西側諸国はNATOの不拡張を約束していた。デア・シュピーゲン誌の報道
西側諸国はNATOの不拡張を約束していた。デア・シュピーゲル誌の報道
<記事原文 寺島先生推薦>
West promised not to expand NATO – Der Spiegel
~NATOは「拡張しない」とロシアを騙していた証拠となる英国の文書をドイツの週刊誌が発見~
RT 2022年2月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月25日

新たに発見された1991年3月の文書によると、米、英、仏、独の政府当局は、ソ連に対する或る誓約書について話し合っていたことがわかった。その内容は、NATOはポーランドよりロシア側には拡張しないというものだった。この記事は、ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルが2月18日に出したもので、米国主導の軍事同盟であるNATOの拡張が東欧の軍事的緊張を高めている中でのことだ。
この1991年3月6日の議事録は、ボンで開かれた米・英・独・仏の政務局長間会議のもので、ドイツ統合に向けた複数の「2+4」外相会議(西独・東独と米英仏ソ) の内容も含まれていた。この議事録でソ連に対して「明言」されているのは、NATOはドイツよりも東側に拡張しないという主張だった。
「私たちはソ連に対して明言しました。2+4外相会議でも、それ以外の会議の場でも、です。私たちにはソ連軍が東欧諸国から撤退することに乗じようとする意図はありません」。これは議事録に記載されていた米国のレイモンド・サイツ欧州およびユーラシア問題担当国務次官補の発言だ。
「NATOは、公式にも、非公式にも、東に拡張すべきではありません」とサイツは付け足していた。
英国代表の1名もその「一般的合意」があったことについて言及していた。その代表は、東欧諸国がNATO加盟国になることは「受け入れられません」と発言していた。
「2+4外相会議の交渉中に明らかにしたことは、エルベ川(ママ)を越えてNATOが拡張することはないということでした」と西独のユルゲン・フロボグ(Juergen Hrobog)外交官は語っていた。「従って私たちはポーランドなどの東欧諸国にNATOに加盟すよう申し出ることはできませんでした。」

この議案書によれば、同外交官が言っていたのはオーデル川のことであることが後に判明している。
オーデル川は東独とポーランドの国境を流れている。フロボク外交官がさらに述べたのは、 西独のヘルムート・コール(Helmut Kohl)首相と、ハンス=ディートリヒ・ゲンシャー 外相もこの立場に同意していたという事実だった。
この議案書は英国国立公文書館で、ジョシュア・シフリンサンさんが発見したものだ。シフリンサン氏は、米国ボストン大学の政治科学の教授だ。 この議案書には、㊙のマークが付けられていたが、いつかの時点で開示されていた。
シフリンサン氏は2月18日にこうツイートしている。「私は名誉あることに、デア・シュピーゲル誌と共同してこの文書に携わることになりました。この文書が示しているのは、西側諸国の外交官たちの考えでは、NATOが拡張しない誓約を本当に結んでいたという事実です。」
「各国政府の高官たちは不拡張の誓約が出されていたことを否定しています。しかしこの新文書の記載内容は、それとは矛盾します」とシフリンサン氏は次のツイートで書いている。さらに、「エルベ川であれ、オーデル川であれ、その基準を「越えて」、NATOはそのたった8年後に拡張を始めています」ともツイートしている。
2021年12月の大規模な記者会見において、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、西側諸国はソ連に対しNATOは「1インチも」東に拡張しないことを約束していたのにも関わらず、ロシア政府に対して「厚かましくもその約束を反故に」し、「抜け駆け」のようにその行為をやってのけた、と発言していた。
このプーチン大統領の発言に対してイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長が語ったのは、NATOは「拡張しないという約束をしたことはありません」というものだった。後に受けたデア・シュピーゲル誌からのインタビューでも、ストルテンベルク事務総長はこう繰り返していた。「そんな約束は存在しませんでしたし、そんな裏取引もありませんでした。ただの偽情報です」と。
READ MORE:

Lavrov labels Western ‘Russia invasion’ claims ‘propaganda, fakes and fiction’
NATOはポーランドとハンガリーとチェコの加盟を1999年3月に認めているが、それは国連の安保理の許可なしにユーゴスラビアに空爆を開始した直前だった。この拡張により、NATOはロシアの国境と直接接することになった。接しているのはロシアの飛び地のカリーニングラードだ。これが史上始めてとことだった。次に拡張が行われたのは、2004年のことで、旧ソ連共和国のエストニアとラトビアとリトアニアが加盟した。このことでNATOの東端が、セントペテルスブルクからたったの135キロ(84マイル)にまで迫った。
12月に発表された一連の安全保障上の提案の中で、ロシアはNATOに旧ソ連共和国であるウクライナとジョージアを加盟させないことを正式に求め、なによりも米軍を1997年時のNATOの境界線まで戻すことを求めていた。しかし米国もNATOもこの要求を飲まず、NATO加盟の基本原則は「開かれたドアである」と反論していた。
<記事原文 寺島先生推薦>
West promised not to expand NATO – Der Spiegel
~NATOは「拡張しない」とロシアを騙していた証拠となる英国の文書をドイツの週刊誌が発見~
RT 2022年2月18日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2022年2月25日

新たに発見された1991年3月の文書によると、米、英、仏、独の政府当局は、ソ連に対する或る誓約書について話し合っていたことがわかった。その内容は、NATOはポーランドよりロシア側には拡張しないというものだった。この記事は、ドイツの週刊誌デア・シュピーゲルが2月18日に出したもので、米国主導の軍事同盟であるNATOの拡張が東欧の軍事的緊張を高めている中でのことだ。
この1991年3月6日の議事録は、ボンで開かれた米・英・独・仏の政務局長間会議のもので、ドイツ統合に向けた複数の「2+4」外相会議(西独・東独と米英仏ソ) の内容も含まれていた。この議事録でソ連に対して「明言」されているのは、NATOはドイツよりも東側に拡張しないという主張だった。
「私たちはソ連に対して明言しました。2+4外相会議でも、それ以外の会議の場でも、です。私たちにはソ連軍が東欧諸国から撤退することに乗じようとする意図はありません」。これは議事録に記載されていた米国のレイモンド・サイツ欧州およびユーラシア問題担当国務次官補の発言だ。
「NATOは、公式にも、非公式にも、東に拡張すべきではありません」とサイツは付け足していた。
英国代表の1名もその「一般的合意」があったことについて言及していた。その代表は、東欧諸国がNATO加盟国になることは「受け入れられません」と発言していた。
「2+4外相会議の交渉中に明らかにしたことは、エルベ川(ママ)を越えてNATOが拡張することはないということでした」と西独のユルゲン・フロボグ(Juergen Hrobog)外交官は語っていた。「従って私たちはポーランドなどの東欧諸国にNATOに加盟すよう申し出ることはできませんでした。」

この議案書によれば、同外交官が言っていたのはオーデル川のことであることが後に判明している。
オーデル川は東独とポーランドの国境を流れている。フロボク外交官がさらに述べたのは、 西独のヘルムート・コール(Helmut Kohl)首相と、ハンス=ディートリヒ・ゲンシャー 外相もこの立場に同意していたという事実だった。
この議案書は英国国立公文書館で、ジョシュア・シフリンサンさんが発見したものだ。シフリンサン氏は、米国ボストン大学の政治科学の教授だ。 この議案書には、㊙のマークが付けられていたが、いつかの時点で開示されていた。
シフリンサン氏は2月18日にこうツイートしている。「私は名誉あることに、デア・シュピーゲル誌と共同してこの文書に携わることになりました。この文書が示しているのは、西側諸国の外交官たちの考えでは、NATOが拡張しない誓約を本当に結んでいたという事実です。」
Honored to work with @derspiegel's Klaus Wiegrefe in drawing attention to British documents (cc: @UkNatArchives) from 1990-1991 showing senior Western diplomats believed they had indeed made a NATO non-enlargement pledge. Link below:https://t.co/hep8aCKRrM
— Josh Shifrinson (@shifrinson) February 18, 2022
「各国政府の高官たちは不拡張の誓約が出されていたことを否定しています。しかしこの新文書の記載内容は、それとは矛盾します」とシフリンサン氏は次のツイートで書いている。さらに、「エルベ川であれ、オーデル川であれ、その基準を「越えて」、NATOはそのたった8年後に拡張を始めています」ともツイートしている。
2021年12月の大規模な記者会見において、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、西側諸国はソ連に対しNATOは「1インチも」東に拡張しないことを約束していたのにも関わらず、ロシア政府に対して「厚かましくもその約束を反故に」し、「抜け駆け」のようにその行為をやってのけた、と発言していた。
このプーチン大統領の発言に対してイェンス・ストルテンベルグNATO事務総長が語ったのは、NATOは「拡張しないという約束をしたことはありません」というものだった。後に受けたデア・シュピーゲル誌からのインタビューでも、ストルテンベルク事務総長はこう繰り返していた。「そんな約束は存在しませんでしたし、そんな裏取引もありませんでした。ただの偽情報です」と。
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Lavrov labels Western ‘Russia invasion’ claims ‘propaganda, fakes and fiction’
NATOはポーランドとハンガリーとチェコの加盟を1999年3月に認めているが、それは国連の安保理の許可なしにユーゴスラビアに空爆を開始した直前だった。この拡張により、NATOはロシアの国境と直接接することになった。接しているのはロシアの飛び地のカリーニングラードだ。これが史上始めてとことだった。次に拡張が行われたのは、2004年のことで、旧ソ連共和国のエストニアとラトビアとリトアニアが加盟した。このことでNATOの東端が、セントペテルスブルクからたったの135キロ(84マイル)にまで迫った。
12月に発表された一連の安全保障上の提案の中で、ロシアはNATOに旧ソ連共和国であるウクライナとジョージアを加盟させないことを正式に求め、なによりも米軍を1997年時のNATOの境界線まで戻すことを求めていた。しかし米国もNATOもこの要求を飲まず、NATO加盟の基本原則は「開かれたドアである」と反論していた。
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