RTインタビュー番組「On Contact」:ジェスリン・ラダックに聞くーー米軍ドローン攻撃の内部告発
RTインタビュー番組「On Contact」:ジェスリン・ラダックに聞くーー米軍ドローン攻撃の内部告発
<記事原文 寺島先生推薦>
On Contact: Daniel Hale, whistleblower
クリス・ヘッジズ(Chris Hedges)(RT)(司会)
ジェスリン・ラダック(Jesselyn Radack)(回答者)
ロシア・トゥデイ(RT)
2021年7月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年9月10日
(訳者:インタビュー動画については原文サイトからご覧下さい)
今週の番組では、クリス・ヘッジズが、元情報アナリストのダニエル・ヘイルの起訴と判決について、彼の弁護士であるジェスリン・ラダックと議論した。
クリス・ヘッジズ(以下CH):On Contactへようこそ。今日のテーマは内部告発者ダニエル・ヘイル(Daniel Hale)への判決です。彼の弁護士であるジェスリン・ラダック(Jesselyn Radack)からお話を聞きます。
CH: 空軍のドローン・プログラムの元情報アナリストで、2013年に民間契約者としてドローン攻撃に関する約17の機密文書を報道機関にリークしたダニエル・ヘイルに、7月27日(火)、45ヶ月の禁固刑が言い渡されました。 The Interceptが公開した文書では、2012年1月から2013年2月にかけて、米国の特殊部隊による空爆で200人以上が死亡したことが暴露されています。 そのうち、あらかじめ意図された標的は35人だけでした。 資料によると、作戦期間中のある5カ月間、空爆で死亡した人の9割近くが意図されたターゲットではありませんでした。 通例戦闘行為には入らない無関係な民間人の死者も、判で押したように「作戦中の敵死者数」と分類されていたのです。
司法省は3月31日、2012年にアフガニスタンに派遣されていたヘイルに対し、「スパイ活動防止法」の1つの訴因で罪を犯したことを強引に認めさせました。「スパイ活動防止法」は1917年に制定され、国家機密を敵勢力に渡したものを訴追するためのものであって、政府の嘘と犯罪を国民に暴露する人間は対象になっていません。ヘイルは、司法取引の一環として、「国家安全保障情報の保持と伝達」と11部の機密文書をジャーナリストに漏洩したことを認めました。もし司法取引を拒否していれば、50年の懲役刑を受ける可能性がありました。
今回のヘイルへの判決は、報道の自由に致命的な打撃を与える可能性があります。直前には、チェルシー・マニング(Chelsea Manning)、ジェフリー・スターリング(Jeffrey Sterling)、トーマス・ドレイク(Thomas Drake)、ジョン・キリアコウ(John Kiriakou)など、スパイ活動防止法に基づいて告発され、投獄されています。これらの人たちは、秘密軍事施設に収容された容疑者に対する日常的な拷問を暴露したことにより、2年半刑に服しました。この法律の下で起訴された者は、あたかもスパイのように扱われます。法廷で自分たちの動機や意図を説明することは禁じられていますし、また、自分が暴露した政府の不法行為や戦争犯罪の証拠を法廷に提出することもできません。
共和党も民主党も超党派で報道機関を攻撃するーバラク・オバマ大統領が内部告発者に対して8回もスパイ活動防止法を使用したのは、過去の全政権を合わせても最多―ことは、国民に情報を提供しようとする組織内の人々を犯罪者扱いすることであり、わが国の民主主義にとって不吉なことです。権力の内部構造に関する調査を、事実上、消滅させています。
エドワード・スノーデンやジャーナリストなど、多くの著名な内部告発者を弁護してきたジェセリン・ラダック弁護士に、ヘイルのケースについてお話していただきます。 ジェセリンさん、まずヘイルの罪状についてお話ししましょう。また、私もお話したいし、あなたからお話もいただきたいのはこの裁判所の構造です。というのは、これらの事例はすべて最終的にはこの裁判所に持ち込まれたからです。
ジェスリン・ラダック(以下JR):はい。ヘイルが起訴されたのは第一次世界大戦中に制定されたスパイ活動防止法の5つの訴因についてです。スパイ活動防止法は、ご指摘通り、スパイやサボタージュを目的とした法律であり、メディアの情報源となる人々は対象になりません。 しかし、この法律は、メディアに情報をリークしたり、内部告発をしたりした人を取り締まるために他に類例のない使われ方をされてきました。そういった人々は、多くの場合、わが国の極秘中の極秘事項とか、闇の奥に押し込められた歴史などを白日の下に晒しました。つまり、拷問、戦争犯罪、令状なしの監視、選挙違反、そして今回はドローンによる無実の市民の暗殺などを暴いた人々に対して、この法律は使われてきたのです。 ヘイルが直面しているのはそのような状況です。
それからスパイ活動防止法が攻撃手段として使われてきたことは、ダニエル・ヘイルが3年の刑を言い渡された昨日の出来事に端的に表れていると思います。7年間にわたって政府が彼を追跡した後のことでした。 私の意見では、ダニエルが刑務所に入るなどとんでもなく、彼が行ったこと、経験したことに対して賞が与えられるべきだと思います。 しかし、政府が50年の刑期を望んでいたのに、3年の刑期しか与えられなかったという事実は、このようなケースにおける完全な過剰訴追、つまり過剰起訴と過剰訴追があることをはっきり示しています。 ダニエルの計算方法をアサンジ氏に適用した場合、アサンジに対して政府は175年の懲役を求刑していますが、その175年も実際政府が求めている刑期のわずか7%にしかなりません。
CH:この裁判所についてお話をしましょう。というのも、ダニエル・ヘイルが判決を受けて司法取引したこの裁判所は、ジュリアン・アサンジの身柄引き渡し、つまり米国による身柄引き渡し要請が成功した場合、ジュリアン・アサンジが審理される裁判所になるからです。
JR:はい。バージニア州東部地区連邦裁判所は、全米で最も保守的な裁判所です。 CIAやNSA(国家安全保障局)の裏庭でもあります。 この裁判所で陪審員になるようなほとんどの人は、政府の仕事をしているか、政府の仕事をしている人を知っている企業城下町です。 そして、これらの事件がなぜかすべてこの裁判所に送られてきています。 スパイ活動防止法に基づくすべての訴訟は、もっぱら、つまり基本的にはフォーラムショッピング(原告が有利になる法廷地を探すこと_英辞郎)ですが、その強硬さゆえにもっぱらこの裁判所で裁かれてきました。スパイ活動防止法の下では、公正な裁判を受けることはできません。 何よりも、この特別な法廷で審理されると、事件は完全に泥沼化し、秘密化されてしまいます。
CH: また、彼が司法取引を決めた理由や、弁護士として彼に裁判ではなく司法取引をするように促した理由についても話してください。
JR:ダニエルはまだ若いのです。司法取引をした時それは明確になりました。 最高で10年の懲役刑が科せられる1つの訴因を認めれば、いいですか、彼は少なくともその後の人生を取り戻すでしょう。 彼に司法取引を勧めたもう1つの理由は、スパイ活動防止法の下では公共の利益のための弁護という形は取れません。全然だめです。厳格な責任法なのです。 つまり、名声や利益、復讐のために報道機関に情報を提供しようが、政府が拷問や秘密の監視、戦争犯罪、この場合はアメリカ人を含む標的型暗殺について嘘をついていたから情報を提供したと言おうが、そんなことは問題にならないのです。 そう、それが、司法取引をするもう1つの理由です。 スパイ活動防止法下では抗弁は不可能です。
CH:詳細に入る前にお話ししたいのですが、彼がオグラディ(O’Grady)判事に書いた手紙の一部を読んでみたいと思います。 これはとても感動的な手紙ですね。制度そのものの健全性だけについてですが、あなたはこの件で先頭に立っていましたし、これまでにも多くのケースを取り扱ってきました。法の支配を守るためのあらゆる機関、ACLU(米国自由人権協会)だけでなく、PEN(国際ペンクラブ)やその他の機関、そして報道の自由、さらには法科大学院、つまり、法曹界はどこにあるのですか? 法曹界は法制度について何を語っているのですか?
JR:特に、スノーデンが経験したことを危機として利用し、利益を得ようとした団体には、非常に失望しました。 それ以上に、市民的自由を求める団体、人権団体、報道の自由を求める団体が嘆かわしいほど沈黙していたことには、信じられないほど失望しました。 今日、ACLUは、情報漏洩者を追及するのは良くない、ダニエル・ヘイルは良いことをした、と前向きな声明を出しました。 しかし、この5年間、彼らはどこにいたのでしょうか? ダニエルが起訴されたとき、私はACLUに連絡を取りましたが、ACLUはその件を引き受けませんでした。そして、私は今までそのことを公には言いませんでした。 そう、私は彼らに連絡を取ったのです。ACLUはスノーデンのことで寄付もあったし、利益も手にすることができたのです。それにもかかわらず、私にとっては失望の極みですが、ダニエルを抱きとめることもせず、支援もはるかにお粗末でした。最後は公選弁護人が弁護することになったのです。本当であれば当然手を携えるべき人々からのサポートはゼロでした。
CH:ロースクールの学部長たちはどうでしょうか? あなたはどこのロースクールに行ったのですか、エール大学? つまり、彼らは何をしているのでしょうか?
JR:ハイディ・キトロサ(Heidi Kitrosser)が頑張って調整をしていましたが、最終的には学識経験者による法廷助言書を提出することになったと思います。 繰り返しになりますが、ハイディはその調整をしていました。そしてそれは信じられないほど重要なことなのです。ロースクールには発言権があるだけでなく、もっと関与しようと思えばトップレベルの法律家や、喜んでこのようなケースに取り組んでくれる大勢の学生たちがいるのです。そして私が感じているのは, 政府がスパイ行為として起訴することで、本来ならば味方になってくれるはずのグループを遠ざける効果があるということです。ロースクールではこんな感じです。「ああ、つまり、何ですか、数千人の死者に責任のあるこの人物を支援するわけですね」、そしてこんな風に、つまり、恐怖を煽る戦術が取られているのです。・・・しかし、学識経験者たちはこの最前線に立つべきなのです。
CH:まず、彼の非常に力強い手紙について少しお話したいと思います。 みなさんに読んでいただきたいのです。この手紙は、良心を持った人がどれほど道徳的重荷を背負うことになるかを示す実に感動的な例です。 さて、彼は、アフガニスタンに派遣されて数日後、初めてドローンによる攻撃を目撃したときのことを語っています。 「その日の早朝、夜明け前に、パティカ州の山間部で、武器を持ち、お茶を淹れながら焚き火を囲む男たちが集まっていました。 彼らが武器を持っていることは、私が育った場所ではあり得ないことでしたし、ましてやアフガニスタン当局の支配が実質的に及ばない無法地帯の部族領に身を置くなどということはさらに想像外のことでした。 ただし、彼らの中にタリバンのメンバーと思われる人物はいました。彼のポケットには標的となる携帯電話の端末は入っていたのです。
残りの人間も、年齢的に武装兵士になりそうでした、敵戦闘員と思われる人物の前に座っていることが、疑惑の対象となる十分な証拠でした。 何の脅威も与えず、平和的に集まったにもかかわらず、お茶を飲んでいる男たちの運命は、ほぼ決まっていたのです。 突然、恐ろしいほどのヘルファイア・ミサイルが乱れ飛んできて、朝の山の中腹に紫色の明白に内臓とわかるものが飛び散ったとき、私は傍らでパソコンのモニターを見ているしかありませんでした。」 これは彼が何度も目撃し、ドローン・プログラムの性質とそれがどんな風に使われるのかについて言葉少なに語っていたことです。
JR:そうですね。 私は、ドローン・プログラムの何人もの内部告発者代理人をしています。 彼らの多くが苦しんでいるのは、遠隔地で戦争をしているからです。文字通り、バージニア州やネバダ州でビデオゲームをしているようなもので、人々を調査し、何日も何週間も彼らの生活を追いかけて、そして文字通り人間を蒸発させるのです。 ブーツを履いて地面に立つわけではない、実際に武器を持って彼らと一対一で戦っているわけでもないと考えても、兵士たちが感じるようなPTSD、つまり道徳的な傷が軽減されるわけではありません。 私が代表しているドローンの内部告発者の多くはPTSDを患っており、そのほとんどがPTSDのために退役軍人恩給を得ています。 その罪悪感は取り去りがたいもので、それが原因で、私のクライアントを含む多くの自殺者や自殺未遂者が出ています。
CH:そう、ここではっきりさせておきたいのは、ダニエル自身自殺願望があることを認めたことです。
JR:はい。
CH:後半は、内部告発者ダニエル・ヘイルに45ヶ月の懲役刑が下されたことについて、ジェセリン・ラダック弁護士との対談をお届けします。
CH:On Contactの後半になります。 内部告発者ダニエル・ヘイルについて、弁護士のジェセリン・ラダックさんとの対談を続けます。 私たちは休憩前に、スクリーン上で毎日毎日人を蒸発させることによる道徳的な気持ちの負担、心的外傷後ストレス障害(PTSD)について話していましたが、彼は手紙の中でこう書いています。 これはダニエル・ヘイルが判事に宛てた手紙です。 「自分の行動の正当性に疑問を持たない日はありません。 交戦規則に従えば、言葉も通じず、習慣も理解できず、犯罪も特定できない男たちを、私が行ったような陰惨な方法で殺すのを手助けすることは許されたかもしれません。
彼らが死ぬのをじっと見たらいいのです。 次の標的を狙いながら切れ目なく破壊行動をしてきた自分がどうして名誉なことをしてきたと考えられるでしょうか。私や他の人々にほとんど何の危険も及ぼさない無防備な人々を殺すために、次の機会を待ち続けたのです。 「名誉なこと」は脇に置いておきましょう。アメリカを守るためには、アフガニスタンに行って、わが国に向けられた9月11日の攻撃に責任のない人々を殺すことが必要だと考える人がいるでしょうか。 しかし、2021年、オサマ・ビンラディンがパキスタンで亡くなってから丸1年、私は、誤った情報を与えられた若い殺人者のひとりとなっていました。この世代は9/11の時はほんの子どもでした。」 この手紙の中で、彼は2つの点を指摘しています。 まず、1点目から見ていきましょう。 彼は請負業者の役割について語っていますが、派遣されている兵士や海兵隊員1人に対して、請負業者は2人だと思います。 まずこの問題はどうですか。
JR:9.11の後、9.11の最大の恩恵を受けたのは、ハリバートン社とレイドス社、そして政府系の防衛関連業者でしたが、基本的にこの戦争から利益を得ていました。 これらの業者は、あらゆる面で濡れ手に粟状態で利益を得ることになったのです。 ディック・チェイニーはハリバートン社の取締役でした。 つまりアメリカには、防衛産業と非常に親密な関係にあるたいへんな権力を持った人々がいて、この戦争マシンに資金を供給していたのです。 こういった(戦争)請負業者は、兵士がよくやることをやっていたのですが、何倍もの報酬を得ていたという事実もあります。つまり、彼ら年収は7万ドル、(兵士たちの年収は)7000ドルです。 つまり、彼らは非常に多くのお金を稼ぎ、受け取っていたのですが、これらの契約には非常に多くの汚職がありました。 私は以前、クイータム訴訟(私人による代理訴訟_英辞郎)を担当していましたが、戦争で栄える防衛関連企業がたくさんあって、そのことが戦争を継続させ、お金の流れを作っていました。
CH:私が問題にしたいのは、ウォー・ポルノ(米軍や中東の兵士、あるいは市民が殺害される場面を見て喜ぶ変質者向けの画像やビデオ_英辞郎)と、これらの殺人に対する態度です。 彼は、車が発砲され、その車には5歳と3歳の幼い子供が乗っていたという、心がかき乱される事件について語っています。 彼は次のように書いています。「翌日、車が止まっていた場所を調査するために、アフガン兵の幹部が派遣されました。 そこで彼らは、子供たちが近くのゴミ箱に入れられているのを発見したのです。 長女は体を貫通した榴弾による傷が原因で死亡しました。 妹は生きていましたが、脱水症状を起こしていました。 (私の指揮下にあった女性)指揮官はこの情報を私たちに伝えながら、私たちが誤射して男とその家族を殺し、その娘の一人を殺したことに対してではなく、この爆弾屋の容疑者が妻に自分たちの娘の遺体をゴミ箱に捨てるように命じ、二人で素早く国境を越えて逃げられるようにしたことに対して、嫌悪感を示しているようでした。
今では、ドローンによる戦争が正当化され、アメリカの安全を確実に守っていると考える人に出会うたびに、あの時のことを思い出し、自分が善人であり、自分の命と幸福を追求する権利に値すると信じ続けることができるだろうかと自問しています。」 つまり、問題は、彼がウォー・ポルノと呼ぶこれらの出来事を目の当たりにしている、そして軍に所属している人間も彼が勤める民間の契約会社で働く人間も娯楽としてこれらのビデオを引っ張り出して見るということだけではありません。こういった殺害に対する態度にも問題があるのです。
JR:自分に麻酔をかけるために、そうすることにほぼ追い込まれていたのだと思います。 私は何人もの内部告発者を弁護してきましたが、彼らは言葉通り、バスソルト(訳注:カチノンを含むドラッグの総称)を嗅いだりドラッグを使用したりしながら番組を見ていたそうです。 私たちはこれを「ドラッグ摂取でドローン攻撃」と呼んでいましたが、文字通り、何とか自分の仕事をこなすために大量のアルコールと違法薬物を摂取していたのです。 繰り返しになりますが、酔っぱらいドローン攻撃は、よくあることでした。ドローン攻撃があまりに野蛮だったからです。 バージニア州のラングレー基地やネバダ州のクリーチ空軍基地で、寒くて汚い政府の部屋から自分たちが行っていることの恐怖に対して、それが自分自身に麻酔をかける方法だったのです。 ところで、政府はこのビデオ映像を『ゼロ・ダーク・サーティ』*のようなハリウッド映画の製作者と共有して、ドローン計画を美化しようとしています。 私はテレビのその番組はひとつひとつ見ていますが、どの番組でも、ドローンは本当に素晴らしい特徴的な攻撃精度を持ち、地上にブーツを置く必要のない素晴らしい技術であると描かれています。
『ゼロ・ダーク・サーティ』*(原題:Zero Dark Thirty)は、ウサーマ・ビン・ラーディンの殺害に至る経緯と、作戦に挑む特殊部隊を描いた2012年のアメリカ合衆国の政治映画、サスペンス映画。タイトルは、米軍隊の俗語で「未明」を意味する。(ウィキペディア)
しかし、それは正確な攻撃などではありません。結局罪のない多くの人々が殺されてしまいます。 標的になった人物だけではありません。それがダニエルを悩ませていたのだと思います。というのも、彼らはその後、何人の人を殺したかを開示する作戦行動事後報告の現物を手に入れることになるからです。 通常、この攻撃では1500人、この攻撃では500人というような数字が出て、それに基づいて報酬を得ることができます。 私が代理を務めた多くの人々の様子はこんな風でした。「こんなの、ぜんぜんおかしい、500人の作戦行動中の敵や、隠れた取引人たちを殺害する手助けをすることで報酬をもらうなんて!子供たちは裏切り者として分類しておく。 そうか、彼らはTIT(Terrorists In Training訓練中のテロリスト)なのか。あるいは、ああ、神様、彼らの親はただのクソだ。 だから、我々が彼らを殺すことは正しいのだ」 繰り返しになりますが、このメッセージは上層部から発信されているものですが、同時に、暗殺者になったときにどうやって自分自身を生かせていくかという、人間的にどうしようもなく不快な要素を防ぐために、人々は自分自身に言い聞かせなければならなかったのだと思います。 あなたは、実際に進行中の米国との紛争とは何の関係もない人々を標的として暗殺しているのです。
CH: そうですね。 ある元ドローン操縦士がガーディアン紙に語ったところによると、彼らは子供たちを「お楽しみサイズのテロリスト」と呼んでいたそうです。
JR:その通りです。
CH:結局、ダニエルは退役後、反戦運動や平和運動に参加することになります。 2013年の12月か11月に、ワシントンDCでイエメン人のファイサル・ビン・アリ・ジャベール(Faisal bin Ali Jaber)と会っています。彼もこの会議でスピーチをしましたが、彼はドローンによる空爆で兄のサレム・ビン・アリ・ジャベール(Salem bin Ali Jaber)と従兄弟で警察官だったワリード(Waleed)が殺されたことを語りました。 サレムはイマーム(イスラム社会の導師)で、実際にジハード過激派に反対していました。 ファイサルの話を聞きながら、ダニエルは次のように書き留めています:「2012年のあの日、自分がいた場所にタイムスリップしたような気がしました。ファイサルや当時の彼の村の人々は、私たちの存在に気付いていません。サレムが(標的である)車の中のジハード主義者に近づくのを見ていたのは彼らだけではありませんでした。アフガニスタンから遠く離れた所で、私をはじめとする勤務中の全員が仕事を中断して、これから繰り広げられる殺戮を目撃していました。 ボタンを押すと、何千マイルも離れたところから、2発のヘルファイア・ミサイルが空から鳴り響き、さらに2発が続きました。 反省する様子もなく、私も周りの人も勝ち誇ったように拍手喝采していました。 言葉を失った聴衆を前に、ファイサルは泣いていました。」
JR:はい。 ファイサルのケース、これらすべてのケースですが、ドローン・プログラムに参加した多くの人々が、その後、賠償の仕事をしています。 何人かの人はアフガニスタンに行って、標的にされた人や家族と会おうとしました。無人機の攻撃で死んだ人や、私たちが発射したものによって死んだり、あるいは完全に肢体不自由にされた人たちです。ダニエルはファイサルがはっきり声をあげたことで、人々が支払っている犠牲のようなものに気付いたのだと思います。 彼がドローン・プログラムの歯車として動いているときは不快であったと思いますが、その後、彼は自分の心にかかっている重荷と格闘し、やり遂げました。 また繰り返しになります。政府はドローンによる死亡者数を最小限に抑えて発表し、ドローンによる負傷者について嘘をつき、ドローンの成功を完全に誇張しています。攻撃はピンポイントで悪人だけを捉え、他の人間は傷つけないからとてもクリーンな戦争だと言っています。
実際のところ、テロリストを処刑するたびに、新たに何百人ものテロリストを生み出しています。 その結果、彼らはアメリカを憎むようになるのです。 ダニエルはそれを見て、認識しました。他の多くのドローンパイロット、センサーオペレーター、アナリストも同様で、このことについて声高に語り、個人的に大きな代償を払いました。ダニエルの場合はスパイ活動防止法で起訴されました。 しかし、私のドローンに関するクライアントの中には、犯罪捜査を受け、政府がスパイ活動防止法で起訴するところまで行ったにもかかわらず、何らかの理由で起訴されませんでした。起訴されなかった主な理由はメディアで彼らのことが報道されていたからです。
CH:そうです。以上ジェスリン・ラダックから話を聞きました。彼女は米国ドローン攻撃プログラムの文書をリークしたダニエル・ヘイルの弁護士です。ダニエルはスパイ防止法のひとつの条項に違反したことで懲役45ケ月の判決を受けています。
<記事原文 寺島先生推薦>
On Contact: Daniel Hale, whistleblower
クリス・ヘッジズ(Chris Hedges)(RT)(司会)
ジェスリン・ラダック(Jesselyn Radack)(回答者)
ロシア・トゥデイ(RT)
2021年7月30日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年9月10日
(訳者:インタビュー動画については原文サイトからご覧下さい)
今週の番組では、クリス・ヘッジズが、元情報アナリストのダニエル・ヘイルの起訴と判決について、彼の弁護士であるジェスリン・ラダックと議論した。
クリス・ヘッジズ(以下CH):On Contactへようこそ。今日のテーマは内部告発者ダニエル・ヘイル(Daniel Hale)への判決です。彼の弁護士であるジェスリン・ラダック(Jesselyn Radack)からお話を聞きます。
CH: 空軍のドローン・プログラムの元情報アナリストで、2013年に民間契約者としてドローン攻撃に関する約17の機密文書を報道機関にリークしたダニエル・ヘイルに、7月27日(火)、45ヶ月の禁固刑が言い渡されました。 The Interceptが公開した文書では、2012年1月から2013年2月にかけて、米国の特殊部隊による空爆で200人以上が死亡したことが暴露されています。 そのうち、あらかじめ意図された標的は35人だけでした。 資料によると、作戦期間中のある5カ月間、空爆で死亡した人の9割近くが意図されたターゲットではありませんでした。 通例戦闘行為には入らない無関係な民間人の死者も、判で押したように「作戦中の敵死者数」と分類されていたのです。
司法省は3月31日、2012年にアフガニスタンに派遣されていたヘイルに対し、「スパイ活動防止法」の1つの訴因で罪を犯したことを強引に認めさせました。「スパイ活動防止法」は1917年に制定され、国家機密を敵勢力に渡したものを訴追するためのものであって、政府の嘘と犯罪を国民に暴露する人間は対象になっていません。ヘイルは、司法取引の一環として、「国家安全保障情報の保持と伝達」と11部の機密文書をジャーナリストに漏洩したことを認めました。もし司法取引を拒否していれば、50年の懲役刑を受ける可能性がありました。
今回のヘイルへの判決は、報道の自由に致命的な打撃を与える可能性があります。直前には、チェルシー・マニング(Chelsea Manning)、ジェフリー・スターリング(Jeffrey Sterling)、トーマス・ドレイク(Thomas Drake)、ジョン・キリアコウ(John Kiriakou)など、スパイ活動防止法に基づいて告発され、投獄されています。これらの人たちは、秘密軍事施設に収容された容疑者に対する日常的な拷問を暴露したことにより、2年半刑に服しました。この法律の下で起訴された者は、あたかもスパイのように扱われます。法廷で自分たちの動機や意図を説明することは禁じられていますし、また、自分が暴露した政府の不法行為や戦争犯罪の証拠を法廷に提出することもできません。
共和党も民主党も超党派で報道機関を攻撃するーバラク・オバマ大統領が内部告発者に対して8回もスパイ活動防止法を使用したのは、過去の全政権を合わせても最多―ことは、国民に情報を提供しようとする組織内の人々を犯罪者扱いすることであり、わが国の民主主義にとって不吉なことです。権力の内部構造に関する調査を、事実上、消滅させています。
エドワード・スノーデンやジャーナリストなど、多くの著名な内部告発者を弁護してきたジェセリン・ラダック弁護士に、ヘイルのケースについてお話していただきます。 ジェセリンさん、まずヘイルの罪状についてお話ししましょう。また、私もお話したいし、あなたからお話もいただきたいのはこの裁判所の構造です。というのは、これらの事例はすべて最終的にはこの裁判所に持ち込まれたからです。
ジェスリン・ラダック(以下JR):はい。ヘイルが起訴されたのは第一次世界大戦中に制定されたスパイ活動防止法の5つの訴因についてです。スパイ活動防止法は、ご指摘通り、スパイやサボタージュを目的とした法律であり、メディアの情報源となる人々は対象になりません。 しかし、この法律は、メディアに情報をリークしたり、内部告発をしたりした人を取り締まるために他に類例のない使われ方をされてきました。そういった人々は、多くの場合、わが国の極秘中の極秘事項とか、闇の奥に押し込められた歴史などを白日の下に晒しました。つまり、拷問、戦争犯罪、令状なしの監視、選挙違反、そして今回はドローンによる無実の市民の暗殺などを暴いた人々に対して、この法律は使われてきたのです。 ヘイルが直面しているのはそのような状況です。
それからスパイ活動防止法が攻撃手段として使われてきたことは、ダニエル・ヘイルが3年の刑を言い渡された昨日の出来事に端的に表れていると思います。7年間にわたって政府が彼を追跡した後のことでした。 私の意見では、ダニエルが刑務所に入るなどとんでもなく、彼が行ったこと、経験したことに対して賞が与えられるべきだと思います。 しかし、政府が50年の刑期を望んでいたのに、3年の刑期しか与えられなかったという事実は、このようなケースにおける完全な過剰訴追、つまり過剰起訴と過剰訴追があることをはっきり示しています。 ダニエルの計算方法をアサンジ氏に適用した場合、アサンジに対して政府は175年の懲役を求刑していますが、その175年も実際政府が求めている刑期のわずか7%にしかなりません。
CH:この裁判所についてお話をしましょう。というのも、ダニエル・ヘイルが判決を受けて司法取引したこの裁判所は、ジュリアン・アサンジの身柄引き渡し、つまり米国による身柄引き渡し要請が成功した場合、ジュリアン・アサンジが審理される裁判所になるからです。
JR:はい。バージニア州東部地区連邦裁判所は、全米で最も保守的な裁判所です。 CIAやNSA(国家安全保障局)の裏庭でもあります。 この裁判所で陪審員になるようなほとんどの人は、政府の仕事をしているか、政府の仕事をしている人を知っている企業城下町です。 そして、これらの事件がなぜかすべてこの裁判所に送られてきています。 スパイ活動防止法に基づくすべての訴訟は、もっぱら、つまり基本的にはフォーラムショッピング(原告が有利になる法廷地を探すこと_英辞郎)ですが、その強硬さゆえにもっぱらこの裁判所で裁かれてきました。スパイ活動防止法の下では、公正な裁判を受けることはできません。 何よりも、この特別な法廷で審理されると、事件は完全に泥沼化し、秘密化されてしまいます。
CH: また、彼が司法取引を決めた理由や、弁護士として彼に裁判ではなく司法取引をするように促した理由についても話してください。
JR:ダニエルはまだ若いのです。司法取引をした時それは明確になりました。 最高で10年の懲役刑が科せられる1つの訴因を認めれば、いいですか、彼は少なくともその後の人生を取り戻すでしょう。 彼に司法取引を勧めたもう1つの理由は、スパイ活動防止法の下では公共の利益のための弁護という形は取れません。全然だめです。厳格な責任法なのです。 つまり、名声や利益、復讐のために報道機関に情報を提供しようが、政府が拷問や秘密の監視、戦争犯罪、この場合はアメリカ人を含む標的型暗殺について嘘をついていたから情報を提供したと言おうが、そんなことは問題にならないのです。 そう、それが、司法取引をするもう1つの理由です。 スパイ活動防止法下では抗弁は不可能です。
CH:詳細に入る前にお話ししたいのですが、彼がオグラディ(O’Grady)判事に書いた手紙の一部を読んでみたいと思います。 これはとても感動的な手紙ですね。制度そのものの健全性だけについてですが、あなたはこの件で先頭に立っていましたし、これまでにも多くのケースを取り扱ってきました。法の支配を守るためのあらゆる機関、ACLU(米国自由人権協会)だけでなく、PEN(国際ペンクラブ)やその他の機関、そして報道の自由、さらには法科大学院、つまり、法曹界はどこにあるのですか? 法曹界は法制度について何を語っているのですか?
JR:特に、スノーデンが経験したことを危機として利用し、利益を得ようとした団体には、非常に失望しました。 それ以上に、市民的自由を求める団体、人権団体、報道の自由を求める団体が嘆かわしいほど沈黙していたことには、信じられないほど失望しました。 今日、ACLUは、情報漏洩者を追及するのは良くない、ダニエル・ヘイルは良いことをした、と前向きな声明を出しました。 しかし、この5年間、彼らはどこにいたのでしょうか? ダニエルが起訴されたとき、私はACLUに連絡を取りましたが、ACLUはその件を引き受けませんでした。そして、私は今までそのことを公には言いませんでした。 そう、私は彼らに連絡を取ったのです。ACLUはスノーデンのことで寄付もあったし、利益も手にすることができたのです。それにもかかわらず、私にとっては失望の極みですが、ダニエルを抱きとめることもせず、支援もはるかにお粗末でした。最後は公選弁護人が弁護することになったのです。本当であれば当然手を携えるべき人々からのサポートはゼロでした。
CH:ロースクールの学部長たちはどうでしょうか? あなたはどこのロースクールに行ったのですか、エール大学? つまり、彼らは何をしているのでしょうか?
JR:ハイディ・キトロサ(Heidi Kitrosser)が頑張って調整をしていましたが、最終的には学識経験者による法廷助言書を提出することになったと思います。 繰り返しになりますが、ハイディはその調整をしていました。そしてそれは信じられないほど重要なことなのです。ロースクールには発言権があるだけでなく、もっと関与しようと思えばトップレベルの法律家や、喜んでこのようなケースに取り組んでくれる大勢の学生たちがいるのです。そして私が感じているのは, 政府がスパイ行為として起訴することで、本来ならば味方になってくれるはずのグループを遠ざける効果があるということです。ロースクールではこんな感じです。「ああ、つまり、何ですか、数千人の死者に責任のあるこの人物を支援するわけですね」、そしてこんな風に、つまり、恐怖を煽る戦術が取られているのです。・・・しかし、学識経験者たちはこの最前線に立つべきなのです。
CH:まず、彼の非常に力強い手紙について少しお話したいと思います。 みなさんに読んでいただきたいのです。この手紙は、良心を持った人がどれほど道徳的重荷を背負うことになるかを示す実に感動的な例です。 さて、彼は、アフガニスタンに派遣されて数日後、初めてドローンによる攻撃を目撃したときのことを語っています。 「その日の早朝、夜明け前に、パティカ州の山間部で、武器を持ち、お茶を淹れながら焚き火を囲む男たちが集まっていました。 彼らが武器を持っていることは、私が育った場所ではあり得ないことでしたし、ましてやアフガニスタン当局の支配が実質的に及ばない無法地帯の部族領に身を置くなどということはさらに想像外のことでした。 ただし、彼らの中にタリバンのメンバーと思われる人物はいました。彼のポケットには標的となる携帯電話の端末は入っていたのです。
残りの人間も、年齢的に武装兵士になりそうでした、敵戦闘員と思われる人物の前に座っていることが、疑惑の対象となる十分な証拠でした。 何の脅威も与えず、平和的に集まったにもかかわらず、お茶を飲んでいる男たちの運命は、ほぼ決まっていたのです。 突然、恐ろしいほどのヘルファイア・ミサイルが乱れ飛んできて、朝の山の中腹に紫色の明白に内臓とわかるものが飛び散ったとき、私は傍らでパソコンのモニターを見ているしかありませんでした。」 これは彼が何度も目撃し、ドローン・プログラムの性質とそれがどんな風に使われるのかについて言葉少なに語っていたことです。
JR:そうですね。 私は、ドローン・プログラムの何人もの内部告発者代理人をしています。 彼らの多くが苦しんでいるのは、遠隔地で戦争をしているからです。文字通り、バージニア州やネバダ州でビデオゲームをしているようなもので、人々を調査し、何日も何週間も彼らの生活を追いかけて、そして文字通り人間を蒸発させるのです。 ブーツを履いて地面に立つわけではない、実際に武器を持って彼らと一対一で戦っているわけでもないと考えても、兵士たちが感じるようなPTSD、つまり道徳的な傷が軽減されるわけではありません。 私が代表しているドローンの内部告発者の多くはPTSDを患っており、そのほとんどがPTSDのために退役軍人恩給を得ています。 その罪悪感は取り去りがたいもので、それが原因で、私のクライアントを含む多くの自殺者や自殺未遂者が出ています。
CH:そう、ここではっきりさせておきたいのは、ダニエル自身自殺願望があることを認めたことです。
JR:はい。
CH:後半は、内部告発者ダニエル・ヘイルに45ヶ月の懲役刑が下されたことについて、ジェセリン・ラダック弁護士との対談をお届けします。
中央揃え
(休憩)CH:On Contactの後半になります。 内部告発者ダニエル・ヘイルについて、弁護士のジェセリン・ラダックさんとの対談を続けます。 私たちは休憩前に、スクリーン上で毎日毎日人を蒸発させることによる道徳的な気持ちの負担、心的外傷後ストレス障害(PTSD)について話していましたが、彼は手紙の中でこう書いています。 これはダニエル・ヘイルが判事に宛てた手紙です。 「自分の行動の正当性に疑問を持たない日はありません。 交戦規則に従えば、言葉も通じず、習慣も理解できず、犯罪も特定できない男たちを、私が行ったような陰惨な方法で殺すのを手助けすることは許されたかもしれません。
彼らが死ぬのをじっと見たらいいのです。 次の標的を狙いながら切れ目なく破壊行動をしてきた自分がどうして名誉なことをしてきたと考えられるでしょうか。私や他の人々にほとんど何の危険も及ぼさない無防備な人々を殺すために、次の機会を待ち続けたのです。 「名誉なこと」は脇に置いておきましょう。アメリカを守るためには、アフガニスタンに行って、わが国に向けられた9月11日の攻撃に責任のない人々を殺すことが必要だと考える人がいるでしょうか。 しかし、2021年、オサマ・ビンラディンがパキスタンで亡くなってから丸1年、私は、誤った情報を与えられた若い殺人者のひとりとなっていました。この世代は9/11の時はほんの子どもでした。」 この手紙の中で、彼は2つの点を指摘しています。 まず、1点目から見ていきましょう。 彼は請負業者の役割について語っていますが、派遣されている兵士や海兵隊員1人に対して、請負業者は2人だと思います。 まずこの問題はどうですか。
JR:9.11の後、9.11の最大の恩恵を受けたのは、ハリバートン社とレイドス社、そして政府系の防衛関連業者でしたが、基本的にこの戦争から利益を得ていました。 これらの業者は、あらゆる面で濡れ手に粟状態で利益を得ることになったのです。 ディック・チェイニーはハリバートン社の取締役でした。 つまりアメリカには、防衛産業と非常に親密な関係にあるたいへんな権力を持った人々がいて、この戦争マシンに資金を供給していたのです。 こういった(戦争)請負業者は、兵士がよくやることをやっていたのですが、何倍もの報酬を得ていたという事実もあります。つまり、彼ら年収は7万ドル、(兵士たちの年収は)7000ドルです。 つまり、彼らは非常に多くのお金を稼ぎ、受け取っていたのですが、これらの契約には非常に多くの汚職がありました。 私は以前、クイータム訴訟(私人による代理訴訟_英辞郎)を担当していましたが、戦争で栄える防衛関連企業がたくさんあって、そのことが戦争を継続させ、お金の流れを作っていました。
CH:私が問題にしたいのは、ウォー・ポルノ(米軍や中東の兵士、あるいは市民が殺害される場面を見て喜ぶ変質者向けの画像やビデオ_英辞郎)と、これらの殺人に対する態度です。 彼は、車が発砲され、その車には5歳と3歳の幼い子供が乗っていたという、心がかき乱される事件について語っています。 彼は次のように書いています。「翌日、車が止まっていた場所を調査するために、アフガン兵の幹部が派遣されました。 そこで彼らは、子供たちが近くのゴミ箱に入れられているのを発見したのです。 長女は体を貫通した榴弾による傷が原因で死亡しました。 妹は生きていましたが、脱水症状を起こしていました。 (私の指揮下にあった女性)指揮官はこの情報を私たちに伝えながら、私たちが誤射して男とその家族を殺し、その娘の一人を殺したことに対してではなく、この爆弾屋の容疑者が妻に自分たちの娘の遺体をゴミ箱に捨てるように命じ、二人で素早く国境を越えて逃げられるようにしたことに対して、嫌悪感を示しているようでした。
今では、ドローンによる戦争が正当化され、アメリカの安全を確実に守っていると考える人に出会うたびに、あの時のことを思い出し、自分が善人であり、自分の命と幸福を追求する権利に値すると信じ続けることができるだろうかと自問しています。」 つまり、問題は、彼がウォー・ポルノと呼ぶこれらの出来事を目の当たりにしている、そして軍に所属している人間も彼が勤める民間の契約会社で働く人間も娯楽としてこれらのビデオを引っ張り出して見るということだけではありません。こういった殺害に対する態度にも問題があるのです。
JR:自分に麻酔をかけるために、そうすることにほぼ追い込まれていたのだと思います。 私は何人もの内部告発者を弁護してきましたが、彼らは言葉通り、バスソルト(訳注:カチノンを含むドラッグの総称)を嗅いだりドラッグを使用したりしながら番組を見ていたそうです。 私たちはこれを「ドラッグ摂取でドローン攻撃」と呼んでいましたが、文字通り、何とか自分の仕事をこなすために大量のアルコールと違法薬物を摂取していたのです。 繰り返しになりますが、酔っぱらいドローン攻撃は、よくあることでした。ドローン攻撃があまりに野蛮だったからです。 バージニア州のラングレー基地やネバダ州のクリーチ空軍基地で、寒くて汚い政府の部屋から自分たちが行っていることの恐怖に対して、それが自分自身に麻酔をかける方法だったのです。 ところで、政府はこのビデオ映像を『ゼロ・ダーク・サーティ』*のようなハリウッド映画の製作者と共有して、ドローン計画を美化しようとしています。 私はテレビのその番組はひとつひとつ見ていますが、どの番組でも、ドローンは本当に素晴らしい特徴的な攻撃精度を持ち、地上にブーツを置く必要のない素晴らしい技術であると描かれています。
『ゼロ・ダーク・サーティ』*(原題:Zero Dark Thirty)は、ウサーマ・ビン・ラーディンの殺害に至る経緯と、作戦に挑む特殊部隊を描いた2012年のアメリカ合衆国の政治映画、サスペンス映画。タイトルは、米軍隊の俗語で「未明」を意味する。(ウィキペディア)
しかし、それは正確な攻撃などではありません。結局罪のない多くの人々が殺されてしまいます。 標的になった人物だけではありません。それがダニエルを悩ませていたのだと思います。というのも、彼らはその後、何人の人を殺したかを開示する作戦行動事後報告の現物を手に入れることになるからです。 通常、この攻撃では1500人、この攻撃では500人というような数字が出て、それに基づいて報酬を得ることができます。 私が代理を務めた多くの人々の様子はこんな風でした。「こんなの、ぜんぜんおかしい、500人の作戦行動中の敵や、隠れた取引人たちを殺害する手助けをすることで報酬をもらうなんて!子供たちは裏切り者として分類しておく。 そうか、彼らはTIT(Terrorists In Training訓練中のテロリスト)なのか。あるいは、ああ、神様、彼らの親はただのクソだ。 だから、我々が彼らを殺すことは正しいのだ」 繰り返しになりますが、このメッセージは上層部から発信されているものですが、同時に、暗殺者になったときにどうやって自分自身を生かせていくかという、人間的にどうしようもなく不快な要素を防ぐために、人々は自分自身に言い聞かせなければならなかったのだと思います。 あなたは、実際に進行中の米国との紛争とは何の関係もない人々を標的として暗殺しているのです。
CH: そうですね。 ある元ドローン操縦士がガーディアン紙に語ったところによると、彼らは子供たちを「お楽しみサイズのテロリスト」と呼んでいたそうです。
JR:その通りです。
CH:結局、ダニエルは退役後、反戦運動や平和運動に参加することになります。 2013年の12月か11月に、ワシントンDCでイエメン人のファイサル・ビン・アリ・ジャベール(Faisal bin Ali Jaber)と会っています。彼もこの会議でスピーチをしましたが、彼はドローンによる空爆で兄のサレム・ビン・アリ・ジャベール(Salem bin Ali Jaber)と従兄弟で警察官だったワリード(Waleed)が殺されたことを語りました。 サレムはイマーム(イスラム社会の導師)で、実際にジハード過激派に反対していました。 ファイサルの話を聞きながら、ダニエルは次のように書き留めています:「2012年のあの日、自分がいた場所にタイムスリップしたような気がしました。ファイサルや当時の彼の村の人々は、私たちの存在に気付いていません。サレムが(標的である)車の中のジハード主義者に近づくのを見ていたのは彼らだけではありませんでした。アフガニスタンから遠く離れた所で、私をはじめとする勤務中の全員が仕事を中断して、これから繰り広げられる殺戮を目撃していました。 ボタンを押すと、何千マイルも離れたところから、2発のヘルファイア・ミサイルが空から鳴り響き、さらに2発が続きました。 反省する様子もなく、私も周りの人も勝ち誇ったように拍手喝采していました。 言葉を失った聴衆を前に、ファイサルは泣いていました。」
JR:はい。 ファイサルのケース、これらすべてのケースですが、ドローン・プログラムに参加した多くの人々が、その後、賠償の仕事をしています。 何人かの人はアフガニスタンに行って、標的にされた人や家族と会おうとしました。無人機の攻撃で死んだ人や、私たちが発射したものによって死んだり、あるいは完全に肢体不自由にされた人たちです。ダニエルはファイサルがはっきり声をあげたことで、人々が支払っている犠牲のようなものに気付いたのだと思います。 彼がドローン・プログラムの歯車として動いているときは不快であったと思いますが、その後、彼は自分の心にかかっている重荷と格闘し、やり遂げました。 また繰り返しになります。政府はドローンによる死亡者数を最小限に抑えて発表し、ドローンによる負傷者について嘘をつき、ドローンの成功を完全に誇張しています。攻撃はピンポイントで悪人だけを捉え、他の人間は傷つけないからとてもクリーンな戦争だと言っています。
実際のところ、テロリストを処刑するたびに、新たに何百人ものテロリストを生み出しています。 その結果、彼らはアメリカを憎むようになるのです。 ダニエルはそれを見て、認識しました。他の多くのドローンパイロット、センサーオペレーター、アナリストも同様で、このことについて声高に語り、個人的に大きな代償を払いました。ダニエルの場合はスパイ活動防止法で起訴されました。 しかし、私のドローンに関するクライアントの中には、犯罪捜査を受け、政府がスパイ活動防止法で起訴するところまで行ったにもかかわらず、何らかの理由で起訴されませんでした。起訴されなかった主な理由はメディアで彼らのことが報道されていたからです。
CH:そうです。以上ジェスリン・ラダックから話を聞きました。彼女は米国ドローン攻撃プログラムの文書をリークしたダニエル・ヘイルの弁護士です。ダニエルはスパイ防止法のひとつの条項に違反したことで懲役45ケ月の判決を受けています。
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