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トランプが歴史的なチベット法を承認することによって、中国とインドとの緊張が急激に高まる可能性が

<記事原文 寺島先生推薦> Tensions between China and India may soon rise as Trump approves historic Tibet Act

インフォービックス 

2020年12月29日火曜日

ウリエル・アラウホ著、国際紛争と民族紛争に関する研究者

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>

2021年2月5日

 ドナルド・トランプ米大統領は日曜日に歴史的なチベット法案に署名した。米国議会は12月21日にこの法案を可決した。このチベット政策支援法(TPSA)は、主要分野でチベットを支援するものだ。そして、もし中国当局自身が次期ダライ・ラマを指名しようとし、その任命がただチベット仏教徒共同体によって実行されるように、国際連携の構築を求めた場合には、中国当局に対する制裁措置の可能性さえ含んでいる。この法案は超党派の支持を得ており、チベットの首都ラサにワシントン領事館設立を許可することを要求している。最後に、この法案は、資金提供の規定の他に、チベットの環境についての安全規定があり、この問題を監視するためにより広い国際協力を求めている。

 同法はまた、インドに住むチベット人に600万ドル、チベット統治に300万ドル、奨学生交換プログラムに57万5000ドル、奨学金制度に67万5000ドル、チベットの米国特別コーディネーターに毎年100万ドルを割り当てている。この法律は台湾(この地域のもう1つのホット・トピック)にも適用され、台湾の国連機関への参加を支援している。

 中国はそのような動きを内政干渉と見なしており、米国当局に対してビザ発給禁止を課す可能性があると声明を出し、対抗した。

 1995年、中国政府は、ゲンドゥン・チューキー・ニマ(当時6歳)を逮捕した。ゲンドゥン・チューキー・ニマは、ダライ・ラマに次ぐ、チベット仏教で2番目に重要な人物であるパンチェン・ラマの生まれ変わりだと、ダライ・ラマ自身によって認められていた。ゲンドゥン・チューキー・ニマは、1995年以来、北京に拘留されたままで、彼の家族とともに非公開の場所に住んでいる。この事件に関連して、次期ダライ・ラマの選出が懸念される。現在のダライ・ラマ14世、テンジン・ギャツォは今85歳だ。中国の立場は、チベットは国内問題であり、現在のダライ・ラマ14世(インドに亡命中)は分離主義者である。ダライ・ラマは、チベット仏教徒の精神的指導者であることに加えて、インドのダラムサラに拠点を置く中央チベット亡命政権の国家元首である。

 外務省のスポークスマン、汪文潭は先週、アメリカ議会がその法案を可決した後、そのような「中国への内政干渉」は、ワシントンと北京間の「協力と二国間関係」に害を及ぼす可能性があると警告した。いっぽう、ロブサン・センゲ(中央チベット亡命政権の大統領)は、この法律はチベット人に「正義と希望」の「強力なメッセージ」を送るものだと述べた。

 現在、亡命チベット人の8万人以上がインドに居住しており、他の15万人が他国、特に米国とヨーロッパに住んでいる。

 11月23日、チベット亡命政府の長であるロブサン・センゲが、60年ぶりにホワイトハウスを訪れた。 10月、米国はロバート・デストロをチベットの人権特使に任命した。そのポストは2017年から空席であった。

  法案の環境規定は、明らかに中国のチベット地域でのプロジェクトを対象としている。引退したインド当局者のアミタブ・マトゥールは、トランプが法案に署名した今、採鉱などで環境被害を起こしている企業名をブラックリストに載せるという訴訟に、「インドも追随する時が来た」と述べた。

 チベット問題は、中国とインドの緊張を高める可能性がある。特にラダック(訳注 中国軍とインド軍の衝突がインド北部カシミール地方ラダックで深刻化している)の膠着状態後では。緊張はすでに高まっている。 12月14日、インド国防長官のビピン・ラワット将軍は、チベットで中国の開発作業が進められているが、心配の種とはならない。なぜなら、インドは「いかなる不慮の事態にも用意がある」からだ、とコメントした。

 実際、中国は、バングラデシュとインドも通過するヤルン・ツァンボ川流域のチベットに、歴史的な水力発電プロジェクトの建設を計画している。そこでの中国の活動が生態系に影響を与えるのではないか、とニューデリーは懸念している。中国によって支配されているチベット自治区の一部は、インドによって主権を主張されている。それは、カシミール地域の一部であるアクサイチン地域だ。インドは、チベット問題を交渉カードとして使ってきたと、北京からしばしば非難されてきた。

 2013年以来、北京は中国・パキスタン経済回廊インフラ・プロジェクトをすすめており、チベットは中国がパキスタン(伝統的なインドのライバル)にアクセスするためにも重要である。中国・パキスタン経済回廊は、新疆、チベット、青海を含むいわゆる西部開発計画を補完する。いくつかの点で、チベット問題は印中関係の緊張の中心にあると言うことができる。

 ジョー・バイデン次期大統領は、新BECA米印防衛協定の後、強大な米印同盟を夢見ている。そして今、そのような夢は、より現実に近づいているかもしれない。チベットに関するこの新たな展開は、チベットをより強力に支援するように、インドが圧力を受ける立場に置き、中国とインドの緊張をさらに高める可能性がある。今、インドはいわば手を括られた状態だ。もし今、ニューデリーがチベットに関して明確な立場をとれば、中国は必ず報復するだろう。しかし、万が一、QUADグループ(米国、インド、日本、オーストラリア)が、実際にアジア版NATO、またはそれに似たものになった場合、(中国はそれを恐れているのだが)、インドは近い将来、チベットに関して強力な支援を行うのに十分な権能を与えられた、と感じるのではないか?

 北京にとって、チベット(南シナ海と同様に)の権益は不可欠だ。万が一、ニューデリーが干渉した場合、北京は報復するであろう。そうすれば、緊張が高まり、おそらく新しい中印戦争にさえつながる可能性がある。運命のいたずらのごとく、1962年戦争と同じく国境問題をめぐってだ。

  バイデンは、中国とロシアの両方に、一種の「二重の封じ込め」政策を続けると予想される。しかし、バイデン政権下の米国は、主にロシアを敵対視し、ロシアを一種のならず者国家としてヨーロッパから隔離しようとしている。一方、中国に対しては、より「誠意をもって」いわば競争相手として扱っている。ただし「対抗」するインドや他の中国のライバル国とより緊密な繋がりをとりながらだが。そうだとすれば、バイデンはチベットに関して、トランプの政策から撤退することが予想されるかもしれない。しかし、議会での法案に対する超党派の支持は、「人権」と「環境配慮」の名のもとに、バイデンに後退しないように圧力をかけるであろう。したがって、トランプによるモロッコ支持(これは、トランプが後継者に贈った「別れの贈り物」と言われているものだが)と同様、バイデンはまたある意味で、彼の手が絡められていると、気付くかもしれない。

 またぞろ、米国の動きは緊張を高め、関係するすべての当事者にジレンマを生み出したかもしれない。

 
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