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シリコンバレーの「ワーキング・ホームレス」は車で眠る --- ハイテクの大物たちが王者のごとく暮らしているとき  

Silicon Valley 'working homeless' sleep in cars as tech titans live like kings

Published time: 8 Nov, 2017 14:39

記事原文
https://www.rt.com/usa/409230-silicon-valley-working-homeless/



1 カリフォルニア州の太平洋岸に位置する、この目映いばかりの先端技術の聖地(メツカ)、そこは世界最富裕の資産家や大企業のいくつかの発祥の地なのだが、その周辺にますます増える‘ワーキングホームレス’の数は、アメリカンドリームの悲しき脚注(裏面の説明)として役立っている。

2 これは、なんらかの理由で経済から転落して、現在、路上で生活しているアメリカ人たちの話ではない。これは働き者のアメリカ人たちの話である。彼らは職に就いていて、しかも時には同時に2つも3つも職を掛け持ちをしているが、それでもまだ必要最小限の家賃を払う余裕がないのだ。これらの人々がアメリカ人のまったく新しい下位文化(サブカルチャー)を浮かび上がらせる存在となってきている。ほんの数十年前には聞いたことがないもので、‘ワーキングホームレス’というものだ。  

サッド・バレー(悲しみの盆地)? 
 
3 ここ数年続いているホームレス問題は、シリコンバレー(半導体の盆地)からまず第一に連想されるものではない。シリコンバレーは先進的研究・開発の中心地のひとつとして世界的な地位を享受しているからだ。

4 アップル、アルファベット(グーグル)、ヒューレットパッカード、オラクルのような、『フォーブス100』誌の企業のうち数十社を抱えているシリコンバレーは、米国全体の投機的資本投資の3分の1を占めている。
 
5 またカリフォルニア州の、よく知られたリベラル(あるいは左派的)な傾向を考えると、少し奇異な感じがするかも知れないが、シリコンバレーのテクノロジー関連株は、共和党のドナルド・トランプがホワイトハウスに入って以来ずっと記録を破り続けている。
 
6 だとすれば、小売業で働く人、教師、保守作業員、配管工などの多くの類似のサービス産業労働者たちの、この悲惨な現象をどのように説明すればよいのか。つまり、彼らは家賃を払う給料が充分にないため、駐車場で車やRV車から出て、戸外で寝泊まりしているのだ。とりわけ、アメリカの中でも現金の海で泳いでいるような地域において。
 
7 “サンノゼの地下鉄エリアの家賃の中央値は、月3500ドルだ。しかし賃金の中央値は、飲食サービス部門で時給12ドル、医療支援業務では時給19ドルだ。それは住宅費をまかなうことすらできない額だ。”とAP通信は、その問題をとりあげた最近の暴露記事で報じた。

8 その記事はエレン・タラ・ジェイムズペニー(54歳)の胸の痛むような話を詳しく報じた。彼女はサンノゼ州立大学で教えており、4クラスの英語授業をもち、年収は28000ドルだ。しかし2つ学位を取得した後、現在143000ドルの学生ローン負債を抱えている。 
 
9 “彼女は試験を採点し、授業の準備をする。愛車ボルボの中で。夜になると、彼女は運転席を後ろに反らし、眠る準備をする。そばに2匹の犬のうちの一匹のハンクをおいて。夫のジムは、車で寝るには背が高すぎるので、野外のテントつきの簡易ベッドで眠る。もう一匹の犬バディと共に。
 
10 人口8万人の都市マウンテンビューには、300以上の車が都市の至る所に散在し、個人や家族のための狭苦しい住居地としての役割を果たしている。しかし、ますます増えるホームレスの流入に対処するために、市当局者がますます圧力を受けるようになるにつれ、援助資源は限界点にまで達しつつある。
 
11 市の公式ウェブサイトによれば、“マウンテンビューのホームレスは倍近くになった。2013年の139人から、2015年には276人に”。これらの数は2017年には郡全体でさらに上昇した。マウントビューでは、416人のホームレスがおり、2015年から見ると 51パーセント増である。”
 
12 その間、すぐ近くのパロアルトの当局者たちは、市の道路沿いに停められたRV車に72時間制限を課すよう強要された。住民からの苦情が多いからだ。
 
貧乏人のせいか?
 
13 彼らの現在の苦境は、こうした悪戦苦闘している個々人のせいにしたいという誘惑にも駆られる。そもそも、、大金持ち連中の荒い金使いが急激なインフレを起こさせていない所へ、車に荷物を積んで移動しさえすればよいではないか。そういった物言いにもいくらかの真実があるようにも思われる。だが問題はそれほど簡単ではない。問題はシリコンバレーから遙かに遠くなってしまうからだ。
 
14 ホームレスは今やアメリカでは珍しくないのだが、とくにカリフォルニア州では顕著だ。米国住宅都市開発省によって最近発表されたばかりの研究では、ホームレス率のトップ10都市のうち4つはカリフォルニア州だった(ロサンゼルス、サンディエゴ、サンフランシスコ、サンノゼ)。ただし首位はニューヨーク市だ。
 
15 急上昇している株式市場と息を飲むほど高額の役員報酬という楽天的なニュースの影に隠れているのは、ホームレスの急上昇だ。そしてそれは西海岸沿いの多くの州政府に非常事態を宣言させるまでになっている。そういう宣言は、通常は自然災害のために取っておかれるものなのだが。
 
16 “空前のホームレス危機が西海岸を揺るがしつづけている。そして、その犠牲者たちはその地域を特徴づけている成功そのものによって置き去りにされているのだ。急上昇する住宅費、どん底の空室率、そして怒濤の経済は誰一人待ってはくれない”と、ワシントンポスト紙は報じた。
 
17 太平洋岸の北から南に至るまで、すべての州政府は解決策を求め苦闘している。
 
18 “わが市は経済的には失業率はゼロ。それにもかかわらず数千人のホームレスの人々がいます。彼らは実際に働いています。ただ住宅費を支払う余裕がないだけです。”シアトル市の市会議員マイク・オブライアンはそうワシントンポスト紙に語った。“これらの人々は行く場所がないのです。我々が新しい駐車場を開いても、すぐいっぱいになってしまいます。”
 
19 その物語をますます悲劇的にしているのは、裕福な人々がそれなしでは生活できない骨の折れる仕事、つまり配管工事・教育・配膳・掃除をこなしている人々の多くが、富へ突進する経済の背後で取り残されつつあるという事実なのだ。
 
20 “これは失業の危機ではないのです。ふつうは失業が貧困につながるのですが、このシリコンバレーは違うのです。”と、コミュニティ・サービス・エイジェンシー(マウンテンビューに本拠地を置く非営利団体)の執行責任者、トム・マイアースはAP通信に語った。“だって、人々は働いているんですからね。”
                 (翻訳:寺島美紀子)

<新見コメント>ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この記事を昨年12月「国際教育総合文化研究所」の研修会で紹介されて衝撃を受けました。しかもこの記事を寺島美紀子先生は大学の授業で扱っておられ、その指導方法も紹介されました。英語の勉強は辞書引きだという通念を打ち壊すように、語句のヒントが英文の下にたっぷり与えられている。そして煩瑣な文法指導の代わりに、動詞に○、連結詞に□、修飾語句は[ ]でくくりながら英文を理解させる。こんな素晴らしい英語の授業は他にどこにあるだろうかと感心させられました。

記事の内容としても現代アメリカの真の矛盾をえぐり出していて、深く追求するに値する記事です。アメリカが格差社会であり、社会保障制度も先進国では著しく劣っていて、自己責任の社会であることはよく知られています。医療においても、教育においても矛盾が噴出し、膨大な貧困層を生み出しています。

1.国連人権委員会の報告(2014年)でホームレスの数をみても、トップ25都市の内、アメリカの都市は11都市も入っています。
世界各国(都市)のホームレス人口数ランキングTOP25
(全人口に占める割合)
   1.マニラ              4.21%
  2.ローマ              2.05%
  3.ロスアンジェルス      1.49%
   4.シアトル           1.44%
  5.アテネ              1.38%
  6.サンフランシスコ      1.21%
  7.ワシントン          1.14%
  8.ニューヨーク         0.72%
  9.サンディエゴ(カリフォルニア州) 0.67%
  10ボルモチア(メリーランド州)   0.66%
  11ブタペスト(ハンガリー)      0.58%
  12ブエノスアイレス          0.51%
  13ブリン(アイルランド)        0.45%
  14ジャカルタ             0.29%
  15タンパ(フロリダ州)       0.27%
  16モスクワ              0.26%
  17メキシコ              0.25%
  18シカゴ              0.21%
  19ムンバイ(インド)          0.20%
  20インディアナポリス(インディアナ州)0.15%
  21デンバー(コロラド州)     0.15%
  22サンパウロ              0.08%
  23リスボン               0.06%
  24リオデジャネイロ           0.04%
  25東京                   0.03%
         (順番を%順に並べ替えみました。)
http://blog.livedoor.jp/loveai0221/archives/38031964.html

2.ホームレスの次に出てきたのが「ワーキング・プア」という言葉です。働きながらも貧困状態を抜け出れない人々です。これは内橋克人がNHK特集でドキュメントをしていて話題になりました。では日本の場合、ワーキングプアどのくらいいるのでしょうか。

   ワーキングプアの実態 https://chiikihyaku.jp/articles/column/931

   戸室教授によると、1992年から2012年までのワーキングプア率は、
   1992年: 4.0%
   1997年: 4.2%
   2002年: 6.9%
    2007年: 6.7%
    2012年: 9.7%
   と推移しています。2012年には働いている人がいる世帯のうち10分の1近く
   がワーキングプアという結果になりました。この20年の間にその数は大幅に
   増えていることがわかります。特に、1997年から2002年の間と、2007年から
   2012年の間に急激に増えています。

   この2つの時期に急激な増加が進んだ要因としては、次のことが考えられま
   す。まず1つ目の1997年から2002年にかけては、構造改革に伴って労働環
   境が激変しました。政府・企業の主導によって労働市場の規制緩和や自由
   化が進められ、日本型のいわゆる終身雇用が急速に減少し、パートや契約
   社員といった非正規雇用が急増した時期にあたります。

   2つ目の2007年から2012年にかけては、2008年のリーマンショック、2011
   年の東日本大震災と大きなできごとが相次ぎ、職を失う人が大量に出
   ました。これらの結果、正規の雇用が減り非正規の雇用が大幅に増加
   して収入の格差が拡大していきました。

このように日本も新自由主義経済の影響を受けて格差が大きくなってきました。資料は2012年までですが、現在(2018年)ではさらにワーキングプアは拡大していると考えられます。

3.次にワーキング・プアの日米比較した資料として次のサイトが参考になります。
   ワーキングプアとは、基本的に「年収200万以下」で生活している人のことを言い
   ます。

   ワーキングプアについては、現在の日本では1100万人程度いるといわれてい
   て、日本人の10人に1人がワーキングプアだと言うことです。

   アメリカの場合、日本よりさらに酷く「2人に1人」がワーキングプアだと言われ
   ています。その数はざっと「1億5千万人」で、日本の全人口より多い人数です。

   アメリカでは仕事をしたくても仕事がない。仕事が見つかっても給料が安い。
   給料が高い仕事は、医療やITなどの頭脳労働しかない。それ以外の仕事=
   ワーキングプアとなってしまうのが今のアメリカの実態です。
      http://semiritaia.net/workingpoor-zixtutai/

4.ところが今度は「ワーキング・ホームレス」です。彼らはちゃんとした仕事に就いています。給料も普通にあります。それでも家賃が高すぎて、住む家が見つからないということです。アメリカの中間層がどんどん貧困に追いやられている現状を知らせてくれる貴重な記事です。

マウンテンビューのホームレスは、2013年139人、2015年276人、2017年416人と増加の一途をたどっています。市が対策を立てても追いつかない状況だと書かれています。しかも失業率はゼロなのに。繁栄の陰で配管工、教師、飲食業、清掃員など骨の折れる仕事が忘れ去られているということです。(本文ではニューヨークがトップだと書かれていますが、コメント1の表では0.72%で全米の5位となっています。これはコメント1の表が2014年版でその後増加したか、統計の取り方が違っているかどちらかです。)

大統領選挙で、社会主義を標榜したサンダースが人気を博し、ラストベルト地帯を背景にしたトランプが当選する背景がここにあります。しかしワーキング・ホームレスへの対応は追いつかない。「市はその対策で破産状態だ」とも書かれています。

大企業の繁栄がトリクル・ダウンするというなら、市の財政をもっと援助すべきなのですが、大企業ばかり優遇する税制では日本もアメリカと同様に同じ運命をたどらざるをえないだろう。 
 
 参考サイト:ブログ「百々峰」http://tacktaka.blog.fc2.com/
        同じ記事の翻訳と貴重な関連資料が紹介されています。
 参考資料 堤未果『(株)貧困大国アメリカ』
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