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現在のパンデミックをロックフェラー財団は2010年に予告していた!! ロックフェラー財団の報告書『テクノロジーと国際開発の未来のシナリオ』(2010年10月)から、Scenario Narratives(シナリオ物語、p18-24)を翻訳


シナリオ・ナラティブ
「ロックステップ」
トップダウンによる政府統制が強化され、権威主義的なリーダーシップが強化された世界は、イノベーションが制限され、市民からの反発が高まる


ロックステップシナリオナラティブの頁の画像(監視カメラの目がひとびとを盗み撮りしつづける)

https://twitter.com/i/status/1242584245887008778
 

<記事原文 寺島先生推薦>
Scenarios for the Future of Technology and International Development,  October2010


<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2021年1月28日

 2012年、世界が何年も前から予想していたパンデミックがついに発生した。2009年の豚インフルエンザHlNlとは異なり、この新型インフルエンザは野生のガチョウを起源とし、非常に毒性が強く致死的なものだった。ウイルスが世界中に蔓延し、世界人口の20%近くが感染し、わずか七か月で800万人が死亡し、その大多数が健康な若い成人だったときには、パンデミックに最も良く備えていた国々でさえ即座に打ちのめされてしまった。パンデミックは経済にも致命的な影響を及ぼした。人と物の両方の国際的な移動が止まり、観光業のような産業が弱体化し、世界的なサプライチェーンが崩壊した。地域でさえ、普段はにぎやかな店やオフィスビルが何か月も空っぽになり、従業員も客もいなくなってしまった。

 パンデミックは地球全体を覆ったが、アフリカ、東南アジア、中央アメリカでは不釣り合いな数の死者が出た。これらの地域では、公式の封じ込め手順がないため、ウイルスはのように広がった。しかし先進国でさえ、封じ込めは難題だった。市民の飛行機利用を「強く禁じる」米国の当初の方針は、その甘さのために致命的であることが判明し、ウイルスは米国内だけでなく国境を越えて拡散することになった。しかし、いくつかの国は健闘した。特に中国がそうだった。中国政府は、全国民に強制的な検疫を迅速に課し、国境を即時かつほぼ完全に封鎖したことで、何百万人もの命を救い、他の国よりもはるかに早くウイルスの蔓延を阻止し、パンデミック後の迅速な回復を可能にした。

  中国政府だけが、市民をリスクやウイルスに曝されることから守るために、極端な措置を取ったのはではなかった。パンデミックの間、世界中の国々の指導者たちは、自分たちの権限を使って、フェイスマスクの着用義務から駅やスーパーマーケットのような公共の場所への入場時の体温チェックまで、水も漏らさぬ規則や制限を課した。パンデミックが終息した後でさえ、市民とその活動に対する独裁的な統制と監視はそのまま続けられ、さらに強化された。パンデミックや国境を越えたテロ、環境危機、貧困の増大など、ますます深刻化する地球規模の問題から自らを守るために、世界中の指導者たちは政権の基盤を固めた。

 当初、より統制のとれた社会という概念は広く受け入れられ、好意的に受け入れられた。市民は、より大きな安全と安定性と引き換えに、主権とプライバシーの一部を、父親的温情主義の国家に対して、進んで放棄した。市民はトップダウンの指示と監視に対してより寛容になり、さらにそれを熱望し、国家指導者は自分たちが適切と考える方法で秩序を押し付ける自由を得た。先進国では、このような監視の強化にはさまざまな形態がとられた。たとえば、すべての国民のための生体認証機能をもつ身分証明書を与えたり、国益に不可欠と考えられる基幹産業の安定性のために規制を強化したりした。多くの先進国では、一連の新たな規制や協定を強化することによって、徐々にではあるが着実に秩序と経済成長を回復させた。

 しかし、発展途上国の間では、状況は異なっていた。トップダウンの権力は国によってさまざまな形をとり、主に指導者の能力、力量、意図によって大きく左右された。強力で思慮深い指導者がいる国では、市民の経済的地位と生活の質が全般的に向上した。たとえばインドでは、政府が高排出ガス車を禁止した2016年以降、大気の質が劇的に改善した。ガーナでは、基本的なインフラを改善し、すべての国民が清潔な水を利用できるようにするという野心的な政府プログラムを導入したことで、水を媒介とする疾病が急激に減少した。しかし、このような権威主義的なリーダーシップというものは、増大した権力を利用して国民を犠牲にして自らの利益を追求する無責任なエリートによって運営されている国では、あまりうまく機能せず、場合によっては悲惨な結果をもたらすこともあった。

 その他にも、猛烈なナショナリズムの台頭が新たな危険を生み出したというマイナス面もあった。2018年のワールドカップでは、観客は防弾ベストを着用して国旗をかざして観戦が行われた。強力な技術規制はイノベーションを妨げ、コストを高く維持し、採用を抑制した。発展途上国では、「認可された」技術へのアクセスは増加したが、それ以外の技術へのアクセスは制限されたままであった。つまり、技術イノベーションの拠点は大部分が先進国にあり、多くの発展途上国は、他の国々が発展途上国にとって「最善だ」と考える技術を受けとるだけの対象に留め置かれたのである。

「ある社会を、ある期間、統制・支配することはできるが、全世界を、いつでも、統制・支配することができるわけではない」

インドの『タル・リーディングエッジ』のGKバトのことば

訳註:これは、リンカーンのことばをもじったものだ。
“You can fool some of the people all of the time, and all of the people some of the time, but you can not fool all of the people all of the time.” ― Abraham Lincoln

「一部の人を常に騙したり、すべての人を一時は騙すことはできる。しかし、全ての人を常に騙すことはできない」- エイブラハム・リンカーン

 
 政府の中には、発展途上国に「認可された」技術しか与えないことは恩着せがましいことだと気づき、「中古品」と小馬鹿にしていたコンピュータその他の技術を発展途上国に分け与えることを拒否した政府もあった。その一方、資源と能力に恵まれた発展途上国は、このようなギャップを埋めるために自力で自国内でイノベーションを起こすようになった。

 一方、先進国では、多くのトップダウンのルールや規範が多く、起業家活動を大きく阻害していた。科学者やイノベーターは、政府から、どのような研究方針を追求すべきかを指示されることが多く、ほとんどの場合、儲かるプロジェクト(市場主導型の製品開発など)や「確実な賭け」(基礎研究など)に誘導され、リスクの高い革新的な研究分野はほとんど手つかずのままになっていた。裕福な国や大きな研究開発予算をもつ独占企業は、それでも大きな進歩を遂げたが、その躍進の背後にある知的財産は、依然として厳格な国家や企業の保護の下に閉じ込められたままであった。ロシアとインドは、暗号化関連の製品とそのサプライヤー(供給業者)を監督し認証するための厳しい国内基準を課した。このカテゴリは実際すべてのITイノベーションを意味していた。米国とEUは報復的な国家基準でこれに反撃し、世界的な技術の開発と普及に大きな打撃を与えた。

 とくに発展途上国では、自国の利益のために行動するということは、必要な資源へのアクセスを得ることであれ、経済成長を達成するために団結することであれ、その利益に合致する実際的な同盟関係を模索することを意味することが多かった。南米とアフリカでは、地域的・準地域的な同盟関係がますます構築されていった。ケニアは、アフリカ大陸内での新たなパートナーシップの拡大に伴い、南部および東部アフリカとの貿易を倍増させた。中国のアフリカへの投資が拡大したのは、新たな雇用やインフラの取引が、主要鉱物へのアクセスや食料輸出と引き換えに、アフリカの多くの政府に受け入れられることが証明されたからである。国境を越えた結びつきは、公式の安全保障援助という形で拡大した。外国の安全保障チームの派遣は、いくつかの最も悲惨な破綻国家では歓迎されたが、このワンパターンの解決法は、ほとんど良い結果をもたらさなかった。

 2025年までには、ひとびとは、トップダウン型の支配が行き過ぎていて、指導者や当局に選択を任せることに嫌気を感じ始めているようであった。国益が個人の利益と衝突するところでは、どこでも衝突が起こった。主に発展途上国で、自らの地位や機会が徐々になくなっていくのを目の当たりにした不満をもつ若者やひとびとが市民の不安を煽るようになると、散発的な反撃が組織化され連動させられるようになった。2026年にはナイジェリアで抗議者たちが、根強い縁故主義と腐敗に嫌気がさし、政府を打倒した。世界のより大きな安定性と予測可能性を好むひとたちでさえ、多くの厳格な規則と国境の厳密さによって、だんだん居心地が悪くなり、制約を受けるようになってきた。遅かれ早かれ、世界中の政府が懸命に築き上げてきた整然とした秩序を崩すようなことが起こるのではないかという予感はまだ残っていた。

ロックステップにおけるトップ記事

2010年

2013年 人との接触にたいする隔離制限;移動体通信ネットワークに加重な負担がかかる

2015年  大陸間貿易は、厳格な病原体管理のせいで大打撃を受ける

2017年  イタリアはロボットを使って「移民介護士」のギャップに対応

(イタリアでは早2010年ごろからロボットが介護施設の高齢者の世話をする実験が行われ、2015年には既にRobot-Eraというロボットが活躍していた。2015年までの4年間で160人がこの実験に参加したという。こういうイタリアの状況を踏まえ、かつ移民の急増にともない、移民介護士が増えることを予想しているのか。)

https://www.theguardian.com/technology/gallery/2015/dec/21/robot-looks-after-residents-at-italian-care-home-in-pictures

2018年  アフリカは、中国流の権威主義的資本主義を受け入れ続けるのか?

2022年  ベトナム政府、「すべての家庭にソーラーパネル」の設置を要求

2023年  東部および南部アフリカにおける貿易ネットワークの拡大が、地域間連携を強化

2028年  アフリカの指導者たちは、ナイジェリア政府崩壊の二の舞になることを恐れている

2030年


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