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コロナウイルス・ロックダウン:ドイツの弁護士、それへの反対行動で拘束される


<記事原文寺島先生推薦>
Coronavirus lockdown: German lawyer detained for opposition


UK コラム 2020年4月20日
イースタン・アプローチ社 アレックス・トムソン
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2020年5月23日




 ドイツ語圏の多くの著名な医師や弁護士が、政府の厳しい外出禁止措置の合憲性に疑問を呈している。この外出禁止措置は英語からの借用語でder Shutdownと言われるのが普通だ(ドイツ語にはこれに当たる言葉は皆無)。これらの措置に対する異議がベルリンの街頭で公然と唱えられ始めている。医学と法学分野での反体制派は数十人を数える。しかし、ドイツの医療弁護士であるベアテ・バーナー氏ほど例の「言論の自由」のために高い代償を払わされた人はいない。彼女はドイツ政府が取ったこの措置と政策に公然と異議を唱えたため精神科施設に収容された。

デモの権利なし

 ベアテ・バーナー氏は、ドイツ南部のバーデン=ヴュルテンベルク州で25年のキャリアを持ち、「職業を実践する権利の違法な侵害」の分野で連邦憲法裁判所(ドイツ最高裁判所)において3件の裁判で勝訴している。医療法に関する5冊の本を執筆しており、最近では、医療制度の腐敗に取り組むために2016年の連邦法の分析に取り組んでいる。

 2020年4月3日(金)、バーナー氏は、ドイツ政府のコロナウイルス対策について、「ドイツ国民の基本的権利の多くが過去に例を見ないほど侵害されており、違憲である」と非難するプレスリリースを発表した。この声明で彼女は、Covid-19に感染した場合に深刻な被害を受ける危険性があるのはごく一部の国民であり、彼らは「自分自身の健康は自分で守る」という大人の責任原則に基づく絞り込まれた措置によって、はるかに適切に保護される可能性があると主張している。

 彼女の言葉は続く:
 「特に、つい数日前に急きょ改正された「感染症対策法」では、こういった措置についての正当性は盛り込まれていない。高い死亡率というモデル・シナリオ(専門家たちがそれに対して実際批判的な意見を表明していることを考慮していない)に基づく長期的な外出・面会制限や、感染の危険性を証明できないまま企業や店舗を完全閉鎖させるのは、徹頭徹尾違法である。」

 連邦保健省がこれまでのところ、医療従事者や介護従事者への保護具の供給や、集団感染の実際の感染率を確認するのに十分なランダムテストを実施してこなかったことをバーナー氏は指摘した。さらに彼女はこのプレスリリースで、シャットダウンは「社会、経済、民主主義、そして何よりも人間の健康に壊滅的な結果をもたらすだろう」と予測し、連邦憲法裁判所に問題を提起する用意があると語った。というのは、シャットダウンは①いかなる措置も憲法に沿わなければならないという憲法原則への重大な違反になる、②国民の自由と健康を保障しなければならないという国の義務の放棄になる、からだ。

 バーナー氏はこのプレスリリースに続いて、4月7日に発表された19ページに及ぶ法的分析書『シャットダウンが憲法違反であり、ドイツの1940年代以降の歴史で最大のスキャンダルである理由』を発表した。同書の見出しは以下の通りである:

1. バーデン=ヴュルテンベルク州のコロナウイルス法案:
(根底にあるもの)
・市民に責任と要求が負わされている
・こういう法案を施行する権限が国にはない
・実質的にすべての基本的な権利と自由が抑圧されている
・すべてのコロナウイルス法案を直ちに無効にする必要がある

2. 「感染症予防法」はシャットダウンの法的根拠を形成していない:
・同法の趣旨と目的:届出義務のある病気と病原体の証拠

3. 疫病封じ込め措置:
・実際に病気を患っている人、またはその疑いがある人に限定された措置
・健康な人に部分的に適用される措置
・麻疹判決以降の行政法
・諸機関や企業の全面的な操業停止の違法性
・シャットダウンは、職業実践の憲法上の自由を著しく侵害するものである
4. 同法には、国民の健康は国民に責任があることをはっきりさせる意図がある。
・飛沫によるCovid-19の拡散
・首相の指導に従うこと。
・予防接種は市民すべての権利
・検疫隔離は、健康な人ではなく、症状のある人に対して実施することになっている

5. 地方自治体の「コロナウイルス法案」は、「基本法」に対する言語道断の違反:
・州政府は連邦政府の合法的な法案を無視
・シャットダウンは戦後ドイツ史の中で最大の法的スキャンダル
・州政府と警察による犯罪行為
・デモの禁止は、抵抗権の差し止め
・罰金と拘束は違法

 以上の実質的な内容を含んだ記述の後、バーナー氏は次の3つの短いアピールでこの文書を閉じた:

①現在の専制政治をただちに止めることを首相とすべての政府首脳へアピールする
②「イースターウィークの土曜日」(4月18日)15時からの全国デモを呼びかける
③すべての弁護士と裁判官が行う宣誓は、私たちが結束して「法の支配」を守るということだ

 バーナー氏を窮地に追い込んだのは、②「コロナウイルス被害妄想」(Coronoia)に反対するデモの呼びかけだった。全文はこうなっている:

市民のみなさん、
8,300万人の国民の皆さん!4月18日(土)午後3時にお集まりください。平和的なデモを行いましょう。


「コロノイア2020-(専制政治は)もうごめんです。今日立ち上がるのです!」
議会法第14条第1項に基づき、所轄官庁にデモの意思を事前通知してください。


サイトの削除

 翌日、ハイデルベルク警察は、ドイツ刑法第111条を根拠に、このアピールに対してバーナー氏を訴追する意向を表明した

「集会であろうと、文章を広めようと、公然と違法行為を助長した者は、扇動罪で訴追される。」

バーナー氏に送られた警察の通知書は、「4月15日、刑事容疑者として事情聴取に出頭すること」となっていた:

「私はあなたと個人的に連絡を取ることができませんでしたので、私はこの手紙によってあなたが公に呼びかけている犯罪行為(禁止を無視した4月18日の午後3時に開催予定の全国集会)のために、あなたのウェブサイトは直ちに削除されますことをお知らせします。

 同趣旨の命令文は御社1&1Telekommunikation Se社にも送られています。」


 バーナー氏のサイトは手続き通り4月9日同日には削除されたが、翌日には解除された。

憲法裁判所は申し立てを却下

 一方、事前に告知していた通り、バーナー氏は4月8日、ドイツ連邦16州すべてのコロナウイルス対策の違法性について、36ページに及ぶ緊急申し立て書をドイツ憲法裁判所に提出していた。聖金曜日(4月10日)の終業時刻に、憲法裁判所は、彼女の申立を下級行政法の問題として認められないと判断し、聴聞はしない旨のファックスを送ってきた。

精神科施設への暴力的収容

 4月13日、バーナー氏が彼女の妹に宛てた12分半のボイスメールがインターネット上にアップされた。このボイスメールでバーナー氏は前日夕方に彼女の家に野蛮極まりない警察の立ち入りがあったことを穏やかな口調で語っている。録音された声は、以前に録画されたバーナー氏のビデオの声と一致している(皮肉なことに、ここで彼女は看護負担法について説明している)。このボイスメールで、バーナーが詳しく語っていること:

 「車庫に入ってみると、一台の車が不審そうに私の後を追っていたことに気付きました。10分ほど車の前に立っていた後、何かがおかしいと感じ、車庫から走り出ました。馬鹿だったと思いますが、秘書がヴォス通りに車を取りに行ったきり戻ってこなかったので、家の中には入らなかったのです。・・・通りすがりの車に警察を呼んでもらうように頼みました。5分間警察の応答は全くありませんでした。そして、警察を呼んだのは大きな間違いだったと気づきました。何故なら、現在の私は国家の敵ナンバー・ワンだからです。」

 「警察がやっと到着した時、私は恐怖を感じていると伝えました。警察は手錠を取り出し、強烈な力で私を地面に押し倒しました。手錠を後ろ手にかけられたまま10分ほど車の中に座らされ、角を曲がったところにある精神科クリニックに連れて行かれました。そこには警察官が4人、看護師が3人、医者が1人いました。ただし医者が到着したのは10分後です。」

「座らせてくださいとお願いすると、ベンチに案内されました。そして、警察に保護を要請したのは実は私だったのだから、手錠を外して欲しいと頼みました。しかし、手錠を外すどころか、私は再び床に投げつけられ、頭を1メートル(3フィート)の高さから石の床に激しくぶつけることになりました。それでも誰一人動こうとはしません。その後、警察は私にマスクが必要かどうかを聞きました。もちろん、断りました。」

「動くのを拒否したため、私は無理矢理医師のところまで連れて行かれました。医師は「なぜ恐怖心を持ったのか」を尋ねました。私が誰であるかは、その場にいた人間全員完全に知っているのに、です。弁護士はつけられない、と言われました。」


 彼女はボイスメールの中で、彼女が連れて行かれた精神科施設についてよく知らないと述べている。とは言え、彼女は地元の弁護士であり、過去にその施設の利用者のクライアントをどうしても訪問しなければならないことはあっただろうと思われる。

「その後、私は警備の厳重な、どこかグアンタナモ刑務所と言ってもいいような精神科クリニックで、床に横たわって一晩を過ごすことを余儀なくされました。そこがどこかは分かりませんでした。トイレも流し台もありませんでしたが、水は飲めましたし、ベルを鳴らすこともできました。しかし、私がベルを三回鳴らしても何の応答もありませんでした。」

 さらに10分間、バーナー氏はどのようにして隔離された独房の床から、優秀な看護師のいる適切な家具付きの部屋に「アップグレード」されたかの説明した後、彼女は次の様な見解を述べて彼女の妹へのボイスメールを終了する。

「私はここに拘束されてもう20時間になります。もし人々が結局目を覚ますことがなければ、今回のことはこれまでで最悪の恐怖のレジームになるでしょう・・・私たちは、悪の、悪の、悪の、悪の勢力に支配されています。昨夜、私は殺されるのか、強制的に注射されるのかと思って恐怖で体が石の様に固まってしまいました。消されるかしれないという恐怖を持っています・・・逮捕された時に携帯電話を持っていなかったので、誰とも連絡を取ることができませんでした・・・私は、刑法第111条「犯罪行為の扇動」に違反しているとされているので、4月15日(水)に出頭せよとの召喚状を持っています。私はデモをするように人々に呼びかけました! 言論の自由はドイツで最も基本的な憲法上の権利です。それが3ヶ月の間に犯罪行為になってしまいました。」

 バーナー氏がハイデルベルクのヴォス通りにある大学病院のアルゲマイネ精神医学クリニックにいることが4月14日(火)、ジャーナリストのハーゲン・グレル氏からの電話で確認された。同クリニックは、この事件についての公式声明を発表したと彼に語ったが、彼がバーナー氏と話すことは許可できないと言った。しかし、彼女の携帯電話番号を入手できれば、ハーゲン・グレル氏は直接彼女に電話をかけることができるだろうと示唆した。

 この拘束については、ハイデルベルクの地元メディア地域メディア、全国のニュースソースでも報道されている。バーナー氏の「犯罪行為の扇動」の取り調べは、4月15日(水)午後1時から、レーマー通りにあるK6ハイデルベルク刑事警察署で行われると報じられている

 4月14日(火)、弁護士W.シュミッツ氏はドイツ連邦弁護士会に、同弁護士会はこの事案を取り上げるべきだとの書簡を送った。「精神治療令」では、「バーナー氏が混乱しているように見えた」との「一警察官の認知」とされるものを根拠に彼女を施設に収容することは正当化されないという一点だけとってもこの事案の取り上げは必要だ、との内容だった。彼はさらに言葉を続けた:

「付け加える必要もありませんが、バーナー氏が大変重大な虐待を受けたと主張されていることはドイツ史上過去に例を見ない暗黒の章となるでは、というとても不吉な意味合いを暗示しています。彼女がひどい虐待を受けたと主張されたという事実が、貴弁護士会にこの書簡を送るきっかけになりました。」

「バーナー氏は、全国的なロックダウンを批判する50人以上の有名な専門家のグループに名前を連ねています。その方々の名前のリストは喜んでご提供いたします。」

「政府の施策に批判的な弁護士が、国家の法的装置や精神医学を使って威圧され、職業的にも社会的にも破滅させられる可能がある、もし本当にそうだとしたら、この国は「終了5分前」ということになります。」


 ソ連の古い手法である、内部告発者の精神科施設への監禁については、
①以前、ランカシャーのUKコラムで報告されたもの(過去に最もよく視聴されたビデオで、ソーシャルワーカーのキャロル・ウッズへのインタビュー。最近身柄は解放されたが、私たちの理解では、施設側からの迫害の脅威は今でも続いている)
②ノース・ヨークシャーからの報告(ホーフシュレーアの事例。その範囲はドイツとオーストリアにまで及ぶ)
③ノッティンガムシャーからの報告(メラニー・ショーの事例。現在は別の施設できちんとした介護を受けている)
④コーンウォールからの報告(エマの事例。彼女は小学校で自分の子どもへの明らかな「セクシャル・グルーミング」(訳注:下心を隠して相手を信頼させ、いかがわしい行為をしようとすること_英辞郎)が止まらないと報告した)
などがある。



 続報: 4月15日(水)のhttps://staatsanwaltschaft-heidelberg.justiz-bw.de/pb/,Lde/6221458/?LISTPAGE=1222784に掲載された声明によると、バーナー氏は前夜に精神科施設から釈放されたとのことだ。4月15日の昼下がり、数十人の抗議者がハイデルベルク刑事警察の建物の前に集まった。バーナー氏はその建物の中で「犯罪行為への扇動」の疑いで事情聴取を受けたばかりであった。バーナー氏は、集まった群衆に、どうやら後日さらなる事情聴取がありそうだと話した。

 バーナー氏の声明の最後:
「ベアテ・バーナーは、弁護士の代理を必要としていません。なぜなら、事実上全ての法曹界と司法制度が、この2週間で完全にその機能を失ったからです。その結果、「法の支配」の廃棄と、世界がこれまでに見たこともないようなゾッとするほど恐ろしい不正の体制を、あっという間に構築してしまいました。」

 4月14日に発表されたハイデルベルク検察官の声明は、バーナー氏に関する2回目の報道声明であり、刑事警察と国家安全保障局による彼女の起訴は継続されていると発表し、彼女に対する刑事手続きは「被告人の精神医学的犯行や法執行機関によるその他の強制力の行使」とは何の関係もないと主張している。

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