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マスク着用反対者たちを、心理学を悪用して「反社会的人間」と病人扱い

<記事原文 寺島先生推薦>Lockdown supporters are using psychology pseudoscience to label anti-maskers as irrational, stupid sociopaths


RT 論説面

2020年9月3日


フランク・フレディ

an author and social commentator. He is an emeritus professor of sociology at the University of Kent in Canterbury. Author of How Fear Works: The Culture of Fear in the 21st Century. Follow him on Twitter @Furedibyte

<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年9月25日

 


 なぜ新型コロナに関する決まりに従わない人達が、「性格障害者」とか「道徳心に欠ける人物」などと非難されるのだろうか?それは、彼らを非難するものたちが、このような専門用語を使うことで、自分たちの主張が科学的であるという見せかけをつくるのに都合が良いからである。しかし、実際は戯言に過ぎない。

 今日、心理学は、政治的な意見の異なる者を屈服させるための武器としてよく使われている。だから私は、マスクの着用や、社会的距離の保持という決まりに従おうとしない人たちは「社会病質的な病気をもつ傾向がある」という研究結果を読んでも驚きはしない。彼らが病人扱いされているとしても。

 この研究を行ったブラジルの研究者によると、反社会的性格をもつ人々、例をあげると、他人に対する思いやりが欠けていて他人の痛みに気づけなかったり、人をだましたり、わざと危険なことを行うような傾向を強く持つ人がマスク着用を拒んでいるとのことだ。

  かつてはこのような「反社会的な性格を持つ人たち」は、「悪意がある人」や「邪悪な人」と呼ばれる人たちと関連づけられていた。今日、「反社会的人間」などという心理学の専門用語が使われるのは、自分が好意を持っていない人たちを病人扱いする時だ。どうしてこんなことになっているのだろうか?それは、心理学は科学としての権威があり、心理学を使えばものの見方に対して正当性が保てるからだ。そして、ある人が反社会的人間であるという診断が、単なる個人の意見ではなく、科学的な事実であるとして受け入れられるのだ。

 さらに心理学という科学が「反社会的人間」というレッテルを貼るのは、マスク着用や、新型コロナウイルスに関する決まりや取り締まりに反対しているものたちに対してだけではない。近年、ブレグジット(訳注 英国がEUから離脱すべきだという考え)などの特定の政治問題を支持する人たちの動機や振る舞いに疑問を投げかけるのに、科学の権威が使われるようになっている。

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 タイム誌によると、「ブレグジットに投票せざるを得なくなるのは心理学で説明できる!」という。その主張によると、心理学者たちは国民投票の結果に「これっぽっちも驚いてはいない」し、その結果は「主として人間の心理の不合理な働き方のせいである」から、だそうだ。

 心理学がブレグジットに投票する人々の心理を説明できるということになると、この考えを支持するものたちは、「EU離脱に投票した人はみな不合理で馬鹿者だ」という主張を支持してもいいことになる。こうして、ブレグジットを支持する有権者の大多数は、本当に強い情熱をもって民主的に物事を考えようとしているのに、彼らは心理学上混乱状態にあることにされてしまうのだ。

 マスク着用は不快だと思っている人たちや、ブレグジットに投票したり、常日頃「大衆迎合主義者」というレッテルを貼られるような言動を示している人達は、批判の対象になるだけではなく、心理学上道徳心が欠けている人間だという診断が下される。心理学的に診断が下されると、ほぼ同時にモラルがない人間だと酷評される。そのことについては、政治評論家のイワン・クラステフ氏がこう記述している。

「大衆迎合主義政党が台頭していることに対して、心理学的解釈や、時には精神分析的な解釈まで持ち出されることが多い。評論家たちは意識していようが無意識であろうが、大衆迎合主義を以下のような専門用語で分析しようという傾向がある。その専門用語とは、「抑圧されたものの再帰」「トラウマ」「いらだち」、それと「現状への不安」などだ

 ブレグジットなどの特定の政治問題を支持する人々の動機や振る舞いを心理学的に説明しようとすると避けられなくなるのは、彼らがなぜそれを支持するようなったかには関係なく、彼らが理性的に考えることが出来なかっただけだという主張に固まってしまうことだ。

 「ブレグジットは経済の問題としてではなく、非理性的な外国人嫌いという感情のせいで高まった」などと言ってしまうと、大衆迎合主義者たちの考え方を支配しているのは幼稚な衝動にすぎないという思い込みを与えてしまう。多くの評論家たちは、ブレグジットに投票するのは彼らの理性ではなく怒りだと言い、そうした投票行動に嫌悪感を示した。

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 安易に心理学をニセ科学の論争の道具に使ってしまうことは、自分の職業のことを真剣に考えている心理学者の研究の邪魔をすることにさえなる。『ブレグジットについての心理学』の著者であるマイケル・スミス氏は、ブレグジットに全く共感はしていないのだが、こんなことを心配している。それは、「EU残留派の評論家たちは、ブレグジットの考えをもつ人々を、精神病者と結びつけて考えている。そんな人たちこそ、気が狂っている。なぜなら、理性的な考えをもとにEU離脱に投票している人がその話を聞いてどう思うかをおもんばかれないからだ」。

 その通りだ。それは単なる想像力の欠如だけではなく、自分とは違う文化的な価値観を持つ者に対する強い不安や憎しみなどの激しい感情だ。そんな彼らこそ、政治的な反対意見をやり込めるために、心理学を悪用するのだ。

 マスク着用を拒んだり、ブレグジットに投票したり、その政党の意見や活動に賛同して大衆迎合主義と呼ばれる政党に投票する人を批判することは全く問題ではない。しかし、そのような考えを持つ人たちを「道徳心に欠ける人たち」や「精神的な病人」として単純に一括りしてしまうのは、その人たちの考え方が間違っているという情報だけではなくて、その人たちは病人だという情報を流してしまうことになる。この観点からすると、彼らが「反社会的人間」であるかどうかは、彼らが政治にどんな理想を持つかでなく、混乱した非理性的な精神状態で定義されることになる。

 だからこのような見方を真剣に議論することには意味がほとんどなくなる。こんな評論家たちこそ、病院で精神病患者として治療を受ける必要がある。彼らを責任ある一市民とは言えないだろう。

 心理学という科学が他人の考え方を攻撃する武器に変えられるのは悲しい。その人の考え方のせいで病人扱いされ、人権を侵害されるのは良くない。そんなことは民主主義にとっても良くないことだし、科学の権威をおとしめるという意味でも良くない。そして真剣に心理学に取り組む人たちにとっても良くないことだ。





 



 
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