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米帝国は世界を灰にしてから支配する

米帝国は世界を灰にしてから支配する
<記事原文 寺島先生推薦>
Ruling over the Ashes

Strategic Culture 2022年2月20日
イーモン・マッキニー(Eamon McKinney)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年3月10日

 「銃を手にした白人たちが善良な意思の告白とともに現れたとき、アジアの苦難が始まる」。これがアジアの歴史だ。


 アジア太平洋地域が最近脚光を浴びている。そこに映し出されているほとんどは、あからさまに中国や、中国のめざましい台頭に害を与えようとする企てである。オバマの「アジア基軸戦略」を覚えておいでだろうか?「中国が近隣諸国に脅威を与えている」という主張が支配的だ。しかし当地域の住民たちから「中国から脅威を与えられている」という感情を耳にすることはほとんどない。反中国論を駆使して常に攻撃を加えようとしている西側諸国の理解では、「アジア諸国は中国を恐れていて、西側諸国から保護してもらうことを歓迎している」となる。本当にそうなのだろうか?以下論述する。

 この考え方を理解するためには、不都合な歴史の振り返りを行わなければならない。タイを例外として、すべての東南アジア諸国は西側植民地主義の餌食となってきた。具体的には、ベトナム、台湾、香港、マレーシア、インドネシア、そして中国だ。これらの国々はすべて西側による抑圧に大きく苦しまされてきた。フィリピンや韓国や日本には、いまでも米軍基地が置かれていて、その結果これら3国は米国の事実上の属国扱いだ。しかしこれら3国の圧倒的多数の人々は、そのような状況に怒りを表明しており、その証拠として反帝国主義運動デモが数え切れないほど起こっているのだが、少数派である各国政府の支配層によりこれらのデモはすべて無視されている。「銃を手にした白人たちが善良な意思の告白とともに現れたとき、アジアの苦難が始まる」。これがアジアの歴史だ。

 このような状況が今日まで400年以上も続けられている。西側の言い分はアジアでは聞き流されている。それは、これまでアジア諸国と西側の間で交わされてきた約束が反故にされ続けてきたからだ。アジア諸国が分かっていることは、西側はアジア諸国と自分たちと平等に扱う気はないという事実だ。そして今、アジア諸国に見えているのは、西側帝国主義の利益に奉仕するために、再び苦しみを味わされようとしていることだ。

 ここ40年間この地域は、平和で、安定し、繁栄した時代を享受してきた。これは長いアジアの歴史の中でなかったことだ。より正確な言い方をすれば、この地域内には歴史的に見て大きな敵意をもつ国同士が存在する。日韓間や日中間などにおいては、衝突してきた悲劇的な歴史がある。そのような国々の間には愛情は薄く、憎しみの感情のほうが強く残っている。南シナ海に関しては、係争中の領土問題が残されていて、多くの国々が丁々発止の主張のやりとりを続けている。現在の地図上に引かれた海上の国境線について議論が行われており、納得している国はひとつもない。実は、これらの国境線を引いたのは西側であり、第1次世界大戦後のことだった。しかもアジアのどの国もその議論に参加させないまま決めてしまったのだ。その国境線は西側帝国主義諸国の利害をもとに決められたもので、アジア諸国の利害をもとにしたものではなかった。アジア諸国のやり方に従えば、これらの国境問題は外交により解決するものであり、戦争で解決しようとする国などない。すべての国々はその地域での航海の自由を享受しており、西側が主張しているような大問題にはなっていない。

 大統領職に就いてすぐに、トランプは北朝鮮に標的を定めた。北朝鮮は米国にとって何の脅威にもなっていなかったにも関わらず、トランプが長らく放置されてきた問題に手をつけてしまったことで、その地域が大きく不安定化する原因を作ってしまった。想定内のことだったが、韓国は特に警戒させられたが、この平和な国の大多数の国民の常識的な見方は「トランプは口を閉じて、自分の国のことだけ見ておいてくれないか」というものだった。同様に台湾でも、市民の大多数が受け入れているのは、「中国は平和的な再統合を望んでいる。ここ70年以上の中国の動きを見ればわかる」という考え方だ。度重なる挑発にも乗らずに、中国はこの問題には冷静な立場を維持しており、米国の横やりがなければ、そのうち台湾問題は自然と平和裡に解決するだろう。

 日本は長年米国の中国侵略の拠点にされていることをよくは思ってこなかった。確かに日本の人々は中国に対して友好的ではないが、だからといって中国はここ70年間、日本に核爆弾を投下したり、日本を占領したり、日本を下等国扱いしたりすることは全くなかった。日本国民は、憎たらしい米国のためにこれ以上苦しむことは望んでいない。 近年日中両国は、有意義な二国間首脳会議を持ち、米国が吹っかけてくる言説を覆そうとしている。アジア独自のやり方を用いれば、敵対心によりこじれている諸国感の乖離を解決できるだろう。 皆にとって明白なのは、米国が、中国に害を与えるために犠牲を強いる準備をしているということだ。そして米国が犠牲を強いるのは、当地域の全てのいわゆる「友好諸国」であり、その犠牲のもと中国の台頭を阻止しようとしているのだ。

 このアジアの現状と同様の動きが今欧州でも見られている。それがでっち挙げられたウクライナ危機だ。欧州諸国が重々承知しているのは、欧州が平和や安定を享受することが、米国の覇権にとっては脅威になると米国が見ていることだ。ドイツがロシアの天然ガスを本当に必要としているので、ノルド・ストリームに巨額を投資してきたのに、米国はロシアの天然ガスを買わさずに、欧州の人々が凍えているのを見るつもりのようだ。米国がウクライナに対して行っているむき出しの侵略のせいで、ロシアは欧州戦線に引きずり出されようとしている。しかし賢明にもロシアはその挑発には乗っていない。これは台湾を使った挑発に中国が乗らないのと同じことだ。米国にとっての最悪の展開は、欧州がロシアを平和理に国家間の連合の中に組み込んでしまい、双方にとって経済的利益が得られる関係を作ってしまうことだ。 ロシアという巨大な悪党がいなくなれば、NATOの存在意義もなくなり、米軍を引き入れる理由もなくなり、欧州内の全ての米軍基地の撤退を余儀なくされるだろう。ロシアや中国とのどんな戦争も世界にとって想像もできない惨劇をもたらすことになるだろう。そしてハッキリとしているのは、紛争を求めている国など米国以外にはないだろうという事実だ。ドイツやフランスはNATOとは離れた所から、ロシアとの平和を模索しようと努力し続けている。NATO派閥が、米国が欧州に持っている唯一の同盟国であって、この超国家派閥は、どの国民国家の利益の代表者にはなっていない。崩壊しつつある米帝国は息たえだえで、国内においては社会的にも経済的にもボロボロになっている。従って、いかなる戦争も崩壊の目くらましの道具に使うつもりだ。今はっきりとわかるのは、米帝国は世界を戦いの火の中に落とそうとしていることだ。その灰の上でしか世界支配ができなくなっているのだ。
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