米国発の2つのパンデミック。コビドと銃乱射事件
米国発の2つのパンデミック。コビドと銃乱射事件
<記事原文 寺島先生推薦>
US has Unleashed Two Pandemics Upon the World: the COVID and the Mass Shootings
ジャーナルNEO 2021年6月27日
ウラジミール・プラトフ(Vladimir Platov)著
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年7月20日

米国政府のプロパガンダ機構が、どれだけ一生懸命米国を「罪のないかわい子ちゃん」に見せようと努力しても、最近耳にするニュースを聞けば、本当の姿からは程遠いそんな嘘だらけのイメージは粉砕される。
さて米国国立衛生研究所が先日発表した報告によれば、COVID-19コロナウイルの感染者は、2019年の12月の時点ですでに米国にいたようで、それは米国の科学者たちが行った血液サンプルの研究からわかったことだそうだ。この研究は、2020年の1月2日から3月18日までの間に、50州の米国市民から収集した2万4000例以上のサンプルを検査した研究結果で明らかになったものだ。その結果、以前考えられていたよりも早い、2019年12月時点でCOVID-19の感染は既に米国で起こっていた可能性が出てきた。
この結果は、米国政府が最近ばらまこうとしていた情報とは食い違っている。米国政府は、コロナウイルスは中国の研究所で意図的に作られたとされるコロナウイルスが、「流出した」という主張を行っていた。このような「ウイルスは人工的に製造されたものである」という説は、米国や世界保健機関の感染病担当医長により否定されている。
西側諸国での情報拡散キャンペーンにより、コロナウイルスの「研究所起源」説が横行するなか、中国当局は断固として、COVID-19が武漢の研究所から「流出」したという言説を否定し、「科学の問題を明らかに意図的に政治問題にすり替えた」として米国政府を非難した。
「このウイルスは、コウモリのコロナウイルの研究を行っていた武漢の研究所から流出した」という言説の発端を思い起こして欲しい。このような言説を米国が大きく取り上げたのは、「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌が先月以下のような報道を行ったことを受けてのことだった。その報道の内容は、米国の情報機関が、武漢ウイルス研究所の3名の研究者が、2019年の暮れに「特定できない病気」に罹患し、病院で治療をうけようとしていた模様であることを明らかにした、という内容だった 。以前ウォール・ストリート・ジャーナル誌は2020年の5月に、米国政府の主要な研究所からの報告として、「研究所からの流出」説は、十分有り得ることであり、より詳しい調査が必要である、と報じていた。
コロナウイルスのパンデミックだけでなく、もうひとつ米国由来の「銃乱射事件」の世界的流行が、米国内外で大きな懸念となっている。同サイトNEOが以前報じたことだが、米国のメディアが、警鐘を鳴らして強調したのは、「米国の1つか、あるいは複数の州で、様々な銃乱射事件が発生し、人が殺されるという事件が報道されない日はない」ということだった。 米国は、銃撃による死という既に常態化している課題に加えて、むごたらしい銃犯罪の流行に震え上がっている。
6月上旬だけても、死者数は増えている。米国テキサス州のオースティン市では銃撃事件で12名が負傷し、うち一人が重傷を負った (オースティン市救急隊の報告による)。その数日前には、フロリダ州で孤児院から抜け出した10代の2名の青年が他人の家に不法侵入し、警官たちと銃撃戦になった。 ABCの報道によれば、6月6日にもフロリダ州の銃撃事件で、3名の死者と、6名の負傷者が出た、とのことだ。
2021年の5月末の時点で、2021年の米国の銃撃事件の総数は、2020年の年間総数よりも20%、2019年の年間総数よりも40%!も増加している。
5月下旬のユーロニュース社の報道によれば、カリフォルニア州サンノゼ市内の鉄道施設内で8人が殺害された、とのことだ。会社員が同僚に発砲した事件だった。2021年になってからまだ6ヶ月もたっていないのに、これが今年米国で起こった230件目の銃撃事件だった。
フォックスニュースの報道によると、マイアミのスワンキーというレストランは、銃犯罪により大騒ぎになっている。具体的には、5月30日の日曜日に、覆面した3名の銃を持った男たちが、宴会場で食事していた人々に対して発砲した事件だ。少なくともこの襲撃により2名が亡くなり、約25名が負傷した!ABCニュースの報道によれば、この事件は先月米国で起こった同様の事件の68件目である、とのことだ。
強調しておくべきことは、公共の場における米国での銃撃事件が特別なことではなくなってからもう長年になる、ということだ。5月16日には、ニューヨーク・シティの北部のブロンクス区での銃撃事件において、少なくとも5名が負傷した。その数日前にも、ニューヨーク州や、フロリダ州や、メリーランド州で銃撃事件が発生している。5月2日には、ウィスコンシン州グリーンベイ市附近のカジノで銃撃事件がおこり、少なくとも7名が負傷した。
軍人同士の銃撃戦は、米国の軍事施設において特別なことではなくなっている。6月9日にはテキサス州のラックランド共同基地で銃撃事件が発生し、後にSNS上で話題となったのだが、「避難命令」が発令されたそうだ。ラックランド基地は、州兵や将校たちの訓練所として使用される基地として指定された基地だ。
それよりも前に米海軍はツイッターで、フォートデトリック基地で銃撃事件があったが、その実行者は海軍の看護兵だったことを発表していた。
米国のメディアは、2020年に殺人事件などの暴力事件が急増しているのは、コロナウイルスのパンデミックのせいだという報じ方をしている。しかしフォックスニュースの司会者タッカー・カールソンはこう指摘している。「ロシアやメキシコなどの‘’普通の国々‘’では、コロナによる隔離状態の中での犯罪件数は減少しており、件数が増えているのは米国だけだ」と。従って、カールソンは、「犯罪の蔓延の真の理由は、民主党政権の政策が上手くいっていないことだ」 と考えている。
最近米国で起こっていることを見れば、米国人の本業は暴力行為であることは間違いのない事実だと言える。米国では、戦争は日常的に存在するものであり、ある人が自分の野望を実現するには、暴力を使うことが手っ取り早い方法になっている。米国史の始めから現代に至るまでずっと、米国の支配者層は近隣の国々に対する侵略戦争に国民を巻き込むことが常態化している。さらには国内でも様々な闘争を起こし、支配者層にとって気に入らないものたちを苦しめてきた。インディアン(ネィティブ・アメリカン)の領土の侵略から始まり、次にアフリカ系アメリカ人たちに対する戦争を仕掛け、最後には一般の労働者や農民たちに対する戦争を行った。 労働者や農民たちに対する戦争の例をあげれば、彼らが支配者層から嫌われたのは、1870年のストライキが原因だった。このストライキは、南北戦争との類似点があることがよく指摘されている。米国においては、政治問題の解決には暴力が常に付きまとってきた。「私たちは、本質が暴力にある社会を打ち立ててしまった。我が国にとって最も深刻な脅威は、外国の権力からのものではない。我が国の内部にある軍国主義なのだ。本当に気が滅入ってしまう事実なのだが、私たち米国民は明らかに戦争に慣れてしまった国民なのだ。長年私たちはずっと、戦時中か、世界のあらゆる地域と直ぐにでも戦争を始められる状態かどちらかの状況に置かれてきた」 。こう書いたのは、元上院外交委員長のウィリアム・フルブライトだ。
従って、政府当局が米国で大規模な銃撃事件が蔓延することを恐る恐る阻止しようとしても上手くいっていないのは、驚くべきことではない。特にこのことを浮き彫りにさせたのは、6月8日に米国上院において、米国内での銃の販売を規制する法案を通すことが出来なかったことだ。ポリテコ紙の記事の通り、共和党と民主党の両党の代表者たちが、法案の文書化において折り合いを付けることが出来なかったため、話し合いを止めてしまったのだ。こうなれば、大規模な銃撃事件の蔓延が米国内で拡がり続けることになるだろう。
私たちはたった一つの社会の中で暮らしているので、どんなパンデミックもすぐに国中にひろまってしまう。こうやってCOVID-19は世界中に広まってしまった。そして不幸にも、大規模な銃撃事件の蔓延も、多くの国々で広まりつつある。 すでに「稀な事件」として済まされなくなっているのだ。多くの国々では、米国のことはなんでも真似するのが「かっこいい」とされている。たとえ犯罪の蔓延でも、だ。
積極的で効果的な対応でCOVID-19のパンデミックと戦ってきたことで世界から注目を得たロシアは、 ロシア製のスプートニクⅤやそれ以外の複数のワクチンや医薬品を世界に供給している。そのロシアは、国内で小火器の犯罪使用が急速に蔓延していることに対して、国家レベルで対応していく方向性を打ち出している。6月16日のロシア国会議員総会では、弾薬や、銃や、銃の部品の不法な販売は重大な罪とし、爆発装置の販売は最大20年の懲役が課される法案が採択された。これらの法改正は、ロシアの刑法や、刑事訴訟法において、「不法な武器売買に関する罪の重さを高める」ために行われているものだ。
Vladimir Platov, expert on the Middle East, exclusively for the online magazine “New Eastern Outlook”.
Vladimir Platov, expert on the Middle East, exclusively for the online magazine “New Eastern Outlook”.
<記事原文 寺島先生推薦>
US has Unleashed Two Pandemics Upon the World: the COVID and the Mass Shootings
ジャーナルNEO 2021年6月27日
ウラジミール・プラトフ(Vladimir Platov)著
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年7月20日

米国政府のプロパガンダ機構が、どれだけ一生懸命米国を「罪のないかわい子ちゃん」に見せようと努力しても、最近耳にするニュースを聞けば、本当の姿からは程遠いそんな嘘だらけのイメージは粉砕される。
さて米国国立衛生研究所が先日発表した報告によれば、COVID-19コロナウイルの感染者は、2019年の12月の時点ですでに米国にいたようで、それは米国の科学者たちが行った血液サンプルの研究からわかったことだそうだ。この研究は、2020年の1月2日から3月18日までの間に、50州の米国市民から収集した2万4000例以上のサンプルを検査した研究結果で明らかになったものだ。その結果、以前考えられていたよりも早い、2019年12月時点でCOVID-19の感染は既に米国で起こっていた可能性が出てきた。
この結果は、米国政府が最近ばらまこうとしていた情報とは食い違っている。米国政府は、コロナウイルスは中国の研究所で意図的に作られたとされるコロナウイルスが、「流出した」という主張を行っていた。このような「ウイルスは人工的に製造されたものである」という説は、米国や世界保健機関の感染病担当医長により否定されている。
西側諸国での情報拡散キャンペーンにより、コロナウイルスの「研究所起源」説が横行するなか、中国当局は断固として、COVID-19が武漢の研究所から「流出」したという言説を否定し、「科学の問題を明らかに意図的に政治問題にすり替えた」として米国政府を非難した。
「このウイルスは、コウモリのコロナウイルの研究を行っていた武漢の研究所から流出した」という言説の発端を思い起こして欲しい。このような言説を米国が大きく取り上げたのは、「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌が先月以下のような報道を行ったことを受けてのことだった。その報道の内容は、米国の情報機関が、武漢ウイルス研究所の3名の研究者が、2019年の暮れに「特定できない病気」に罹患し、病院で治療をうけようとしていた模様であることを明らかにした、という内容だった 。以前ウォール・ストリート・ジャーナル誌は2020年の5月に、米国政府の主要な研究所からの報告として、「研究所からの流出」説は、十分有り得ることであり、より詳しい調査が必要である、と報じていた。
コロナウイルスのパンデミックだけでなく、もうひとつ米国由来の「銃乱射事件」の世界的流行が、米国内外で大きな懸念となっている。同サイトNEOが以前報じたことだが、米国のメディアが、警鐘を鳴らして強調したのは、「米国の1つか、あるいは複数の州で、様々な銃乱射事件が発生し、人が殺されるという事件が報道されない日はない」ということだった。 米国は、銃撃による死という既に常態化している課題に加えて、むごたらしい銃犯罪の流行に震え上がっている。
6月上旬だけても、死者数は増えている。米国テキサス州のオースティン市では銃撃事件で12名が負傷し、うち一人が重傷を負った (オースティン市救急隊の報告による)。その数日前には、フロリダ州で孤児院から抜け出した10代の2名の青年が他人の家に不法侵入し、警官たちと銃撃戦になった。 ABCの報道によれば、6月6日にもフロリダ州の銃撃事件で、3名の死者と、6名の負傷者が出た、とのことだ。
2021年の5月末の時点で、2021年の米国の銃撃事件の総数は、2020年の年間総数よりも20%、2019年の年間総数よりも40%!も増加している。
5月下旬のユーロニュース社の報道によれば、カリフォルニア州サンノゼ市内の鉄道施設内で8人が殺害された、とのことだ。会社員が同僚に発砲した事件だった。2021年になってからまだ6ヶ月もたっていないのに、これが今年米国で起こった230件目の銃撃事件だった。
フォックスニュースの報道によると、マイアミのスワンキーというレストランは、銃犯罪により大騒ぎになっている。具体的には、5月30日の日曜日に、覆面した3名の銃を持った男たちが、宴会場で食事していた人々に対して発砲した事件だ。少なくともこの襲撃により2名が亡くなり、約25名が負傷した!ABCニュースの報道によれば、この事件は先月米国で起こった同様の事件の68件目である、とのことだ。
強調しておくべきことは、公共の場における米国での銃撃事件が特別なことではなくなってからもう長年になる、ということだ。5月16日には、ニューヨーク・シティの北部のブロンクス区での銃撃事件において、少なくとも5名が負傷した。その数日前にも、ニューヨーク州や、フロリダ州や、メリーランド州で銃撃事件が発生している。5月2日には、ウィスコンシン州グリーンベイ市附近のカジノで銃撃事件がおこり、少なくとも7名が負傷した。
軍人同士の銃撃戦は、米国の軍事施設において特別なことではなくなっている。6月9日にはテキサス州のラックランド共同基地で銃撃事件が発生し、後にSNS上で話題となったのだが、「避難命令」が発令されたそうだ。ラックランド基地は、州兵や将校たちの訓練所として使用される基地として指定された基地だ。
それよりも前に米海軍はツイッターで、フォートデトリック基地で銃撃事件があったが、その実行者は海軍の看護兵だったことを発表していた。
米国のメディアは、2020年に殺人事件などの暴力事件が急増しているのは、コロナウイルスのパンデミックのせいだという報じ方をしている。しかしフォックスニュースの司会者タッカー・カールソンはこう指摘している。「ロシアやメキシコなどの‘’普通の国々‘’では、コロナによる隔離状態の中での犯罪件数は減少しており、件数が増えているのは米国だけだ」と。従って、カールソンは、「犯罪の蔓延の真の理由は、民主党政権の政策が上手くいっていないことだ」 と考えている。
最近米国で起こっていることを見れば、米国人の本業は暴力行為であることは間違いのない事実だと言える。米国では、戦争は日常的に存在するものであり、ある人が自分の野望を実現するには、暴力を使うことが手っ取り早い方法になっている。米国史の始めから現代に至るまでずっと、米国の支配者層は近隣の国々に対する侵略戦争に国民を巻き込むことが常態化している。さらには国内でも様々な闘争を起こし、支配者層にとって気に入らないものたちを苦しめてきた。インディアン(ネィティブ・アメリカン)の領土の侵略から始まり、次にアフリカ系アメリカ人たちに対する戦争を仕掛け、最後には一般の労働者や農民たちに対する戦争を行った。 労働者や農民たちに対する戦争の例をあげれば、彼らが支配者層から嫌われたのは、1870年のストライキが原因だった。このストライキは、南北戦争との類似点があることがよく指摘されている。米国においては、政治問題の解決には暴力が常に付きまとってきた。「私たちは、本質が暴力にある社会を打ち立ててしまった。我が国にとって最も深刻な脅威は、外国の権力からのものではない。我が国の内部にある軍国主義なのだ。本当に気が滅入ってしまう事実なのだが、私たち米国民は明らかに戦争に慣れてしまった国民なのだ。長年私たちはずっと、戦時中か、世界のあらゆる地域と直ぐにでも戦争を始められる状態かどちらかの状況に置かれてきた」 。こう書いたのは、元上院外交委員長のウィリアム・フルブライトだ。
従って、政府当局が米国で大規模な銃撃事件が蔓延することを恐る恐る阻止しようとしても上手くいっていないのは、驚くべきことではない。特にこのことを浮き彫りにさせたのは、6月8日に米国上院において、米国内での銃の販売を規制する法案を通すことが出来なかったことだ。ポリテコ紙の記事の通り、共和党と民主党の両党の代表者たちが、法案の文書化において折り合いを付けることが出来なかったため、話し合いを止めてしまったのだ。こうなれば、大規模な銃撃事件の蔓延が米国内で拡がり続けることになるだろう。
私たちはたった一つの社会の中で暮らしているので、どんなパンデミックもすぐに国中にひろまってしまう。こうやってCOVID-19は世界中に広まってしまった。そして不幸にも、大規模な銃撃事件の蔓延も、多くの国々で広まりつつある。 すでに「稀な事件」として済まされなくなっているのだ。多くの国々では、米国のことはなんでも真似するのが「かっこいい」とされている。たとえ犯罪の蔓延でも、だ。
積極的で効果的な対応でCOVID-19のパンデミックと戦ってきたことで世界から注目を得たロシアは、 ロシア製のスプートニクⅤやそれ以外の複数のワクチンや医薬品を世界に供給している。そのロシアは、国内で小火器の犯罪使用が急速に蔓延していることに対して、国家レベルで対応していく方向性を打ち出している。6月16日のロシア国会議員総会では、弾薬や、銃や、銃の部品の不法な販売は重大な罪とし、爆発装置の販売は最大20年の懲役が課される法案が採択された。これらの法改正は、ロシアの刑法や、刑事訴訟法において、「不法な武器売買に関する罪の重さを高める」ために行われているものだ。
Vladimir Platov, expert on the Middle East, exclusively for the online magazine “New Eastern Outlook”.
Vladimir Platov, expert on the Middle East, exclusively for the online magazine “New Eastern Outlook”.
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