ボリビア、社会主義者新大統領の下、アメリカの支配に抗して南米地域連合に再加入
<記事原文 寺島先生推薦>
Bolivia rejoins Latin American regional blocs opposing US sway under new socialist president
RT ワールドニュース
2020年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳ニュース>
2021年1月10日
ボリビアのルイス・アルセ新大統領は、地域統合を目指す3つの主要ブロックへ再加盟した。これは、これら3つの左派系連合からの離脱を目指した前「暫定」政権の動きを180°転回させるものだ。
追放された指導者エボ・モラレス氏の後継者であり盟友でもあるアルセ氏の政権は、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(スペイン語の頭文字をとってCELAC)、南米諸国連合(UNASUR)、ボリバル同盟(ALBA)の3つのグループへの「メンバー国としての完全な参加」を更新すると述べた。これら3つのグループはいずれもメンバー国間の政治的経済的協力を追求する。
「暫定政権が下した決定、つまり前述した統合地域にボリビアが参加することを停止するという決定は、純粋に政治的利害に反応したものであって、ボリビア人民の統合的な使命とはほとんど何の関係もない」とボリビア外務省は金曜日に発表した声明で語った。この声明はモラレス氏が昨年政権から解任された後、ジェニーン・アネス氏暫定大統領が取った行動についてのものだ。
アネス氏は、政治的危機と2019年大統領選挙における不正行為の疑惑の中で大統領に就任した。その結果、最終的にはモラレス氏の大統領辞任と、身の安全を懸念してボリビアから飛行機で脱出という結果になった。保守派のアネス氏はすぐに社会主義的な方向性と決別し、中道左派の上記3つのグループから脱退した。
しかし、今年の大統領選で、アネス氏は第1回投票であっさり敗北。アルセ氏が勝利し、モラレス氏の政党である社会主義運動(MAS)に政権の主導権を戻った。
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ボリビアが再加盟したこの3つの地域組織は、主に現在進行中のベネズエラの政治・経済危機とワシントンからの自治を求める声が大きく関係した分裂で大きな傷を受けている。ワシントンから自立する願望もあり、そういったことが原因で、近年、3つの地域組織の一部で足並みが乱れてきている。
かつてこの地域の12カ国で構成されていたUNASUR(南米諸国連合)は、その指導力と方向性をめぐる論争の中で、その後、加盟国のほとんどが脱退した。2017年、かつての加盟国であるアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイ、ペルーの6カ国は、ベネズエラの混乱に対処することを目的に、他の数カ国とともに米国の支援を受けたリマ・グループを結成した。この6カ国は1年後UNASURを脱退、加盟国を半減させたが、リマ・グループを通じて、ベネズエラのマドゥロ大統領に対して非常に批判的な姿勢をとり、マドゥロ政権を「違法な社会主義政権」と非難している。
エクアドルとウルグアイがこの1年間でUNASURから脱退、ボリビアも、アネス氏が権力の座に登り詰めると、同様に脱退した。このグループは3カ国( ガイアナ、スリナム、ベネズエラ)だけになったが、ボリビアの復帰で11月20日(金)に4カ国になった。
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一方、CELAC(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同 体)はラテンアメリカの32カ国で構成されており、一部の参加国からは、ボリビアの大統領選挙での不正行為疑惑(現在はその信憑性が疑われている)をいち早く支持した米国が設立し、米国に本部を置く米州機構(OAS)に代わるものと見られている。CELACの設立はブラジルの元左翼大統領ルーラ・ダ・シルバ氏が主導していたが、ブラジルは今年初め、保守派のジャイル・ボルソナロ政権が、CELACはベネズエラなどで「民主主義の擁護」に失敗したと発言したことを受けてこの組織を脱退した。
2004年にベネズエラとキューバによって設立され、10カ国に拡大したボリバル同盟(ALBA)は、貿易障壁の撤廃とラテンアメリカ諸国間の経済的結束の促進を目的としており、2003年にアメリカ政府が提案した南北アメリカ横断の自由貿易圏案と同様の機能を果たしている。米州自由貿易地域として知られていたこの不毛な取引は、モラレス氏によって「アメリカ大陸の植民地化を合法化するための合意」として破棄され、それに代わりボリビアは2006年にALBAに加盟することとなった。
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10月のアルセ氏選挙勝利は、米国に友好的なアネス政権への反発との見方が強い。そしてこのことはモラレス氏が祖国に帰還し、社会主義運動(MAS)の左派的政策への回帰へ道を開くことになる。ワシントンは2019年のモラレス氏追放を全面的に応援していたが、米国務省は先月、まるでその気持ちのないアルセ氏勝利祝福声明を発表した。
Bolivia rejoins Latin American regional blocs opposing US sway under new socialist president
RT ワールドニュース
2020年11月21日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳ニュース>
2021年1月10日
ボリビアのルイス・アルセ新大統領は、地域統合を目指す3つの主要ブロックへ再加盟した。これは、これら3つの左派系連合からの離脱を目指した前「暫定」政権の動きを180°転回させるものだ。
追放された指導者エボ・モラレス氏の後継者であり盟友でもあるアルセ氏の政権は、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(スペイン語の頭文字をとってCELAC)、南米諸国連合(UNASUR)、ボリバル同盟(ALBA)の3つのグループへの「メンバー国としての完全な参加」を更新すると述べた。これら3つのグループはいずれもメンバー国間の政治的経済的協力を追求する。
「暫定政権が下した決定、つまり前述した統合地域にボリビアが参加することを停止するという決定は、純粋に政治的利害に反応したものであって、ボリビア人民の統合的な使命とはほとんど何の関係もない」とボリビア外務省は金曜日に発表した声明で語った。この声明はモラレス氏が昨年政権から解任された後、ジェニーン・アネス氏暫定大統領が取った行動についてのものだ。
El Ministerio de Relaciones Exteriores comunica que el Gobierno de Bolivia, en su firme convicción por la integración, reanuda su participación plena como país miembro del #ALBA, #CELAC y #Unasur.
— Cancillería de Bolivia (@MRE_Bolivia) November 20, 2020
🗒️Comunicado oficial: https://t.co/uVF665QwF0 pic.twitter.com/hhZ8ZtVIv9
アネス氏は、政治的危機と2019年大統領選挙における不正行為の疑惑の中で大統領に就任した。その結果、最終的にはモラレス氏の大統領辞任と、身の安全を懸念してボリビアから飛行機で脱出という結果になった。保守派のアネス氏はすぐに社会主義的な方向性と決別し、中道左派の上記3つのグループから脱退した。
しかし、今年の大統領選で、アネス氏は第1回投票であっさり敗北。アルセ氏が勝利し、モラレス氏の政党である社会主義運動(MAS)に政権の主導権を戻った。
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ボリビアが再加盟したこの3つの地域組織は、主に現在進行中のベネズエラの政治・経済危機とワシントンからの自治を求める声が大きく関係した分裂で大きな傷を受けている。ワシントンから自立する願望もあり、そういったことが原因で、近年、3つの地域組織の一部で足並みが乱れてきている。
かつてこの地域の12カ国で構成されていたUNASUR(南米諸国連合)は、その指導力と方向性をめぐる論争の中で、その後、加盟国のほとんどが脱退した。2017年、かつての加盟国であるアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイ、ペルーの6カ国は、ベネズエラの混乱に対処することを目的に、他の数カ国とともに米国の支援を受けたリマ・グループを結成した。この6カ国は1年後UNASURを脱退、加盟国を半減させたが、リマ・グループを通じて、ベネズエラのマドゥロ大統領に対して非常に批判的な姿勢をとり、マドゥロ政権を「違法な社会主義政権」と非難している。
エクアドルとウルグアイがこの1年間でUNASURから脱退、ボリビアも、アネス氏が権力の座に登り詰めると、同様に脱退した。このグループは3カ国( ガイアナ、スリナム、ベネズエラ)だけになったが、ボリビアの復帰で11月20日(金)に4カ国になった。
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一方、CELAC(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同 体)はラテンアメリカの32カ国で構成されており、一部の参加国からは、ボリビアの大統領選挙での不正行為疑惑(現在はその信憑性が疑われている)をいち早く支持した米国が設立し、米国に本部を置く米州機構(OAS)に代わるものと見られている。CELACの設立はブラジルの元左翼大統領ルーラ・ダ・シルバ氏が主導していたが、ブラジルは今年初め、保守派のジャイル・ボルソナロ政権が、CELACはベネズエラなどで「民主主義の擁護」に失敗したと発言したことを受けてこの組織を脱退した。
2004年にベネズエラとキューバによって設立され、10カ国に拡大したボリバル同盟(ALBA)は、貿易障壁の撤廃とラテンアメリカ諸国間の経済的結束の促進を目的としており、2003年にアメリカ政府が提案した南北アメリカ横断の自由貿易圏案と同様の機能を果たしている。米州自由貿易地域として知られていたこの不毛な取引は、モラレス氏によって「アメリカ大陸の植民地化を合法化するための合意」として破棄され、それに代わりボリビアは2006年にALBAに加盟することとなった。
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10月のアルセ氏選挙勝利は、米国に友好的なアネス政権への反発との見方が強い。そしてこのことはモラレス氏が祖国に帰還し、社会主義運動(MAS)の左派的政策への回帰へ道を開くことになる。ワシントンは2019年のモラレス氏追放を全面的に応援していたが、米国務省は先月、まるでその気持ちのないアルセ氏勝利祝福声明を発表した。
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