米国には同盟国はない。あるのは米国により人質にされた国だけだ。
< 記事原文 寺島先生推薦>
Caitlin Johnstone: America has no allies, only hostages
RT 論説面
2020年10月25日
ケイトリン・ジョンストーン
By Caitlin Johnstone, an independent journalist based in Melbourne, Australia. Her website is here and you can follow her on Twitter @caitoz
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年12月20日

米国を中心とする帝国は、何でも吸い込むシミのように機能している。そして、他の国々を吸収して帝国のお得意様国家に変えてしまう。一度吸収されてしまうと、そこから逃げ出し、他の真に自立している国家たちの仲間に入り直すことは本当に稀だ。
新しく選挙で選ばれたボリビアのルイス・アルセ大統領は、スペイン語で世界ニュースを提供するEFE社にこう語った。「キューバやベネズエラやイランとの関係を元に戻すつもりです」と。この表明は、米国の後ろ盾により行われたクーデター政権の政策を転換するものだ。昨年不当に政権を握るやいなや、前政権は即座にこれらの国々の大使館の閉鎖を開始し、医師たちを追い出し、これらの国々との関係を悪化させていた。
アルセ大統領はさらに、ロシアや中国との関係改善についても言及した。
「我々は全ての関係を再構築するつもりです」。アルセ大統領はEFE社にこう語った。「前政権はイデオロギーに囚われた政治運営を行い、ボリビア国民がキューバの医療やロシアの医療や中国の発展した経済と繋がることを阻止してきました。イデオロギーだけをもとにした政策のせいで、ボリビア国民は不必要な苦境に追いやられ傷を受けてきたのです」。
アルセ大統領は以下のような意向も示した。「全ての国々に門戸を開きます。その際の条件はただ一つです。相手国が我が国や我が国の主権に敬意を払ってくれることです。それ以外の条件はありません。国の大きさに関わらず、ボリビアと関係を結びたいと考えている全ての国々にとっての唯一の条件は、我が国も相手国もお互いを尊重し合うということだけです。そうであるのならば我が国のほうには何の問題もありません」。
米国の帝国主義やその外交政策について少しでも理解している人ならば、アルセ大統領の発言の後半部分は、帝国の方針から見ればとんでもない異端行為になると認識するだろう。
Bolivia will restore diplomatic relations with Cuba, Venezuela and Iran, said President-elect Luis Arce in an interview with EFE. He will also re-establish good relations with China & Russia.
Arce condems the coup govt for its ideological & pro-US approach to foreign policy. pic.twitter.com/3ATXjSVbuF
— Kawsachun News (@KawsachunNews) October 20, 2020
米国を中心とし、他の同盟国がだらしなくつながって形成されているこの帝国には、公にされていない方針がある。それは他国に主権があることを認めないことだ。もちろん両国が平等に尊重し合うことなどはありえない。この帝国が当然のことだと考えているのは、「わが帝国には以下の3点を決める権利がある。それは、①世界のすべての国がどうふるまうか②各国の資源がどこに行くか③各国の軍事態勢が世界においてどのような位置を占めるか、という3点だ」ということである。ある国の政府が、この帝国のこのような決定権を受け入れることを拒否すれば、その国は標的とされ、損害を与えられ、攻撃を受け、最終的には帝国のいうことを聞く操り人形のような政権に取って変えられる。
米国を中心とするこの帝国は、何でも吸い込む巨大なシミのように機能し、ゆっくりと他国を吸収していく。その他国とは、いまだ帝国のお得意様国家に変えられていない国だ。ある国家がこのシミから抜け出して、自国の主権を守るために戦っている中国やロシアやイランやベネズエラやキューバのような、まだ吸収されていない国々に仲間入りすることは、ほとんどない。もしそのようなことが起こったのであれば、世界にとって勇気がもらえる話だ。
この帝国が持つ「シミ」のような執拗さが最も明らかになったのは、去年のことだ。そう米国の政治評論家、ジョン・ミアシャイマーが、オーストラリアのシンクタンク「独立研究センター」主催の討論会で語った時だ。この際、ミアシャイマーが聴衆にむかって話したのは、「米国は中国の台頭を阻止し、東半球が中国の覇権地域になることを妨げるためなら何でもする意向がある」ということだった。さらには、「対中国政策に関して、オーストラリアは米国と同調すべきだ、さもなければ、オーストラリアは米国政府から激しい怒りを買うだろう」とのことだった。
The rules based human rights defending democratic order, ladies and gentlemen https://t.co/ZEfxGm6LFi
The rules based human rights defending democratic order, ladies and gentlemen https://t.co/ZEfxGm6LFi
— RaHoWarrior Steve Bannon, 1st Boomer Division (@healingbyhenry) October 8, 2020
「いま話し合うべき問題は、中国の台頭に際してオーストラリアの外交政策がどうあるべきか、ということについてです」。ミアシャイマーはこう述べた。「もし、私がオーストラリア人だとしたらどうするかについてお話しします」。
ミアシャイマーによれば、中国は経済成長を続け、その結果得られた経済力を軍事力に回し、アジアを「米国が西半球を支配しているように」支配しようとするだろうとのことだった。さらに彼が説明したのは、米国と米国の同盟国が、中国がそうなることを阻止することが可能な理由だった。
「今の問題は、この状況がオーストラリアにとってどういう意味があるか、ということです」ミアシャイマーは語った。「そうです、板挟みになることは確実です。そんなふうにオーストラリアが板挟みになることはみんなわかっています。その板挟みが何と何にはさまれる板挟みなのかもわかっています。さらには、あなたがたオーストラリアだけが、東アジアでその板挟みに苦しんでいる国でないことも、です。あなた方の国は、中国とたくさん貿易をしています。そして、その貿易があなた方の国の発展にとって重要なことも、いうまでもないことでしょう。しかし、国家安全という意味においては、オーストラリアのみなさんは、我々米国と同調したいと思っていることでしょう。そう思うことは適切だと思いますよ。つまりあなた方は、発展よりも安全の方が大事だということをわかっておられるのです。生き残れなければ、発展もできないからです」
「“皆さんの前には選択肢がある”といっている人もいます。中国と仲良くすればいいじゃないか、と」。ミアシャイマーはこう続けた。「いいでしょう。米国よりも中国を選んでみてください。そうなると私がいいたいことは二つあります。その1。中国と仲良くするということは、オーストラリアは米国にとって敵国になるということですよ。つまり、オーストラリアは米国と敵国になることを選ぶことになります。さあ、どちらにつく方が国家の安全が保たれるかについて再度考えないといけなくなりますね」。
ミアシャイマーは言葉を続けた。「我々米国とともに歩むのか、それとも敵対するのか。 もしオーストラリアが中国との貿易を広範囲に広げ、中国との友好関係を築くつもりなのであれば、それは米国に害を与えることになります。つまり、我々米国の目からは、あなたがたオーストラリアは野獣を養うつもりなのだな、とうつります。それは、我々にとっては嬉しい話ではありません。私たちにとって嬉しい話ではないとなれば、私たちがどれだけ卑怯な手を使えるかを見くびらないほうがいいですよ。フィデル・カストロの例をご覧なさい」。
オーストラリアのシンクタンクの聴衆から気まずい笑いが起こり、ミアシャイマーが用意していた二つ目の煽り話が中断されることになった。CIAがカストロ暗殺未遂を数え切れないくらい行っていることはよく知られていることだ。
米国が、なぜこんなにも世界中の国々を同盟国として吸収し、米国の利を得ることに成功しているかがわからない人のために、その秘訣をお教えしよう。それは米国が世界で正義の味方のように、あるいは良い友のようにふるまっているからではない。米国に従わないならば、米国に破壊されてしまうからだ。
オーストラリアが米国に従っているのは、中国から自国を守るためではない。オーストラリアが米国に従っているのは、米国から自国を守るためだ。ある私のツイッターフォロワーが最近書いていたように、米国には同盟国はない。あるのは人質にされた国だけだ。
最近発表されたパレス・レター(訳注 オーストラリア政府が英国女王に送る親書)にも書かれていたのだが、CIAがオーストラリア首相ゴフ・ホイットラムを失脚させるクーデターを企んでいた。その理由は、ホイットラム首相がオーストラリアの国家主権を優先していたからだ。以下は、ジャーナリストのジョン・ピルジャーが、ホイットラム首相の死後、2014年に書いたものである。
オーストラリアがほぼ独立国家になれたのは、ホイットラム政権時の1972~1975年の間だ。米国の評論家はこんなことを書いている。「国内において革命をおこすことなしに、国際関係における立場をここまで大規模に転換させた例はない」と。ホイットラム首相は、それまで他国の植民地的隷属状態に置かれていたオーストラリアを転換させたのだ。ホイットラム首相は、オーストラリアの英国王室に対する支持をやめ、オーストラリアを当時世界で起こっていた非同盟運動に向かわせ、「平和地域」創設運動を支持し、核実験に反対していた。
オーストラリアでのクーデターとボリビアのクーデターの決定的な違いは、ボリビア国民はうまく丸め込まれることを拒絶したことだ。一方、我々オーストラリア国民は、「大丈夫。心配ないさ」と肩をすくめるだけだったのだ。本当の独立国になって、自国の主権を主張できるという選択肢はつねに存在していたのに、我々オーストラリア国民は、ボリビア国民とはちがい、完全にプロパガンダにより骨抜きにされていたのだ。ボリビアのように逃げる人質もいれば、オーストラリアのように逃げられない人質もいる。
米帝国はホイットラム首相を失脚させたのだが、それだけでは終わらなかった。2007年のオーストラリアの選挙で、中国と親密すぎるとみなされた首相が選ばれたとき、米帝国は同じ事をしたのだ。オバマ政権の対中国「アジア基軸戦略」を前進させるため、首相の座は、親中国派のケビン・ラッドから、帝国に従順なジュリア・ギラードに置き換えられた。以下は「ワールド・ソシアリスト・ウエブサイト」からの報告である。
米国の外交機密文書が2010年12月にウィキリークスから明らかにされたのだが、その内容によると、米国大使館内の「守られた人々」が、ギラードが首相に昇格する際の重要な鍵を握っていた、とのことだ。何ヶ月もの間、クーデターを企てていた者たち(その中にはマーク・アービッブ元老院議員やデイビッド・フィーニー連邦議会議員、オーストラリア労働組合(AWU)ポール・ ハウズ書記長も含まれていた)が、密かに米国大使館に、ラッド首相指揮下の政権内部における話し合いや意見の食い違いなどを報告していたのだ。
ラッド首相が提案していたのは、アジア・太平洋共同体であり、その共同体を通して激しさを増している米中間の衝突を緩和しようということであった。さらに、首相は米印日豪4国間軍事同盟の締結には反対していた。
豪米間や豪以(イスラエル)間の首脳会談で、自身が信頼できる親米派であることを周知させていたギルバードは、まさに米国大使館により、信頼の置ける代役に選ばれたのだ。汚い手を使ってラッドを追い出したのち、初の公式表明において、ギラード新首相が見せた姿は米国に対する献身的な姿だった。彼女は米国大使とのツーショットに応じたのだ。しかも、脇に米国旗とオーストラリア国旗を掲げていた。ギラード新首相のもとには、すぐにオバマ大統領から電話が入った。そのオバマはラッド政権下では、予定されていたオーストラリア訪問を2度断っていたのだ。
中国との戦争にむけて、米国にとってオーストラリアが果たす役割の重要性が明らかになったのは2011年11月のことだった。それは、オーストラリア国会で、オバマ大統領が「アジア基軸戦略」を発表したときだ。そう、オバマはホワイトハウスではなく、オーストラリア国会で発表したのだ。オーストラリア訪問中、ギラード首相とオバマ首相は米海軍がダーウィンに駐留することを同意する文書に署名した。それは、米軍が太平洋上の他の基地とオーストラリアとの結びつきを強めることになった。つまり、米中衝突が起こった際、オーストラリア国民が前線に置かれることになったということだ。
ギラード政権がさらに認めたのは、主に米国が行っているスパイ行為や敵国に対する武器攻撃行為を拡大することだ。これらの行為はパイン・ギャップの米豪軍事施設において行われている。さらに、米軍によるオーストラリアの港や空軍基地の使用許可を広げ、オーストラリアの軍事役割を高め、オーストラリアを米国が主導する世界監視網である「ファイブ・アイズ」に組み込むことに同意した。なお、この「ファイブ・アイズ」を使えば、世界の何百万もの人々のやりとりやネット上の動きを監視することができる。
ラッドの退陣劇が分岐点になったのだ。米国の帝国主義は、オバマ政権を通して、以下のような鋭利な警告を発したのだ。
「オーストラリアの支配層には曖昧さを残せる余地は残っていなかった。どの党が政権になるにせよ、オーストラリア政府は無条件に米中戦争に参戦しないといけなかったのだ。その結果、中国との貿易で大きな損失を被ることになったとしても、だ」。
そうだ。これが、今私たちが世界中で目にしていることなのだ。
「第三次世界大戦がスローモーションで進行している。この大戦を起こしているのは米国を中心とした同盟国連合だ。相手はまだその連合に吸収されることに抵抗している国々だ。そのようなまだ吸収されていない国の中で、現在もっとも力を持っている国は中国だ。だから中国が最大の標的になっている。米帝国が中国の台頭を止めることに成功したなら、米帝国は事実上、地球政府としての地位を得る。そうなればその帝国に反対したり、異を唱えたりできる人々は誰もいなくなる」。
読者がどう思うかはわからない。しかし私はこんな世界には決して同意しない。その世界とは、強力に核武装された軍隊が地球を最終戦争に引き込む武器をふりかざし、世界の人々がお互い殺し合い、この地球の覇権を目指して、強国が起こす冷戦ゲームに参加しようとしない弱国が強国に破壊されていく、そんな世界だ。今必要で、なしとげれられるべきことは、緊張を緩和させることであり、平和だ。だから、この地球上で皆が生き抜けるよう活動しないといけないのだ。皆で協力しよう。大地の力も借りながら。
拝金主義者たちが形成しているこの帝国の方向性は、人間を殺しつくし、環境を破壊しつくそうという方向性だ。これは人類を救う方向性ではない。こんな方向性に従えば、人類以外のどれだけ多くの種を絶滅させてしまうだろうか。我々が考えるべきなのは、どうやったらこの方向性を終わらせることができるか、だ。歴史的に見て、支配者が自分のもつ権力を喜んで分配することはない。だからこそ、我々一般市民が団結しないといけないのだ。そして権力者たちの繰り出すプロパガンダを打ち破ろう。帝国主義を終わらせる戦いに加わろう。そして、健全な世界を構築しよう。
Caitlin Johnstone: America has no allies, only hostages
RT 論説面
2020年10月25日
ケイトリン・ジョンストーン
By Caitlin Johnstone, an independent journalist based in Melbourne, Australia. Her website is here and you can follow her on Twitter @caitoz
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年12月20日

米国を中心とする帝国は、何でも吸い込むシミのように機能している。そして、他の国々を吸収して帝国のお得意様国家に変えてしまう。一度吸収されてしまうと、そこから逃げ出し、他の真に自立している国家たちの仲間に入り直すことは本当に稀だ。
新しく選挙で選ばれたボリビアのルイス・アルセ大統領は、スペイン語で世界ニュースを提供するEFE社にこう語った。「キューバやベネズエラやイランとの関係を元に戻すつもりです」と。この表明は、米国の後ろ盾により行われたクーデター政権の政策を転換するものだ。昨年不当に政権を握るやいなや、前政権は即座にこれらの国々の大使館の閉鎖を開始し、医師たちを追い出し、これらの国々との関係を悪化させていた。
アルセ大統領はさらに、ロシアや中国との関係改善についても言及した。
「我々は全ての関係を再構築するつもりです」。アルセ大統領はEFE社にこう語った。「前政権はイデオロギーに囚われた政治運営を行い、ボリビア国民がキューバの医療やロシアの医療や中国の発展した経済と繋がることを阻止してきました。イデオロギーだけをもとにした政策のせいで、ボリビア国民は不必要な苦境に追いやられ傷を受けてきたのです」。
アルセ大統領は以下のような意向も示した。「全ての国々に門戸を開きます。その際の条件はただ一つです。相手国が我が国や我が国の主権に敬意を払ってくれることです。それ以外の条件はありません。国の大きさに関わらず、ボリビアと関係を結びたいと考えている全ての国々にとっての唯一の条件は、我が国も相手国もお互いを尊重し合うということだけです。そうであるのならば我が国のほうには何の問題もありません」。
米国の帝国主義やその外交政策について少しでも理解している人ならば、アルセ大統領の発言の後半部分は、帝国の方針から見ればとんでもない異端行為になると認識するだろう。
Bolivia will restore diplomatic relations with Cuba, Venezuela and Iran, said President-elect Luis Arce in an interview with EFE. He will also re-establish good relations with China & Russia.
Arce condems the coup govt for its ideological & pro-US approach to foreign policy. pic.twitter.com/3ATXjSVbuF
— Kawsachun News (@KawsachunNews) October 20, 2020
米国を中心とし、他の同盟国がだらしなくつながって形成されているこの帝国には、公にされていない方針がある。それは他国に主権があることを認めないことだ。もちろん両国が平等に尊重し合うことなどはありえない。この帝国が当然のことだと考えているのは、「わが帝国には以下の3点を決める権利がある。それは、①世界のすべての国がどうふるまうか②各国の資源がどこに行くか③各国の軍事態勢が世界においてどのような位置を占めるか、という3点だ」ということである。ある国の政府が、この帝国のこのような決定権を受け入れることを拒否すれば、その国は標的とされ、損害を与えられ、攻撃を受け、最終的には帝国のいうことを聞く操り人形のような政権に取って変えられる。
米国を中心とするこの帝国は、何でも吸い込む巨大なシミのように機能し、ゆっくりと他国を吸収していく。その他国とは、いまだ帝国のお得意様国家に変えられていない国だ。ある国家がこのシミから抜け出して、自国の主権を守るために戦っている中国やロシアやイランやベネズエラやキューバのような、まだ吸収されていない国々に仲間入りすることは、ほとんどない。もしそのようなことが起こったのであれば、世界にとって勇気がもらえる話だ。
この帝国が持つ「シミ」のような執拗さが最も明らかになったのは、去年のことだ。そう米国の政治評論家、ジョン・ミアシャイマーが、オーストラリアのシンクタンク「独立研究センター」主催の討論会で語った時だ。この際、ミアシャイマーが聴衆にむかって話したのは、「米国は中国の台頭を阻止し、東半球が中国の覇権地域になることを妨げるためなら何でもする意向がある」ということだった。さらには、「対中国政策に関して、オーストラリアは米国と同調すべきだ、さもなければ、オーストラリアは米国政府から激しい怒りを買うだろう」とのことだった。
The rules based human rights defending democratic order, ladies and gentlemen https://t.co/ZEfxGm6LFi
The rules based human rights defending democratic order, ladies and gentlemen https://t.co/ZEfxGm6LFi
— RaHoWarrior Steve Bannon, 1st Boomer Division (@healingbyhenry) October 8, 2020
「いま話し合うべき問題は、中国の台頭に際してオーストラリアの外交政策がどうあるべきか、ということについてです」。ミアシャイマーはこう述べた。「もし、私がオーストラリア人だとしたらどうするかについてお話しします」。
ミアシャイマーによれば、中国は経済成長を続け、その結果得られた経済力を軍事力に回し、アジアを「米国が西半球を支配しているように」支配しようとするだろうとのことだった。さらに彼が説明したのは、米国と米国の同盟国が、中国がそうなることを阻止することが可能な理由だった。
「今の問題は、この状況がオーストラリアにとってどういう意味があるか、ということです」ミアシャイマーは語った。「そうです、板挟みになることは確実です。そんなふうにオーストラリアが板挟みになることはみんなわかっています。その板挟みが何と何にはさまれる板挟みなのかもわかっています。さらには、あなたがたオーストラリアだけが、東アジアでその板挟みに苦しんでいる国でないことも、です。あなた方の国は、中国とたくさん貿易をしています。そして、その貿易があなた方の国の発展にとって重要なことも、いうまでもないことでしょう。しかし、国家安全という意味においては、オーストラリアのみなさんは、我々米国と同調したいと思っていることでしょう。そう思うことは適切だと思いますよ。つまりあなた方は、発展よりも安全の方が大事だということをわかっておられるのです。生き残れなければ、発展もできないからです」
「“皆さんの前には選択肢がある”といっている人もいます。中国と仲良くすればいいじゃないか、と」。ミアシャイマーはこう続けた。「いいでしょう。米国よりも中国を選んでみてください。そうなると私がいいたいことは二つあります。その1。中国と仲良くするということは、オーストラリアは米国にとって敵国になるということですよ。つまり、オーストラリアは米国と敵国になることを選ぶことになります。さあ、どちらにつく方が国家の安全が保たれるかについて再度考えないといけなくなりますね」。
ミアシャイマーは言葉を続けた。「我々米国とともに歩むのか、それとも敵対するのか。 もしオーストラリアが中国との貿易を広範囲に広げ、中国との友好関係を築くつもりなのであれば、それは米国に害を与えることになります。つまり、我々米国の目からは、あなたがたオーストラリアは野獣を養うつもりなのだな、とうつります。それは、我々にとっては嬉しい話ではありません。私たちにとって嬉しい話ではないとなれば、私たちがどれだけ卑怯な手を使えるかを見くびらないほうがいいですよ。フィデル・カストロの例をご覧なさい」。
オーストラリアのシンクタンクの聴衆から気まずい笑いが起こり、ミアシャイマーが用意していた二つ目の煽り話が中断されることになった。CIAがカストロ暗殺未遂を数え切れないくらい行っていることはよく知られていることだ。
米国が、なぜこんなにも世界中の国々を同盟国として吸収し、米国の利を得ることに成功しているかがわからない人のために、その秘訣をお教えしよう。それは米国が世界で正義の味方のように、あるいは良い友のようにふるまっているからではない。米国に従わないならば、米国に破壊されてしまうからだ。
オーストラリアが米国に従っているのは、中国から自国を守るためではない。オーストラリアが米国に従っているのは、米国から自国を守るためだ。ある私のツイッターフォロワーが最近書いていたように、米国には同盟国はない。あるのは人質にされた国だけだ。
最近発表されたパレス・レター(訳注 オーストラリア政府が英国女王に送る親書)にも書かれていたのだが、CIAがオーストラリア首相ゴフ・ホイットラムを失脚させるクーデターを企んでいた。その理由は、ホイットラム首相がオーストラリアの国家主権を優先していたからだ。以下は、ジャーナリストのジョン・ピルジャーが、ホイットラム首相の死後、2014年に書いたものである。
オーストラリアがほぼ独立国家になれたのは、ホイットラム政権時の1972~1975年の間だ。米国の評論家はこんなことを書いている。「国内において革命をおこすことなしに、国際関係における立場をここまで大規模に転換させた例はない」と。ホイットラム首相は、それまで他国の植民地的隷属状態に置かれていたオーストラリアを転換させたのだ。ホイットラム首相は、オーストラリアの英国王室に対する支持をやめ、オーストラリアを当時世界で起こっていた非同盟運動に向かわせ、「平和地域」創設運動を支持し、核実験に反対していた。
オーストラリアでのクーデターとボリビアのクーデターの決定的な違いは、ボリビア国民はうまく丸め込まれることを拒絶したことだ。一方、我々オーストラリア国民は、「大丈夫。心配ないさ」と肩をすくめるだけだったのだ。本当の独立国になって、自国の主権を主張できるという選択肢はつねに存在していたのに、我々オーストラリア国民は、ボリビア国民とはちがい、完全にプロパガンダにより骨抜きにされていたのだ。ボリビアのように逃げる人質もいれば、オーストラリアのように逃げられない人質もいる。
米帝国はホイットラム首相を失脚させたのだが、それだけでは終わらなかった。2007年のオーストラリアの選挙で、中国と親密すぎるとみなされた首相が選ばれたとき、米帝国は同じ事をしたのだ。オバマ政権の対中国「アジア基軸戦略」を前進させるため、首相の座は、親中国派のケビン・ラッドから、帝国に従順なジュリア・ギラードに置き換えられた。以下は「ワールド・ソシアリスト・ウエブサイト」からの報告である。
米国の外交機密文書が2010年12月にウィキリークスから明らかにされたのだが、その内容によると、米国大使館内の「守られた人々」が、ギラードが首相に昇格する際の重要な鍵を握っていた、とのことだ。何ヶ月もの間、クーデターを企てていた者たち(その中にはマーク・アービッブ元老院議員やデイビッド・フィーニー連邦議会議員、オーストラリア労働組合(AWU)ポール・ ハウズ書記長も含まれていた)が、密かに米国大使館に、ラッド首相指揮下の政権内部における話し合いや意見の食い違いなどを報告していたのだ。
ラッド首相が提案していたのは、アジア・太平洋共同体であり、その共同体を通して激しさを増している米中間の衝突を緩和しようということであった。さらに、首相は米印日豪4国間軍事同盟の締結には反対していた。
豪米間や豪以(イスラエル)間の首脳会談で、自身が信頼できる親米派であることを周知させていたギルバードは、まさに米国大使館により、信頼の置ける代役に選ばれたのだ。汚い手を使ってラッドを追い出したのち、初の公式表明において、ギラード新首相が見せた姿は米国に対する献身的な姿だった。彼女は米国大使とのツーショットに応じたのだ。しかも、脇に米国旗とオーストラリア国旗を掲げていた。ギラード新首相のもとには、すぐにオバマ大統領から電話が入った。そのオバマはラッド政権下では、予定されていたオーストラリア訪問を2度断っていたのだ。
中国との戦争にむけて、米国にとってオーストラリアが果たす役割の重要性が明らかになったのは2011年11月のことだった。それは、オーストラリア国会で、オバマ大統領が「アジア基軸戦略」を発表したときだ。そう、オバマはホワイトハウスではなく、オーストラリア国会で発表したのだ。オーストラリア訪問中、ギラード首相とオバマ首相は米海軍がダーウィンに駐留することを同意する文書に署名した。それは、米軍が太平洋上の他の基地とオーストラリアとの結びつきを強めることになった。つまり、米中衝突が起こった際、オーストラリア国民が前線に置かれることになったということだ。
ギラード政権がさらに認めたのは、主に米国が行っているスパイ行為や敵国に対する武器攻撃行為を拡大することだ。これらの行為はパイン・ギャップの米豪軍事施設において行われている。さらに、米軍によるオーストラリアの港や空軍基地の使用許可を広げ、オーストラリアの軍事役割を高め、オーストラリアを米国が主導する世界監視網である「ファイブ・アイズ」に組み込むことに同意した。なお、この「ファイブ・アイズ」を使えば、世界の何百万もの人々のやりとりやネット上の動きを監視することができる。
ラッドの退陣劇が分岐点になったのだ。米国の帝国主義は、オバマ政権を通して、以下のような鋭利な警告を発したのだ。
「オーストラリアの支配層には曖昧さを残せる余地は残っていなかった。どの党が政権になるにせよ、オーストラリア政府は無条件に米中戦争に参戦しないといけなかったのだ。その結果、中国との貿易で大きな損失を被ることになったとしても、だ」。
そうだ。これが、今私たちが世界中で目にしていることなのだ。
「第三次世界大戦がスローモーションで進行している。この大戦を起こしているのは米国を中心とした同盟国連合だ。相手はまだその連合に吸収されることに抵抗している国々だ。そのようなまだ吸収されていない国の中で、現在もっとも力を持っている国は中国だ。だから中国が最大の標的になっている。米帝国が中国の台頭を止めることに成功したなら、米帝国は事実上、地球政府としての地位を得る。そうなればその帝国に反対したり、異を唱えたりできる人々は誰もいなくなる」。
読者がどう思うかはわからない。しかし私はこんな世界には決して同意しない。その世界とは、強力に核武装された軍隊が地球を最終戦争に引き込む武器をふりかざし、世界の人々がお互い殺し合い、この地球の覇権を目指して、強国が起こす冷戦ゲームに参加しようとしない弱国が強国に破壊されていく、そんな世界だ。今必要で、なしとげれられるべきことは、緊張を緩和させることであり、平和だ。だから、この地球上で皆が生き抜けるよう活動しないといけないのだ。皆で協力しよう。大地の力も借りながら。
拝金主義者たちが形成しているこの帝国の方向性は、人間を殺しつくし、環境を破壊しつくそうという方向性だ。これは人類を救う方向性ではない。こんな方向性に従えば、人類以外のどれだけ多くの種を絶滅させてしまうだろうか。我々が考えるべきなのは、どうやったらこの方向性を終わらせることができるか、だ。歴史的に見て、支配者が自分のもつ権力を喜んで分配することはない。だからこそ、我々一般市民が団結しないといけないのだ。そして権力者たちの繰り出すプロパガンダを打ち破ろう。帝国主義を終わらせる戦いに加わろう。そして、健全な世界を構築しよう。
- 関連記事
-
- ドローン攻撃の真実。オバマ政権による殺戮を暴露した、我が国の「裏切り者」ダニエル・ヘイルに祝福を。 (2021/08/05)
- 米国発の2つのパンデミック。コビドと銃乱射事件 (2021/07/22)
- 書評『嘘の国アメリカで真実を求めて』 ― 「911」という期日を誰がなぜ選んだのか (2021/03/30)
- テキサスの寒波による危機が改めて示した、米国政府は自国民を守れないし、守る気もないという事実 (2021/03/27)
- 米国は他の国々が危機に対処できないと非難したがるが、テキサス州の混乱は自国の面倒を見ることができないことを示している (2021/03/24)
- 2015年にフリント市の水道で起こった鉛汚染は、子どもの脳に損害を与えたのだろうか? (2021/03/05)
- 国会議事堂占拠事件が偽旗作戦であったことに山のような証拠が溢れている (2021/01/18)
- 米国には同盟国はない。あるのは米国により人質にされた国だけだ。 (2020/12/18)
- 億万長者の支援をうけたヒューマンライツウォッチが、コロナが猛威を振るうなか、左翼政権にたいする破壊的制裁を求めて米国でロビー活動 (2020/09/18)
- アル・カポネが生きていたら誇りに思うだろう。シカゴは腐敗し、犯罪が蔓延する米国の殺人首都であり、暗黒の未来を予見させる (2020/09/02)
- アメリカは今、ぞっとするような危機にさしかかっている。このあと待ち受けるのは人種間の争いや内戦か? (2020/09/02)
- なぜ米帝国は、やっきになってロシアについての言説を世界レベルで操作しようとするのか? (2020/08/21)
- 法廷は環境影響評価を理由にダコタ・アクセス・パイプラインの停止を命じ、スー族を始めとする抗議者が勝訴 (2020/08/06)
- 米国の民主党支持者たちは、かつてないくらい、「社会主義」を恐れなくなっている (2020/06/11)
- 9/11の真実:ほぼ20年間のロックダウン (2020/05/10)
スポンサーサイト