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コロナウイルス、ワクチン、そしてゲイツ財団

コロナウイルス、ワクチン、そしてゲイツ財団

<記事原文 寺島先生推薦>

Coronavirus, Vaccines and the Gates Foundation


グローバルリサーチ(Global Research)

2021年7月24日

F・ウィリアム・エングダール(F・William・Engdahl)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年9月25日



<2020年3月20日にグローバルリサーチが最初に発表した重要な記事>

 まず間違いなく、ビル・ゲイツとビル&メリンダ・ゲイツ財団ほど、コロナウイルスに対処するためのワクチンの研究を積極的に推進し、資金を提供してきた人はいない。武漢での発生が発表される数週間前に、コロナウイルスの世界的な大流行のシミュレーションを後援したり、一見新型ウイルスと思われるものに対する新しいワクチンを開発しようとする多くの企業の取り組みに資金を提供したりなど、ゲイツの存在感は抜群だ。実際にはどのような内容になっているのか?

 少なくとも、ビル・ゲイツ(Bill Gates)が予言的な言動をしてきたことはぜひとも認める必要がある。世界的な殺人パンデミックが到来し、我々はその準備ができていないと、彼は何年も前から主張してきた。2015年3月18日、ゲイツはバンクーバーで伝染病に関するTEDトークを行った。その日、彼は自身のブログに「最近よく勉強しているテーマ、疫病について簡単な講演をしてきました」と書いている。西アフリカで発生しているエボラ出血熱は悲劇であり、これを書いている時点で1万人以上の人が亡くなっています」。ゲイツはさらに、「今回の流行もひどいものでしたが、次の流行はもっとひどいものになるかもしれません。大量の人々がすぐに感染するような病気(例えば、特に病原性の強いインフルエンザ)に対処する準備が、世界にはできていません。1,000万人以上の死者を出す可能性のあるものの中で、圧倒的に可能性が高いのが伝染病です」と述べている。

 同じ年の2015年、ビル・ゲイツはthe New England of Medicineに『次の伝染病:エボラ出血熱からの教訓』と題した記事を寄稿した。そこで彼が述べているのは、特殊な種類に属する医薬品のことだ。その医薬品の中には「患者に特定のRNAをベースにした構成物を注入し、患者が特殊なたんぱく質(抗体を含む)を作り出すことを可能にするものも含まれる。これは非常に新しい分野だが、有望だ。なぜなら、安全な治療法を設計し、迅速に大規模な製造を行うことができる可能性があるからだ。更なる基礎研究を積み重ね、ModernaとCureVacのような会社が発展すれば、この新しい分野は伝染病阻止のための決め手となるだろう。」両社は、現在ゲイツ財団から資金提供を受けており、mRNAをベースにしたCOVID-19ワクチンの承認取得に向けたレースの先頭を走っている。


2017年とCEPIの創設


 実際、インフルエンザに似た世界的なパンデミックは、ゲイツと資金潤沢な彼の財団が何年もかけて準備してきたものだ。2017年のダボス世界経済フォーラムで、ゲイツはノルウェー、インド、日本、ドイツの各国政府、英国のウェルカム・トラストとともに「CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations感染症流行対策イノベーション連合)」というものを立ち上げた。その目的は、将来の疫病の発生を抑えるために必要なワクチンの開発を促進することにあると謳いあげている。彼は当時、「ワクチン開発研究の有望な分野の一つは、ゲノミクスの進歩を利用して病原体のDNAとRNAの遺伝子情報を解読し、ワクチンを作ることです」と述べている。話はそこに戻る。

イベント201

 2019年になると、ビル・ゲイツと財団は、自分たちのパンデミック・シナリオ実現にしゃかりきとなっていた。彼は、不気味な想像上のシナリオとなるNetflixのビデオ映像を作成した。「解釈編」シリーズのひとつであるこの動画は、中国のウェットマーケットで生きた動物と死んだ動物が積み重なり、致死性の高いウイルスが噴出して世界的に広がる様子を想像したものだ。ゲイツはビデオの中で専門家として登場し、「何百万人もの人々を殺すようなものが出てくるとしたら、パンデミックが私たちの最大のリスクです」と警告している。パンデミックへの準備を何もしなければ、将来世界が過去を振り返ったときに、ワクチンの可能性を秘めたものにもっと投資しておけばよかったと思うときが来るだろう、と述べている。それは、コウモリと中国の武漢にある生き物を扱うウェットマーケットのことが世界に知られる数週間前のことだった

 2019年10月、ゲイツ財団は世界経済フォーラム、ジョンズ・ホプキンス・センター・フォー・ヘルス・セキュリティと共同で、世界の公衆衛生の第一人者たちを巻き込んだ「架空」のシナリオ・シミュレーションを実施した。タイトルは「イベント201」。

 彼らのウェブサイトによると、Event 201がシミュレートしているのは、「コウモリから豚、人へと感染する新しい人獣共通感染症のコロナウイルスが発生し、最終的には人から人へと高い確率で感染するようになり、深刻なパンデミックへと発展する。この病原体とそれによって引き起こされる病気はSARSを主にモデルとしているが、地域社会の枠組みに中では軽い症状の人々によってより感染が広げられる」ケースだ。

 イベント201のシナリオでは、ブラジルの養豚場で発生した病気が、低所得者層の地域に広がり、最終的に爆発的に感染流行となる。この病気は空路でポルトガル、アメリカ、中国などに運ばれ、どの国もコントロールできない状態になる。シナリオでは、最初の1年間は使えるワクチンはないと仮定している。「全人類が感染しやすいため、パンデミックの最初の数ヶ月間、累積患者数は指数関数的に増加し、週ごとの感染者数は倍となる。」

 シナリオは1年半後、架空のコロナウイルスが6,500万人の死者を出した時点で終了する。「感染しやすい人の数が減少すると、パンデミックは減速することになる。効果的なワクチンができるまで、あるいは全世界の人口の80~90%が感染するまで、パンデミックはある程度の割合で続くだろう」というのがイベント201のシナリオだ。

イベント201のプレイヤーたち

 2019年10月の、先見の明のあるゲイツ・ジョンズ・ホプキンス・イベント201の架空のシナリオも興味をそそられるが、それに世界はどう対応するかを想像することを議論するパネルディスカッションにどんなパネリストたちが招かれたのかも、同じように、興味深い。

 パネリストは「プレイヤー」と呼ばれたが、その中に、ジョージ・フ・ガオ(George Fu Gao)がいた。注目すべきは、ガオ教授が2017年から中国疾病予防管理センターの所長を務めていることだ。彼の専門は、インフルエンザウイルスの種間感染(宿主ジャンプ)に関する研究だ。・・・ また、ウイルスの生態、特にインフルエンザウイルスと渡り鳥や生きた家禽市場との関係や、コウモリ由来のウイルスの生態と分子生物学にも興味を持っている。 コウモリ由来のウイルスの生態・・

 ガオ教授に加え、オバマ政権下でCIA副長官を務めたアヴリル・ヘインズ(Avril Haines)もパネルに参加した。彼女は、オバマ政権下でCIA副長官を務めたほか、大統領補佐官や国家安全保障担当主席補佐官などを歴任している。また、ゲイツが中心となるこのイベントには、スティーブン・C・レッド(Stephen C.Redd)少将も参加していた。彼は米国疾病予防管理センター(CDC)の公衆衛生準備・対応部門の責任者である。まさにこのCDCは、米国内のCOVID-19の症例を検査するための十分な機能を持ったテストを用意していなかったことで、大きなスキャンダルの中心となっている。彼らの準備態勢は賞賛とは程遠いものだったのだ。

 続いて、スキャンダルまみれの巨大医療・製薬企業、ジョンソン・エンド・ジョンソンの副社長、エイドリアン・トーマス(Adrian Thomas)が参加している。トーマスは、エボラ出血熱、デング熱、HIVのワクチン開発など、J&Jのパンデミック対策を担当している。そして、ルフトハンザグループ航空会社の危機・緊急・事業継続管理責任者であるマーティン・クヌッヘル(Martin Knuchel)もいた。ルフトハンザは、COVID-19パンデミックの際、大幅な減便を行った主要航空会社のひとつだ。

 これらのことから、ビル・ゲイツは、1918年に発生した謎のスペイン風邪による死者数よりもさらに大きな規模の世界的なパンデミック発生の可能性(彼の言葉だ)について、少なくとも過去5年以上にわたって驚くほど気持ちを入れ込んでいたことがわかる。また、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が取り組んできたのは、最先端のクリスパー(CRISPR)*遺伝子編集技術などを用いた新しいワクチンの開発への資金提供だ。

クリスパー(CRISPR)*・・・DNAの中で、前後どちらから読んでも同じ並び方になる回文のような塩基配列が、反復している部分の集合体(英辞郎)

コロナウィルス・ワクチン

 ゲイツ財団の資金は、あらゆる方面のワクチン開発をバックアップしている。ペンシルバニア州のイノビオ製薬会社は、ゲイツ財団が支援するCEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)から900万ドルを受け取ってワクチン「INO-4800」を開発し、4月にヒトでの実験を開始しようとしているが、なぜこれほど急いてやる必要があるのか、と思わせるほどの速さだ。さらにゲイツ財団は、この新しいワクチンを皮内投与するための独占所有権を持ったスマートデバイスを開発するために、500万ドルを同社に追加支援した。

 また、CEPIを通じたゲイツ財団の資金は、メッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる今までにない新しいワクチン方法の開発にも使われている。

 彼らは、マサチューセッツ州ケンブリッジのバイオテクノロジー企業であるモデルナ社(Moderna Inc.)に、現在SARS-CoV-2と呼ばれている武漢新型コロナウイルスに対するワクチンを開発するための共同出資を行っている。モデナ社のもう1つのパートナーは、米国国立衛生研究所(NIH)に所属する米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)である。NIAIDのトップは、トランプ政権のウイルス緊急対応の中心人物だったアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)博士だ。ファウチ・ゲイツのモデルナ社製コロナ・ウイルスワクチン「mRNA-1273」について注目すべきは、年単位ではなく数週間という時間枠で事態が進行しており、2月24日にはファウチのNIHに直接このワクチンが送られ、マウスを使った治験を省略し、人間を使った治験が実施された。モデルナ社のチーフメディカルアドバイザーであるタール・ザックス(Tal Zaks)は、「動物モデルで証明することが、このワクチンを臨床試験につなげるためのクリティカル・パス(臨界経路)(訳注:物事の開始から終了までの最適経路_英辞郎)上にあるとは思えない」と主張した。
 
 また、モデルナ社が次の免責条項を自社のウェブサイト上で認めていることは注目すべき点だ:

 将来の見通しに関する特別な注意:・・・これらのリスク、不確実性、およびその他の要因には、特に以下のものが含まれます。・・・実用性を認可されたmRNA技術を利用した商業製品はまだまったく存在していません。

  言い換えれば、人の健康と安全性について全く証明されていないということになる。

 COVID-19のワクチンを開発するために、実証されていないmRNA技術を使っているもうひとつのバイオテック企業が、ドイツのCureVac社だ。2015年以降、CureVac社はゲイツ財団から資金を得て、独自のmRNA技術を開発している。1月には、ゲイツ財団が支援するCEPIが、新型コロナウイルスのmRNAワクチンを開発するために800万ドル以上の資金を提供した。

 さらに、WHOという官民一体の組織の最大の出資者がゲイツ財団とCEPIなどの関連団体であること、WHO史上初の医学博士号を持たない現所長のテドロス・アダノムがエチオピア政府の大臣を務めていた時にゲイツ財団と何年もHIVの研究をしていたことなどを考えると、現在のコロナウイルスのパンデミックにおいて、普遍的な存在であるゲイツの足跡が見当たらない地域は事実上ないと言えるだろう。それが人類のためになるのか、それとも心配すべきことなのかは、時間が解決してくれるだろう。

 

*

F. William Engdahl is strategic risk consultant and lecturer, he holdさs a degree in politics from Princeton University and is a best-selling author on oil and geopolitics, exclusively for the online magazine “New Eastern Outlook” where this article was originally published. He is a Research Associate of the Centre for Research on Globalization.

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