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米国ジャーナリズムが「闇の政府」の代弁人になった経緯


<記事原文 寺島先生推薦>

How American Journalism Became a Mouthpiece of the Deep State

The intelligence community uses the media to manipulate the American people and pressure elected politicians.

諜報社会がメディアを活用するのはアメリカ国民を操作し、政治家に圧力を加えるのが目的

グローバル・リサーチ

2021年5月25日

ピーター・ヴァン・ビューレン(Peter Van Buren)

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年7月12日


 ワシントンで最も簡単な仕事はCIAスポークスマンの仕事だと記者たちは冗談を言う。質問に注意深く耳を傾け、口に出す言葉は「ノーコメント」。後は勤務終了後の一杯へ一直線でいいのだから。しかし、この冗談は私たち記者にも当てはまる。記者たちはCIAの一面、つまり消極的な情報隠しだけを見ている風だ。そんな素振りをしながら、アメリカにおけるいろいろな出来事に影響を与えるための能動的な情報操作という、もう一方の動きから利益を得ているのだ。時は2021年、CIAはアメリカ国民に対してある作戦を展開している。

  かつてCIA長官だったレオン・パネッタは、ある国に選挙があると、それ以前に国外のメディアへの影響力を行使し、CIAは「その国の人々の態度を変え」ようとするのだ、とあっけらかんと言ってのけた。その方法とは、「特定のメッセージを伝えるために利用できそうな国や地域のメディアを獲得したり、メディアを所有している人々に影響を与えたりして、そのメッセージを伝えるために協力してもらう」というものだった。CIAは第二次世界大戦後、外国の選挙に影響を与えるための作戦を継続的に行ってきた。

 その目的は、情報を操作して影響力行使の道具にすることだ。時には、自分でメディアを操作するという非常に直接的な方法で操作することもある。この方法の問題点は、そのやり口が簡単に暴露され、信頼性を失うことだ。

 より効果的な戦略は、合法的なメディアの情報源となり、その(偽)情報を彼らが得ている信頼性の上にうまく乗せることだ。最も効果的なのは、1人のCIA工作員が最初の情報源となり、2人目のCIA工作員が一見独立した情報源としてそれを確認するように振る舞うことだ。主要メディアに情報を流し、主要メディアは「独立して」、時には2人目のCIA工作員が動いていることも知らず、その情報を確認することができるということになる。(これで)翌日の見出しの基本的な線は決まる。

 他にも、信憑性を確立するために偽情報を混ぜた真の情報を独占的に提供したり、大使館のスポークスマンのような公式ソースを使って本筋とは関係ない内容を「うっかり」認めたり、真相を語る言説の信頼を貶めることができる学者や専門家を後押しするためにその研究や副業に秘密裏に資金を提供したりといった手法がある。

 第二次世界大戦末期から1976年のチャーチ委員会*まで、これらはすべて陰謀論として片付けられていた。もちろん、(本来の)アメリカであればCIAを使って、特に同胞民主主義国の選挙に影響を与えるようなことはしないのだろう。しかし、実際はそうではなかった。諜報活動に関するリアルタイムの報道は、本来限られた情報に基づいて行われる。ただし、確立された諜報の手口ではあっても、その曖昧な痕跡は残ってしまうものだ。常に時の流れに委ねるしかなく、うまくゆけば、真相の説明につながることもある。

チャーチ委員会*…正式名称はthe United States Senate Select Committee to Study Governmental Operations with Respect to Intelligence Activities。1975年に設置された上院特別委員会。CIA、NSA、FBI、IRSなどの権限逸脱行為を調査した。1976年に最終報告書が出された。(ウィキペディア)

 モッキングバード作戦により、CIAは400人以上のアメリカ人ジャーナリストを直接のスパイとして使った。自分の仕事について公に語ったことのある人はほとんどいない。ジャーナリストたちは、アメリカの主要な報道機関の同意を得て、CIAのためにこれらの仕事を行った。ニューヨークタイムズだけ見ても、何十年もの間10人のCIA幹部を喜んで社内に迎え入れ、そのことを黙っていた。

 長期的な関係は強力な方策であり、特ダネを若い記者に提供し、出世させることは想定内のことだ。ウォーターゲート事件を引き起こした匿名の情報源は、FBIの職員であり、彼の行動によって新人記者のウッドワード(Woodward)とバーンスタイン(Bernstein)のキャリアが築きあげられたことを忘れてはならない。バーンスタインはその後ロシアゲート事件が存在することを主張する側の発言を行った。ウッドワードはワシントンの聖人伝記者となった。元AP通信で、現在はNBCに勤務するケン・ディラニアン(Ken Dilanian)は、今でもCIAと「協力関係」を保っている

 こんな風に諜報活動は行われる。アメリカにとっての問題は、国外で使われた戦争の道具が再び国内に戻ってきたことだ。9月11日以降、NSA(国家安全保障局)がそのアンテナを内側に向けたのと全く同じように。情報機関は現在、既存のメディアを使ってアメリカ国民に対して作戦行動を行っている。

 中には、これ以上ないほど明白なものもある。CIAは常に海外でネタを仕込み、アメリカの報道機関取り上げてもらっていた。2003年のイラク戦争に向けて、世論に影響を与えるためにCIAはジャーナリストたちに嘘をついた。CIAはハリウッドと直接連携して、自分たちを題材にした映画を自分たちの意に沿うように創らせている。

 どのアドボカシー系メディア(訳注:ある立場や意見を特に推奨するメディア)を見ても、元CIA職員の人物一覧が出てくる。だが、ジョン・ブレナン元長官ほど悪質な人物はいない。彼は、在任中に集めた情報からすべてが嘘であることを知りながら、在任中何年もロシアゲート事件を喧伝していた。ブレナンはおそらく、2017年1月に、トランプがロシアと癒着しているという根本的な嘘を報道機関にリークし、現在も行われている情報操作の手始めとしたのだろう。

 ブレナンの役割は推測の域に止まらない。情報機関に対する現在進行中の「いかにして起こったか」というロシアゲート事件の調査を指揮する米国弁護士のジョン・ダーラム(John Durham)は、ブレナンの電子メールと通話記録をCIAに要求している。ダーラムは、ブレナンが公の場でのコメント(宣誓していない:何でも言える)と、2017年5月の議会での書類に関する証言(宣誓している:偽証にならないように注意する)の間で、話を変えたかどうかも調べている。記者のアーロン・メイト(Aaron Mate)はあまり歯に衣を着せることなく、ブレナンが 「陰謀論の初期からの中心的な設計者であり推進者であった」という証拠を並べている。ランド・ポール(Rand Paul)上院議員は、ブレナンが「現職の大統領を倒そうとした」と名前を挙げて非難している。

 これがどのように作用したかということは、情報作戦と秘密作戦がどのように絡み合っているかを知る手掛かりになる。司法省のマイケル・ホロウィッツ(Michael Horowitz)監察官の報告書によると、FBIは情報作戦の主要文書であるスティール文書を口実に使い、全面的なスパイ活動を展開した。スティール文書の作成者である元英国諜報員のクリストファー・スティール(Christopher Steele)は、教科書的な情報の輪を作り上げて自分の仕事を公表し、密かに自ら自分自身を裏付ける情報源としていたのだ。

  ホロウィッツ報告書を読むと、それが5Eyes(訳注:英、米、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドを構成国とする諜報活動の連合組織)がチームとして動いた結果だったということもわかる。オーストラリアの外交官アレクサンダー・ダウナー(Alexander Downer)は、自国の情報機関とのつながりがあり、トランプ大統領のスタッフであるジョージ・パパドプロス(George Papadopoulos)との面談を手配し、FISA(Foreign Intelligence Surveillance Act外国諜報活動偵察法)による監視を開始した。イギリスのGCHQ(政府通信本部)は、トランプの関係者を監視し、NSAに情報を伝えた。また、この作戦ではCIAの直属スパイでありながら、正体のはっきりしない学者ステファン・ハルパー(Stefan Halper)とジョセフ・ミフスード(Joseph Mifsud)を餌として使った。さらに、イスラエルが手配したトランプのスタッフとの社交場に、FBIの女性潜入捜査官を送り込むというハニートラップもあった。 

 すべては偽情報に基づいており、アメリカのマスコミはその情報をすべて飲み込み、多くの国民に、アメリカはロシアのスパイによって運営されていると偽って信じ込ませた。ロバート・ミューラー(Robert Mueller)の調査も、このような一切何もないところから弾劾へ導くはずだった。彼はアメリカ人がもう二度と目にすることのない最後の政治的勇気を振り絞って、実質的にクーデターになる寸前まで歩みを進めた。しかし、最後の一線を越えることはなかった。

 CIAは学習する機関であり、ロシアゲート(の失敗)からもうまく持ち直した。詳細は(いつでも)調査することは可能だ。それで「ロシアゲート」の昔話は崩れ去ってしまう。スティール文書は真実ではなかったのだ。しかし、「なるほど!」と思える発見は、「誰一人正式に起訴されることはないのだから、ただ告発を投げかければいいところで、わざわざ証拠を用意する必要はない」ということだ。新しいパラダイムでは、情報機関の勇敢な若者たちが情報源だという本質を利用して、告発を正当化させた。さらに、すべて隠し立てするな!進歩的なヒーローとしてのCIAの予想外の威信を物事の裏付けとせよ!この作戦が功を奏した。

 そこで2017年12月、CNNはドナルド・トランプ・ジュニアがウィキリークスのアーカイブに事前にアクセスしていたと報じた。1時間も経たないうちに、NBCのケン・ディラニアン(Ken Dilanian)とCBSの両方がそれぞれ自分たちもそれを確認していると主張した。それは完全な嘘だった。嘘をどうやって確認するのか?別の嘘つきに聞いてみよう。

 2020年2月、国家情報長官室(ODNI)は下院情報委員会に対し、ロシア人がトランプに有利なように再び選挙妨害を行っていると説明した。その数週間前、ODNIはバーニー・サンダースに、ロシア人が民主党予備選でも彼に有利な介入をしていると説明した。この二つの説明はいずれもリークされた。前者はDNIを交代させたトランプを中傷するためにニューヨークタイムズ紙に、後者はサンダース氏にダメージを与えるためにネバダ州の予備選前にワシントンポスト紙にリークされた。得をするのは誰か?いい質問だ。その答えは、ジョー・バイデンということになる。

 2020年6月、ニューヨークタイムズ紙は、CIAの結論として次のことを報道した:

ロシア人は「アフガニスタンで米軍を含む連合軍を殺害したタリバン系武装勢力に秘密裏に報奨金を提供していた。」


 この記事は、トランプが戦死した兵士に対して無礼な発言をしたとする別の記事の近くに掲載された。どちらも真実ではなかった。しかし、これらの記事は、トランプがアフガニスタンからの撤退を発表した前後に掲載され、軍事支持派の有権者を落胆させることを目的としていた。

 今月初め、ワシントンポスト紙は匿名の情報源を引用し、FBIが2019年、ルディ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)がウクライナに渡航する前に国防に関わる説明を行ったと主張した。ジュリアーニはそのFBIの警告を無視したとされている。この話を、NBCとニューヨークタイムズがそれぞれ「独自に確認」した。(しかしこれも)まったくの嘘だった

 どうしても分からないのは、なぜこれらのメディアはいろいろな情報源を使い、同じ間違いを繰り返すのか?しかもトランプらに不利な情報だけを提供し、その逆はしないのか?メディアは、自分たちが頼りにするスパイと同じくらい信頼できる機械になってしまったのだ。

 アメリカの制度では、メディアは反対意見を述べる役割を果たすと常に想定されていた。植民地時代のピーター・ゼンガー(Peter Zenger)事件は、報道機関が政治家を批判しても名誉毀損に問われない権利を確立したもので、報道の自由を獲得するための最初の挑戦の一つだった。エドワード・R・マロー(Edward R.Murrow)のような人物は、これぞという時に民主主義を守るために尽力した。ベトナム戦争に反対したウォルター・クロンカイト(Walter Cronkite)や、ペンタゴン・ペーパーズを発表するために禁固刑を覚悟したニューヨークタイムズの記者たちもそうだ。

 いずれの場合も、危険を冒してまで真実を伝えようとした一握りの記者たちが英雄として称えられた。ワシントンポスト紙は、ニューヨークタイムズ紙が命がけで戦っているのを見て、ペンタゴン・ペーパーズを共同出版し、政府にニューヨークタイムズ紙だけでなく、自社に対しても反論するように仕向けた。

 今は違う。ジャーナリズムは、流れに与せず頑張っている人を排除することに専念している。グレン・グリーンウォルド(Glenn Greenwald)(次にマット・タイビ(Matt Taibbi))ほど標的にされている者はいない。

 グリーンウォルドは、エドワード・スノーデンのNSA(《米》国家安全保障局)公文書に関する報道で、ジャーナリストのスーパーヒーローとして爆発的な人気を博し、それを報道する場としてthe Interceptを設立した。しかし、その後とても、とても奇妙なことがあってthe Interceptが、内部告発者の一人の名前を外部に漏らしたかのように見える出来事があった。暴露されたもの" >証拠から察するとその情報源は情報機関によって仕組まれたカモであり、この話に出てくるthe Intercept ジャーナリストの一人であるマット・コール(Matt Cole)によって暴露されたものだ。コールは、CIA職員のジョン・キリアコウ(John Kiriakou)が拷問の情報源であることを暴露したことにも関わっている。内部告発者たちはthe Interceptに頼ることに二の足を踏まざるを得なくなった。

 後にグリーンウォルドは、特にロシアゲートに関して、闇の国家の嘘を真実として受け入れているメディアを批判し、進歩主義者にとってならず者になった。MSNBCはグリーンウォルドを出入り禁止にし、他のメディアはグリーンウォルドを中傷する記事を掲載した。彼が最近the Interceptを辞めたのは、ハンター・バイデン(Hunter Biden)(訳注:バイデン大統領の次男)と中国との関係に関する記事を載せるには、ジョー・バイデンを批判する部分を削除しなければならないと言われた後だ。

 グリーンウォルドの記事

トランプ時代の最も重要な提携は、企業の報道機関と安全保障国家機関との間のものであり、彼らは証拠のない主張を問題にすることもなく広めている・・・すべてのジャーナリストは、たとえ最も正直で注意深い人であっても、時には物事を間違えることがあり、信頼できるジャーナリストは間違えるとすぐに訂正する。それが信頼構築につながるのだが・・・

 
 しかし、メディアが相変わらず無謀で欺瞞に満ちた戦術を用いている場合、例えば、国家安全保障機関の速記者然として何も「確認」していないにもかかわらず、互いに名前も明かさず「独立して確認した」と主張している場合などは、真実なんかどうでもいいと言っているのであり、あろうことか、デマを喜んでまき散らす役割を果たしていることになる。

 国外での情報操作が何十年にもわたってうまくいったものだから、CIAなどの諜報機関はその武器を私たちに向けてきた。私たちが目にしているのは闇の国家が大統領制政治に介入し、同時に反対言論を展開するメディアの息の根を止め(もっとも大抵はそのメディアの協力があるのだが)、私たちの指導者とその選出プロセスの両方に対する信頼を打ち砕いている様子だ。民主主義はここでは何の意味も持たなくなる。

*

Peter Van Buren is the author of We Meant Well: How I Helped Lose the Battle for the Hearts and Minds of the Iraqi People, Hooper’s War: A Novel of WWII Japan, and Ghosts of Tom Joad: A Story of the 99 Percent.

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