無期限に「引き回される」アサンジ
無期限に「引き回される」アサンジ
<記事原文 寺島先生推薦>
Assange to be ‘Moved Around’ Sine Die
グローバルリサーチ
2021年7月15日
レイ・マクガバーン(Ray McGovern)
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年8月5日

報道の自由や、ジュリアン・アサンジの運命が240年前に米国憲法に追加された修正第1条の意味するところに関心を持つ人々にとって、非常に悪いニュース。英国高等裁判所が発表したばかりなのだが、当該裁判所はジュリアン・アサンジの引き渡しを拒否した下級裁判所の判決に対する米国の控訴を審理するとのことだ。
ゴドーは、米英がアサンジの自由を否定する法的パントマイムを終える前に到着するだろう。
(ゴドー・・・サムエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』を踏まえたもの(訳者))
高裁の判決は、イギリスがアメリカの属国であることを動かし難いものにすることであり、マグナカルタ800年の遺産など糞くらえ!という代物だ。卑屈な偽善の恥を上塗りするように、高等裁判所の発表は、アサンジに対する最新の起訴の第一証人が証言を撤回してから1週間半後に行われた。
英国の「司法」関係者が、2012年2月に他ならぬウィキリークスが暴露した詳細な「ワシントン・プレイブック」の手法に従っていることは驚くべきことではない。
読者の中には、ウィキリークスが暴露した米国の民間諜報会社ストラトフォーの機密メールで、米国がすでにウィキリークス創設者を秘密裏に起訴していることに言及していたことを思い出す人もいるだろう。(秘密裏に起訴するだけでも)十分ひどい。
ジャベール刑事
ストラトフォーの電子メールには、ストラトフォーのテロ対策・企業セキュリティ担当副社長であるフレッド・バートン(Fred Burton)という、ジャベール刑事のような執拗な追跡者も現れていた。(バートンは、国務省の外交安全保障局のテロ対策部門の次長を務めていた人物である)
ジャベール刑事・・・もちろんジャンバル・ジャンの天敵。蛇足ながらジャベールは自分の罪に耐えかねて、最後は橋の上から投身自殺をする。(訳者)
以下はジャベール、いやフレッド・バートンの言葉:
「彼(アサンジ)を国から国へと移動させ、今後25年間、彼にいろいろな嫌疑を与えよ。特に、彼と彼の家族が所有するすべてのものを押収しろ。ウィキリークスに関わりのある人物はもちろん」。[私見:「国から国へ」は、「裁判所から裁判所へ」と言っても同義]
「陰謀と政治的テロリズムの容疑を追求し、情報源、つまりウィキリークスにつながりそうな人物の死亡は機密扱いにするな。」
「アサンジは平和主義者だ。彼はグアンタナモ収容所の水満杯の便器の中に頭を沈めてしまう必要 がある。」
「彼の金を奪え。彼のインフラを追いかけろ。ウィキリークスを釘付けにして解体するために使っているツールは、アルカイダを解体してその後を辿るために使ったツールと同じだ。」
「まずこのクソ野郎を破産させ、人生を台無しにしてやれ。共謀罪で7~12年の刑期を食らわせろ。」
「アサンジを刑務所のきれいな花嫁に。テロリストはくたばれ。彼は永遠にキャットフードを食べることになるだろう・・・アメリカへの引き渡しの可能性がますます高まっている。」
(バートンの言葉はここまで)
善良な人々。かつては「内外のすべての敵に対して合衆国憲法を支え、守る」という宣誓をしている。比べるのはおこがましいので、「ジャベール」とヴィクトル・ユゴーには謝罪。
ところでベルマール刑務所に戻ると
フレッド・バートンのような人物が、ジュリアン・アサンジの処遇のメニューに指図する力があったのかどうか定かではない。(しかし、そうだったからと言って誰が驚くだろうか?)。はっきりしているのは、大規模な草の根運動がもっと盛り上がらない限り、やがて、ジュリアンは法廷から法廷へ、刑務所から刑務所へと、すべて法を口実にして移動させられ、彼に辛うじて残されているものも粉々にされてしまう。これは悲しいパントマイムであり、正義の冒涜劇だ。まさに『レ・ミゼラブル!』。
拷問に関する国連報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)が指摘したように、ジュリアン・アサンジは世界中の人々が見ている中で心理的な拷問を受けている。そしてこの犯罪が非難に値するのであれば、---いや、それに劣らず危機に瀕しているのは世界各国の民主主義国家だ。自由なメディアがなくして民主主義国家は存立できようはずもない。
Last Saturday Julian Assange “celebrated” his 50th birthday in London’s high-security Belmarsh Prison. I was asked to record a message to be loud-speakered at the demonstration in support of Julian before the prison that day. Here is the recording. For those lacking appreciation for my singing, the 8-minute talk is transcribed here.
先週の土曜日、ジュリアン・アサンジは、ロンドンの厳重なベルマーシュ刑務所で50歳の誕生日の「祝い」をした。その日、刑務所の前で行われたジュリアンを支援するデモで、拡声器で流す録音を依頼された。これがその録音。私の歌のよさが分からない人のために、8分間のトークの書き起こしはここに。
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報道の自由や、ジュリアン・アサンジの運命が240年前に米国憲法に追加された修正第1条の意味するところに関心を持つ人々にとって、非常に悪いニュース。英国高等裁判所が発表したばかりなのだが、当該裁判所はジュリアン・アサンジの引き渡しを拒否した下級裁判所の判決に対する米国の控訴を審理するとのことだ。
ゴドーは、米英がアサンジの自由を否定する法的パントマイムを終える前に到着するだろう。
(ゴドー・・・サムエル・ベケットの戯曲『ゴドーを待ちながら』を踏まえたもの(訳者))
高裁の判決は、イギリスがアメリカの属国であることを動かし難いものにすることであり、マグナカルタ800年の遺産など糞くらえ!という代物だ。卑屈な偽善の恥を上塗りするように、高等裁判所の発表は、アサンジに対する最新の起訴の第一証人が証言を撤回してから1週間半後に行われた。
英国の「司法」関係者が、2012年2月に他ならぬウィキリークスが暴露した詳細な「ワシントン・プレイブック」の手法に従っていることは驚くべきことではない。
読者の中には、ウィキリークスが暴露した米国の民間諜報会社ストラトフォーの機密メールで、米国がすでにウィキリークス創設者を秘密裏に起訴していることに言及していたことを思い出す人もいるだろう。(秘密裏に起訴するだけでも)十分ひどい。
ジャベール刑事
ストラトフォーの電子メールには、ストラトフォーのテロ対策・企業セキュリティ担当副社長であるフレッド・バートン(Fred Burton)という、ジャベール刑事のような執拗な追跡者も現れていた。(バートンは、国務省の外交安全保障局のテロ対策部門の次長を務めていた人物である)
ジャベール刑事・・・もちろんジャンバル・ジャンの天敵。蛇足ながらジャベールは自分の罪に耐えかねて、最後は橋の上から投身自殺をする。(訳者)
以下はジャベール、いやフレッド・バートンの言葉:
「彼(アサンジ)を国から国へと移動させ、今後25年間、彼にいろいろな嫌疑を与えよ。特に、彼と彼の家族が所有するすべてのものを押収しろ。ウィキリークスに関わりのある人物はもちろん」。[私見:「国から国へ」は、「裁判所から裁判所へ」と言っても同義]
「陰謀と政治的テロリズムの容疑を追求し、情報源、つまりウィキリークスにつながりそうな人物の死亡は機密扱いにするな。」
「アサンジは平和主義者だ。彼はグアンタナモ収容所の水満杯の便器の中に頭を沈めてしまう必要 がある。」
「彼の金を奪え。彼のインフラを追いかけろ。ウィキリークスを釘付けにして解体するために使っているツールは、アルカイダを解体してその後を辿るために使ったツールと同じだ。」
「まずこのクソ野郎を破産させ、人生を台無しにしてやれ。共謀罪で7~12年の刑期を食らわせろ。」
「アサンジを刑務所のきれいな花嫁に。テロリストはくたばれ。彼は永遠にキャットフードを食べることになるだろう・・・アメリカへの引き渡しの可能性がますます高まっている。」
(バートンの言葉はここまで)
善良な人々。かつては「内外のすべての敵に対して合衆国憲法を支え、守る」という宣誓をしている。比べるのはおこがましいので、「ジャベール」とヴィクトル・ユゴーには謝罪。
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拷問に関する国連報告者ニルス・メルツァー(Nils Melzer)が指摘したように、ジュリアン・アサンジは世界中の人々が見ている中で心理的な拷問を受けている。そしてこの犯罪が非難に値するのであれば、---いや、それに劣らず危機に瀕しているのは世界各国の民主主義国家だ。自由なメディアがなくして民主主義国家は存立できようはずもない。
Last Saturday Julian Assange “celebrated” his 50th birthday in London’s high-security Belmarsh Prison. I was asked to record a message to be loud-speakered at the demonstration in support of Julian before the prison that day. Here is the recording. For those lacking appreciation for my singing, the 8-minute talk is transcribed here.
先週の土曜日、ジュリアン・アサンジは、ロンドンの厳重なベルマーシュ刑務所で50歳の誕生日の「祝い」をした。その日、刑務所の前で行われたジュリアンを支援するデモで、拡声器で流す録音を依頼された。これがその録音。私の歌のよさが分からない人のために、8分間のトークの書き起こしはここに。
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