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米国政府高官、ロシアについて文字通り国民にウソをついていることを認める

米国政府高官、ロシアについて文字通り国民にウソをついていることを認める

<記事原文 寺島先生推薦>

Caitlin Johnstone: US officials admit they're literally just lying to the public about Russia

Russia Today  2022年4月8日

ケイトリン・ジョンストーン(Caitlin Johnstone)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年4月30日

証拠が何もない主張を拡散することから、あからさまに嘘をつくことへ。「プーチンの頭にたたき込む」のであれば何でもOK、ということらしい。

By Caitlin Johnstone, an independent journalist based in Melbourne, Australia. Her website is here and you can follow her on Twitter @caitoz


US President Joe Biden © Chip Somodevilla / Getty Images

 NBC Newsは、複数の匿名の米政府高官を引用した新しい記事を発表。「過去のやり方とは決別し、アメリカはロシアとの情報戦を戦うために、少し怪しげな情報でも使っている」というちょっと滑稽なタイトルをつけている。

 この高官たちの話によれば、バイデン政権はプーチンに対する情報戦を戦うために、ウクライナにおけるロシアの計画について、「信頼度が低い」あるいは「確かな証拠というよりは分析に基づく」、あるいは単なる虚偽の「情報」を急速に前面に押し出してきたのだという。

 この記事には、この目的のために、米国政府は、次の4点について誤った、あるいは証拠不十分な主張を意図的に流布した、と書かれている:

①     差し迫った化学兵器攻撃について、

②     侵攻を正当化するためにドンバスで偽旗攻撃を組織するロシアの計画について、

③     補佐官たちがプーチン大統領に誤った情報を伝えていることについて、

④     ロシアが中国から武器供給を求めていることについて



 以下は引用(強調は筆者):

 これは注目を集める主張であり、世界中のメディアで大見出しとなった:
 アメリカ政府高官によれば、ロシアがウクライナで化学兵器を使用する準備をしている可能性を示唆する兆候がある。
 
 ジョー・バイデン大統領はその後、それを公けにした。しかし、3人の米政府高官が

 今週NBCニュースに語ったところによれば、ロシアがウクライナに化学兵器を持ち込んだという証拠はないとのことである。彼らは、米国がこの情報を公開したのは、ロシアが化学兵器という禁止された弾薬を使用するのを阻止するためだと述べた。

 これは、バイデン政権がロシアに対する情報戦の一環として機密解除された情報を流すことによって、前例を打ち破った一連の例の一つである。ロシアのプーチン大統領を揺さぶるために、多少怪しげな情報でもバイデン政権はそれを活用してきたのだと、高官たちは言っている。

 だから、バイデン政権は嘘をついた。バイデン政権は崇高な理由のために嘘をついたと言うかもしれないが、嘘はついたのだ。バイデン政権は、自ら真実であるとまったく思ってもいない情報を故意に流した。そしてその嘘は西側世界の最も影響力のあるすべてのメディアによって増幅されたのだ。

 バイデン政権が「情報戦」の一環として誤った言説を流したしたもう一つの例:

 同様に、ロシアが中国に軍事的支援の可能性を求めたという告発も、確たる証拠を欠いていると、1人の欧州政府高官と2人の米国政府高官が述べている。

 米政府高官は、中国がロシアへの武器供与を検討している兆候はないと述べた

 バイデン政権は、武器供与などするなという中国への警告としてその情報を流したのだという。

 米帝国が先週主張した、プーチンは真実を語ることを恐れている補佐官たちから誤情報を与えられ間違った道に進まされている、ということについて、NBCは、この評価は「決定的なものではなかった – 確たる証拠というよりも分析に基づいたものだった 」と報道している。

 実は、この馬鹿げたCIAのプレスリリースを、ニューヨーク・タイムズ紙が速報としてそのまま掲載したのだが、私は実際のところ笑いが止まらなかった。



 2月に国務省のネッド・プライス報道官が、あろうことか、まるでアレックス・ジョーンズ*さながらに、ロシアが侵略を正当化するために危機管理俳優を使った「偽旗」ビデオを公開しようとしていると誤って主張したことも、私たちを笑わせてくれた。

[訳注:アレキサンダー・ジョーンズ*・・・アメリカ合衆国の極右ラジオ番組司会者、陰謀論者である。ジョーンズは『ニューヨーク』誌からは「アメリカを代表する陰謀論者」、南部貧困法律センターからは「現代アメリカで最も多作な陰謀論者」と評されている。(ウィキペディア)



 NBCの報道で取り上げられた他の米国政府の嘘は、これほどかわいげのあるものではなかった:

 もうひとつの話として、米政府高官たちが語っていることだが、ウクライナにミグ戦闘機を提供しない理由の1つは、そうするとロシアはそれをエスカレーションと見なすだろうという諜報活動の結果を踏まえてのことだ、という。

 それは事実だが、バイデン政権が実際に提供したスティンガーミサイルについても同様である、と2人の米政府関係者が語った。さらに、政権はウクライナに提供しないという主張を補強するためにミグに関する情報の機密扱いを解除した、と付け加えた。

 つまりバイデン政権は、ウクライナに武器を送ることは、核保有超大国(ロシア)から挑発的なエスカレーションと受け取られることを知っていて、とにかく送った。そしてそのことについて嘘をついたということだ。やりますね!

 このNBCの報道は、我々が何ヶ月も前から聞いていた噂を裏付けるものである。プロの戦争応援団長マックス・ブート(Max Boot)は、2月にシンクタンク「外交問題評議会」を通じて、バイデン政権は、真実を伝えるためではなく、プーチンの決定に影響を与えるために設計された情報公開で「情報作戦の新時代」を切り開いたと述べた。元MI6長官ジョン・ソワーズ(John Sawers)は2月、シンクタンク「アトランティック・カウンシル」に、バイデン政権の「情報」発表は人々の雰囲気的な感情に基づいており、実際の情報というわけではない。情報を伝えるというより人々を操作するために設計されていると語った。



 因みに言っておくが、NBCは、米国政府内の内部告発者が、報道の自由の助けを借りて権力者の嘘を勇敢に暴くような、重大なリーク記事を掲載したということではまったくない。記事執筆者の一人は、2014年にLA Timesに寄稿しながら文字通りのCIAのスパイとして働いていたことが明らかになったケン・ディラニアン(Ken Dilanian)である。ディラニアンの名前が書名欄にあったら、米帝の支配人が読ませたいものをそのまま読んでいると考えて間違いないだろう。

 では、なぜ今になってこんなことを言うのだろう?アメリカ政府は、最も有名な国際紛争について継続的に嘘をついていることを認めることによって、国民の信頼を失うことを心配しないのだろうか?また、NBCの情報筋が主張するように、これが「プーチンの頭にたたき込む」ための「情報戦」であるなら、主要な報道機関を通じて公然と報道することは完全に目的を逸脱していないだろうか。

 さて、これらの質問に対する答えは、本当に薄気味悪いところにある。この件に関する読者のご意見や理論は大歓迎。私が思うに、アメリカ政府がこの話を公開する唯一の理由は、一般大衆にそれを知ってもらいたいからだ。そして、一般大衆に知らせたい理由は、一般大衆は自分が嘘をつかれてもかまわないと言うだろうと、アメリカ政府は信じて疑わないということなのだろう。

 私が言いたいことをもっとよくわかってもらうために役立つのは、ディラニアンとNBCのキャスター、アリソン・モリス(Alison Morris)のテレビ放映版を見ることだ。この二人は、バイデン政権がプーチンの心理を混乱させるためにこのような心理戦の戦術を採用していることが、いかに素晴らしく、すぐれたやり方かを熱く語り合っている。



 洗脳されたNBCの視聴者がこの放映を見たときに受け取るメッセージは、「これって、まじ、やばくねえ?我々の大統領はプーチンを倒すために、こんなすごい立体チェスの駒運びをやってのけ、我々もその一端を担っているというわけだ!」 ということになる。

 ずっと以前から分かっていたことだが、米帝はインターネット検閲プロパガンダ、シリコンバレーのアルゴリズム操作、ジャーナリストへの迫害の常態化などを通じて、地球の覇権支配を強化するために言説統制を強化しようとしてきた。帝国の言説支配が、今は端的に次のような段階にきているのかもしれない。つまりこの段階になると、帝国は「大衆は、帝国の利益のために、嘘をつかれることに同意している」という言説を大っぴらにでっち上げ始めることができるのだ。



Read more: Fake US government agents arrested

 ジュリアン・アサンジ(Julian Assange)に対する中傷キャンペーンで、主流リベラル派は、政府は自分たちの暗い秘密をリベラル派から守る権利があるという風に躾けられた。それとまったく同じように、私たちは今、言説コントロールがさらに進展した段階にいるのかもしれない。この段階において主流リベラル派は、政府には自分たちに嘘をつく権利がある、というところまで躾けられているのだ。

 アメリカは一極覇権を確保するため、必死になってロシアと中国に対して冷戦的な攻撃を強めている。核武装した敵に対してさらにあからさまな方法で攻撃できないため、冷戦では伝統的に心理戦が大きな役割を担っている。だから、今はアメリカの二大政党の「思想家」たちが、自分たちの政府の心理戦争工作を熱狂的に応援する時であることは間違いないだろう。

 このNBCの報道について、主流のリベラル派がどのようなことを言っているか、インターネット上で何気なく見てみると、実際にこのようなことが起こっていることがわかる。リベラルな人々の間では、世界で最も強力な政府が、戦略的利益のために世界で最も強力なメディア機関を使って国民に嘘をつくことを、広範な人々が受け入れているように見えることははっきりしている。もしこれが受け入れられ続ければ、帝国の支配者にとって今後、事態を前に進めることがより簡単になるだろう。

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