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なぜ米帝国は、やっきになってロシアについての言説を世界レベルで操作しようとするのか?

<記事原文 寺島先生推薦>Caitlin Johnstone: Why the US empire works so hard to control the international narrative about Russia

RT 論説面
2020年7月2日
ケイトリン・ジョンストーン


オーストラリアのメルボルンを拠点とする独立ジャーナリスト。ウェブサイトはこちら。ツイッターはこちら



 2010年12月、フォックス・ニュースの「フリーダム・ウオッチ」というコーナーでジョン・ボルトンと司会者のアンドリュー・ナポリターノが当時のウィキリークスについて対談していた。会話は自然と、政府が持つ秘密についての話題になった。


 「政府が持つ秘密について私の見解を伝えたい。国家安全保障の問題を取り扱う際は、嘘をつくことが適切な場合もあります」。ボルトンはこう述べた。「そうなんです。ウィストン・チャーチルも、第二次世界大戦中に、‘’戦時において真実はとても重要なので嘘というボディガードで守らないといけない‘’と言っていました」 。

 「あなたはその話は正しいと思っておられるのですか?」信じられないような表情をしてナポリターノは尋ねた。


 「もちろんです」と、ボルトンは答えた。

 「真実を守るためには嘘をつくこともあるということですね?」ナポリターノは尋ねた。

 「私が米国の国家の安全に反する事実であると知っていることについて発言する際は、そうします」。ボルトンは答えた。

「なぜ政府の中にいる人たちは、社会の法律や決まりを自分たちは守らなくてもいいと考えているのでしょうか?」ナポリターノは質問した。

  「なぜなら政府の人間たちのやりとりは憲法下の市民社会の生活の枠外にあるからです」。ボルトンは答えた。「政府が扱っているのは、世界の無政府状態の事象でありそこでは憲法とは別の決まりが適用されます」。

 「しかし、あなた方は憲法を遵守する誓いをたてていますよね。そして憲法は情報の開示と公平性を求めていますよね」。ポリターノは食い下がった。「あなたは、軍の一時的な目的を達成するためには、憲法を無視する意思がある、とおっしゃっているのですか?」

 「私の考えは、ジャスティス・ジャクソン(訳注 米国の法律家、故ロバート・ホウアウト・ジャクソンのこと)が、ある有名な判決に関して言った‘’憲法は自死するための取り決めではない‘’という言葉と同じです」と、ボルトンは語った。「さらに、私の考えでは、米国を外国の脅威から守るためには米国の平時のやり方では手ぬるく、特別な対応を取る必要がある場合もあるのです。このことに関して言い訳はしません」。




 今から私が書く文章は今まで書いたことのない単語の羅列になる。そしてこんな文章は、二度と書く気はない。

 ジョン・ボルトンは正しい。

 ボルトンが、目を覆いたくなるような、我田引水もいいとこの言い方で、軍の企みを進めるためにウソを使うと言ったことはもちろん間違った考えだ。それはボルトンがイラクに対する許されない侵略を世界に同意させようとして彼が採用した精神病者のようなやり口を
化しようとした際の企みと同じくらい説得力のない考え方だ。そうではなくて、私が「ボルトンは正しい」と言っているのは、国家間の衝突は「国際情勢が無政府状態で、異なる決まりが適用
される」時に起こる、と彼が言っているところだ。

READ MORE

New York Times takes anti-Russian hysteria to new level with report on Russian ‘bounty’ for US troops in Afghanistan

 それぞれの国には、政府があって、その政府が施行する法律がある。(少なくとも今のところは)我々はこの地球上でたったひとつしかない政府というものをまだ打ち立てていないので、政府間のやりとりはたいてい無政府状態だ。そしてそれはいい意味での無政府状態ではない。

 「国際法」というものが、実際のところ意味のある形で存在しうるのは、国際社会が、恣意的に「国際法に強制力を持たせたい」という意思がある場合に限られている。つまり、国際法が適用されるのは、国際社会の中で支配的な圧力を押しのけるような影響力を持たない国々のみなのである。

 これが、アフリカ諸国の指導者たちが、国際刑事裁判所(ICC)により、戦争犯罪を理由に刑務所送りの判決が下されるのに、米国は、もしICCの職員が米国の戦争犯罪について調査するということまで言い出せば、彼らに実際制裁措置を加え、それで何もなかったことにすることもできるし、そのことで後を引きずるような結果には一切ならない。さらにこのことは、ノーム・チョムスキーが以下の名言を残した理由にもなる。「ニュルンベルク法の公平性と一貫性にまだ効力があるのならば、第二次世界大戦後の米国の全ての大統領は縛り首になっていただろう」。

 そして、米国同盟勢力に吸収されることを拒絶しているロシアのような国に関する言説を、国際社会において統制しようとしているのも同じ理由だ。ある標的国の行為に対して、国際社会が「真実である」と受け入れるような言説であれば何でも統制する影響力や推進力が手許にあれば、いろいろ強引な経済制裁を課しながら、国際的な協調体制をでっち上げることなど朝飯前だ。その例が、民主党議長の上院議員チャック・シューマーが 、ロシアがタリバン兵士に懸賞金を払ってアフガニスタン駐在の米兵を殺害させようとしたという全く証拠のない作り話に対して、現在制裁を求めていることだ。




 米帝国勢力という愚か者集団に吸収されることを拒絶している国家に対する第三次世界大戦がゆっくりと進行する中で、この強固につながった帝国の同盟国の群れは、ロシアを弱体化させ破壊できるものならどんな事でもして自分の利益になればすべてのことに耐える。それは、この第三次世界大戦に反対しようというロシアの意見を世界から追い出し、ロシアが果たす役割を弱めようとする企みだ。ロシアが悪事を働いているという作り話を世界中に広め、 国際社会で同意をとりつけ、最終的には経済戦争の構築や代理戦争やNATOの拡張やその他の措置に持ち込もうとしている。これは、米露間で最後に結んだ核兵器に関する条約を反故にし、アフガニスタンに帝国軍を恒久的に配置し続けることによって、新たな軍拡競争を促進しようという動きと同じ動きだ。

 ロシアがアフガニスタンにおいて懸賞金を出したという証拠は何ひとつ示されていないし、これ以降も示されることは決してないだろう。帝国の喧伝家たちが関わっている限りは、そんな証拠は
どうでもいいことなのだ。喧伝家たちはこの作り話を信じさせるような事実を必要としていない。 彼らは、ただ言説の統制をすればいいだけだ。喧伝家たちは、ロシアが懸賞金を出してアフガニスタン駐在の米兵を殺害しようという作り話を何度も何度も繰り返し伝えるだけでいいのだ。 そう、決めつけたような権威的な態度を加えた口ぶりで。そうすれば、人々は「これは本当にあったことだ」と思い始める。ただ、喧伝家たちが繰り返しそう言っているだけなのに。

 喧伝家たちは、この作り話に新しい情報を付け足すだろう。しかしその情報はどれも彼らの主張を裏付けるようなきちんとした証拠など示さないままだろう。しかし、決めつけたような脅すような言い方で「爆弾のような」情報を報じきった後には、人々はロシアが懸賞金を出したことを真実だと思い始めるだろう。言説統括者たちは何の関連性もない、その信憑性も証明されていない雲のような情報に(何の説明も加えず)ただ両手を振り、この事実には山のような証拠があるのだから、これらの証拠に疑念を持つものは全てバカにちがいないと言い張るだけでよくなるのだ。(このやり方は「ギッシュ・ギャロップ」という討論上のテクニックを使ったやり方だ。それは、ひとつひとつは根拠の弱い論点でも、そんな論点を幾つも重ねることによってとても強い論点に見えてしまうという幻を使った論法だ)!

 こんなことが可能なのは、本当は国際法など存在しないのに、存在すると同意している政府にのみ「国際法」が適用されているからだ。米国を中心とする帝国が、ロシアが行っていることについて世界に流布している言説を統制することができる限りは、この帝国は「国際法」という武器を敵国に対して棍棒として使い続けるだろう。今実際に私たちが目にしているのは、そんな光景だ。

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