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自称「事実検証者たち」を事実検証する--ウクライナにはなぜナチスが多いのか?(事実検証シリーズ・1)

<記事原文 寺島先生推薦>
Fact Checking the Fact Checkers: Why Does Ukraine Seem to Have So Many Nazis Nowadays?
自称「事実検証者たち」を事実検証する--ウクライナにはなぜナチスが多いのか?

著者:シンシア・チョン(Cynthia Chung)

2022年3月22日

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年4月26日




 ウクライナの内戦が続いていたのはここ数週間ではなくここ8年間のことなのか?


 文明の歴史において、政治はしばしば、「あなたは誰の味方か?」という質問に還元できる問題であった。

 確かに、「現在」という霧の中で、何が最も真実に近いかを見極めるのは容易なことではない。「物事は後から振り返ってからやっとハッキリ分かるものだという」が、それも完全な真実ではない。というのも、戦争の歴史をどう解釈するかについては、戦時中と比べてはるかにゆっくりとした動きではあるが、もう一つの戦場であるといえるからだ。

 分断が進み、白か黒しかないと言われる世の中で、我々一介の民間人が望むことは、銃撃戦に巻き込まれないことである。しかし、それはますます難しくなっている。

 今はもはや「意見」を持つことが問題なのではなく、「確信」を支持することが問題になっている。その「確信」は、自分自身の精査や調査で得たものではなく、そのような「確信」と、その「確信」を形成する権威への「信頼」によって得られるものなのだ。

 「事実」がどうであるかは真に重要ではなく、「あなたは誰の味方なのか」ということがますます問われている。

 それが、国家を支配する勢力によって「現実」に還元されたものであるならば、その国家を支配する勢力にとっての敵は、その行動にかかわらず、その思想にかかわらず、悪役となり、その国家を支配する勢力の味方は、その行動にかかわらず、その思想にかかわらず、英雄となる。

 このように、今日の私たちの形ある現実では、誰が「ヒーロー」であり「悪役」であるかは、「あなたは誰の味方か?」という単純な質問によって決定されることになる。

 もし、これがあなたにとって厄介なことであるなら、一緒にちょっとした頭の体操をすることを提案します。自分自身で「事実」を見極める勇気を持とうではありませんか。そうして初めて、私たちはある一つのチームのチアリーダーであることをやめ、「私たちは本当に誰の味方なのか」と、誠実に問う資格を得ることができるのである。

ナチスは今や新しい「善人」なのか?

 特にここ数週間は、少々複雑なメッセージが流れている。ウクライナには相当数のナチがいるのだろうか?さらにそのナチは「悪い」ナチなのか「良い」ナチなのか?これらの問いが、ナチがロシアという「侵略者」と戦っているという文脈の中で問われている。

 ユダヤ人の大統領が指揮をとっているのに、どうしてウクライナにナチスがいるのか、という反論が聞こえてきそうである。また、フェイスブックでは、ネオナチのアゾフ大隊がロシア軍と戦っているときなら、ユーザーたちが彼らアゾフ大隊を賞賛することができるようになったという話もある。さらには、ウクライナの民族主義は、あらゆる議論の中で最も関心が持たれるべきだという話もある。たとえそれがナチスのイデオロギーと重なるとしても。



 2022年2月27日、カナダのクリスティア・フリーランド副首相はスローガン「スラバ・ウクライナ(Slava Ukraini)」の入った細長い横断幕を手にしていた。これは「ウクライナに栄光あれ」という意味で、ウクライナ反乱軍(UPA)の「血と土」の色を使っている。(UPAは第二次世界大戦中にナチスに協力し、何千人ものユダヤ人とポーランド人を虐殺した)



 そして、この写真を自身のツイッターアカウントに投稿した(数時間後に「血と土」の細長い横断幕を外した写真に差し替えた)。そして彼女を非難する人たちを「ロシアによる偽情報の臭いがする」と非難した。この物議を醸したフリーランドの写真は、カナダのナショナルポスト紙が報じたものだ。

 フリーランドの報道官によれば、これは「偽情報を使ったKGBの古典的な中傷であり...ウクライナ人やウクライナ系カナダ人を、極右過激派やファシストやナチスだと非難する」例に過ぎないとした。これはしかし、幾重にもまたがるおかしな発言である。

 この件がなぜ「ロシアによる偽情報」の例になるかは明確ではない。この写真は確かに本物であり、フリーランドはこれを否定していないのだから。そして、彼女は確かにナチスに由来する「血と土」のエンブレムを持っており、そのことは誰の目にも明らかである。最後に、なぜカナダ政府はKGBがもはや存在しないことを知らないのか、理解に苦しむ。ソビエト連邦がまだ存在するとでも思っているのだろうか。

 フリーランドの祖父が第二次世界大戦中、スペインのガルシアでナチス新聞の編集長を務めていたという事実も、このことと無関係ではないだろう。このことについて質問されると、彼女は何も否定せず、単にこの件が焦点的にとりあげられることは「西側民主主義を不安定化する」意図のあるロシアの偽情報であると非難するのである。つまり、自分の歴史的、思想的背景がどうであるかという問題ではなく、「自分は誰の味方なのか」という問題なのである。

 興味深いことに、この記事を「フリーランドは自分の祖父がナチス新聞の編集長だと知っていた(Freeland knew her grandfather was editor of Nazi newspaper)」という題名で報じたのは私が調べた限りでは、カナダの新聞「グローブ&メイル」であり、ロシアの出版社ではない。この記事の情報源は誰なのだろうか?フリーランドの叔父で、現在アルバータ大学の名誉教授であるジョン=ポール・ヒムカに他ならない。

 グローブ&メール紙によれば、フリーランドは20年以上前から、自分の祖父マイケル・チョミアックがナチスの新聞の編集長だったことを知っていた。その新聞はユダヤ人を中傷しナチスの大義を支持していた。

 グローブ&メール紙はこう書いている。

 「クラヴィフスキー・ヴィスティ紙(ポーランドのクラクフにあるニュース紙)は1940年にドイツ軍によって設立され、ドイツの情報将校エミル・ガサートが監督していた。その印刷機と事務所の数々はドイツ軍によってユダヤ人出版者から没収されたものだった。その出版者はその後ベルゼク強制収容所で殺害された。

 「クラヴィフスキー・ヴィスティ紙とユダヤ人、1943年――第二次世界大戦中のウクライナ系ユダヤ人関係の貢献」と題されたこの記事は、フリーランドの叔父で、現在アルバータ大学名誉教授のジョン=ポール・ヒムカによって書かれた。

 ヒムカ教授はこの論文の序文で、フリーランド氏が「問題点と解明を指摘してくれた」と認めている。フリーランド氏は祖父がナチス協力者であったことを認めておらず、月曜日(3月21日)には「この疑惑はロシアによる情報操作の一環である」ことを示唆したのである。

 ヒムカ教授は1996年に、チョミアック氏がクラヴィフスキー・ヴィスティ紙に勤務していたことについて書いたのだ。この新聞は、クラクフに拠点を置くウクライナ語の新聞であり、しばしば反ユダヤ的な暴論を掲載し、「記事の中にはナチスがユダヤ人におこなっていることを肯定するような一節がある」[強調は筆者]

 奇妙なことに、フリーランドは、彼女の祖父がナチス新聞の編集長であったとするヒムカ教授の論文の編集と解明に協力したが、彼女の祖父の役割を公に認めることを拒否し、この件に関するあらゆる言及を「ロシアによる情報操作」の一部であると非難したのだ。この全く逆転した論理によれば、フリーランドの叔父であるヒムカ教授もこの「ロシアによる偽情報操作」の一部であり、彼女はこの「ロシアによる偽情報操作」に援助を提供し、「西洋民主主義を不安定化した」がために有罪となり、自分の政治的地位を失うことになるのだ。

 フリーランドが叔父であるヒムカ教授にさらに言ったのは、それは彼の論文に含まれていることだが、彼女の父によれば、彼女の祖父マイケル・チョミアックも反ナチスのレジスタンスとある程度協力していたということであった。しかし、ヒムカ教授はこの情報を確認することができなかった。そして「断片的で一方的な情報」と表現した。

 そして、この3月8日の国際女性デーを祝って、NATOが以下のような奇妙なツイートをしたという事件があった。そのツイートでは、ナチスのオカルトや悪魔崇拝と結びついた黒い太陽のマークをつけたウクライナの女性兵士の写真が投稿されていた。NATOはその投稿で「すべての女性と少女は自由かつ平等に生きなければならない」という非常に逆説的なメッセージを書き込んでいた。その後NATOは、その黒い太陽のシンボルがついた写真を削除する羽目になった。



 フリーランドやNATOが、なぜこの時期にこんなツイートを投稿したかは、とても奇妙である。また、後に削除するのであれば、なぜ投稿するのだろうかという疑問もある。これは彼らが単にそういうナチを連想するようなことを意識していないだけなのだろうか。それとも、ある特定の集団がますます大胆で堂々とした態度を示し、自分たちの本当の忠誠心がどこにあるのかを隠さなくなってきたということだろうか?クリスティア・フリーランドやNATOは、公の場でのこのような発言に対して、何か疑問や反発を受けたことがあるだろうか?そういうことは皆無だ。

 2014年2月7日、ヴィクトリア・ヌーランド(当時国務次官補)とジェフリー・パイアット(当時駐ウクライナ米国大使)の会話がリークされ、野火のように広まった。ヤヌコビッチ大統領が政権から追放された後、ウクライナの新政府を形成するメンバーを選定していたのが、アメリカ政府であったことが暴露されたのである。まるで自国のスポーツチームを作るかのように。

 このことは、それ自体が物議をかもしただけでなかった。とりわけ物議をかもすことになったのはウクライナの「尊厳の革命(2014ウクライナ騒乱)」の文脈においてであった。[尊厳の革命]では多くのウクライナ人がより良い未来を手に入れるために悲劇的な死を遂げたからである。

 ここ西側では、この「尊厳という言葉」に最も共感するはずである。それなのに、なぜ誰も、アメリカ政府が、ウクライナ人の将来や幸福など全く考えずに、自分たちの好き勝手にウクライナ政府を作ったという事実を指摘しなかったのだろうか?

 実際、ウクライナ革命を大きく後押しし、財政的に支援したのはアメリカである。オバマ・ホワイトハウスの公式文書によれば、次のようになる。

 「アメリカはウクライナ人と共に、民主化、改革、欧州統合という彼らの選択に立ち向かう。

 これらの目的を追求するため、ジョー・バイデン副大統領は本日ウクライナのキエフで次のように発表した。議会の承認を待って、ホワイトハウスはウクライナの法執行および司法部門における検察および反腐敗改革を含む包括的改革を支援するために2000万ドルを提供する。アメリカ政府はこれで今年のウクライナへの支援として約3億2千万ドルを約束した。それに加えて2014年5月に発行した10億ドルの政府保証付き融資(ソブリン融資)もある」

 この間、多くのアメリカ人政治家がウクライナを訪れ、「尊厳」を求めるウクライナの大義を支持した。



 ジョン・マケインが2013年12月にウクライナを訪問、政権交代を支持。

 このようなアメリカの犯罪性と二枚舌の露呈に、世界は愕然とし、恐怖を感じるはずであった。アメリカは革命を直接的に声高に奨励し財政的に支援したのだが、その革命とは、多くの悲劇的な死をもたらし、ただウクライナ国民が民主的に自分たちの政府を選ぶ権利を奪うためだけだったのだということだったからである。

 アメリカはまた、EUと連合協定を結ぶために戦うようウクライナ国民を鼓舞した。そして、ウクライナ国民は、彼らが文字通り死ぬ思いでEUとの連合協定を手にした。そのウクライナ国民は今、どこにいるのか?ヨーロッパで最も貧しい国に成り下がったのだ。

 ウクライナはかつて「ヨーロッパの穀倉地帯」と呼ばれる東欧で最も豊かな国の一つであった。しかし、この経済的事実を知ることは難しくなっている。というのはウクライナは、経済が絶頂期にあったときにソ連の一部であったためである。最も不都合な真実である。そのため、ウクライナのGDPグラフで、独立した1991年より前のグラフを見つけるのは難しい。1991年から1997年にかけて、ウクライナはGDPの60%を失い(1)、5桁のインフレ率に見舞われた(2)。このウクライナにとって決して終わることのない大不況の間、ウクライナは誰に監視されていたのだろうか。国際通貨基金(IMF)である。[この話については、続報で詳しく述べる]。

 しかし、これまで政治的な役職に就いていた、そして今も就いている特定の人物は、ウクライナの苦境から大きな利益を得ている。

 2018年1月23日、ジョー・バイデンは、マイケル・カーペンターとの共著論文「クレムリンに立ち向かうには」について、外交問題評議会(CFR)の公開討論会に招かれて講演をおこなった。演題は「敵から民主主義を守る」であった。

 信じられないことに、この「敵から民主主義を守る」という議論の中で、バイデンが公に自慢していたのは、2016年(アメリカ副大統領時代)、への経済支援のためにアメリカの融資保証を実現するのは、唯一ウクライナの検事ヴィクトル・ショーキンを解雇することを条件にしたということだった。ショーキンは当時、ブリズマ・ホールディングスに関わる汚職容疑の捜査をおこなっていた。ジョー・バイデンの息子、ハンター・バイデンはこの時期、この天然ガス会社の役員を務めており、同社から300万ドルから350万ドルを受け取っていたとされる。正当化できない異常な金額、それ故に汚職の捜査がおこなわれたのである。

 ジョー・バイデンは、この2018年のCFRの壇上で次のように告白している。

 「...私がキエフに行くのはもう12、13回目だったと思うが、もう10億ドルの融資保証を発表する予定だったのです。そして私はポロシェンコ(当時のウクライナ大統領)とヤツェニュク(当時のウクライナ首相)から、検察官のショーキンを処分するという約束を取り付けていたのですが、彼らはそうしませんでした。だから、彼らは(融資を)受けたと言い、プレスに向かって歩き出そうとしたので、私はいやだ、行かない、10億ドルを渡すつもりはないと言ったのです。彼らは「君には権限がない、君は大統領じゃない、大統領が言ったんだ」と言うので、私は「大統領に電話しろ」と言いました。[笑い]私は、10億ドルは渡さないと言っているんだ、と言いました。私は、あなたは10億ドルを得られないし、私はここを去るつもりだと言いました。6時間くらい経った頃でしょうか。私は6時間後に帰ると言っていたような気がします。検事がクビにならないなら 金は渡さんぞ。ああ、くそったれ、と言ったのです。そしたら彼はクビになった。[笑い]そして、しっかりした人を配置したんです」



 どうやら、ジョー・バイデン(現アメリカ大統領)は、真の民主主義には関心がなく、自分のチームが勝つかどうかだけを考えているようである。アメリカ国民が勝つかではないことを付け加えておこう。彼の言う「チーム」はそれよりもずっと小さく、より「選別」されたものだ。

 不思議なことに、バイデンの告白が非常に公的で「一流の」会議の場で記録されたにもかかわらず、事実検証団はジョー・バイデンがショーキンの解雇に責任があったという証拠を否定し続けている。どうやら、バイデン自身がこのことを認めたことは関係ないようだ。事実検証団はまた、ハンターがブリズマからそのような高額の報酬を受け取ったという確固たる証拠も否定している。まあ、そのようなことの調査が早々に打ち切られた以上、確たる証拠を手に入れるのはかなり難しいとは思うのだが。そこが肝心なところだった。

 これは、もう一つの理由で非常に議論を呼んでいる。ウクライナデモの引き金となったEU協定論争の際、この「協定」の条件のひとつ、それに対してIMFは強硬手段に出たのだ。ウクライナ人の所得はそのままに公共料金(まずは電気とガス)を大幅に値上げするという要求があったことが判明している。

 ウクライナデモやEU協定論争で、ヤヌコビッチ大統領のアメリカでの指南役は誰だったのか?ジョー・バイデン米国副大統領だったのである。

 ウクライナ国民は何も知らなかった。彼らが戦い、死に物狂いで取り組んでいた協定そのものが、ブリズマ・ホールディングスのような腐敗したガス会社とその外国人株主を直接に利するものであり、ウクライナ国民に経済的不利益を与えるものだったのである。現在エネルギー危機のさなかにあるヨーロッパのほとんどが、多くの輝かしい「EU協定」のもとで直面させられている状況と似たような状況に置かれていたのである。

 さらに、ニューヨークタイムズ紙は、つい最近次のことを確認する記事を掲載した。その記事によると、悪名高いハンター・バイデンのノートパソコンは、信頼できる事実検証団が「ロシアによる偽情報」だと主張したものだったが、それが実際には本物、正真正銘の本物であることが判明したとのことである。この件は次の大統領を選ぶ前に、アメリカ国民に公開されるべきであった非常に重要な情報であった。この重要な情報がアメリカ国民に与えられなかったのである。そしてその情報を与えなかったのは、「国家安全保障」を守ると宣言している、選挙で選ばれたわけでもなく、匿名でありながら全権を持つ「事実検証団」だ。

 そんな風にしてジョー・バイデンが大統領に昇格したことは周知の通りだ。いや「選出された」といった方がいいか?ビクトリア・ヌーランドとジェフリー・パイアットは今どこにいるのだろうか?ヌーランドは、アメリカ政治問題担当国務次官を務めている。パイアットは、駐ギリシャ米国大使を務めている。

 どんな不名誉なスポットライトを浴びても動じないヌーランドが再び見出しを飾った。今回は、アメリカ所有の、「バイオ」で始まり「ラボ」で終わる、ウクライナの状況についてである。3月7日、ヌーランドは上院外交委員会で証言し、ウクライナが「化学・生物兵器」を保有していることを否定せず、「あのーウクライナには、そのー生物学的研究施設があります」と公の記録で認めた。

 しかし、ご安心ください。このことで、全能の神のような「事実検証者たち」が実は偽情報の発信源であるということにはなりませんよ。(あれ?ハンター・バイデンのラップトップはどうなの?)。というのも、ヌーランド夫人が辛抱強く説明してくれたように、致死性生物の保有と実験は、アメリカ国防省が関与する場合は「生物学的研究」と呼ばれるのだからである。したがって、それらは「生物兵器(バイオ)研究所」ではなく、「生物学的研究施設」とみなされ、アメリカの所有下にありながらそれらを「生物兵器(バイオ)研究所」と呼ぶ者は、ロシアの偽情報の宣伝者ということになる。そして、そう、アメリカ国防総省が最も確実に関与していることは、在ウクライナ米国大使館のウェブサイトで閲覧可能だった保存されたPDFファイルから容易にわかる。そこに記載されているすべての件でアメリカ国防総省が援助資金提供者として示されているからである。しかし、ヌーランド夫人が丁寧に説明してくれたように、アメリカ人がこれらの致命的な生物の所有者ではないとされたとたん、その所有物は「大量破壊兵器」を持つ「生物兵器(バイオ)研究所」に変身するのである。なんと簡単な手口か!

 ヌーランドが昨年10月にロシア訪問をしそこなった後にやったことに対してはこのことと同程度の報道はなかった。フランスのジャーナリスト、ティエリ・メイサンによれば、ヌーランドがやったのは、ヤロシをゼレンスキー大統領に「押し付ける」ことであった。そして2021年11月2日、ゼレンスキー大統領はドミトリー・ヤロシ(2014年ウクライナ騒乱時に活躍した人物で元ウクライナの国会議員。右翼セクターのリーダー 2013-2015)をウクライナ軍最高司令官ヴァレリー・ザルジニ氏の顧問に任命した。ヌーランドはウクライナ系ユダヤ人の血を引いている。だから、2014年以来、ヌーランドがウクライナ政府と軍部のネオナチを継続的に支援していることは、幾重にも渡り実に憂慮すべきことである。

ドミトリー・ヤロシ
 右派セクターは、トライデント(Tryzub)およびパトリオット・オブ・ウクライナと密接な関係にある。これら3つのグループはすべて、右翼民族主義者、ネオナチ、準軍事組織であると同時に、政党でもある。自分で調べてみてください。ウィキペディアでさえも否定していないことだ。ヤロシは2005年からトライデントの指導者だった。トライデントは右翼セクターの結成につながり、ヤロシは2013年から2015年にかけてその指導者を務め、これらのグループすべてに多大な影響を与え続けている。

 ドミトリー・ヤロシは2014年以来、インターポール(国際刑事警察機構)の「指名手配者リスト」に掲載されている。

 2014年、新しく成立したウクライナ政府に対するアメリカの「影響力」、特にスヴォボダとプラヴィイセクター(右派セクター)のメンバーが副首相ポストを含む新政府の5つの上級職を占めていたあたりで懸念が高まっていたことを思い出してください。上の画像の記事はロイターが報じたものである。


 右派セクターの「血と土」の旗。欧米人に伝わっているのは、「ウクライナ民族主義政党はウクライナ人の自由と解放を守ることに関心を持っている」ということである。

 スヴォボダもまた、穏健派ウクライナ民族主義者によるロマンチックな運動として西側には宣伝されているが、彼らも偶然にもステファン・バンデラを支持しており、超民族主義的見解を支持していることを否定することはできない

 2014年の「尊厳革命」時の典型的な集会では、スヴォボダ・ウクライナ民族主義党の旗が掲げられた。




 2022年1月1日、数百人のウクライナ民族主義者が首都キエフで、上の写真にあるように聖火行進をおこなった。ウクライナ民族主義者組織(OUN)とその準軍事部隊ウクライナ反乱軍(UPA)のリーダーの一人であるステファン・バンデラの誕生日を記念してであるが、彼らは第二次世界大戦中にナチスとともに戦い、数千人のユダヤ人とポーランド人を虐殺したものたちである。これらのウクライナ人民族主義者は、上の写真でスヴォボダとUPAの「血と土」の旗を掲げている。「血と土」の旗は、今年2月にクリスティア・フリーランドが持っていたエンブレムと同じものである。この出来事は、イスラエル・タイムズ紙によって報道された。フリーランドの報道官は、これを「KGBによる偽情報」の典型例と呼ぶ勇気があるのだろうか?

今こそ熟考すべき


 では、何が起こっているのか。ウクライナには本物のナチスがいて、アメリカや、場合によってはNATOの後ろ盾を得て、政治的・軍事的役割を果たすように選ばれているのか。もしそうなら、その理由は?もしそうだとしたら、ウクライナの人々に何が起こっているのか?

 ウクライナ民族とロシア民族が混在する民族混合国家ウクライナで、超国家主義的な運動のもとでは、誰が「ウクライナ人」であると言えるのか。この運動は、純粋なウクライナ人を自認する超国家主義的な運動なのだ。

 このような状況を踏まえて、ドンバスの人々がウクライナから分離してドネツク共和国、ルガンスク共和国を作りたいと言っていることをどう考えればいいのだろうか。西側諸国は、純粋なウクライナ民族を自認する超民族主義的な運動の立場に立ち、ロシア系住民の多いドンバス住民が分離独立する権利を否定するのか?

 2014年にクリミアはロシアに再加盟することを自ら求めたことをどう考えれば良いのだろう?西側諸国は承認していないが、実際に住民投票が行われた結果のことだ。西側諸国の主要な記者たちさえ、クリミア人が実際にロシアに戻ることを喜んで選択していることを確認しているのに(なお、クリミア人の多くはロシア系である)。

 過去8年間、ウクライナ政府がクリミアの人々に、必要な飲料水の15%しか供給してこなかったことをどう考えればいいのだろうか?ウクライナ政府がクリミアの人々に対して行った人道的危機を誘発する行為だ。これがクリミアの人々の福祉を考える友好的な政府の行為なのだろうか?

 この人道的危機は、ロイターが認めているように、ロシアがウクライナに入ったとたんに修正された。しかし、西側のほとんどの人はこのことについて何も聞くことはないだろう。

 私たちは、勇気を持って自問自答する必要がある。ウクライナでは、ここ数週間だけでなく、過去8年間も内戦が続いているのではないか?政治的な理由で西側の人々に報告されていない内戦で、ウクライナの特定の地域が、アメリカやおそらくNATOから政治的支援と資金提供を受けているネオナチの準軍事部隊によって攻撃を受けているのである。

 なぜ西側諸国はこのような恐ろしい構想を支持するのだろうか。

 これらの疑問に答えるには、ウクライナ民族主義の歴史的な根源と、第二次世界大戦後のすなわちアメリカ諜報機関やNATOとの関係に目を向ける勇気が必要であろう。

 「事実検証団の事実を検証する」シリーズ記事の第2弾――ウクライナの栄光ある『民族主義運動』に隠された真実」は、この後すぐに掲載される。


(1)  “Can Ukraine Avert a Financial Meltdown?“. World Bank. June 1998. Archived from the original on 12 July 2000.
(2)  Figliuoli, Lorenzo; Lissovolik, Bogdan (31 August 2002). “The IMF and Ukraine: What Really Happened“. International Monetary Fund.
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