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朝鮮戦争時のアメリカの爆撃は、第二次世界大戦でのドイツや日本の被害より壊滅的

Prof. Bruce Cumings: U.S. Bombing in Korea More Destructive Than Damage to Germany, Japan in WWII
JUNE 12, 2018

ブルース・カミングス教授
デモクラシー・ナウ 2018年6月12日
(翻訳:岩間龍男、大手山茂 2018年9月19日)
<記事原文>https://www.democracynow.org/2018/6/12/prof_bruce_cumings_us_bombing_in


トランプ大統領と北朝鮮指導者金正恩との歴史的会談が開かれました。これは、わずか数週間前の金正恩と韓国の指導者文在寅の歴史的会談の後のことです。この南北会談では、二人の指導者は朝鮮戦争を正式に終わらせる取り組みをすることに合意をしていました。そして火曜日のシンガポールでのサミットの後、トランプは朝鮮戦争を「極端に血なまぐさい紛争」と呼び、この戦争がすぐに正式に終わることを期待すると述べました。詳しくはシカゴ大学の歴史学者ブルース・カミングスにお話しを伺います。

カミングス教授は、Korea's Place in the Sun: A Modern History(1997) 邦訳『現代朝鮮の歴史―世界のなかの朝鮮』 横田安司・小林知子訳(明石書店、2003年)North Korea: Another Country (2004) 邦訳『北朝鮮とアメリカ――確執の半世紀』 杉田米行監訳/古谷和仁・豊田英子訳(明石書店、2004年)など、朝鮮に関する幾つかの著作があります。
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エイミー・グッドマン: デモクラシー・ナウ、戦争と平和の報道です。こちらはエイミー・グッドマンとファン・ゴンザレスです。今日はシカゴ大学の歴史学の教授ブルース・カミングスさんをお招きしています。カミングス教授は、Korea's Place in the Sun: A Modern History(1997)  North Korea: Another Country (2004)など、朝鮮に関する多くの著作があります。
さてあなたは朝鮮情勢について数十年追ってこられましたね。今日、署名された声明について、あなたが最も驚かれたことについて、お話いただけますか。カミングズ教授、これは、ほんとうのところ、過去の延長線上にあることなのか、初めて過去と断絶する動きなのか、どちらなのでしょうか。

ブルース・カミングス: そうですね、北朝鮮とアメリカの新しい関係について確認された最初の原則はとても重要ですね。つまり朝鮮民主主義人民共和国を国家として承認したことです。                             72年前、アメリカは1946年2月に金日成が権力を握ったことを認めませんでした。それは世界の耳目を集める中央権力掌握でした。アメリカはそれをソビエトの策略だと非難しました。そしてその後ずっと、アメリカは北朝鮮の国家の承認を拒否してきました。北朝鮮のイデオロギーは、自国の威厳を前面に押し出し、他国からの尊敬を欲することと不可分です。ですから声明でアメリカが北朝鮮を国家として承認すると言った第一原則はとても重要だと思います。 アメリカがそれをきちんと実行すれば、の話ですが。

第二に、いいですか、ドナルド・トランプはこんな風に何物にもとらわれない動きをします。彼の朝鮮問題への見方にはとらわれがないのですね。戦争が1953年に終わった後すぐに、あるいは過去60年間のどこかの時期に、平和条約が結ばれなかったことは馬鹿げたことだと、トランプは言っています。そして、その点については彼の言っていることは正しいのです。

しかし、「北朝鮮との外交は可能だ」との立場を取るジャーナリスト、ティム・ショロックが次のように言っていることに異論はありません。「腰が抜けるほど驚いたのは、トランプが軍事演習は挑発的だと言ったことです。軍事演習を中止する、少なくとも一時中断するという言葉は言わずもがなです」と述べているところです。バラク・オバマが大統領で、北朝鮮ミサイルと爆弾実験を含む特別な危機があった時、朝鮮半島にダミーの原爆を落とすために核兵器搭載可能爆撃機を送ろうとしました。ティムが言ったように、しばしば軍事演習には、北朝鮮政権の転覆する試みの計画、元山港に海兵隊を派遣して戦争の初期の段階で平壌(ピョンヤン)を行進する計画、そして朝鮮戦域での核兵器の使用が含まれていました。したがって、これらの軍事演習が中止となったことは大変に重要だと思います。しかし、それはまたその状況について全く知らない人物がいることが露わになったということです。はっきり言うと、それはドナルド・トランプのことです。彼は状況を見て言いました。「ちょっと待て、これは費用がかさむだけでなく、非常に挑発的なことだ」と。

また私はCNBCのホワイトハウス担当記者クリスティーヌ・ウィルキーが次のように言ったことに賛成です。すなわち、サミットの演出は非常に重要だったことです。朝鮮民主主義人民共和国の国旗がアメリカ国旗のすぐ隣にあったこと、ドナルド・トランプが北朝鮮の指導者を、利口な男、偉大な男と述べたこと、これらすべてが重要な演出でした。このようなトランプの声明に対してアメリカではあらゆる種類の中傷があることは分かっています。しかし、明らかにトランプは直に知り合いになる関係が大切だということを知っています。そしてこのことはうまくいったようです。

フアン・ゴンザレス: ブルース・カミングスさん、アメリカと北朝鮮の関係の歴史を知らない多くの視聴者のために、あなたに尋ねたかったことがあります。朝鮮戦争でアメリカが北朝鮮を攻撃した時の破壊のレベルについて話していただけますか。また、中国やベトナムとの国交正常化などアジアで変化が起きたにもかかわらず、どうしてアメリカがある意味で冷戦にこだわった地域として朝鮮は残ってしまったのでしょうか。

ブルース・カミングス:そうですね、まず第2の質問をとりあげてみましょう。それは簡単に答えられる質問です。北朝鮮と韓国のよりよい関係、北朝鮮とアメリカのよりよい関係を望む韓国政府が必要だということです。そして9年間そのような韓国政府はありませんでした。しかし、文在寅が政権の座に就くと、彼は即座に北朝鮮とのよりよい関係を持つつもりだと述べました。そしてクリスティーンが述べていたように、文在寅はアメリカと北朝鮮を引き合わせる本当に重要な導き手でした。

だから、文在寅大統領の押し進める融和的な流れの中でーそのような流れが現在や過去にしばしばあったわけではありませんがー物事が前に進んでいます。しかし、これは初めてのことではありません。このことは90年代にも起きました。金大中が政権の座に就いた時、北朝鮮とよりよい関係を持った時です。しかし、文在寅はかなり経験を積んでいました。彼はもう一人の進歩的な大統領であった盧武鉉(ノムヒョン)の首席補佐官でした。彼は自分が何をしているのか分かっています。だから、主にそのような理由から現在アメリカが北朝鮮とよりよい関係を築く過程にあります。

北朝鮮人は誰でも知っていますが、朝鮮戦争では家族が殺されました。通常は米軍が際限無く投下した焼夷弾によってです。基本的には、第二次世界大戦中ドイツと日本の都市を廃墟にするために使われた焼夷爆弾が北朝鮮にも投下されたのです。この爆撃のせいで北朝鮮には15から16のあまり規模の大きくない都市がありましたが、すべて地上から抹殺されました。アメリカ空軍の統計によれば、北朝鮮の都市での破壊の割合は時には100%であったこともあり、第2次世界大戦でのドイツや日本の破壊の割合より概して高率でした。さらには、ナパーム弾が至る所で使われました。

チャーチルは1953年アイゼンハワーにわざわざ打電し、次のような要点を告げなければなりませんでした。「ナパーム弾を発明した時、私たちは見境無く民間人にそれを使用することなど、まったく念頭にありませんでした」。歴史家たちは見積もっています。ベトナム戦争での死傷者の約40%が民間人だったことと比べると、朝鮮戦争での死傷者の約70%は民間人でした。だからトランプ大統領が言ったように、それはとてもとても破壊的な戦争でした。そしてすべての北朝鮮の人々はそのことをすべて知っています。
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