プーチン、アメリカの仕掛けた戦争の罠から巧みに逃れる
プーチン、アメリカの仕掛けた戦争の罠から巧みに逃れる
政治的にアメリカとウクライナの面目をつぶす
<記事原文 寺島先生推薦>
Putin Deftly Eludes the US-laid War Trap
Egg on American and Ukrainian Political Faces
2022年2月23日
Global Research
キム・ピーターセン(Kim Petersen)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年3月3日

***
戦争に行き、高価な戦争機械やミサイルを使うことは、人の気持ちを惹きつけたり、倒錯的な高揚感をもたらしたりすることもありうる。しかし、戦争は人の死や壊滅的な結果をもたらすのだから、「戦争もひとつのゲーム」などのような言い方で軽くみてはならない。ロシアのウラジミール・プーチン(Vladimir Putin)大統領による最新の政治作戦は、アメリカの戦争の罠を回避するための、ゲーム流れを変える見事な一手であった。ウクライナを取り巻く緊張の高まりの中で、ロシアはあらゆる段階で、攻撃の手ぐすねを引くアメリカを何度も阻止してきた。このことを理解するためには、時系列を少し過去に遡ってみる必要がある。
1990年2月9日 - アメリカのジェームズ・ベーカー(James Baker)国務長官は、ソ連のミハエル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領に対し、ドイツ統一を認める代わりにNATOを「1インチたりとも東進させない」と約束した。
1999年 - チェコ共和国、ハンガリー、ポーランドがNATOに加盟し、消滅したソビエト連邦に数インチ近づいた。
2004年 - ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアがNATOに加盟。
2009年 - アルバニアとクロアチアがNATOに加盟。
2014年2月 - アメリカの支援を受けたウクライナのクーデターで親ナチ政権が成立。
2014年3月 - クリミア人が住民投票でウクライナから離脱し、ロシアの一部となることを圧倒的多数で決定。
2014年9月 - ウクライナ、ロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)が即時停戦、重火器の撤退、囚人交換を求める「ミンスクI協定」に調印する。
2015年2月 ミンスクⅡ合意により、停戦、武器の撤退、OSCEによる停戦監視、ドネツクおよびルハンスク人民共和国のウクライナにおける将来の地位に関する地方選挙の実施が改めて要請される。ミンスクⅡをめぐっては、解釈の違いから大きな不一致が生じている。
2017年 – モンテネグロがNATOに加盟。
2020年 北マケドニアがNATOに加盟。東進の様相を呈しているのは明らか。ウクライナもNATO加盟を模索している。
2021年11月18日 – ロシア、「(これ以上の東進は許さないという)レッド・ライン」を繰り返し語る
2021年12月14日 – ロシア、安全保障についての懸念を提案の形でアメリカに表明
2022年1月16日 プーチンは、ウクライナのNATO加盟を、ロシアの安全保障を侵害するロシアとNATOの関係におけるレッド・ラインと認定する。米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は、ロシアの安全保障上の懸念を一蹴した。「これは明々白々たること---NATOの門戸は開かれており、今後も開かれたままである。そのことははっきりと申し上げておく。」
2022年1月26日 – ロシア、アメリカより安全保障に関してロシアが提案したことに対する回答文書で受け取る。ロシアが喜ぶ内容ではないだろう。
2022年2月16日 - 国家安全保障顧問のジェイク・サリバン(Jake Sullivan)によると、信頼できる米国の諜報機関の情報に基づくと、この日2月16日が、ロシアがウクライナに侵攻する日であった。この日は何の侵攻もなく過ぎ去った。
2022年2月17日 - ロシア、ウクライナと欧州の安全保障に関する米国とNATOの提案に回答。
ロシアがドネツク、ルハンスク両人民共和国の独立を認めるに至るまで、多くの挑発行為があった。その中には、NATOの拡大、ロシアの安全保障上の懸念を真剣に受け止めなかったこと、ウクライナの武装化、西側独占メディアを通じたロシアの悪者化などがある。そして、ウクライナからドンバスへの砲撃により、ドンバスの市民がロシアに避難する事態となった。
それは明らかにウクライナの無謀な行為だ。もしウクライナがミンスク合意を守っていれば、ドネツクとルハンスクは自治権を持ちながらも今でもウクライナの一部だろう。国の中に自治区があるのは珍しいことではない。中国では広西チワン族自治区、内蒙古自治区、寧夏自治区、チベット自治区、新疆ウイグル自治区がある。ロシアにも1つの自治区域と10の自治区がある。それにもかかわらず、戦争と火遊びの誘惑に駆られながら、ウクライナは少しずつ及び腰になっている。
ロシアはというと、囮につられてウクライナに侵攻したわけではない。代わりにドンバスに平和維持軍を送り込んでいる。ウクライナが最新鋭の強力なロシア軍を攻撃する可能性は極めて低いと思われる。
つまり、ジョー・バイデンは「ロシアの侵略」の予測が外れたわけだ。バイデンを支える立案者たちはまたもや失敗したことになる。バイデンはアフガニスタンから米軍を撤退させるという正しい判断を下したが、その撤退はひどく失敗し、ベトナムで米軍が屋上から尻尾を巻いて脱出した記憶を呼び起こさせることになった。そして、アフガニスタンからの撤退の大失敗をさらに悪化させるために、バイデンは哀れなアフガニスタン国民のお金を盗むという恥知らずで無慈悲なことをしたのである。彼は、公然とシリアの石油を盗んだ前任者ドナルド・トランプの足跡をたどっている--この盗みはバイデン政権の下でも続いている。
一方、ウクライナや離脱共和国周辺の情勢は、今後もいろいろな変化があるだろう。より健全な頭脳によって緊張が緩和され、戦争が回避されることが期待される。
政治的にアメリカとウクライナの面目をつぶす
<記事原文 寺島先生推薦>
Putin Deftly Eludes the US-laid War Trap
Egg on American and Ukrainian Political Faces
2022年2月23日
Global Research
キム・ピーターセン(Kim Petersen)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年3月3日

***
戦争に行き、高価な戦争機械やミサイルを使うことは、人の気持ちを惹きつけたり、倒錯的な高揚感をもたらしたりすることもありうる。しかし、戦争は人の死や壊滅的な結果をもたらすのだから、「戦争もひとつのゲーム」などのような言い方で軽くみてはならない。ロシアのウラジミール・プーチン(Vladimir Putin)大統領による最新の政治作戦は、アメリカの戦争の罠を回避するための、ゲーム流れを変える見事な一手であった。ウクライナを取り巻く緊張の高まりの中で、ロシアはあらゆる段階で、攻撃の手ぐすねを引くアメリカを何度も阻止してきた。このことを理解するためには、時系列を少し過去に遡ってみる必要がある。
1990年2月9日 - アメリカのジェームズ・ベーカー(James Baker)国務長官は、ソ連のミハエル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)大統領に対し、ドイツ統一を認める代わりにNATOを「1インチたりとも東進させない」と約束した。
1999年 - チェコ共和国、ハンガリー、ポーランドがNATOに加盟し、消滅したソビエト連邦に数インチ近づいた。
2004年 - ブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアがNATOに加盟。
2009年 - アルバニアとクロアチアがNATOに加盟。
2014年2月 - アメリカの支援を受けたウクライナのクーデターで親ナチ政権が成立。
2014年3月 - クリミア人が住民投票でウクライナから離脱し、ロシアの一部となることを圧倒的多数で決定。
2014年9月 - ウクライナ、ロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)が即時停戦、重火器の撤退、囚人交換を求める「ミンスクI協定」に調印する。
2015年2月 ミンスクⅡ合意により、停戦、武器の撤退、OSCEによる停戦監視、ドネツクおよびルハンスク人民共和国のウクライナにおける将来の地位に関する地方選挙の実施が改めて要請される。ミンスクⅡをめぐっては、解釈の違いから大きな不一致が生じている。
2017年 – モンテネグロがNATOに加盟。
2020年 北マケドニアがNATOに加盟。東進の様相を呈しているのは明らか。ウクライナもNATO加盟を模索している。
2021年11月18日 – ロシア、「(これ以上の東進は許さないという)レッド・ライン」を繰り返し語る
2021年12月14日 – ロシア、安全保障についての懸念を提案の形でアメリカに表明
2022年1月16日 プーチンは、ウクライナのNATO加盟を、ロシアの安全保障を侵害するロシアとNATOの関係におけるレッド・ラインと認定する。米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は、ロシアの安全保障上の懸念を一蹴した。「これは明々白々たること---NATOの門戸は開かれており、今後も開かれたままである。そのことははっきりと申し上げておく。」
2022年1月26日 – ロシア、アメリカより安全保障に関してロシアが提案したことに対する回答文書で受け取る。ロシアが喜ぶ内容ではないだろう。
2022年2月16日 - 国家安全保障顧問のジェイク・サリバン(Jake Sullivan)によると、信頼できる米国の諜報機関の情報に基づくと、この日2月16日が、ロシアがウクライナに侵攻する日であった。この日は何の侵攻もなく過ぎ去った。
2022年2月17日 - ロシア、ウクライナと欧州の安全保障に関する米国とNATOの提案に回答。
ロシアがドネツク、ルハンスク両人民共和国の独立を認めるに至るまで、多くの挑発行為があった。その中には、NATOの拡大、ロシアの安全保障上の懸念を真剣に受け止めなかったこと、ウクライナの武装化、西側独占メディアを通じたロシアの悪者化などがある。そして、ウクライナからドンバスへの砲撃により、ドンバスの市民がロシアに避難する事態となった。
それは明らかにウクライナの無謀な行為だ。もしウクライナがミンスク合意を守っていれば、ドネツクとルハンスクは自治権を持ちながらも今でもウクライナの一部だろう。国の中に自治区があるのは珍しいことではない。中国では広西チワン族自治区、内蒙古自治区、寧夏自治区、チベット自治区、新疆ウイグル自治区がある。ロシアにも1つの自治区域と10の自治区がある。それにもかかわらず、戦争と火遊びの誘惑に駆られながら、ウクライナは少しずつ及び腰になっている。
ロシアはというと、囮につられてウクライナに侵攻したわけではない。代わりにドンバスに平和維持軍を送り込んでいる。ウクライナが最新鋭の強力なロシア軍を攻撃する可能性は極めて低いと思われる。
つまり、ジョー・バイデンは「ロシアの侵略」の予測が外れたわけだ。バイデンを支える立案者たちはまたもや失敗したことになる。バイデンはアフガニスタンから米軍を撤退させるという正しい判断を下したが、その撤退はひどく失敗し、ベトナムで米軍が屋上から尻尾を巻いて脱出した記憶を呼び起こさせることになった。そして、アフガニスタンからの撤退の大失敗をさらに悪化させるために、バイデンは哀れなアフガニスタン国民のお金を盗むという恥知らずで無慈悲なことをしたのである。彼は、公然とシリアの石油を盗んだ前任者ドナルド・トランプの足跡をたどっている--この盗みはバイデン政権の下でも続いている。
一方、ウクライナや離脱共和国周辺の情勢は、今後もいろいろな変化があるだろう。より健全な頭脳によって緊張が緩和され、戦争が回避されることが期待される。
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