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米軍関連企業が不正と癒着で何兆もの税金を無駄にしてきた

米軍関連企業が不正と癒着で何兆もの税金を無駄にしてきた

<記事原文 寺島先生推薦>
Shocking report exposes how US defense contractors have wasted trillions through fraud and corruption

Russia Today 2021年9月15日

キット・クラレンバーグ(Kit Klarenberg)

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年10日25日


By Kit Klarenberg, an investigative journalist exploring the role of intelligence services in shaping politics and perceptions. Follow him on Twitter @KitKlarenberg

 ブラウン大学から新しく発表された「戦争による利益」という報告書が詳述しつくしているのは、この20年間の米国の「テロとの戦い」の中で、米国政府の放漫な軍事費運営により繰り広げられた驚くべき腐敗の状況だ。

 この報告によれば、2001年10月のアフガニスタンへの侵攻以来、国防総省は14兆ドル以上の軍事費を支出してきた、とのことだ。2002年から2003年にかけての米国の軍事費予算は、米国以外の世界の全ての国々の予算の総計を上回っていた。そして、その総軍事費予算の3分の1から2分の1は、軍事関連業者の懐に入った、とのことだ。これらの軍事関連業者が行っていた業務は、兵站任務と戦後の再建業務、さらには、民間警備業務と武器についての業務だ。それらの業務とともに、これらの民間委託業者は、「疑問を持たれるような業務や癒着」を常態的に行っており、その中には不正や、権力の乱用や、価格の吊り上げ行為や、不当利益行為も含まれていた。

 戦争状態にあるということは、通常の契約手続きを誤魔化せるということだ。入札者や、入札、その後の配達などが、厳密な監視の目から逃れられる可能性があるということだ。従って、業者にとって見れば、国防総省から大金をせしめるのは極めて容易だったのだ。政府との繋がりが強い業者は特にそうだった。

 ロッキード・マーティン社や、ボーイング社や、ジェネラル・ダイナミクス社や、レイセオン社や、ノースロップ・グラマン社は、近年国防総省が結んでいるすべての契約のうち4分の1から3分の1の契約を得ている。このことと、過去5名の国防長官のうち4人がこの「五大会社」での勤務体験があったという事実は、偶然でないことは明らかだ。

 この報告が集中して槍玉にあげているのはハリバートン社だ。この会社は競合のない不定期契約を政府と結んでいて、外国に赴いている米軍の支援を幅広く行っていた。具体的には、軍基地の建設や運営、設備の維持、食事の運搬、衣類の洗濯などの業務を行っていた。2003年の国防総省の内部報告によると、この会社は基本的な商品やサービスに関してとんでもない費用の吊り上げを行っており、その規模は何千万ドル規模だったとのことだ。さらに基地の建設では不正工事を行い、兵士たちを危険に晒した、とのことだった。

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 ハリバートン社が、実際は行わなかった業務についての費用を請求したことも数回あった。例えば2009年には、ハリバートン社が、食事数を実際の36%水増しした費用を国防総省に請求していた。またハリバートン社のきちんとしていない業務のせいで、人の命に関わる被害を出したこともあった。この報告書によれば、2004年から2008年の間にハリバートン社が建設したイラク各地の軍事基地で、少なくとも18人の兵士たちが感電死したとのことだ。同社による手抜き工事が原因だった。

 その死者の中に、1名のグリーン・ベレー(米軍特殊部隊)も入っていた。その兵士はシャワー中に感電死したのだ。そのことを受けて、米国議会はこの件に関する調査を行うことになった。その調査の結果分かったことは、この特殊部隊員が亡くなるほぼ1年前からこの基地には「電気関係の深刻な異常」が発生していたというのだ。しかしハリバートン社はそのような状況の改善を全くしていなかった。その理由は、米国と結んだ契約書には、「故障が生じる可能性があるものを修理する義務」が書かれていなかったからだ、とのことだった。同社はさらにきちんと訓練を受けていなかったり、経験のない低賃金の電気工事士を雇っていたのに、米国政府には専門家を雇う人件費を請求していた。

 2000年代中盤にFBIや、司法省や、国防総省の監察官によりイラクでのハリバートン社の業務について犯罪捜査が行われたにもかかわらず、有罪判決を受けた被雇用者は誰もいなかったし、政府との契約はその後も増え続け、ハリバートン社の業務に関して数多くの懸念を示した或る公務員は降格させられていた。

 この会社が訴追されることから免れた理由は、当時のディック・チェイニー副大統領にあるといっていいだろう。彼は1995年から2000年まで同社のCEOをつとめていたのだ。さらにチェイニーは何百万ドルもの価値を持つ自社株を所有していて、「テロとの戦い」が始まった際には、自身が政府で果たす役割と引き替えに多額のドルを受け取っていた。

 チェイニーは1992年に実施された米国の軍関連の業務の幅広い民営化にも力を貸していた。国防長官であったチェイニーの指揮の下、国防総省はハリバートン社の親会社に3千9百万ドルを支払い、紛争の危険がある海外での兵站業務が、契約を受けた民間会社により、どのように運用できるかの報告をあげさせていた。

 アフガニスタンにおける、不正や、無駄遣いや、権力乱用事件の数々も、この「戦争による利益」という報告で詳述されている。具体的には、米国政府が指定した経済対策委員会に4千3百万ドルを投じて給油所を作っていた。しかしその給油所が使われることはなかった。さらには1500万ドルを投じて、経済助言者たちの豪華な居住地を作った。そして300万ドルを投じてアフガニスタン警察のための警備艇を作った。この警備艇も使われることはなかった。

 米国議会の捜査報告書によると、米国政府との契約により、20億ドルという大金の輸送関連整備費が用意されたが、最終的にはそのお金は部族軍長たちや、警官たちや、果てはタリバンへの袖の下に回されてしまっていた。時には車両1台につき1500ドルも請求され、300台のトラックからなる部隊一つについては、最大50万ドル用意されていた。2009年に、当時のヒラリー・クリントン国務長官はこう発言していた。「このような防衛費がアフガニスタンの軍閥にとっての大きな資金源の一つである」と。

 かといって中小契約企業が防衛の役割をきちんと果たしていたというわけではない。例えば、9-11の後に設立された、元アーミー・レンジャー(米軍秘密特殊部隊)の一員や、元CIAの工作員により資金提供された会社が、契約を勝ち取った。この会社の最初で最後の仕事がバグダッド空港の警備業務であり、イラクの旧貨幣を回収し、その貨幣を使えなくする業務だった。この会社の重役たちは、空港を保安する業務についたことはなく、事前訓練を受けていないガードマンを雇ったり、アラビア語を話せる通訳を雇うことさえしていなかった。さらには爆発物を検知できる警備犬さえ用意していなかった。

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 この会社は、ウンム・カスル市で発生した銃撃戦の対策も任されていた。この銃撃戦では一般人の車両や人がたくさん乗っていたバスが燃やされたが、この銃撃戦を止められたのは地方当局であり、英国軍が介入したおかげだった。幸運にも死傷者は出なかった。何の懲戒処分も行われなかった。というのも現地担当者たちが、目撃者たちに口止め料を払っていたからだ。

 カスター社のCEOは自身に年間3百万ドルの報酬を支払い、現地職員は超豪華な家屋に住み、彼らの集団住宅にはプールと、空調施設と、無線インターネットが完備されていた。いっぽう当時の米軍兵士たちはテントや放棄家屋に住むのが普通だった。2004年には、この会社の相談役がこの会社の内部資料を内部告発したが、それによると、過剰請求、偽装賃貸物件の設置、費用の請求、ダミー会社の設立などが、カスター社により行われていたことが明らかになった。この会社は米国政府と契約を結ぶことをそれ以降禁じられたが、罰金はたったの1万ドルだった。

 それでもこの事例の反響は、企業側にはいいように受け取られているようで、米軍と契約を結んでいる主要企業は、「テロとの戦い」期間中は、米軍関連業務に関して金銭面で苦労したり、資金不足が生じたり、犯罪者として裁かれる危険はない、と踏んだようだ。さらに米国政府も、このカスター社の事例から何も学んでいないようで、実際はその真逆だ。この報告書によれば、軍事関連業者は「様々な手を駆使して、国防総省が企業側に資金を渡すという決定を行うよう影響を与えていた」とのことだ。

 最も問題になるのは、企業側が行っている非常にお金をかけた広範なロビー活動だ。国防総省と契約している業者は、2001年以来、2億8500万ドルを投じてロビー活動を行ってきた。特に力を入れていたのが、大統領選であり、議会指導部の選挙であり、軍関係の重役の選出であり、歳出委員会の選出だった。さらにこれらの関連業者は9-11以来、25億ドルを投じてロビー活動を行い、ここ5年間で、1年平均それぞれ700人以上のロビー活動担当者を配してきた。その数は、米国議会議員の総数を上回っている。

 この報告書によれば、これらのロビー活動者たちの多くは、政府当局と民間業者との「回転ドア」をくぐってきた人々だ。政府側のドアは、議会や、国防総省や、国家安全保障会議などの機関だ。これらの機関は米軍予算の規模や領域を決める際に重要な役割を果たす機関だ。企業側の重役たちは議員たちをうまく買収していることをあけすけに自慢さえしている。2001年10月に、当時ボーイング社の副社長だったハリー・ストーンサイファーはこう豪語していた。「この国を守るために私たちが必要としている資金を投じることに賛成しない議員は、次の11月の選挙後は、別の仕事を探すことになるでしょう」と。

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 「テロとの戦い」が終結したように見える現状において、「中国がもたらしている軍事危機」が必要以上に強調され、国防関連の契約を結ぶことが合理的な選択であると解されている。そんな中、軍事関連業者は、すでにふくれあがっている米国の軍事予算をさらに膨らまそうとしている。

 2019年に、米国国家防衛戦略が出した人騒がせな報告書においては、中国の脅威を理由として、国防総省の年間予算を3~5%上乗せする提案がなされていた。それ以来、この数字が、政府や、政策立案機関や、メディアのタカ派からお経のように繰り返されている。この報告書の記載によれば、12名の委員のうち9名が、軍事関連業者と、直接、または間接的につながりを持っていることがわかる。

 このような状況においては、アイゼンハワー大統領の離任演説が思い返される。その演説の中で、大統領は予言的な発言をしていたのだ。しかしその予言は明らかに無視されたのだが。その内容は、軍事関連業者の持つ勢力の増大を警告するものだった。

 「我が国は、巨大な規模の恒久的な軍事関連産業を作り出さざるを得ませんでした。さらに、直接軍事関連の仕事に就いている男女は350万人います。我が国の年間軍事費だけで、米国内のすべての企業の総収入を超えています」と大統領は自身の政権運営を振り返った。「すべてに対する影響力、具体的には経済面、政治面、さらには心理面においてもですが、この軍事に関することがすべての都市、すべての州議会、すべての連邦当局において念頭に置かれています。軍事に関する不当な影響力から、政府を守らなければなりません。それは意図的な影響力であっても、意図的でない影響力であっても、です。そうです。軍産共同体からの影響力からです」。


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