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クリス・ヘッジズ:アサンジ裁判は、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ

クリス・ヘッジズ:アサンジ裁判は、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ

<記事原文 寺島先生推薦>
Chris Hedges: The Assange case is the most important battle for press freedom in our time




RT

2021年10月29日

クリス・ヘッジズ(Chris Hedges)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2022年1月1日

ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジの支持者が、プラカードや横断幕を持って、英国ロンドンの王立裁判所前で抗議行動(2021年10月28日撮影)


Chris Hedges is a Pulitzer Prize-winning journalist and host of RT’s On Contact, a weekly interview series on US foreign policy, economic realities and civil liberties in American society. He’s the author of 14 books, including several New York Times best-sellers.

 もしジュリアン・アサンジ(Julian Assange)が送還され、機密資料の公開で有罪となれば、国家安全保障関係の報道は実質的にできなくなる法的前例を作ることになるだろう。

  この2日間、ジュリアン・アサンジの引き渡し審問をロンドンからのビデオリンクで見ていた。米国は、アサンジの引き渡し要求を却下した下級審判決を不服として控訴している。却下した理由は、残念ながら、裁判所の目から見て彼が無実だからではなく、1月のヴァネッサ・バライツァー(Vanessa Baraitser)判事判決の結論にあったように、非人道的な米国の刑務所システムの「過酷な条件」からアサンジの不安定な心理状態が悪化して「自殺に至る」可能性があるためなのだ。米国は、アサンジをスパイ活動法に基づく17の訴因と、政府のコンピューターに侵入しようとした1つの訴因で起訴し、彼は175年間の刑期を言い渡される可能性がある。

 白髪の長髪のアサンジは、初日、ベルマーシュ刑務所のビデオ会議室からスクリーンに登場した。白いシャツを着て、首のネクタイはほどけていた。やせ細り、疲れているようだった。裁判官たちは、彼が法廷に現れなかったのは、「高用量の薬物投与」を受けていたからだと説明した。2日目、どうやら刑務所のビデオ会議室には姿を見せていない。

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‘If they destroy the free press, they destroy the world,’ Roger Waters says after UK court adjourns to rule on Assange extradition


 アサンジがアメリカに引き渡されようとしているのは、ウィキリークスが2010年10月に「イラク戦争日誌」を公開したからだ。この記録には、数多くの米国の戦争犯罪が記録されていた:

①2人のロイター通信記者と10人の非武装市民が銃殺された「巻き添え殺人」ビデオの映像、
②イラク人捕虜に対する日常的な拷問、
③数千人の民間人の死の隠蔽、
④米国の検問所に近づきすぎた700人近い民間人の殺害、
などだ。

 彼はまた、他のリーク、特にCIAが使用しているVault 7と呼ばれるハッキングツールを暴露したことで、米国当局の標的になっている。このツールにより、CIAは自動車、スマートテレビ、ウェブブラウザ、ほとんどのスマートフォンのOS、およびMicrosoft Windows、macOS、LinuxなどのOSに不正アクセスできてしまう。

 もしアサンジが引き渡され、機密資料の公開が理由で有罪となれば、アメリカ政府はスパイ活動法を用いて機密文書を所持する記者や機密情報を漏らした内部告発者を告発できるようになり、国家安全保障の報道が事実上終了する法例となる。

 米国による控訴が認められれば、アサンジはロンドンで再審されることになる。(しかし)控訴審の判決は少なくとも1月まで出ない見通しだ。

 2020年9月のアサンジ裁判に、アサンジは、ロンドンのエクアドル大使館での7年間を含む12年間の拘束を経て、いかにも痛々しい、弱りきった姿を晒した。彼は過去に手首を切って自殺未遂をしたことがある。幻覚やうつ病を患い、抗うつ薬や抗精神病薬のクエチアピンを服用している。彼が倒れるまで独房を歩き回り、自分の顔を殴り、壁に頭を打ち付ける様子が観察された後、彼は数ヶ月間ベルマーシュ刑務所の医療棟に移送された。刑務所当局は、彼の靴下の下に隠された「剃刀の刃の半分」を発見した。彼は 「1日に何百回も」自殺を考え、サマリタンズが運営する自殺ホットラインに何度も電話をかけている。

 米国側弁護士のジェームズ・ルイス(James Lewis)は、2020年9月に裁判所に提出されたアサンジに関する詳細かつ自分たちに都合の悪い医療・心理報告書を信用せず、代わりに彼を嘘つきで仮病をつかっている人物として描き出そうとした。彼は、引き渡しを禁止したバライツァー判事の決定を非難し、彼女の能力を疑問視した。そしてアサンジと同じように米国で特別管理措置(SAM)を受け、スーパーマックス刑務所で事実上隔離されている高セキュリティ囚が心理的苦痛を受けているという証拠の山をルイスはあっさりとはねつけた。彼は、アサンジを診察し弁護側の証言をしたキングス・カレッジ・ロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所のマイケル・コペルマン(Michael Kopelman)名誉教授を、ロンドンのエクアドル大使館に避難している間にアサンジが婚約者のステラ・モリス(Stella Moris)と2人の子供をもうけたことを「隠蔽」したとして、詐欺罪で告発した。ルイスは、もしオーストラリア政府からアサンジ引き渡しの要請があった場合、控訴案件がすべて出尽くした後であれば、母国であるオーストラリアで刑に服することができると語った。しかし、アサンジが隔離されたり特別管理措置(SAM)を受けたりすることはない、と約束するまでには至らなかった。

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US appeal hearing to extradite Julian Assange concludes in UK High Court with no immediate ruling               

 ルイスが繰り返し引用した、アサンジが米国で拘束され裁判にかけられる条件を説明する権威者とは、バージニア州東部地区の米国弁護士補ゴードン・クロンバーグ(Gordon Kromberg)である。クロンバーグは、テロと国家安全保障に関する事件ではアメリカ政府の「大審問官」である。彼はイスラム教徒とイスラム教を公然と軽蔑し、彼が言う「アメリカの司法制度のイスラム化」を批判している。彼はパレスチナの活動家で学者のサミ・アル=アリアン(Sami Al-Arian)博士に対する9年間の迫害を監督し、ラマダンという宗教的祝日には裁判の期日を延期するよう求めた申し出を拒否したこともある。「ラマダン中に殺し合いをすることも、大陪審に出廷することもできる。日没前に食事をすることだけは許されない」と、2006年の会話でクロンバーグは言ったと、アリアンの弁護士の一人であるジャック・フェルナンデス(Jack Fernandez)が提出した宣誓供述書に書かれている。

 クロンバーグは、最近、無人偵察機による民間人の無差別殺戮に関する情報をリークしてスーパーマックス(超厳重警備)刑務所での45ヶ月の刑を受けた元空軍分析官ダニエル・ヘイル(Daniel Hale)を批判し、ヘイルは公共の議論に貢献したのではなく、「戦いをする人々を危険にさらした」のだと述べている。クロンバーグはウィキリークスを調査する大陪審の前での証言を拒否したチェルシー・マニング(Chelsea Manning)を収監するよう命じた。マニングは2020年3月、バージニア州の刑務所に収容されている間に自殺を図っている。

 2006年にロンドンで逮捕されたサイード・ファハド・ハシュミ(Syed Fahad Hashmi)の事件を取材した経験から、もしアサンジが送還されたら何が待っているのか、私はよく分かっている。ハシュミもベルマーシュに収容され、2007年に米国に送還され、SAM(特別管理措置)のもと、3年間独房で過ごした。彼の「罪」は、ロンドンの大学院生時代に彼のアパートに一緒に滞在した知人が、アパートの荷物の中にレインコート、ポンチョ、防水靴下などを入れていたことだ。その知人は、それらの品々をアルカイダに届けるつもりだったのだ。しかし、防水靴下がパキスタンに送られることをアメリカ政府が気にしていたとは思えない。ハシュミが標的にされた理由は、パレスチナの活動家サミ・アル=アリアン博士やアサンジのように、ブルックリン大学の学生だったころ、イスラム圏で爆撃、銃撃、テロ、殺害されている人たちを大胆不敵にも熱心に弁護していたからではないか、と私は考えている。

 ハシュミは深い信仰心を持ち、アフガニスタンのレジスタンスを賞賛するなど、その意見には賛否両論があったが、彼にはこうした感情を表明する権利があった。もっと重要なことは、当然の権利として、自分の意見を表明しても迫害や投獄をされることはない、と期待する自由を彼が持っていたことだ。それはちょうどアサンジが他の出版人と同様に、権力の内部構造について大衆に情報を提供する自由を当然持っていることとまったく同じだ。70年の実刑判決の可能性に直面し、すでに4年間を刑務所で過ごし、その大半を独房で過ごしたハシュミは、テロリズムへの物質的支援共謀という1件については司法取引に応じた。ハッカーのジェレミー・ハモンド(Jeremy Hammond)と人権弁護士のスティーブン・ドンジガー(Steven Donziger)に判決を下したロレッタ・プレスカ(Loretta Preska)判事は、彼に最高刑の15年を言い渡した。ハシュミは、コロラド州フローレンスにあるADXフローレンス刑務所(連邦刑務所)に、グアンタナモ刑務所と似た条件で9年間拘束された。アメリカの裁判所でアサンジが有罪となれば、ここに収監されることはほぼ確実である。ハシュミは2019年に釈放された。

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 ハシュミが何とか持ちこたえた未決拘留条件は、彼を破滅させるような建付けになっていた。彼は1日24時間、電子的に監視されていた。メールの送受信は肉親との間でしかできなかった。壁越しに他の囚人と話すことは禁止。集団礼拝に参加することも禁止。運動は1日1時間だけ。それも新鮮な空気のない独房の中で。彼は、自分が起訴された証拠品のほとんどは、「機密情報手続き法」に基づいて機密扱いにされたため見ることができなかった。これは、米国の諜報員が起訴された場合、その諜報員が法的手続きを自分の都合のいいようにするために「国家機密を明らかにする」、と脅すのを防ぐために制定されたものである。その過酷な環境は、彼の肉体的、精神的な健康をむしばんだ。有罪を認める最後の法廷に現れたとき、彼はほとんど緊張性状態にあり、自分についての法的手順が進行しているにも関わらず、明らかにそれが分かっていない状態であった。

 もしアメリカ政府が、アルカイダに防水靴下を送ることに関与したとされる人物をここまで迫害するなら、アメリカ政府はアサンジに対し、何をしでかすことになるのだろうか?

 真実を語ることを禁じた社会は、正義の中で生きる力を消滅させる。アサンジの解放を求める戦いが、一人の出版人への迫害などというレベルをはるかに超えたものであることははっきりしている。それは、今日、報道の自由にとって、最も重要な戦いだ。この戦いに敗れれば、アサンジとその家族だけでなく、私たちも壊滅的な打撃を受けることになるだろう。

 専制君主は法の支配を逆転させる。彼らは法を不正の道具に変えてしまう。 彼らは自分たちの犯罪を虚偽の合法性で覆い隠す。裁判所や裁判の礼儀正しさを利用して、自分たちの犯罪性を覆い隠す。アサンジのように、その犯罪性を人々に暴露する輩は危険なのだ。というのも、合法性という口実がなければ、専制政治は信用を失い、恐怖、強制、暴力以外何も彼らには残らないからだ。アサンジとウィキリークスを敵視する長期間に亘る運動は、法の支配の崩壊、つまり政治哲学者シェルドン・ウォリン(Sheldon Wolin)が「逆全体主義」と呼ぶシステムの台頭を見ることのできる窓となっている。この全体主義は、制度や図像、愛国的シンボル、レトリックなど、古い資本主義民主主義の虚構を維持しながら、内部ではグローバル企業や安全保障・監視国家の命令に完全支配を明け渡している。

 アサンジを刑務所に拘束する法的根拠はゼロだ。オーストラリア市民の彼を、米国のスパイ活動法の下で裁く法的根拠はゼロだ。CIAは、大使館の警備を請け負ったスペインの会社UCグローバルを通して、エクアドル大使館にいるアサンジをスパイしていた。このスパイ行為には、アサンジと彼の弁護団が弁護について話し合う際の特権的な会話の録音も含まれていた。この事実だけでも、この裁判は無効になる。国連拷問特別報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)が証言しているように、アサンジが厳重警備の刑務所に収容されているのは、アメリカという国家が卑劣な虐待と拷問を続けられるからであり、肉体的にはともかく精神的には崩壊させることを望んでいるからだ。帝国主義の立役者、戦争の支配者、企業に支配された立法府、司法府、行政府、そしてマスコミの卑屈な廷臣たちは、重罪を犯している。この単純な真実をいったん口にすると、多くの人がそうであったように、みんなメディア界の片隅に追いやられる。それが真実であることを証明すれば、アサンジ、チェルシー・マニング、ジェレミー・ハモンド(Jeremy Hammond)、エドワード・スノーデンのように、みんな追い詰められ迫害される。彼らが権力の内部を私たちに垣間見させてくれたのだ。

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Caitlin Johnstone: The Assange persecution lays out Western savagery at its most transparent

 アサンジの「罪」とは、報道されていない1万5000人以上のイラク市民の死を暴露したことである。彼は、グアンタナモ刑務所で14歳から89歳までの約800人の男性や少年が拷問・虐待を受けていることを暴露した。ヒラリー・クリントンが2009年に米国の外交官に命じて、潘基文国連事務総長や中国、フランス、ロシア、英国の国連代表に対するスパイ活動をさせたことを暴露した。DNA、虹彩スキャン、指紋、個人パスワードの入手を含むスパイ行為、2003年の米国主導のイラク侵攻前の数週間にコフィ・アナン(Kofi  Annan)国連事務総長への盗聴を含む、昔から行われている違法監視方式の一端を暴露した。彼は、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、そしてCIAが、2009年6月にホンジュラスで起きた軍事クーデターを画策し、民主的に選出されたマヌエル・セラヤ大統領を失脚させ、腐敗した人殺し軍事政権に取って代わらせたことを暴露した。

 彼は、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、そしてデビッド・ペトレイアス(David Petraeus)将軍が、ニュルンベルク裁判後の法律では犯罪的な侵略戦争と定義されるイラク戦争を遂行し、イエメンの、米国市民を含む、何百人もの標的暗殺を認可したことを暴露した。彼は、米国がイエメンに対して密かにミサイル、爆弾、ドローンによる攻撃を行い、多数の民間人を殺害したことを暴露した。ゴールドマン・サックスがヒラリー・クリントンに65万7000ドル(賄賂としか思えないほどの大金)を支払って講演させたこと、彼女が金融規制と改革を国民に約束しながら、企業のリーダーたちには内々に彼らの言いなりになると確約したことを暴露した。英国労働党のジェレミー・コービン党首の信用を失墜させ、その政治生命を絶つための党内運動があったことを暴露した。CIAと国家安全保障局が使用するハッキングツールが、私たちのテレビ、パソコン、スマートフォン、アンチウイルスソフトを政府が全面的に監視し、暗号化されたアプリからでも私たちの会話、画像、プライベートなテキストメッセージを記録・保存することを可能にしていることを暴露した。

 彼が暴露したのは真実だ。真実を繰り返し、徹底的に、飽くことなく暴露し続け、ついにはグローバルな支配エリートならではの法律無視、腐敗、そしてうそについて、疑問の余地がまったくないところまで暴き出した。そして、これらの真実だけを理由として、彼は罪ありとされている。

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