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アメリカ若年層の資本主義離れでトランプが当選

Young Americans have soured on capitalism, and that’s what got Trump elected ---- Slavoj Zizek
RT 2018年8月15日

(翻訳:大手山茂、編集:新見明 2018年8月28日)

<記事原文>https://www.rt.com/usa/435970-democrats-socialism-gallup-poll/

映像
Anti-capitalist protesters in Washington DC © David S. Holloway / AFP

若い有権者の資本主義への支持が急激に下落したと、ギャロップ世論調査が新たな結果を出した。 この推移に目を向けようとしないアメリカ支配層のあり方が結果的にトランプ大統領の誕生につながった、とスロベニアの哲学者であるスラヴォイ・ジジェク氏はRTに語っている。

このギャロップ世論調査によれば民主党員の57%は社会主義を肯定的に見ている。 資本主義を肯定的に見ている党員は47%に過ぎない。 2010年には56%が資本主義肯定派だったのに。

政治的な路線を巡って、アメリカの若年層(18歳から29歳)は全体が資本主義派、社会主義派に二分される。 51%が社会主義を肯定的に捉え、45%が資本主義を肯定的に捉えている。 資本主義肯定派はたった2年間で12%の下落だ。

(さらに読む)
Facebook vanishes Venezuela-based left-leaning news network again_


スラヴォイ・ジジェク氏はこの推移をアメリカンドリームがまったく現実離れしていると気づいた層がいるからだと見ている。

「この失望の根っこは簡単に特定できます」と彼はRTに語った。「労働者階級も中流階級も裏切られたと感じているのです。 一般的に言えば、今のアメリカの制度は人々が望むようには機能していないと広く気づくようになっています。」

奇妙なことに満足度下落はアメリカ経済が活況を呈している時期に出てくるのだ。 現在は失業率が3%を少し上回る程度で過去50年で最低だ。 賃金も上がっている。 もしトランプ大統領の言うことを信じるならば、あらゆる企業が鳴り物入りで生産工程を海外からアメリカ国内に呼び戻しているところだ。

2010年、今より多くの民主党員が資本主義に信頼を置いていたころ、客観的な事情は今より悪かった。 失業率は目も当てられない9%だった。 賃金は先の大不況以来、低迷状態で、回復の光明はまだはるか彼方だった。 

「このメッセージはたいへんな期待を抱かせます」とジジェク氏はギャロップ世論調査について語った。 アメリカ国民の相当数が「アメリカンドリームに親近感を感じていない」ことをこのデータは示していると彼は言った。そして彼は、我々の学術用語で言うイデオロギー的ヘゲモニーの、終わりの始まりとして、この資本主義支持の凋落を描写した。

David Sirota ✔ @davidsirota
ディビッド・シロタ
TVキャスター:問題は、非情に多くの民主党員々が、大部分のアメリカ人にとって資本主義に問題があると考えていることだ。 (ちょっと資料を見る)
住宅は高すぎ、学生ローンはうなぎ登りに高額になり、メディケアを受けているのにGoFundMe(ネットの募金)を必要とするのだ。
https://www.commondreams.org/news/2018/08/13/change-gonna-come-poll-shows-democratic-voters-socialism-more-capitalism …5:31 AM - Aug 14, 2018
「この10年以上にわたるギャロップ調査で初めて、民主党員は、資本主義より社会主義を肯定的なイメージをもっていることを示した。」 (Image: depositphotos/stevanovicigo)'

「変化の時がやってきた」。世論調査は民主党員が資本主義より社会主義を求めていることを示している。
「この体制は、よりよきものを望み、それに値する人々を没落させた。commondreams.org


より多くのアメリカ人が取り残された気持ちを抱く中で、2016年この欲求不満をうまく取り込んだ唯一の候補者がドナルド・トランプだったのだ。 しかし、ジジェク氏の見方ではトランプがアメリカが抱えている数々の問題の解決となるわけではない。 景気がうまく回っている時でも景気回復が全員平等に行き渡ったわけではないのだ。 4千万人のアメリカ人が未だに貧困状態だ。 このうち5百万人が「第三世界のレベル」で生活している。 6月に公表された国連報告のデータだ。 

「アメリカを救うことができる唯一の存在が、より力を持った、よりラジカルな左翼です」とジジェク氏は主張する。

左翼はどこに?

ジジェク氏が語っているラジカルな左翼は存在する。 しかし民主党のより中道的な支配層がそれを有無を言わさず排除しているのだ。 彼の議論に依れば、この支配層は「自分達が動かしている民主党がどうなのかを見るべきだ。つまりバーニー・サンダースや彼の運動が呈示している明白で、より左翼的な、反資本主義のシグナルを完璧に無視してきたことにしっかり目を向けるべき」ということになる。

サンダースは人気のある人物だった。 とくに若い有権者に人気があった。 彼ではなくヒラリー・クリントンを担ぎ上げたことで、中道派支配層は「アメリカ国民の期待を裏切った。」

しかし、2016年の大統領選でクリントン陣営が惨めな結果に終わってから、サンダースが支持する「進歩的」運動はその動きがじわじわとゆっくり中心的な流れに浸透してきている。 このことが一番はっきりわかるのは6月のブロンクスにおいてだった。 この時自称「民主的社会主義者」アレクサンドリア・オカシオ=コルテスが10期目の現職下院議員、より中道派で格式高いジョー・クローリィを追い出し驚天動地の予備選勝利を勝ち取ったのだ。

(さらに読む)
Ocasio-Cortez v Ben Shapiro:Dem candidate refuses ‘catcalling debate offer_


オカシオ・コルテスは選挙公約は①すべての人にメディケアを、②大学学費無償化、③時給15ドルの最低賃金、④移民税関捜査局の廃止、だった。 このうちいくつかは民主党クリントン陣営が忌み嫌うものだったろう。

オカシオ・コルテスが勝利したことでトランプ時代における民主党員のロードマップがはっきり示されたようだ。 民衆のよりラジカルな左翼的要求をくみ取り、選挙に勝利するのか、ロシアへの非難を続け、負け続けるのか、である。 しかし民主党支配層はこのことに耳を傾けず、下院少数党院内総務のナンシー・ペローシ(カリフォルニア)がオカシオ・コルテスの勝利を過小評価、有権者にそれは「一つの地域」でたまたま起こったことで、進歩的な考えに「足元を掬われないよう」にと警鐘を鳴らす始末だった。

院内総務補佐のジェイムズ・クライバーン(南カリフォルニア)が民主党支配層に染みついた気質を代弁し、「オカシオ・コルテス氏は民主党指導層の一員になるには順番を待つ必要がある」とあるインタービューで語った。

「私がこの地位に就くためにどれほどの時間を待たなければならなかったか、彼女には一度考えて欲しいのですよ」と、この78歳の下院議員は語った。

予備選勝利の後、オカシオ=コルテスはアメリカ国内を飛行機で飛び回り、同じ進歩主義的な志向を持つ候補者への支持を予備選挙前に大々的に訴えた。 しかし、彼女の遊説は及ばず、このなりたての社会主義者に推された6人の候補者のうち4人が落選した。

この躓きをアメリカ人に内在する「社会主義への恐怖」のせいだとする批評家もいた。 ジジェク氏はそれには強力な異議を唱えた。

「その恐怖感をまき散らしている人でもそんな話は真面目に受け取らないと思いますよ」と彼は語った。 アメリカが今にもベネゼラのような国になるなんてそもそもありそうもないことなのですから、とも。 今回の社会主義人気に対する「それは純粋な恐怖扇動であり、パニック化した反動です」とジジェク氏は語った。

今回のギャロップ世論調査に現れた傾向がもし正しいなら、社会主義的メッセージを取り入れることが民主党が生き残れる唯一の方法とやがてなり得るだろう。
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