偏見にみちた主流メディアは再び、賢明なスウェーデンを無謀なギャンブラーとして糊塗するために科学を悪用する。ここに、彼らがまちがっている理由がある。
<記事原文 寺島先生推薦>Biased mainstream media again misuses science to paint sensible Sweden as reckless gamblers - here is why they are wrong
RT-Op-ed ピーター・アンドリュース
2020年5月23日
ピーター・アンドリュース、ロンドンを拠点とするアイルランドの科学ジャーナリストであり作家。生命科学のバックグラウンドを持ち、グラスゴー大学で遺伝学の学位を取得。
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年6月5日

スウェーデンは、コロナウイルスのアウトブレイクに対して自由放任主義的な対応にもかかわらず、ストックホルム居住者のわずか7.3%しかコロナウイルスに対する抗体を持っていないことを明らかにした。主流のメディアは、これで自分たちが正しいかったことが証明されたと考えているが、そうではない。
ちょうど先週、私はあのおなじみの立派な新聞ガーディアン紙の報道の一部を批判した。それはコロナウイルスの治療上の理解についての記事であった。彼らは再び同様の轍をふんだ。今回は、危険で誤った考え方の地であるスウェーデンが、そのコロナウイルス政策で人々を死亡させている証拠として抗体調査を持ち出している。
まず、その調査そのものについて取り上げてみよう。その調査では、抗体検査(それはコロナウイルスに感染して完治した人を検出すると想定されている)によると、ウイルスに感染したストックホルムの住民が予想よりもはるかに少なかったと報告された。これはスウェーデンが集団免疫に到達するにはまだ長い道のりが残されていることを意味する。しかし、抗体検査は全く信頼できないものだ。
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感染した人々のうち、どれ位の割合で抗体を持つのかについて知ることはできない。たとえ感染した人全員が抗体をもったとしても、抗体を検出する検査がどれほど正確であるかは分からない。したがって、木曜日にオックスフォード大学のストラ・グプタ教授が述べているように、抗体検査から得られる数値は、感染した人の数より低いものとなる。データを素直に読めば、「ストックホルムの住民の少なくとも7.3パーセントは4月末までにCovid-19抗体を持っていた」となる。
スウェーデンを悪役に
社会民主主義の不変のモデルであるスウェーデンをやりこめるために、ガーディアン紙は車輪の上のハムスターよりも激しく回らなければならなかった。彼らはスウェーデンの見栄えを悪くする指標を見つけようとして、100万人あたりの死亡数で他の北欧諸国と比較することにした。100万人あたりの死亡数は、混乱因子を考慮に入れない、笑えるほどに粗雑な指標である。そしてその指標は、様々な国がコロナウイルスの死者数を様々な荒々しい方法で報告している中でも、一番使われることがない指標だ。ガーディアン紙のグラフの一番下には「注:カウント方法は国々によって異なる」という但し書きがついている。
スウェーデンは、その特別な指標においては、デンマーク、ノルウェー、フィンランドよりも値が高くなっている。これは、主に特別養護老人ホームへのコロナウイルスの侵入を防ぐことに失敗したためである。しかし、北欧諸国におけるこの致死率の違いの原因を、スウェーデンが経済を停止しなかったせいにするためには、ガーディアン紙は100万人あたりの死者数がスウェーデンより高い値が出ているフランス、イギリス、そしてとりわけベルギーが、ウイルスに関してより自由放任主義的でさえあったことを実証しなければならない。しかし、もちろんこれは不可能である。
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彼らはガーディアン紙のスウェーデン人読者であるウプサラ大学のビョルン・オルセン教授を見つけたようである。彼は7.3%の抗体結果を額面通りに受けとり、一定の教育を受けた人物として、これは集団免疫に必要な50%または60%からかなり遠いものと判定した。「集団免疫ははるか彼方にある」とその感染性医学の教授は吹聴した。
しかし、政府の免疫学者であるアンダース・テグネル氏が人々に伝え続けているように、スウェーデンは集団免疫を目指してはいない。彼らは、第2の波を恐れるのではなく、単に病院が圧迫されすぎることないようにしているだけである。ご存じのように、ポイントは最初からずっとそうであった。ところで、いつそのことが窓から出ていったのだろうか? これら全てのことは、病院が多くの患者で一斉にあふれかえることがないように行われたのではなかったのか?
もっと非理性的に、お願いします
彼らにこの言葉を与えよう:ガーディアン紙は風変わりな意見を発掘する特性を持っている。同紙で人気のあるもうひとつのスウェーデンの記事は、それはほとんど信じ込まされるまで読まれなければならないが、ストックホルムに拠点を置く韓国人のキム・テフン氏によるものである。キム氏は、自分は「心配して」おり、そしてスウェーデン政府のウイルスについての説得に「安心していない」と嘆いている。
キム氏はまた、スウェーデンの「コロナウイルスを(国全体で取り組む大きな問題にせずに)単に深刻な公衆衛生の問題、つまり医療専門家が定めたルールを注意深く遵守すればいいだけだと見なす傾向」がスウェーデンを困ったことにしていると考えている。代わりに、キム氏は遺伝子ループ(註:ウイルスのこと)を「目に見えない敵」として考え、その実在する敵を倒すために、国が市民の自由を停止することを要求するほうがいいと考えている。
関連記事Why is the MSM working overtime to try to show that Covid-19 is dangerous to CHILDREN - when so few of them have died?

おそらく、キム氏は、よく分からないが、韓国にいる方が心地よいと感じるのではないだろうか?そこでは、政府は携帯電話の強制アプリを介して彼の正確な居場所をいつでも知ることができ、彼が行くところ全てで彼の仕事のことを伝えなければならないであろう。しかし、私に何がわかる?たぶんキム氏のいうとおり、我々はもっと疑似科学的に哲学することや精神分析のおしゃべりの特集記事を必要としている。たぶん、有名人によるクンバヤ(有名な黒人霊歌)演奏ももう少しいるのかも。唾を飛ばすような議論なんかしないで…
賢いのはスウェーデン人、あとはお馬鹿さん
ユーロビジョン(ヨーロッパ放送連合が運営するニュース・番組の交換のための国際ネット)のない年でさえ、スウェーデンが欧米のメディアでそのようなセンセーションをまき起こしてきたことは注目すべきことである。彼らは、スウェーデンを進歩的な楽園としてのイメージと、若者の空疎な喜びのために老人を犠牲にするという冷淡なダーウィン的な実験を行っているスカンジナビアの混迷した共和国という新しい彼らの概念とで融和させようと神経質になっているのを見ていると大変興味深い。
ああ、主流メディア(MSM)は、慣例的な知恵から逸れる国がハンガリー、またはフィリピン、あるいは何よりもロシアであったとしたらどれ程喜んだことであろうか。それが貧しくて、後方の中南米やアジアの国々、あるいは「文字通りのヒトラーのような」の強面の政治家が統治するところであったなら、中傷するのにどれほど簡単だったであろうか。しかし、彼らはそれほど幸運ではなかった。賢明で自由な発想のスウェーデンを、仲間からはずさなければならなくなった。
主流メディア(MSM)がどれだけ現実に目をつぶっていようとも、スウェーデンは世界で荒れ狂っているコロナの大流行に対して最も安全で責任ある対応を行っている。本当の実験者はロックダウンの福音伝道者である。彼らは人々の生命で戯れるものたちであり、その責任を受け入れる時がきたのである。
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