
◾ シナリオ立案、戦略分析の促進
◾ 民主主義と自由市場を守るため小企業の促進
◾ ベネズエラにおける民主的統治の改善
◾ 地方の民主的統治の改善
◾ 指導者の強化と社会政治参加
◾ 人権条件の監視
◾ 人権状態の監視
◾ 司法と公共サービスへのアクセス促進
◾ チェック・アンド・バランス制度の促進
◾ 市民ジャーナリズムの促進
◾ 市民参加と表現の自由の促進
◾ 民主的統治の促進
◾ 民主的価値の促進
◾ 対話と和解の促進
◾ 結社の自由の促進
◾ 表現の自由と情報へのアクセスの促進
◾ 人権の改善
◾ 独立メディアの促進
◾ 政治的関与と主張の促進
◾ 法による統治の推進
確かにアメリカは実質的にあらゆる反対派作戦に資金援助している。メディアや司法関係から洗脳や政治計画まで、そして経済の妨害や「人権」活動まで援助していて、アメリカが資金援助する扇動者を逮捕から守るために支援が行われている。
アメリカの体制転覆の試みのある時点で、NED資金前線のスマテ(参加という意味)は、チャベス大統領に対して国民投票を組織さえしたが、チャベスが勝利した。2006年ワシントンポストの記事「チャベス政府はアメリカの資金援助を調査する」でそれを認めている。
[スマテ]は2004年チャベスが勝利したリコール国民投票を組織して、政府
や選挙制度を声高々に批判した。
記事はまた次のことも認めている。
USAIDは 補助金を管理するメリーランドの「開発代替株式会社」を雇って
いたが、多くのベネズエラ受益者を好評することを拒否した。それらは、彼
らが脅迫されたり迫害されたりする恐れがあるからと言って。
アメリカ政府の膨大なベネズエラ介入が、意図的に秘密にされている。スマテの活動は、全国民投票でさえアメリカ資金を使用し、アメリカの指示で動かされていることを認めている。

マリア・コリナ・マチャドは、ベネズエラ選挙監視グループといわれるスマテの創設者で、アメリカNEDに資金援助されている。2002年にクーデターでユーゴ・チャベス大統領追放を試みたが失敗した。その時、マリア・コリナ・マチャドは大統領ジョージ・ブッシュと会っている。
全米民主主義基金(NED)と他の組織は平行して活動していて、その中には金融犯罪者ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ基金も含まれている。ソロスはベネズエラの制度、統治、法律を書き直し、それをアメリカが支援する傀儡体制と行政システムに置き換えようとしている。
アメリカの支援は、反対派をつくる広範な試みに限定されず、反対派幹部指導者を援助する特別な試みも含まれている。
2004年、漏洩したアメリカ国務省資料「カプリレスの地位とスマテ事件」が明らかにしていることは、NEDの資金援助はそのときでさえ進行中で、アメリカ国務省は、NEDの資金前線スマテが関わった明白な反逆罪で起訴されていて、支援を求められていることだ。それはまた、アメリカ国務省が反対派幹部指導者エンリケ・カプリレス・ラドンスキーを支援していることを証明している。
カプリレスは、レオポルド・ロペスと共に、ホアン・グアイドの助言者として仕えている。ホアン・グアイドは今アメリカ国務省の約2000万ドルの支援を与えられていることは明かだ。
ベネズエラ経済を麻痺させるアメリカの試み
ロイターの記事「ポンペオは、ベネズエラのグアイドを支援する地域ブロック形成を促す」で次のように主張している。
ポンペオはベネズエラへの人道的支援として2000万ドルを約束した。そこで
は経済崩壊、ハイパーインフレーション、食料・医薬品不足のため何百万人
の人々が国外へ逃れている。
この支援の逆説的性質は、アメリカが意図的に経済崩壊やハイパーインフレーションや食料・医薬品不足を引き起こすことであった。とりわけまずチャベス大統領政府を、次に今マドゥーロ政権を傷つけ、不安定化することだった。
アメリカ国務省は、特にベネズエラ中央銀行(PDF)やベネズエラ石油S.A.(PdVSA)への制裁を狙った。ベネズエラ国有石油・ガス会社は金融を制限され、送金を阻止されている。一方、アメリカとOPEC同盟国は、世界石油価格を一致して下げる行動をとった。それはベネズエラ石油基盤の経済を麻痺させるためだけでなく、イランやロシアを含む他の反米勢力を狙ったものだ。

欧米メディアは繰り返し、アメリカの制裁はベネズエラ当局だけを狙ったものであると主張するが、ワシントンポスト自体「ベネズエラの石油は、マドゥーロにアメリカに対抗する力を与えない」という記事で次のように認めている。(強調あり)
「現金を生む石油輸出の75%はアメリカ向けである」と元ラテンアメリカの
CIA要員であるスコット・モデルは言った。ベネズエラはかなりの原油量を
主要な外交同盟国であるロシアや中国に輸出していが、それらの利益
のほとんどは、過去の負債を支払うために使われている。彼らはそこか
ら現金を得られない。「彼らは資金難で絶望的だ。」とモデルは述べた。
その記事はまたこう述べている。
Citgo(シットゴー)の所有権は、長くアメリカとベネズエラ間の緊張の源
であった。2017年8月トランプ政権は配当の本国送還を阻止する行政命
令に署名した。そしてベネズエラ当局への制裁がCitgoをますます困難
な立場に置くこととなった。
[訳注:Citgo(シットゴー )は、アメリカ合衆国内で営業する石油関連企業。
ベネズエラ国営石油会社の傘下にある。ガソリン、潤滑油、その他石油
製品を製造販売している。(ウィキペディア)
ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)のほぼ半分の株が、ベネズエラ政府が
ロシア・エネルギー巨大企業ロスネフチから2016年に借りた15億ドルの負
債の担保として使われた。外国債権者はそれら負債を埋め合わせるため
Citgoの一部を取得する可能性もある。
[訳注:PDVSA(ベネズエラ国営石油会社)
ペトロレオスは、ベネズエラの石油会社である。ベネズエラ政府の100%
出資会社であるため、日本
ではベネズエラ国営石油公社、またはベネズエラ石油公団とも表記さ
れる。] (ウィキペディア)
モデルは、アメリカ政府が会社自体を差し押さえるべきかどうかという議論
がアメリカにあると言った。これに反対する者もいて、Citgoはマドゥーロ後
のベネズエラに有効な資産で、病んだ国の「石油経済の回復」を助けるも
のだと言う。
明らかに、ベネズエラ石油から収益能力を麻痺させるために、かなりの努力が払われてきたが、アメリカメディアやインタビューした人々でさえ、アメリカはどこまでやっていいかわからないという。一旦、厳しい制裁がなくなった時、残っている、損なわれていないインフラが、病んだ国の「石油経済回復」をベネズエラに与えることも認めている。
経済戦争の他の例では、ベネズエラの大量の金がイギリスで押さえられていて、イギリスは金をベネズエラ政府に戻すことを拒否している、とニューヨークタイムズは報道した。
ベネズエラ国内で、アメリカ支援の反対派グループを通じて行われる企ては、人為的に欠乏を引き起こす一定の必需品に焦点を当てている。一方、富裕層や地主に雇われた武装ギャングは、国家に保護された農民や産業の価格や供給や需要をさらに悪化させるように破壊活動をしている。
ワシントンポストの記事「ベネズエラの逆説:人々は飢えているが、農民は人々を食わせることができない」で、武装ギャングは単なる「犯罪者」だと述べている。それは情報は豊富だが、矛盾したベネズエラ分析になっている。
「ベネズエラ分析」の記事「紛争地のベネズエラの農民は立ち退く気はない」は、富裕層の地主から返還を求められた土地を使って、農産物を生産する農民達の努力を描いている。しかし、彼らは傭兵から狙われ、攻撃され追い払われている。別の場合には富裕層のオリガルヒは、食物生産に使われる農地の支配を強固にするため裁判所から利権を確約してもらうことも可能だ。
ベネズエラ政府はとてつもない経済戦争に直面していて、それを埋め合わせるためにますます価格統制や緊急手段に訴えているが、さほどうまくいっていない。
経済不安定化は、アメリカの体制転覆の主要な要素である。それはイラク、リビア、シリア、イラン、北朝鮮、ロシアに対するワシントンの過去・現在の紛争のあらゆる面で見られる。それらの国は、一連の「人権」犯罪に集中したり、アメリカの安全保障に対する脅威をねつ造されて攻撃された。

逆に、元米国務長官ヒラリー・クリントンでさえ認めているが、サウジアラビアのような国々は、「その地域でISILや他の原理主義スンニ派に対して密かに財政的・兵站の支援を与えている」。そして彼らが地上で最悪の人権侵害を行っていることは疑うべくもないが、彼らは制裁を免れるばかりか、国際法や人権侵害への非難を免れているのだ。
この著しい対照は、狙われた国々に対するアメリカの制裁の真実の政治的動機の本質を実証するのに役立つが、それは大衆の支持を得るために、薄っぺらな論理的見せかけで粉飾されているのだ。
ロシアや中国のような強力な国でさえ、世界金融のドル支配体制に対する代替をつくり出すのに何年も必要とされるのに、ベネズエラのような国は、すでに何十年にもわたってアメリカによって扇動された混乱で不安定化され、制裁や経済戦争に直面し、ひどく堪え忍ばなければならなくなっているのだ。そして今は別のアメリカ支援の秘密クーデターの試みにも直面している。
「社会主義」ではなく、帝国主義
ベネズエラは巨大な石油埋蔵量が証明されている。ベネズエラは公然とアメリカによって政権転覆が予定されている。そして政権に対抗する現在の反対派が、ワシントンによってベネズエラの利益のためでなく、ワシントンの利益のために資金援助されていることを証明する証拠資料がある。
制裁と経済戦争はベネズエラを狙っている。ちょうどアメリカが、政権転覆し、侵略し、破壊した、もしくは政権転覆し破壊しようとしている多くの他の国々で行ったのと同じように。
アメリカ支援のさまざまな体制転覆に対して、ベネズエラも例外的な難しいパズルでは決してない。
ベネズエラ危機を訴える試みは「社会主義」によって急に引き起こされたものではない。たとえアメリカの政権転覆を証明するおびただしい証拠を無視するとしても 、「社会主義」のせいにするのは、なお合点がいかない。
中国も社会主義で、実際は共産主義だが、かなりの程度中央計画経済で、国有企業である。中国は地上で最も大規模な高速鉄道ネットワークを持っており、人間を軌道に乗せる能力がある宇宙計画があり、世界で2番目の大きな経済である。
逆に、アメリカはたった1マイルの高速鉄道ももっておらず、現在はロシア連邦に宇宙飛行士を軌道に打ち上げてもらっている。そして非現実的な世界支配に向けた野望で世界最大の経済をただ浪費している。
「社会主義」とか「資本主義」であることよりも、国の成功とか失敗の要因がたくさんあることは明白である。例えそれらの用語が実際どんなことを意味しようとも。ベネズエラにとって、その失敗はアメリカ帝国主義の直接的かつ明白な攻撃の結果である。そしてアメリカの介入を暴露し、跳ね返すことによってのみ、ベネズエラの未来は逆転できる。
*
この記事はもともと著者のブログ Land Destroyer Reportで発表されたものである。
トニー・カタルッチはバンコクを拠点に売る地政学研究者で作家である。特にオンライン・マガジン“New Eastern Outlook” に寄稿しこの記事もそこで書かれたものである。かれはグローバル・リサーチの常連寄稿者である。
トニー・カタルッチ
グローバル・リサーチ 2019年1月25日
(翻訳:新見 明 2019年2月7日)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/us-regime-change-venezuela-documented-evidence/5666500
ラテンアメリカ国家ベネズエラは、アメリカとその同盟国によって危険な不安定化工作に直面している。彼らは反対派ホアン・グアイドを「大統領」と認め、現在のベネズエラ大統領ニコラス・マドゥーロをもはや認めないと宣言した。

それに対してマドゥーロ大統領は、アメリカ外交要員に国外退去するよう求めた。
抗議側と反抗議側双方が街頭行動を行い、心理的政治的主導権を握ろうとしていると報じられた。
なぜベネズエラなのか
アメリカ国務長官マイク・ポンペオによれば、ワシントンが突然ベネズエラに関心を抱くのは、ベネズエラ人民の苦しみのためであるという。
「ポンペオはベネズエラのマドゥーロに退陣を迫り、軍隊の支援を促す」というロイターの記事で次のように主張している。
声明でポンペオは「ワシントンは、野党指導者ホアン・グアイドを支援する。彼は
臨時政府を樹立し、選挙を準備している」と述べた。
「ベネズエラの人々は、ニコラス・マドゥーロの悲惨な独裁政治の下で長く苦し
んできた。」我々はマドゥーロに退陣を求め、ベネズエラ人民の意思を反映
する正当な指導者をもとめる」とポンペオは述べた。
実のところ、ワシントンの介入の動機は、石油輸出国機構(OPEC)によれば、ベネズエラは世界最大の石油埋蔵量が証明されており、サウジアラビアよりも多く、全OPEC生産のほぼ4分の1になるからだ。
アメリカは必ずしもエネルギー分野でこの石油を必要としていない。しかしアメリカ主導の一極支配体制を維持するために、大量の炭化水素がある国を支配するか、無力化することが、発展途上国が求める世界の多極化を阻止することになる。つまり再登場した世界的勢力ロシアとか、新たに登場した世界的勢力中国に導かれる多極世界を阻止することである。

ベネズエラは、巨大な石油埋蔵量から生み出される富によって安定した政治秩序を維持し、ワシントンの現在の国際秩序に対抗する多極的な世界に依拠しているので、ウォールストリートやワシントンにとっては我慢ならないのだ。そしてアメリカは莫大な時間やエネルギーやお金や資源を使って、まずユーゴ・チャベス大統領を2002年のクーデターで倒そうとし、そして今はマドゥーロ大統領を倒そうとしている。
アメリカのベネズエラへの介入
欧米メディアでさえ、アメリカがベネズエラの反対派に資金援助することによって内政に長く介入してきたことを認めている。

イギリスのインディペンダント紙の最近の記事「ベネズエラ将軍はマデゥーロへの忠誠を誓い、アメリカに介入しないように警告する」でも認めている。(強調あり)
アメリカは、ラテンアメリカやベネズエラで民主的に選ばれた政府に介入し、
マドゥーロ氏やチャベス氏の選ばれた政府を弱体化しようとしてきた長い
歴史がある。
その試みのいくつかは、NED(米国民主主義基金)のような組織を通じて反対
派グループに資金を流すことであった。また単なるプロパガンダであること
もあった。
ワシントンの経済・政策研究センターの共同代表マーク・ワイズブロットは、
過去20年間、カラカスの政権を変えることがアメリカが追求する政策で
あった、と述べた。トランプ氏によるグアイド氏の承認は、政府を葬り去ろ
うとする最も明確な試みであった。
米国民主主義基金(NED)の現在のウェブページでは、ベネズエラ政治のあらゆる面で、介入のための膨大な資金援助が認められる。
◾地民主派の戦略的能力の構築
◾ 結束力ある戦略的コミュニケーション
◾ 人権活動犠牲者の擁護
◾ 機敏なコミュニケーション手段の開発
◾ 地元と国家の政策対話を通して市民の啓発
◾ 人道的援助救済の促進
◾ 包括的公共政策改革パッケージの策定
◾ シナリオ立案、戦略分析の促進
◾ 民主主義と自由市場を守るため小企業の促進
◾ ベネズエラにおける民主的統治の改善
◾ 地方の民主的統治の改善
◾ 指導者の強化と社会政治参加
◾ 人権条件の監視
◾ 人権状態の監視
◾ 司法と公共サービスへのアクセス促進
◾ チェック・アンド・バランス制度の促進
◾ 市民ジャーナリズムの促進
◾ 市民参加と表現の自由の促進
◾ 民主的統治の促進
◾ 民主的価値の促進
◾ 対話と和解の促進
◾ 結社の自由の促進
◾ 表現の自由と情報へのアクセスの促進
◾ 人権の改善
◾ 独立メディアの促進
◾ 政治的関与と主張の促進
◾ 法による統治の推進
確かにアメリカは実質的にあらゆる反対派作戦に資金援助している。メディアや司法関係から洗脳や政治計画まで、そして経済の妨害や「人権」活動まで援助していて、アメリカが資金援助する扇動者を逮捕から守るために支援が行われている。
READ MORE:US Regime Change in Venezuela: The Truth Is Easy if You Follow the Money Trail. The Opposition is Pro-Washington, Not “Pro-Democracy” さらに読む:ベネズエラにおける体制転覆:お金の移動を追跡すれば、真実は簡単にわかる。反対派は親ワシントンで、「親民主主義」ではない。 |
アメリカの体制転覆の試みのある時点で、NED資金前線のスマテ(参加という意味)は、チャベス大統領に対して国民投票を組織さえしたが、チャベスが勝利した。2006年ワシントンポストの記事「チャベス政府はアメリカの資金援助を調査する」でそれを認めている。
[スマテ]は2004年チャベスが勝利したリコール国民投票を組織して、政府
や選挙制度を声高々に批判した。
記事はまた次のことも認めている。
USAIDは 補助金を管理するメリーランドの「開発代替株式会社」を雇って
いたが、多くのベネズエラ受益者を好評することを拒否した。それらは、彼
らが脅迫されたり迫害されたりする恐れがあるからと言って。
アメリカ政府の膨大なベネズエラ介入が、意図的に秘密にされている。スマテの活動は、全国民投票でさえアメリカ資金を使用し、アメリカの指示で動かされていることを認めている。

マリア・コリナ・マチャドは、ベネズエラ選挙監視グループといわれるスマテの創設者で、アメリカNEDに資金援助されている。2002年にクーデターでユーゴ・チャベス大統領追放を試みたが失敗した。その時、マリア・コリナ・マチャドは大統領ジョージ・ブッシュと会っている。
全米民主主義基金(NED)と他の組織は平行して活動していて、その中には金融犯罪者ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ基金も含まれている。ソロスはベネズエラの制度、統治、法律を書き直し、それをアメリカが支援する傀儡体制と行政システムに置き換えようとしている。
アメリカの支援は、反対派をつくる広範な試みに限定されず、反対派幹部指導者を援助する特別な試みも含まれている。
2004年、漏洩したアメリカ国務省資料「カプリレスの地位とスマテ事件」が明らかにしていることは、NEDの資金援助はそのときでさえ進行中で、アメリカ国務省は、NEDの資金前線スマテが関わった明白な反逆罪で起訴されていて、支援を求められていることだ。それはまた、アメリカ国務省が反対派幹部指導者エンリケ・カプリレス・ラドンスキーを支援していることを証明している。
カプリレスは、レオポルド・ロペスと共に、ホアン・グアイドの助言者として仕えている。ホアン・グアイドは今アメリカ国務省の約2000万ドルの支援を与えられていることは明かだ。
ベネズエラ経済を麻痺させるアメリカの試み
ロイターの記事「ポンペオは、ベネズエラのグアイドを支援する地域ブロック形成を促す」で次のように主張している。
ポンペオはベネズエラへの人道的支援として2000万ドルを約束した。そこで
は経済崩壊、ハイパーインフレーション、食料・医薬品不足のため何百万人
の人々が国外へ逃れている。
この支援の逆説的性質は、アメリカが意図的に経済崩壊やハイパーインフレーションや食料・医薬品不足を引き起こすことであった。とりわけまずチャベス大統領政府を、次に今マドゥーロ政権を傷つけ、不安定化することだった。
アメリカ国務省は、特にベネズエラ中央銀行(PDF)やベネズエラ石油S.A.(PdVSA)への制裁を狙った。ベネズエラ国有石油・ガス会社は金融を制限され、送金を阻止されている。一方、アメリカとOPEC同盟国は、世界石油価格を一致して下げる行動をとった。それはベネズエラ石油基盤の経済を麻痺させるためだけでなく、イランやロシアを含む他の反米勢力を狙ったものだ。

欧米メディアは繰り返し、アメリカの制裁はベネズエラ当局だけを狙ったものであると主張するが、ワシントンポスト自体「ベネズエラの石油は、マドゥーロにアメリカに対抗する力を与えない」という記事で次のように認めている。(強調あり)
「現金を生む石油輸出の75%はアメリカ向けである」と元ラテンアメリカの
CIA要員であるスコット・モデルは言った。ベネズエラはかなりの原油量を
主要な外交同盟国であるロシアや中国に輸出していが、それらの利益
のほとんどは、過去の負債を支払うために使われている。彼らはそこか
ら現金を得られない。「彼らは資金難で絶望的だ。」とモデルは述べた。
その記事はまたこう述べている。
Citgo(シットゴー)の所有権は、長くアメリカとベネズエラ間の緊張の源
であった。2017年8月トランプ政権は配当の本国送還を阻止する行政命
令に署名した。そしてベネズエラ当局への制裁がCitgoをますます困難
な立場に置くこととなった。
[訳注:Citgo(シットゴー )は、アメリカ合衆国内で営業する石油関連企業。
ベネズエラ国営石油会社の傘下にある。ガソリン、潤滑油、その他石油
製品を製造販売している。(ウィキペディア)
ベネズエラ国営石油会社(PDVSA)のほぼ半分の株が、ベネズエラ政府が
ロシア・エネルギー巨大企業ロスネフチから2016年に借りた15億ドルの負
債の担保として使われた。外国債権者はそれら負債を埋め合わせるため
Citgoの一部を取得する可能性もある。
[訳注:PDVSA(ベネズエラ国営石油会社)
ペトロレオスは、ベネズエラの石油会社である。ベネズエラ政府の100%
出資会社であるため、日本
ではベネズエラ国営石油公社、またはベネズエラ石油公団とも表記さ
れる。] (ウィキペディア)
モデルは、アメリカ政府が会社自体を差し押さえるべきかどうかという議論
がアメリカにあると言った。これに反対する者もいて、Citgoはマドゥーロ後
のベネズエラに有効な資産で、病んだ国の「石油経済の回復」を助けるも
のだと言う。
明らかに、ベネズエラ石油から収益能力を麻痺させるために、かなりの努力が払われてきたが、アメリカメディアやインタビューした人々でさえ、アメリカはどこまでやっていいかわからないという。一旦、厳しい制裁がなくなった時、残っている、損なわれていないインフラが、病んだ国の「石油経済回復」をベネズエラに与えることも認めている。
経済戦争の他の例では、ベネズエラの大量の金がイギリスで押さえられていて、イギリスは金をベネズエラ政府に戻すことを拒否している、とニューヨークタイムズは報道した。
ベネズエラ国内で、アメリカ支援の反対派グループを通じて行われる企ては、人為的に欠乏を引き起こす一定の必需品に焦点を当てている。一方、富裕層や地主に雇われた武装ギャングは、国家に保護された農民や産業の価格や供給や需要をさらに悪化させるように破壊活動をしている。
ワシントンポストの記事「ベネズエラの逆説:人々は飢えているが、農民は人々を食わせることができない」で、武装ギャングは単なる「犯罪者」だと述べている。それは情報は豊富だが、矛盾したベネズエラ分析になっている。
「ベネズエラ分析」の記事「紛争地のベネズエラの農民は立ち退く気はない」は、富裕層の地主から返還を求められた土地を使って、農産物を生産する農民達の努力を描いている。しかし、彼らは傭兵から狙われ、攻撃され追い払われている。別の場合には富裕層のオリガルヒは、食物生産に使われる農地の支配を強固にするため裁判所から利権を確約してもらうことも可能だ。
ベネズエラ政府はとてつもない経済戦争に直面していて、それを埋め合わせるためにますます価格統制や緊急手段に訴えているが、さほどうまくいっていない。
経済不安定化は、アメリカの体制転覆の主要な要素である。それはイラク、リビア、シリア、イラン、北朝鮮、ロシアに対するワシントンの過去・現在の紛争のあらゆる面で見られる。それらの国は、一連の「人権」犯罪に集中したり、アメリカの安全保障に対する脅威をねつ造されて攻撃された。

逆に、元米国務長官ヒラリー・クリントンでさえ認めているが、サウジアラビアのような国々は、「その地域でISILや他の原理主義スンニ派に対して密かに財政的・兵站の支援を与えている」。そして彼らが地上で最悪の人権侵害を行っていることは疑うべくもないが、彼らは制裁を免れるばかりか、国際法や人権侵害への非難を免れているのだ。
この著しい対照は、狙われた国々に対するアメリカの制裁の真実の政治的動機の本質を実証するのに役立つが、それは大衆の支持を得るために、薄っぺらな論理的見せかけで粉飾されているのだ。
ロシアや中国のような強力な国でさえ、世界金融のドル支配体制に対する代替をつくり出すのに何年も必要とされるのに、ベネズエラのような国は、すでに何十年にもわたってアメリカによって扇動された混乱で不安定化され、制裁や経済戦争に直面し、ひどく堪え忍ばなければならなくなっているのだ。そして今は別のアメリカ支援の秘密クーデターの試みにも直面している。
「社会主義」ではなく、帝国主義
ベネズエラは巨大な石油埋蔵量が証明されている。ベネズエラは公然とアメリカによって政権転覆が予定されている。そして政権に対抗する現在の反対派が、ワシントンによってベネズエラの利益のためでなく、ワシントンの利益のために資金援助されていることを証明する証拠資料がある。
制裁と経済戦争はベネズエラを狙っている。ちょうどアメリカが、政権転覆し、侵略し、破壊した、もしくは政権転覆し破壊しようとしている多くの他の国々で行ったのと同じように。
アメリカ支援のさまざまな体制転覆に対して、ベネズエラも例外的な難しいパズルでは決してない。
ベネズエラ危機を訴える試みは「社会主義」によって急に引き起こされたものではない。たとえアメリカの政権転覆を証明するおびただしい証拠を無視するとしても 、「社会主義」のせいにするのは、なお合点がいかない。
中国も社会主義で、実際は共産主義だが、かなりの程度中央計画経済で、国有企業である。中国は地上で最も大規模な高速鉄道ネットワークを持っており、人間を軌道に乗せる能力がある宇宙計画があり、世界で2番目の大きな経済である。
逆に、アメリカはたった1マイルの高速鉄道ももっておらず、現在はロシア連邦に宇宙飛行士を軌道に打ち上げてもらっている。そして非現実的な世界支配に向けた野望で世界最大の経済をただ浪費している。
「社会主義」とか「資本主義」であることよりも、国の成功とか失敗の要因がたくさんあることは明白である。例えそれらの用語が実際どんなことを意味しようとも。ベネズエラにとって、その失敗はアメリカ帝国主義の直接的かつ明白な攻撃の結果である。そしてアメリカの介入を暴露し、跳ね返すことによってのみ、ベネズエラの未来は逆転できる。
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この記事はもともと著者のブログ Land Destroyer Reportで発表されたものである。
トニー・カタルッチはバンコクを拠点に売る地政学研究者で作家である。特にオンライン・マガジン“New Eastern Outlook” に寄稿しこの記事もそこで書かれたものである。かれはグローバル・リサーチの常連寄稿者である。
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