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インドの惨状と中国人権問題の武器化。資本主義インドの「民主主義」は、数十万人の貧しい農民を自殺に追い込む

<記事原文 寺島先生推薦>
India and the Weaponization of Human Rights

India’s Capitalist “Democracy” Condemns Hundreds of Thousands of Impoverished Farmers to Suicide


カーラ・ステラ( Carla Stea)著

Global Research 2021年2月21日

初版は2020年9月

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年4月23日


 共産主義中国の「独裁政権」は7億人の中国市民を貧困から救い出した:しかし、西側権威筋から褒められているのはインドで、中国は悪魔化され、制裁を受けている。

 「何よりも優先されるべき人権は生存権である。」王毅(中華人民共和国外務大臣、国家顧問)

 12年前、国連経済社会局の事務次長補佐であるジョモ・シュリー・クワメ・スンダラムは、記者会見で2008年の「アジア・太平洋の経済社会調査」を発表し、その124ページで次のような驚くべき事実を明らかにした。

 「農民は限られた資産で自分たちの土地を耕作し、種子やその他の営農に必要な物資を購入するために借入金に依存している。彼らの農業収入の低下は債務につながる可能性がある。インドでは、例えば農村地域の苦悩は、2001年から2005年の間の農民の自殺者数が86,922人という多さに表れている(インド政府、2007年)。

 しかしながら、2014年まで、この恐ろしい事実についての報道や公式の調査はほとんどなかった。ジョナサン・ケネディの記事「『見捨てられた』インド農民たちの自殺の蔓延に関する新しい証拠」で、彼は次のように述べている。

 「2010年には、187,000人のインド人が自殺した。それは全世界の自殺の5分の1にあたる。最新の統計調査によると、自殺が最も多い地域と、自由市場経済へ移行した(それは比較的最近起こったことであるが)ことに伴い価格変動の激しい作物を栽培していたために被害を受けた貧しい農民地域との間に、強い因果関係がある」

 「しばしば忘れられがちなことであるが、インドの人口のほぼ70%にあたる8億3300万人以上が依然として農村部に住んでいる。これらの農村住民の大部分は、過去20年間の経済成長の恩恵を受けていない。実際、自由化は農業部門に危機をもたらし、多くの小規模換金作物農家を借金に追い込み、多くの場合自殺に追いやっている」

 トランプが北朝鮮の社会主義指導者である金正恩に約束した資本主義の楽園とはこんなもの。

 2014年2月22日、エレン・バリーは、ニューヨークタイムズ紙で「農民が自殺した後、債務はインドの家族に降りかかる。貧しい未亡人は「娼婦」と呼ばれるようになる」と見出しを付けた。2014年6月、APは、次のような見出しの記事をのせた。「レイプされ、殺害された少女たちは、インドの貧困層への恐ろしい危険性を明らかにしている」:ユニセフによると、「インドの人口のほぼ50%にあたる約5億9,400万人が野外で排便しており、ウッタルプラデーシュ州のバダーユーン地区のような貧しい田舎では特にその状況は著しい、先週の火曜日に、用便をしにいった2人の10代の少女が誘拐され、集団レイプされ、リンチされたことは、彼らの日々の試練が新たな恐ろしい段階に入ったことを明示することになった」とのことだ。

 そしてついには、6年後、その絶望の原因を都合よくCovid-19のせいにして、ニューヨークタイムズは故意に事実を混乱させ、次のように書いた。

 「ロックダウンはインドの農民に死の種をまく」

 「インドは世界で自殺率の最も高い国の一つだ。国家犯罪記録局の統計によると、2019年には、全国で合計10,281人の農民と農業従事者が自殺した。自分の命を奪うことはインドでは依然として犯罪であり、専門家が何年間も述べてきたことだが、ほとんどの人が報道されて汚名を着せられることを恐れているため、実際の数ははるかに多い」

 貧しいインド人が被っている恐怖に対する世界の関心は希薄で、それは国連の専門機関においてさえしばしば無視されてきた。このことは、西側メディアや国連安全保障理事会内で中国が告発されている表面的な人権侵害への圧倒的な注目度に比べると極めて対照的である。

 インドのモディ現首相は、イギリスからのインド独立の偉大な指導者であるマハトマ・ガンジーの暗殺に関与した政党の出身である。モディが1947年までインドを奴隷にしていた西洋の手にインドを戻すことを決意していることは明らかだ。モディはインドの前の主人を喜ばせるのに、非常に従順な下僕だ。植民地時代のインドに対する英国の大量虐殺政策の簡潔な説明は、スーザン・バトラーの傑作「ルーズベルトとスターリン、パートナーシップの肖像」(327ページ、Knopf版)に記載されている。

 「インドに対するイギリスの支配は、ロシアに対するスターリンの支配と同じくらい残酷であった」。1941年11月、チャーチルはベンガルで焦土戦術をとり、それは拒否政策(Denial Policy)として知られるようになった。兵士たちは見つけた全ての米を押収するように命じられた。彼らはサイロと倉庫を押収し、作物の種を奪った。兵士はまた、全ての産業用、娯楽用輸送機関、ベンガルの漁師のボートを含む全てのボート、仕事に出かける自転車を含む全ての自転車を押収した。米の貯蔵はなくなり、食料を探す輸送機関を拒否され、ますます多くのベンガル人が餓死し始めた。(訳注: チャーチルは、インドの穀物の需要を満たすことを却下し、戦争を支援するためにインドから大量の穀物を輸出するよう主張していた)

 1942年10月16日、サイクロンと津波がベンガルを襲い、畑、家屋、そして人々が生活し続ける力を台無しにした。この災害に直面しても、英国の政策として「コメの拒否」が続いた。その結果、ベンガルの人口の13パーセントが飢餓で亡くなった。インド人は海外旅行を許可されておらず、国際電話や電信も利用できず、彼らの指導者たちは刑務所にいたため、ベンガルの人々は彼らの窮状を世界に知らせる方法はなかった。

 津波の後、FDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト:第32代アメリカ合衆国大統領)は、それまでの責任者ジョンソンを、米国で最も有能な外交官のウィリアム・フィリップスと交替させ、彼の個人的代理とした。FDRはフィリップスに「可能な限り早い時期に、すべての隷属する人々に自由を与える」という哲学を推し進めるよう指示した。1942年後半、フィリップが到着するまでに、マハトマ・ガンジーとジャワハルラール・ネルーに率いられた多数のインド人は、イギリスの高圧ぶりに完全に怒り反抗していた。その太守(訳注 植民地などを王の名において統治する役職のこと)は1万人のインド人を殺害し、9万人を刑務所に入れて報復した。外部との連絡を絶たれていたネルーとガンジーを含む2万5000人のインド国民会議のメンバーは、刑務所に拘留されたままだった。彼らと面会したいというフィリップの要求は拒否された。チャーチルは、彼が軽蔑していたネルーが断食をしていることを伝えられたが、「我々は彼が断食して死に至ることに異存はない。彼は完全に邪悪な勢力であり、あらゆる点で我々に敵対している」と述べた。

 チャーチルは、戦いはヒンズー教徒とイスラム教徒間の悪感情によって引き起こされたと主張したが、それは真実ではない。実際、過去に行われたように、英国の政策は、2つのグループ間の敵意を育むことだった。「私は、統一されたインドという展望には全く魅力を感じない、それは我々を出口へ導くだろうから」と彼は認めた。(私が話したパレスチナ人とイスラエル人の大部分は、彼らの進行する悲惨な紛争の原因は「分割して統治せよ」という英国のマキアヴェリ主義政策にあると考えている。)「フィリップはFDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)への報告の中で率直に語っている。『ベンガル地方の農村には食べ物がなく、村人たちは都市に流入して飢餓で死亡している。カルカッタの路上では飢餓者が非常に増えたと伝えられ、そのコミュニテイーの著名なヨーロッパのメンバーたちは、死体を取り除くために、市当局に対して適切な手段を求める公開書簡を出した』。チャーチルの個人秘書だったジョン・コルヴィルは、彼の日記にこう書き残している: 『チャーチル首相の考えでは、ヒンズー教徒とは、破滅すべき運命にあるのに、繁殖による人口増により守られているだけの邪悪な民族であり、空軍元帥のバート・ハリスが彼らを全滅させるために、余った爆撃機を送ることを望んでいた』。現代の推定では、少なくとも100万人、おそらく300万人もの人々が亡くなっている」

 元国連事務次長のサシ・タルール博士によると

 「チャーチルの手はヒトラーの手と同じくらい多くの血にまみれている」

 おそらくインドは今、インドの元奴隷所有者である西洋帝国主義の命令に従っているからであろうが、貧しい農民の恐ろしい数の自殺、女性の零落状態(貧しい少女の無数のレイプと殺害)は、国連の権力の回廊ではほとんど注目されておらず、女性の権利を支持する一般的で効果のない決議に組み込まれているだけだ。

 インドの代わりに西側メディアから厳しい鞭を打たれているのが中国だ。西側メディアは、何百万人もの貧しいインド人に対する恐ろしい人権侵害を大目に見て、中国ウイグル人の状況や香港での「無実の抗議者」について、絶え間のない吐き気をもよおす空涙を流している。

 シリア国連大使のバッシャール・ジャアファリが明らかにした大規模な証拠によると、サウジアラビアは、毎年、5000人のウイグル人に中国の新疆ウイグル自治区からサウジアラビアへのメッカ巡礼の旅費を提供している。その巡礼の間に、イスラム急進主義と聖戦を教え込まれる。これらのウイグル人は、聖戦の専門技術習得が完了するまで、他の巡礼者よりも1か月長くとどまる。その後、分離主義運動を助長し、テロ行為を行う目的で中国に戻される。中国政府はそのテロ行為を阻止し、国民をまもろうとしている。これら「影なき狙撃者」を中国社会に再統合しようとする再教育キャンプの手段は、表面上「非民主的」である。それが中国における表面的な「人権侵害」の懸念として、西側の現在の標的となっている。傲慢な西側諸国は、刑罰を受けることのない自国内のひどい人権侵害から注意をそらそうという魂胆なのだ。 (ジョージ・フロイドの公道での絞殺は、この進行中の残虐行為のほんの一例であり、残虐行為は、大規模に刑罰を受けることなく発生している)。
訳注「影なき狙撃者」とは、リチャード・コンドンによる1959年のスパイ小説。朝鮮戦争で捕虜となり、洗脳を受けて米国に帰国した政治一家の息子が、共産党の暗殺者として暗躍するという、冷戦をモチーフにしたストーリー。

 中国は56の民族からなる巨大な国だ。ほぼ確実でおそらく議論の余地がない事実は、敵対する外国勢力が中国の崩壊を扇動することで利を得ようとしているという事実だ。というのも、今中国は、英雄ヘラクレスとも呼べるような社会主義経済大国になっているからだ。この中国を、かつてソビエト連邦を構成していた15カ国が追い込まれたように、弱体化し、困窮させようとしているのだ。

 ウイグルの聖戦士は確実に使命を果たしている。早くも2013年には、北京の中心部でテロリストによる爆撃があり、その後、中国の他の場所でも暴力的過激主義者の行動が発生した。 5000年の文明の恩恵を受け中国人は洗練されているので、自国でのこの新たなテロの惨劇の根底にある敵対的な地政学的政策を認識しており、この政策の恐ろしい蔓延によって彼らの領土の混乱が一層拡大することを防ぐために行動を起こした。新疆ウイグル自治区の再教育キャンプは防御策であり、「世界最大の民主主義」ともてはやされる資本主義インドの自由市場経済政策とは違って、自殺の蔓延を引き起こしていない。

 2020年9月22日の国連総会でのトランプ米大統領の演説は、米国が主張する「偉大さ」への世界最大の挑戦者である中国に対して、明白な敵意をむき出しにした耳障りな宣言であった。 7億人を貧困から救った中国に対する人権侵害捏造の絶え間ない攻撃は、非常に際立って偽善的であるため、その偽善性は一般の観察者にとっても明らかだ。(一方、米国では、核兵器への1兆ドルの投資で数百万人を貧困に追いやっている。そして、非常に多くの人々が飢え、ホームレスとなり、Covid‐19の拡散を封じ込め、制御する医療機器や資源が不足している)。この露骨な誤魔化しが理解できない(または断固として認めない)状態が、まさに今この瞬間にも続いているのである。これは、まさに、米国や西ヨーロッパの大衆への圧倒的な教化・洗脳の証しである。

 西側の人種差別と不平等に対して欲求不満と怒りをつのらせる抗議者は、ますます侮辱され、虐待され、または殺害されている。その一方で、香港の反共産主義の抗議者がもてはやされている。オーウェルの小説に描かれているこの洗脳の仕方(訳注 オーウェルの特に作品『1984』の組織化され人間性を失った世界)は悲劇的であり、マサチューセッツ州ケンブリッジの優秀な精神科医が最近私に言ったこと、つまり「人類は自分の面倒をみる方法を知らない。その結果として生き残ることはできない」という結論の例証である。

 国連の一般討論会の冒頭で、アントニオ・グテーレス事務総長は次のように強調した。「私たちはとても危険な方向に向かっている。私たちの世界は、2大経済圏が地球を大きく割く未来、つまりそれぞれが独自の貿易や金融ルール、インターネットや人工知能を持つような未来をもつ余裕はない。このような分裂は、必然的に地政学的戦略および軍事的分裂に変わる危険性がある。これは何としても避けなければならない」。

Carla Steaは、グローバリゼーション研究センター(CRG)のリサーチアソシエイトであり、ニューヨークの国連本部にあるグローバルリサーチの特派員。

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