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サンライズ(日出ずる)国ならぬ、サンクションライズ(制裁を出す)国、日本

サンライズ(日出ずる)国ならぬ、サンクションライズ(制裁を出す)国、日本
<記事原文 寺島先生推薦>

Japan, a Land of the Rising Sanctions

Journal NEO 2022年3月16日

ウラジミール・ダニロフ(Vladimir Danilov)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年3月31日



 日本は、「ライジング・サン(日出ずる国)」という美称で呼ばれてきた国だが、最近ではそのように呼ばれる国からはますます遠ざかっているようだ。現政権のまずい政策のため、今や日本は「ライジング・サンクション(制裁を出す国)」に変わってしまった。

 つい最近までは、安倍晋三元首相のもと、日露関係は常に良好で、温和でさえあった。安倍とロシアのウラジミール・プーチン大統領間の定期的な取り組みや、個人的なつながりのおかげで、2か国間の貿易や事業協力は促進され、それらが日本にとってのある種の「安全網」になっていた。米国政府からは常に「嫌ロシア」化に向かうよう圧力をかけられていたし、日本国内の極右からは「北方領土問題について戦え」という圧力もかけられている中でも。こんな芸当のような話し合いが持てるかどうかはその人が特異な政治家であることが条件だ。そして安倍はまちがいなくそんな政治家だった。安倍は米国政府の言いなりの普通の首相ではなかった。普通の首相なら、「米国という兄貴を喜ばせる」ためには何だってしてきた。たとえそれが大きな会議で渡された、たった一枚の紙きれに書かれていたとしても。

 明らかに、日本は第二次世界大戦後、自主性を奪われ、米国の従属国に成り下がっている。この75年間以上、米国の占領下で多くの試練に苦しめられてきた。geishaのように何千もの米軍兵のおつきの役をさせられてきた。その米軍兵が大暴れして、日本の人々に対してたびたび罪を犯すのも日常茶飯事だ。その悪名高い米軍は第二次大戦末から日本に駐在し続けている。米軍施設の7割以上が沖縄に集中している。3万人程度の米軍兵士が沖縄に駐留しており、家族まで入れると数万人に上る。統計によれば、日本に駐留する米国民は1972年以降5千件以上の犯罪を犯している。米軍兵士が罪に問われないこともしばしばあった。日本国民は定期的にデモ行進をして米軍基地の解体を要求しているが、日本の政治家たちは国民からのそのような要求に十分応えようとはせず、国連などの国際機関においては「米国を怒らせないよう」に卑屈な態度をとる方を選んでいる。

 しかし米国に対してこのような立場をとっていたにもかかわらず、いまや伝説的だともされている安倍晋三は自分の政策指針を追求し、何よりロシアとの「特別な関係」を維持することに成功していた。安倍の外交政策の肝要は、急激に成長していた中国を米国とともに遮ることに加えて、ロシアと友好関係を結ぶことにあった。両国が、友好関係というよりは、親善関係ともよぶべき関係を築き上げることで、共通の問題の解決に共同して取り組むことが可能になる。安倍はウラジミール・プーチンと本当に個人的な関係を築くことに力を入れ、安倍はプーチンを友と呼び、その友との会談を30回ほど持った。この関係のおかげで、2014年、米国政府からの圧力はあったものの日本政府はロシアに対して柔和で最小限の制裁だけを課した。マスコミはこのことを「礼儀正しい」と報じ、世間からは、いやいやながら仕方なく制裁を行っている、という認識を持たれていた。

 安倍が日本国内で恐ろしく高い支持率を得ていたことを背景に、安倍の力で、両国が都合よい妥協案(例えば領土問題を抱えている千島列島において経済協力活動を行うなど)に同意するのではないか、そうなれば真に新しい両国関係が生まれるのではないかという期待が高まっていた。

 安倍がプーチンとの相互理解に重きを置いていたのは、そうすることで南シナ海の勢力拮抗を確実にできると考えたからだ。南シナ海は、日本が主敵、あるいは不倶戴天の敵と見なしている中国が長年進出しようとひそかに企んでいる地域だ。

 日本は何世紀もの間も武士道という道徳上高貴な精神文化をいつくしんできた国だ。その武士道の精神をもって、日本はずっと世界の他の国々とは一線を画す国であり続けてきた。しかしその日本の安倍後の新政権が決めたのは、安倍が取ってきた政策方針を根本から変換し、米国政府に今まで以上に擦り寄ることだった。すでに1月21日の時点で、米国のジョー・バイデン大統領と日本の岸田文雄首相との会談の結論は、ロシアがウクライナに対する「侵略」を始めた際は、日本が米国とともに新たな主導権を持ち、太平洋地域におけるロシアに対する制裁執行役を第二戦線として担うことであった。

 そして毎日新聞の報道によると、元自衛官50人を含む約70名のボランティアがウクライナに赴き、キエフのナチ権力のために戦うそうだ。さらに共同通信の報道によると、鈴木俊一財務相が、「日本政府はウクライナの状況に対するロシアへの制裁として、VTB銀行を含むロシアの4行の資産を凍結する」と発表したとのことだ。その後日本政府は、ロシアの49社の企業や団体に輸出制裁措置を課し、さらに20名のロシア人にも制裁を加えるとした。その中にはウクライナの非ナチ化と非武装化に対してロシア軍が取った作戦に関係したとされる会社員や、国家役員や、著名なロシアの人々も含まれている。

 明らかに米国政府に触発されて日本政府がナチが権力を握るウクライナ政府を支持していることに対して、東京のロシア大使館がテレグラム上で日本について以下のような投稿を行ったことは驚くべきことではない。「ここ100年で日本がナチ政権に協力するのはこれで2回目になる」と。一度目がヒトラーのナチス・ドイツのことであり、二度目は今のウクライナ政権のことだ。

 これと同時に、日本政府はロシアに対して領土問題についての主張を強めている。それをよく表しているのが、岸田文雄首相が3月7日の国会討論において、北方4島の領土問題については、日本「固有の領土」であると主張したことだ。「不幸にも、日本は西側諸国の主流の主張に流されて、なんの不平も言わずただ言われたことに従っています。日本は今やっていることが、どれだけ自国を破壊に招く行為なのかがわかっていないようです」と3月9日スプートニクラジオでマリア・ザハロワ(Мария Захарова)ロシア連邦外務省報道官は、ロシア政府に対して日本政府が領土問題に関して主張したことについて発言していた。

 しかし日本の産業界は、日本政府や米国政府の対ロシア政策には異を唱えている。西側諸国の諸企業はロシアから引き上げると発表し、蘭英のシェル社はサハリンー2計画からの撤退を表明している事実もあるが、日本の三井物産と三菱商事はこの計画から撤退しない方が得策であると考えている。日経新聞の報道によれば、日本の経済産業省の高官の一人が提出した文書によると、拙速な撤退は危険であり、このチャンスを中国の手に渡してしまうことになる、としていた。サハリンー2計画はロシアでの初めての天然ガス計画であり、ロシアのガスプロム社が5割、シェル社が27.5%。三井物産が12.5%。三菱商事が10%をそれぞれ保有している。日経新聞の報道によれば、日本のこの2社の考えでは、何が起こっても、サハリンー2計画の稼働は続くと考えられるため、もしこの2社がサハリンー2計画から撤退してしまえば、日本の消費者は天然ガス市場での支払いが20憶ドル余計にかかってしまうことになる、としている。




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