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ドミトリー・トレニン: ロシアは目に見えない新たな革命を遂げつつある

<記事原文 寺島先生推薦>
Dmitry Trenin: Russia is undergoing a new, invisible revolution
ドミトリー・トレニン(高等経済学校研究教授、世界経済・国際関係研究所主任研究員)著。ロシア国際問題評議会(RIAC)のメンバーでもある。
米国主導連合は、ロシアが自国と世界における自らの位置について新たな認識を持つよう後押しした。
出典:RT 2024年4月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年4月9日


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ファイル写真: ロシア・モスクワのクレムリン大宮殿で、選挙運動員との会合で演説するプーチン大統領。© Grigory Sysoev / Sputnik

ウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月にウクライナでロシアの軍事作戦を開始したとき、彼は特定の、しかし限定的な目的を念頭に置いていた。それは本質的に、NATOに対するロシアの安全保障を保証することだった。

しかし、ロシアとウクライナの和平合意への破壊攻撃や、ロシア国内で重大な攻撃を仕掛けたりする米国主導連合の紛争への関与の激化など、ロシアの動きに対する劇的で拡大的なよく連携のとれた西側の反応は、我々のかつての友人に対する我が国の態度を根本的に変えることになった。

もはや「怒り」や「理解不能」に対する不満は聞かれなくなった。この2年間で、モスクワの外交政策は、ウクライナ介入前夜に予想されたものよりも過激で広範囲に及ぶ革命となった。この25ヶ月の間に、それは急速に強さと深みを増してきた。ロシアの国際的役割、世界における地位、目標とその達成方法、基本的な世界観、すべてが変わりつつある。

プーチン大統領が1年前に署名した国家外交構想は、これまでのものとは大きく異なる。それは、独自の文明であるという点で、この国ロシアの独自性を揺るぎないものにしている。実際、ロシアの公式文書でそんなことをするのは初めてだ。ロシア外交の優先順位も大きく変わり、ソ連崩壊後の 「近隣諸国」 がトップで、中国とインド、アジアと中東、アフリカとラテンアメリカがそれに続く。

西ヨーロッパとアメリカは、南極のすぐ上に位置する。

ロシアの 「東方転換」 が最初に発表された過去10年間とは異なり、今回は単なる言葉ではない。政治的な対話者だけでなく、貿易の相手国も入れ替わった。わずか2年で、外国貿易の48%を占めた欧州連合 (EU) は20%に減少し、アジアの占有率は26%から71%に急増した。ロシアの米ドルの使用も急落しており、中国人民元やインドルピー、UAEディルハム、ユーラシア経済連合の友好国の通貨、ルーブルなどの非西側通貨での取引がますます増えている。

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関連記事:ドミトリー・トレニン:ロシアは西側諸国に核兵器を思い出させる時だ

ロシアはまた、米国主導の世界秩序に適応するための長く退屈な努力に終止符を打った。1990年代初頭に熱狂的に受け入れ、その後の10年間で幻滅し、2010年代には共存の道を確立しようとして失敗したものだ。ロシアは冷戦後、何も言えなくなった体制に降伏する代わりに、覇権主義的な米国中心の体制にますます反発し始めた。ボリシェヴィキ革命以来、初めて、当時とはまったく異なる方法とはいえ、ロシアは事実上、革命大国となった。中国が依然として既存の世界秩序における地位を向上させようとしているのに対して、ロシアはその世界秩序を修復不可能なものと見ており、代わりに新たな代替的取り決めの準備をしようとしている。

ソ連が1986年にゴルバチョフ政権下で受け入れた 「一つの世界」 構想の代わりに、現在のロシアの外交政策は二つに分かれている。ロシアの政策立案者にとって、2022年以降の西側諸国は 「敵対者の家」 に変わった。一方、ロシアの友人は非西側諸国にしか存在しない。我々は非西側諸国のために 「世界多数派」 という新しい表現を作った。このグループに含まれる基準は単純で、米国とブリュッセル(NATO)が課した反ロシア制裁体制に参加しないことだ。100以上の国からなるこの多数派は、同盟国の烏合の衆とは考えられていない。ロシアとの関係の深さと暖かさは大きく異なるが、これらはモスクワとビジネスができる国々だ。

何十年もの間、わが国はさまざまな国際機関に際立った支援を与えてきた。今やモスクワは、安全保障理事会を含む国連(拒否権を持つ常任理事国であるロシアは、国連のことを伝統的に世界システムの中心的存在と称賛してきた)でさえ、機能不全に陥った論争の場に成り下がっていることを認めざるを得ない。欧州安全保障協力機構(OSCE)は、モスクワが長い間、欧州における主要な安全保障機関となることを望んでいたが、NATO/EUの多数派である加盟国の反ロシア的な姿勢により、現在ではほぼ完全に打ち捨てられた状態だ。モスクワは欧州評議会を脱退し、さらに北極海、バルト海、バレンツ海、黒海周辺の多くの地域グループへの参加は保留されている。

確かに、その多くは西側諸国がわが国を孤立させようとする政策の結果であったが、ロシア人は価値あるものを奪われたと感じるどころか、脱退や加盟停止を余儀なくされたことをほとんど後悔していない。国際条約に対する国内法の優位性を再確立したことで、モスクワは今や、敵対国が自国の政策や行動について何を言おうが何をしようが、ほとんど気にしていない。ロシアの立場からすれば、西側諸国はもはや信用できないだけでなく、西側諸国が支配する国際機関はすべての正当性を失っているからだ。

ロシアからの欧米主導の国際機関に対するこうした態度は、非欧米主導の国際機関に対する見方とは対照的である。今年、ロシアは最近拡大されたBRICSグループの議長国として、開催準備に精力的に取り組んでいる。ロシアはまた、盟友ベラルーシが参加しようとしている上海協力機構を最も強く支持している。アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカの国々とともに、金融・貿易、基準・技術、情報、医療といった多くの分野で新しい国際体制を構築するために緊密に取り組んでいる。これらは、欧米の支配や干渉を受けないように制度設計されている。成功すれば、モスクワが推進する未来の包括的な世界秩序の要素としての役割を果たすことができる。

このように、ロシアの外交政策の変化は非常に深いところで進行している。しかし、どの程度持続可能なのかという問題はある。

とりわけ、外交政策の変化は、ロシアの経済、政治、社会、文化、価値観、精神的・知的生活において進行している、より広範な変革の重要な要素ではあるが、比較的小さな要素でもあることに留意すべきである。こうした変化の一般的な方向性と重要性は明らかだ。これらの変化は、ロシアを西欧世界の片隅にある遠い存在から、自給自足的で先駆的な存在へと変貌させようとしている。こうした地殻変動は、ウクライナ危機なしにはあり得なかっただろう。強力で痛みを伴う負担が与えられた結果、ロシアは自前の活力を手にすることができたのだ。

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関連記事:ゼレンスキーの新たな妄想:なぜこのウクライナの指導者はロシアの複数の地域の領有権を主張することにしたのか?

2022年2月自体が、約十年間勢いを増してきたいくつかの傾向の最終結果であったことは事実だ。2012年のプーチンのクレムリンへの復帰と2014年のクリミア再統一を経て、ようやく完全な主権が望ましいという感情が支配的になった。2020年に承認されたロシア憲法の改正という形で、国家の価値観とイデオロギーに関するいくつかの真に根本的な変更がなされた。

2024年3月、プーチンは大統領選挙で大勝し、新たな6年間の任期を確保した。これは、西側に対する実存的闘争 (プーチン自身がそう表現している) の最高司令官としての彼への信任投票と見るべきである。その支援があれば、大統領はさらに深い変更を進めることができる。そして、大統領がすでに行なった変更を、クレムリンの後継者によって確実に保存し、構築しなければならない。

1990年代以降、西側諸国と密接に結びついてきたロシアのエリートたちは、最近、自分の国と自分の資産の間で厳しい選択を迫られた。残留を決めた人々は、その見通しと行動において、より「愛国的」にならざるを得なかった。一方、プーチンはウクライナ戦争の帰還兵を中心に新たなエリートを形成する運動を開始した。ロシアのエリートたちの入れ替わりが予想され、利己的な個人からなる国際的な集団から、国家とその指導者に仕える特権階級の、より伝統的な同胞集団へと変貌を遂げることで、外交政策革命は完全なものとなるだろう。

最後に、過去20年間の西側の政策、すなわちロシアとその指導者を絶えず悪魔化することがなかったら、ロシアは主権の方向へこれほど早く動き出すことはできなかったかもしれない。こうした選択は、プーチン自身やドミトリー・メドベージェフをはじめとする、現代ロシアが経験した中でおそらく当初は最も西欧化し、親欧州的だった指導者たちを、反欧米を自認し、米国・EU政策の断固とした反対者に仕立て上げることに成功した。

このように、ロシアは西側の型に合わせて変化を強いられたのではなく、そういった圧力すべてがかえってロシア自己再発見の助けとなったのだ。
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