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マリウポリ近郊で報告された「集団墓地」で私が見つけたものはこれだ

マリウポリ近郊で報告された「集団墓地」で私が見つけたものはこれだ

<記事原文 寺島先生推薦>
Here’s What I Found at the Reported ‘Mass Grave’ Near Mariupol

投稿者: INTERNATIONALIST°360°
投稿日:2022年4月28日
エバ・カレン・バートレット

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年5月7日

塹壕に何千人もの遺体があるとキエフが主張している現場

 最近の西側メディアによると、ロシア軍はマリウポリ市民の最大9000人を、ウクライナの都市マリウポリのすぐ西にある町の「集団墓地」に埋めたという。これらの報道は、衛星画像を証拠として使い、「死体は何層にも埋められているかもしれない」「ロシア軍は4月中毎日、塹壕を掘り、死体を埋めた」と、キエフに忠実な当局者の主張を繰り返しているのである。

 私は問題の現場に行ってみたが、集団墓地は見つからなかった。



 4月23日、私はRTのロマン・コサレフ記者とと一緒に、マングシュの町にあるその場所を訪れた。私が見たのは、新しい、整然とした墓の区画で、まだ空のものもあった。その場所は、すでに存在する墓地の延長部分だ。大きな墓穴はない。墓の多くには、死者の名前と生年月日を記したプラカードがあり、残りの区画には埋葬順の番号が振られていた。

 メディアは基本的に同じ情報源、つまりマリウポリの前ヴァディム・ボイチェンコ市長(現在同市から遠く離れたところにいるようだ)からの情報のコピペだが、その中のひとつ、ワシントンポストの記事から引用してみよう。

 この記事によれば、ボイチェンコは「この場所を『新しいバビ・ヤール』と呼んでいる。バビ・ヤールとは、キエフ郊外にあるヨーロッパ最大の集団墓地の一つで、第二次世界大戦中の1941年に、ナチスによって33000人のユダヤ人が殺された場所を指している」のだそうだ。

 この件はいくつかの点で皮肉なことである。キエフ市内で暴れ回っているネオナチ、特に市民を人間の盾として使い、民間施設を占領して軍事化し、市民を至近距離で処刑したアゾフ大隊の連中を白眼視する市長が、(存在しない)集団墓地を第2次大戦のナチの大虐殺と比較しているのである。

 一方、キエフ政権は歴史を書き換え、第二次世界大戦のナチスとその協力者を国家の英雄に仕立て上げている。最も悪名高い例は、第二次世界大戦の人、ステパン・バンデラである。

 ボイチェンコのもう一つの驚くべき主張は、疑惑の 「集団墓地」 が 「21世紀最大の戦争犯罪」 であるというものであった。今世紀はまだ22年しか経っていないが、すでにアメリカ主導のイラク侵攻と破壊、シリアのラッカの平定、サウジアラビアのイエメンでの進行中の戦争、これらはすべて、どこにも見つからないマングシュの「集団墓地」よりもはるかに強力な戦争犯罪の候補である。

 実際の現場には、100近い空の墓を含め、約400の墓しかない。9000体の遺体と「21世紀最大の戦争犯罪」というのは、マリウポリから逃げだした市長による主張であり、検証はできていない。その主張をメディアは、記事の下の方に「この事実は自ずと検証できる」という但書をつけて報じていた。しかし実際のところは、被害はロシア侵攻以前に既に生じていたのだ。

墓堀り人たちが集団墓地説を覆す

 現場を歩いていると、埋葬の責任者である2人の男が現れ、前市長の集団墓地に関する告発を聞いて、その主張を激しく否定したのである。

こちらの記事を参照
OSCE(欧州安全保障協力機構)によるロシアの戦争犯罪の主張について


 「ここは集団墓地ではないし、誰も死体を穴に投げ入れたりはしていない」と、一人が私に言った。



 死体安置所では、棺桶と墓を一人一人別に埋葬し、その詳細を記録し、名前と年齢に関する資料があれば、その詳細を記したプラカードを区画に記される、それ以外は番号で表示されるそうだ。
 
 興味深いことに、新しい墓の一部にはウクライナ兵が埋葬されているとのことであった。「彼らも人間なんだよ」と、もう1人の男性は言った。

 位置に関して疑問のある人は、ロマンの報告を見てください。西側メディアが使用する衛星写真と全く同じ場所であることが、ロマンのドローン映像で確認できる。

 移動中にロマンが歩きながら指摘したように、集団墓地は以前からウクライナが非難されてきたものだ。彼はDPR(ドネツク人民共和国)の指導者であるデニス・プシーリンが、2014年以来そうした場所が少なくとも300箇所発見されたと述べていると語った。

 ロマンはまた、自分が目撃したことを語った。「2014年か2015年に、アゾフやアイダルの戦闘員がドネツク地方から退却する際に、集団墓地が発見されました。私は一人の女性も見つけました。掘り起こされたとき、腕を後ろで縛られ、妊娠後期で、頭に穴が開いていました。つまり彼女は処刑されたのです。」

 ルガンスクに長年住んでいるアメリカ人ジャーナリスト、ジョージ・エリアソンは、こうした残虐行為とされる行為について書いています。この問題に関するドキュメンタリーで、彼はこう言っています。「 ここに着いた最初の5分間で、彼らが見つけた最初の5人の話を聞かされたんだ。その5人は、みな首切りされたって。みんな民間人だった。こんなことをするのは誰なんだ?」

 マングシュの集団墓地の話も、西側メディアの捏造だ。以前にも、イラク兵が保育器の中の赤ん坊を床に投げつけた話や、イラクの大量破壊兵器に関する嘘や、起こってもいないドゥーマでの化学兵器攻撃の話を広めるなど、西側メディアによるありもしない報道を挙げれはキリがない。



 一方、私が4月21日と22日にマリウポリに行ったとき、確かに破壊行為があった。これはネオナチとウクライナ正規軍が住宅の上階を占拠して軍事拠点とし、応戦したせいでその建物が攻撃されたためだ。しかし、通りに人がいるのも見たし、そのビルを再建するための清掃作業が始まるのも見えた。



 シリアに関する西側メディアの報道(同国の現場から見た私の経験では、そのメディアの大部分が不誠実だった)について述べたことを繰り返そう。こうしたデマや戦争プロパガンダを推進する人々は、自分たちの手が血塗られているのだ。

 欧米の企業メディアから無数の嘘が発せられ、新しい主張が出されるたびに、人々が批判的思考を行使することを私は願っている。特にそれがいつもの容疑者によって大合唱されるときには。

エヴァ・バートレットは、カナダの独立系ジャーナリストである。中東の紛争地帯、特にシリアとパレスチナに4年近く滞在し、現地で取材を行っている。

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