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テロに対する戦いは軍事的手段では勝てない

<記事原文 寺島先生推薦>
The struggle against terrorism cannot be won by military means
G8は、このような残虐行為の根底にあるより広範な問題に取り組む機会をとらえなければならない。
筆者:ロビン・クック(Robin Cook)
出典:The Guardian   2005年7月8日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年4月14日


昨日、ロンドンでの爆弾テロを審理するために下院本会議が開かれたのだが、その会議がこれほど満席でこれほど静まり返ったのを私はほとんど見たことがない。いつもは粗野で騒々しい議場が、厳粛で重々しい雰囲気に包まれていた。普段は党派的な感情が渦巻く議場が、ショックと悲しみでひとつになった。イアン・ペイズリー*でさえ、それはジャーナリストが愛する人の死を知らされる前に親族にコメントを求めたときのことだったが、北アイルランドで起きた犯罪を繰り返さないよう報道陣に人道的な訴えをしたほどだ。
イアン・ペイズリー*・・・イギリスの牧師、政治家。元北アイルランド自治政府首相、民主連合党創設者、アルスター自由長老派教会創始者。北アイルランドのプロテスタントおよびユニオニストの中心人物の一人だった。男性。(ウィキペディア)

このような人間的悲劇に対する最初の反応は、負傷者の痛みと遺族の悲しみへの共感でなければならない。このような残虐行為に接すると私たちは為す術を知らない。伴侶や子供、両親の予期せぬ失踪が、自然死以上に耐え難いものであることを知っているからだ。突然のことであるため、別れを惜しむことも、打撃に備えることもできない。今日、ロンドンのあちこちで、最後の愛情の言葉をかけたり聞いたりする機会がなかったために、より深刻な痛みを感じている親族がいる。

それは恣意的であり、したがって一瞬の決定の偶然によって変わる出来事だ。今朝、自分の伴侶が次のバスに乗っていたら、または早めの地下鉄に乗っていたら、事態はまったく違っていただろうと考えた人は何人いるだろうか。

しかし、なぜそのようなことが起こったのかという問いに答えることは非常に困難である。だから、おそらくその喪失は最も耐え難いものだろう。今週末、私たちは先の大戦で英国を守った世代の英雄主義に敬意を表する。記念式典に先立ち、ファシズムを打ち負かすために危険を冒し、時には命を落とした人々の勇気について、多くの物語が語られてきた。それらは、人間の精神がどのようなものであるかを示す、感動的で謙虚な例であるが、少なくとも当時亡くなった男女の親族は、自分たちが何のために戦ったのかを知っていた。しかし、昨日の無意味な殺人に何の目的があるのか。このような無意味な殺戮から利益を得るような大義があると、いったい誰が想像できるだろうか?

この記事を書いている時点で、攻撃を開始した理由を説明するグループは現れていない。これから数日の間に、私たちはウェブサイトやこの途方もないことを正当化しようとするビデオメッセージを提供されるかもしれないが、そのような恣意的な殺戮の合理的な根拠を提供できる言語などは一切ない。そんなものが提供されても、その説明は、理性ではなく、その脅迫的な原理主義が何たるかを共有していない被害者への同情の余地を残さない犯人たちの宣言に頼るしかなくなってしまうだろう。

昨日、首相は爆破事件を、社会的価値観への攻撃と表現した。私たちの価値観の中には寛容さや異なる文化や民族背景を持つ人々に対する相互尊重も含まれる。前日には、ロンドンがオリンピック招致に成功し、我々の多文化主義の実績を世界に示すことを祝福していた。昨日の爆弾を仕掛けた人間にとって、この惨劇が私たちの社会の少数派に対する疑念や敵意を育むことほど嬉しいことはないだろう。テロリストを打倒することは、異なる信条や民族的出自を持つ人々が共存できないという有害な信念を打倒することでもあるのだ。

誰も昨日の犯罪を自分がやったと認めないまま、私たちはイスラム過激派の脅威を分析する記事に次から次へとさらされることになるだろう。皮肉なことに、それらの記事はスレブレニツァでの大虐殺から10周年を迎える同じ週に掲載されることになる。ヨーロッパの強国は、前世代のヨーロッパで最悪のテロ行為となった8000人のイスラム教徒全滅を防げなかったのだ。

オサマ・ビン・ラディンは、セルビア軍を指揮したミラドチ将軍がキリスト教の代表ではないのと同様に、イスラムの真の代表ではない。なぜなら、コーランには、私たちは互いを軽蔑するためではなく、お互いを理解するために異なる民族として創造された、と書かれているからだ。

しかし、ビン・ラディンは西側の安全保障機関による重大な誤算の産物だった。彼は80年代を通じてCIAから武器を供与され、サウジアラビアから資金援助を受けて、ロシアのアフガニスタン占領に対する聖戦を展開した。アルカイダとは、文字どおり "データベース "であり、もともとは、ロシア軍を打ち負かすためにCIAの助けを借りて募集され、訓練された何千人ものムジャヒディンのコンピューターファイルであった。不可解なことに、そして悲惨な結果を招いたが、ロシアが手を引けば、ビン・ラディンの組織が西側に目を向けるとは、ワシントンには思いもよらなかったようだ。

今、危険なのは、テロリストの脅威に対する西側の現在の対応が、当初の誤りをさらに悪化させていることだ。テロとの闘いが軍事的手段で勝てる戦争と考えられている限り、それは失敗する運命にある。西側諸国が対立を強調すればするほど、イスラム世界の穏健派の声を封じ込めることになる。成功は、テロリストを孤立させ、彼らの支援、資金、勧誘を拒否することによってのみもたらされる。つまり私たちを分断するものよりも、イスラム世界との共通点に焦点を当てることなのだ。

主要国にイスラム諸国が含まれていないため、G 8サミットはイスラム諸国との対話を開始するための最良の場となっていない。また、グレンイーグルズ・ホテル(G8の会場)にも招待されている中国、ブラジル、インドなどのえり抜きの新興経済国の周辺にも位置付けられていない。我々は、グローバル・ガバナンスの構造の中にイスラム諸国を包摂するための一層の努力をしなければ、イスラム諸国の間の疎外感に対処することにはならないだろう。

しかし、G8は今日の共同声明で、最新のテロ攻撃に力強く対応する機会をきちんと手にしている。それには、昨日の犯罪の責任を負う者を追跡するという共同の決意を述べることが含まれる必要がある。しかし、(そのためには)テロの根源的な問題に取り組む機会を逸してはならない。

特に、G8サミットが貧困撲滅を焦点にしているのに、昨日の爆破事件が今それを曖昧にすることは不適切である。テロの温床は貧困の裏通りにあり、原理主義は希望や経済的機会がないと感じる若者たちに、偽りの、簡単な誇りや自己証明を提供する。西側の安全保障にとっては、テロとの戦争よりも世界の貧困との戦いの方がより効果的かもしれない。

そして、プライバシーの守られた広々としたスイートルームで、昨日の残虐行為は、その場に居合わせた何人かの人々に心の内省を促すものになるだろう。ブッシュ大統領は、イラク侵攻を正当化するために、海外でテロと戦うことによって、西側諸国が国内でテロリストと戦わなくてすむようにするという理由をつけている。今日、イラク戦争を擁護するために他にどのようなことが言えるにせよ、イラク戦争が自国内のテロからわれわれを守ったとは言えない。
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