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通貨戦争はエスカレートする: 「オイル元」が、米軍が支援する「オイル・ダラー」に挑戦するとき

The Currency War Will Escalate as China’s ‘Petro-Yuan’ Challenges the U.S. Military-Backed ‘Petro-Dollar’

ティモシー・アレクサンダー・グズマン

グローーバル・リサーチ 2018.6.24
(翻訳:新見明 編集:大手山茂)
<記事原文>
https://www.globalresearch.ca/a-currency-war-will-escalate-as-chinas-petro-yuan-is-set-to-challenge-the-u-s-military-backed-petro-dollar/5616456

現在進行している通貨戦争に関連して。最初2017年11月に発表。


米ドルとそれに関連した地政学的状況に関して、私の頭をいつもよぎる一つの引用は、トレンド調査研究所の創設者ジェラルド・セレンテの言葉だ。「他の全てが失敗したとき、彼らは戦争へと導く」

米ドルが世界の主要準備通貨の地位を失い続けるとき、世界戦争の現実は避けられないようだ。特に中国、ロシア、イランが、米ドルを回避して、「オイル元」のような他の通貨に肩入れする戦略的動きをしているときはなおさらだ。中国は自分の通貨「元」で石油価格を決定するとした。そのような新たな金に裏付けられた先物契約は、世界経済の力学を変えることになるだろう。中国は今年後半にオイル元を開始する準備をしている。それは結果的に世界準備通貨としての米ドルを脅かすことになるだろう。

第二次世界大戦の終結時、国際経済システムは大混乱していた。だから新しい経済システムを構築するために一つの計画が考案されていた。1944年7月までに730人の代表団がニュー・ハンプシャー州ブレトンウッズの国連金融財政会議に集まって、歴史的ブレトンウッズ協定にサインした。それは国際復興開発銀行(IBTD)と国際通貨基金(IMF)を創設することになる規則体系を作り出す計画であった。IMFの主目標は支払いの一時的不安定を阻止することであった。ブレトンウッズ協定の枠組みは、国家間の貨幣価値を管理することであった。各国は金に換算できる固定価格内に自国通貨の交換比率を保つ金融政策を持たなければならなかった。しかし1971年までにアメリカは米ドルと金の兌換性を終了させた(当時、金の固定率は1オンス35ドルだった)。そしてアメリカが米ドルを法定不換紙幣にすることになり、ブレトンウッズ体制を終わらせたのだ。法廷不換紙幣とは、中央銀行(特に米連邦準備銀行)にお金をどんどん印刷することを認めることなのだ。

そこで中国の動きが重要になるだろう。まず第一に、中国は、ワシントンが勝手にどの国にも経済的制裁を課す能力を徐々に現象させるだろう。そして同時にアメリカの消費者は、輸入品がさらに高価になるので、ゆっくりとの購買力を減少させるだろう。

中国(米国債の最大の保有者)は、石油の最大輸入国である。一方ロシアは世界で最大の輸出国であり、オイル元を使っオイルダラーを回避することに同意した。オイル元は世界中の米ドルのヘゲモニーを脅かしている。ワシントンの大敵である数カ国、イランやベネズエラやインドネシア(現在ワシントンの攻撃目標になっていない)さえも、最近石油取引で米ドルから元への切り替えに加わることに興味を示しているのだ。

大手メディアは、中国がドルを回避し、国際社会でペトロ元を導入する最近の展開を報道している。CNBCの記事、「中国はドルを退位させる大望を抱いている。それは今年の大きな動きとなるかもしれない」の中で次のように書いている。

  
中国は、ドルの世界支配に対抗する大きな動きをするつもりである。それは今年早々になるかもしれない。新しい戦略は、エネルギー市場の支援に積極的に参加することだ。北京はこの数ヶ月のうちに石油価格決定の新たな方法を導入する可能性がある。しかし現在世界市場を支配している米ドルに基づく契約とは異なって、これは中国自身の通貨を使用することになる。もし中国が希望するように、広範な採用があれば、それは世界で最大の通貨としての米ドルの地位に対抗する第一歩となるだろう。

中国は世界最大の石油輸入国だ。だから北京は自国通貨が世界経済の最も重要な商品の価格を決定するのは当然のことだとみている。しかしそれ以上に、ドルから離れることは、中国やロシアのような国にとって戦略的優先事項なのだ。両国とも米ドル依存度を減らし、米国の通貨リスクを減らし、アメリカの経済制裁の影響に歯止めをかけようとしているのだ。


ワシントンはドナルド・トランプ大統領が先頭に立って、もう一つの戦争である北朝鮮と衝突過程にある。アメリカ負債帝国は、生命維持装置としての米ドルの力で、戦争という脅しを使い続けていている。ある場合には世界で、ワシントンの攻撃目標であるイランやシリアやベネズエラと実際に戦争をしている。イランとロシアは、ワシントンから課される経済制裁を避けるために米ドルからすでにゆっくりと移行している。ベネズエラも米ドルに対抗する動きをすでに準備している。ロイターは、マドゥーロ政権が石油輸出の新たな国際決済システムを実施する決定について報道しなかった。しかし「ベネズエラのマドゥーロは中国元を支持し、米ドルを避けるだろう」という見出しの報道は、マドゥーロがベネズエラ、カラカス連邦立法宮殿での憲法制定議会で述べたことを次のように引用した。

「ベネズエラは新たな国際決済システムを実施し、ドルから我々を解放してくれる通貨バスケットを創設するだろう」とマドゥーロは新たな立法府に対して数時間に及ぶ演説で語ったが、新たな制度の詳細は語らなかった。「もし彼らが我々にドルを求めるなら、我々はロシアのルーブルや元やインドのルピーやユーロを使うだろう」とマドゥーロは述べた。


「中国、サウジアラビアへ元での石油取引を“強要”、その米ドルへの影響」とだいされたCNBCのもう一つの最近の記事で、高度流通経済のチーフ・エコノミスト、理事長カール・ワインバーグへのインタビューがあった。それは世界最大の石油輸入国である中国が、サウジアラビアに「オイル元」を強要した場合、アメリカドル体制が近い将来どのように世界の支配力を失うかがテーマだった。

        
中国が「世界最大の石油輸入国」としてアメリカの地位を奪ったので、北京は石油需要において世界で最も影響力を持った国になっている、とチーフ・エコノミスト、理事長のカール・ワインバーグは述べた。

ワインバーグは続けて、サウジアラビアは「このことを無視できない。今後1・2年もたたないうちに、中国の石油需要はアメリカのそれを圧倒するからだ。元の石油価格決定力は、サウジがそれを受け入れるや否や実現するだろう。こういった動きと平行して他の石油市場も歩調をあわせることになるだろう」と述べた。


米ドルは世界の準備通貨としての地位を徐々に失いつつある。そうすると中国との戦争の可能性があるのか。アメリカは、中国への容赦ない警告として、北朝鮮を攻撃するのか。それとも米ドルを救おうとして、中国を紛争に巻き込むのか。サダム・フセインはイラクの石油輸出で米ドルの代わりにユーロでの取引を望んだ。リビアのムアンマール・カダフィはアフリカ大陸で米ドルを退けて、ディナール金貨を使うことを望んだ。イラクとリビア両国によってなされた決定は、米・NATO軍による国家破壊へと導く結果となった。アメリカは中国に対しても同じことができるのか。私はそれを疑わしく思う。なぜなら中国はアメリカのどんな攻撃に対しても防衛できる侮りがたい軍隊を持っているからだ。確かに中国はイラクやリビアではない。それでは長期的に見て、中国に対する戦争はあるのだろうか。アメリカはゆっくりと着実に崩壊しているので、ワシントンは生き残りのためなら何でもするだろう。米ドルが、軍産複合体と、それが世界で仕掛けている破壊的でとてつもなく金のかかる軍事的冒険を支えているからだ。

「オイル元」の開始が、いわゆる脱ドル化の過程を促進するだろう。しかしオイル元がいつか米ドルをひっくり返すことをわかっていない人々が大手メディアにはいる。例えば、ブルームバーグ・ニュースのディビッド・フィックリングは「オイル元の時代はやってこない」と書いていた。 
        
例えば、中国の大連商品取引場で最も取引されている商品、鉄鉱石をご覧なさい。本土の商品市場が最近、過熱気味であるが、ロンドンやニューヨークの主要取引契約よりも気配値にまだ数倍の開きがある。そのため取引はコスト高になり、価格の乱高下も激しく、適正価格発見力も弱くなる。中国は現有の大消費国なのだから、こういった不安定な変動には異論を唱えてしかるべきだ。

考慮すべき生産国もいる。ほとんどの中東の石油輸出業者はドルペグの通貨をもっている。元による価格決定に転換することは、はっきりしないもうけのために予算に外国為替リスクをもたらすことになる。特に中国への原油輸出は産油国全体では20%にも満たないからである。

予定された契約が役に立たないということではない。中国は自分の目的にもっと適した基準を持つことで利益を得るだろう。特に、現地の製油所によって精製される硫黄化合物を含んだ原油を対象とする契約はそうだ。西側主要諸国が結ぶ契約をさせている硫黄分の少ない形質の原油とは事情が異なる。

ただそれが世界を変えるとは期待できない。経済的重心が東へ移動しているのだが、西テキサスや北海との石油コネクションはこれから何年も強いだろう。


「通貨戦争:次の世界危機を作るもの」の著者ジェイムズ・リカーズはこのフィックリングの分析にきっと賛成しないだろう。

        
自国で紙幣を印刷することは中国では高いインフレ、エジプトでは物価高騰、ブラジルでは株式バブルを意味する。ドル紙幣をどんどん印刷することはアメリカ国債の価値が下がり、外国債権者を売却する場合に手取りが少なくなるということだ。このアメリカ国債価値下落はいろいろな経済発展活動分野で執拗者が増えることを意味する。アメリカへの輸出品の値段が高騰し、その結果アメリカ国内で商品があまり売れなくなるからだ。当然インフレということになるが、それは銅、トウモロコシ、石油そして小麦のような一次産業を発展させるときに必要な資材の価格を高騰させる。アメリカが資金援助や関税や資本調整を通じて引き起こすインフレに対して、外国は戦い始めた。通貨戦争は急速に拡大している。


米ドルが失敗しているのは、ワシントンの経済的、外交政策のため、そしてウォールストリート銀行カルテルや多国籍企業や軍産複合体との共謀のためだ。カイザーレポートのマックス・カイザーはRTのインタビューで、なぜ世界が米ドルから離れようとしているかを説明している。

        
世界中の国々は「アメリカの軍事的冒険に“帝国の負債”の一部となって」資金援助することに、うんざりしている。それは世界中で知られている米ドルという負債だ。それ故に、脱ドル化の動きに加わりがちなのだ、とカイザーは述べた。しかしアメリカ金融部門とその軍産複合体は、戦うことなしにドルのヘゲモニーを諦めることはない。ドルがアメリカの基本であり、主要産物であるからだ。そしてアメリカはそのために他のお気に入りの道具を使う。つまり戦争だ、とカイザーは考える。

たぶんアメリカは日中間の戦争を仕掛けるだろう。そして彼らは北朝鮮との戦争を始めるかもしれない。アメリカは、世界準備通貨としての米ドルを守るために何でもするだろう」とカイザーは述べた。「彼らはアフガニスタンでやったように、国々を侵略するだろう。彼らはどんなことがあっても止めない。なぜならこれがアメリカ帝国の土台だからだ。それは土地に基づいたものでも、物質的商品に基づいたものでもない。それは借金経済(賃貸料)に基づいたものだ。それはドルを上陸させ、収入を奪うことに基づいている。そして支払わない国があると、彼らはその資産を解体し、それらを乗っ取る。我々はそれをラテンアメリカや南アメリカで見てきた。このようにしてアメリカは帝国を築いた。」


あなた方が同意しようがしまいが、通貨戦争は始まった。我々は来たるべき数ヶ月、しっかり注意を払うだろう。そして何年か先に米ドルの優越性を維持するためワシントンがどこまでやるか見ることになる。そうなると中国がオイル元へ踏み込む準備をする様子を見ながら、アメリカは北朝鮮との戦争に乗り出すということになるのだろうか。

この記事は元々Silent Crow Newsで発表された。

(さらに読む)「特集記事:通貨戦争、中国ペトロ元の介入」
https://www.globalresearch.ca/selected-articles-the-inception-of-petroyuan/5624061?utm_campaign=magnet&utm_source=article_page&utm_medium=related_articles
                                  

<新見コメント>--------------------------------
ティモシー・アレクサンダー・グズマン「通貨戦争はエスカレートする。“オイル元”が、米軍が支援する“オイル・ダラー”に挑戦するとき」

この翻訳には経済・金融用語がで出てくるのでとても苦労しました。私自身まだ理解できていない点や、不正確な翻訳があると思うので、気づかれた点を指摘してください。

しかし、この記事が石油取引で、ドルに対して中国元が挑戦している動きはとても重要なので翻訳してみました。

アメリカは自分に従わない国に、経済制裁を加え、ドル支配を維持しようとしている。それに対して経済制裁や軍事的圧力を加えられた国々は、生き残りをかけて脱ドル化をはかろうとしている。中国、ロシア、イラン、ベネズエラなどである。

サウジアラビアなど中東産油国はドルで石油取引して、入ってきたお金はアメリカの高額兵器を購入したり、アメリカ財務証券を購入する取り決めがある。その代わりアメリカはサウジアラビアなどの政権維持を保証するのだ。このペトロ・ダラーの仕組みを、経済制裁や軍事圧力を受けた国々が中国元での石油取引をすることによって対抗しているのだ。

この記事の重要なところは、アメリカはドルの一極支配体制を維持するために、戦争をも辞さない段階に来ている点を指摘している点です。サダム・フセインのユーロ石油取引、カダフィのアフリカディナール金貨構想、これらの国は全てアメリカの戦争によって破綻国家とされました。いま中国が元で石油取引をしようとしているが、この場合はイラクやリビアのようには行かないだろう。しかしアメリカは日本など属国を巻き込んで、東アジアや中国周辺で紛争を起こす可能性が高いことは、我々も警戒しておかなければならない。
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