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アフリカにおけるサヘル諸国連合という「抵抗軸」

<記事原文 寺島メソッド翻訳グループ>
The Sahel’s ‘Axis of Resistance’
筆者:ペペ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典:INTERNATIONALIST 360°2024年4月1日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年4月9日


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アフリカのサヘル諸国は西側の新植民地主義に反旗を翻している。外国の軍隊や基地を追い出し、代替通貨を考案し、旧来の多国籍企業に挑戦している。結局のところ、多極化は抵抗がその道を切り開くことなしには開花しないのだ。


さまざまな地理における抵抗軸の出現は、私たちを多極化世界へと導く長く曲がりくねったプロセスの、切っても切れない副産物である。覇権国(アメリカ)への抵抗と多極化の出現、この2つは絶対に相補的なものである。

アラブ諸国とイスラム諸国にまたがる西アジアの抵抗軸は、セネガルやマリ、ブルキナファソ、ニジェールからチャド、スーダン、そしてエリトリアに至るアフリカの西から東のサヘルにまたがる抵抗軸を魂の姉妹とみなしている。

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アフリカ・サヘル諸国

新植民地主義に対する政権交代が軍事クーデターと結びついたニジェールとは異なり、セネガルでは政権交代は投票によって直接もたらされる。

セネガルは3月24日の総選挙でバシル・ジョマイ・ファイ (44) が圧勝し、新時代に突入した。2週間の刑期を終えたばかりの元税務調査官のファイは、フランスの傀儡である現職のマッキー・サルの下で 「アフリカで最も安定した民主主義」をひっくり返すために、劣勢な汎アフリカの指導者という人物像で登場した。

セネガルの次期大統領(バシル・ジョマイ・ファイ)は、ブルキナファソのイブラヒム・トラオレ(36歳)、エチオピアのアビー・アーメド(46歳)、マダガスカルのアンドリー・ラジョエリナ(48歳)、そして南アフリカの未来のスーパースター、ジュリアス・マレマ(44歳)とともに、主権を重視する新しい若い汎アフリカ世代の一員となった。ファイは選挙マニフェストの中で、セネガルの主権を取り戻すことを18回以上公約した。

こうした布陣の鍵を握るのが地質経済学だ。セネガルが実質的な石油・ガス産出国になるにつれ、ファイは、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)や英国の金鉱運営会社エンデバー・マイニングとの最大の契約を含む、鉱業・エネルギー契約の再交渉を目指すだろう。

重要なのは、彼がフランスの支配下にある通貨システムであるCFAフラン(14のアフリカ諸国で使われている)をやめるつもりであり、さらに、新しい通貨を創設することすら考えている点である。これは、新植民地主義的な強国であるフランスとの関係を再構築する一環だ。ファイは、習近平同志に倣い、「ウィンウィン」の友好関係を望んでいる。

サヘル諸国連合の参入

ファイは、フランス軍をセネガルから追い出すつもりがあるかどうかについては、まだ明らかにしていない。もしそうなれば、パリへの打撃は前例のないものとなるだろう。四面楚歌の小皇帝エマニュエル・マクロンとフランスの支配層は、内陸のニジェール、マリ、ブルキナファソを封鎖する上でセネガルが重要な役割を果たすと考えている。これらの国々はすでにパリを(サヘルの)塵の中に置き去りにしている。

サヘル諸国連合(Alliance des Etats du Sahelの頭文字からAES)を結成したばかりの後者の3カ国(ニジェール、マリ、ブルキナファソ)は、連続的な屈辱を味わったパリにとっての悪夢であるだけでなく、ワシントンとナイジェリアの首都ニアメとの軍事協力の壮絶な断絶に象徴されるように、アメリカの頭痛の種でもある。

アメリカのディープ・ステート(闇の国家)によれば、犯人はもちろんロシアのプーチン大統領である。

アメリカ政界の誰ひとり、昨年以来、サヘル地域からエジプトやエチオピアなどの新興アフリカBRICSメンバーまで含め、ロシアとアフリカが活発な外交を展開していたことに十分な注意を払ってきていないのは明白だ。

ニジェールをサヘル地域の強力な同盟国とみなしていたのは昔の話。米政府は現在、軍事協力協定が破棄された後、ニジェールから米軍を撤退させるカレンダーの日付を提示せざるを得なくなっている。国防総省はもはやニジェール領内での軍事訓練に関与できない。

国防総省が1億5000万ドル以上を投じて建設した、アガデスとニアメという2つの重要な基地がある。ニアメは2019年に完成したばかりで、米軍のアフリカ司令部(AFRICOM)が管理している。

作戦目的は、予想どおり謎に包まれている。ニアメの基地は基本的に情報センターであり、MQ-9リーパー無人偵察機が収集したデータを処理している。米空軍もディルクー飛行場をサヘルでの作戦基地として使用している。

そこで話は俄然面白くなってくる。ディルクー飛行場に実質的なCIAのドローン基地が存在し、数名の作戦要員が常駐しているなどということを(アメリカは)認めてすらいないのだから。この秘密基地は、中央アフリカ全域西から北まで、情報収集ができる。元CIA長官マイク・ポンペオの「嘘をつき、だまし取り、盗みを働く」のもうひとつの典型的な例だ。

ニジェールにはおよそ1,000人の米軍が駐留している。アメリカは出血を止めようとあらゆる手を尽くしている。今月、モリー・フィー米国務次官(アフリカ担当)がニジェールを2度訪れたばかりだ。ニジェールの基地を失うことは、ワシントンがパリに続いてサヘルの支配権を失うことを意味する。ニジェールはロシアとイランにますます接近しているのだ。

これらの基地は、バブ・アル・マンデブ上空を監視するためになくてはならないものというわけではない。この基地の存在価値は、サヘルのすべてが対象であり、無人偵察機をそのやれるところまで活用し、あらゆる主権領空を侵害することにあるからだ。

ちなみに、1月にはニアメからの大規模な代表団がモスクワを訪問した。そして先週、プーチン大統領はマリのアシミ・ゴイタ暫定大統領、ニジェールのアブドゥラマン・チアーニ軍事政権大統領との電話会談で安全保障協力について話し合った後、コンゴ共和国のデニス・グェッソ大統領と会談した。

コートジボワール(象牙海岸):帝国の折り返し地点

親欧米の傀儡政権はアフリカ大陸全域で急速に減少している。サヘル諸国連合(マリ、ブルキナファソ、ニジェール)はアフリカの抵抗軸の前衛かもしれないが、それ以外にもBRICSの正式メンバーである南アフリカ、エチオピア、エジプトがいる。

ロシアは外交的に、中国は商業的に、さらにはロシアと中国の戦略的パートナーシップの全重量をかけて、アフリカ全体を大事な多極的プレーヤーと見ている。先月モスクワで開催された多極的会議でも、再度追加の証拠が出てきた。この会議でカリスマ的な汎アフリカの指導者であるベナン出身のケミ・セバがスーパースターの一人となったのだ。

汎ユーラシアの外交界では、パリの小皇帝(マクロン)の最近のヒステリックな行動について冗談を言うことがまかり通っている。フランスがサヘル地域で受けた決定的な屈辱が、フランス軍隊をウクライナに送る(記録的な速さでロシアによってタルタル・ステーキにされるだろう)というマクロンの大見えを切った脅しと、アルメニアで現在進行しているロシア嫌悪的愚挙をマクロンが熱心に支持していることにつながっているのだろう。

歴史的に、アフリカ人はかつてのソビエト連邦は天然資源を吸い上げる際はるかに柔軟であり、支援的であるとさえ考えていた。その善意は現在、中国に受け継がれている。

地域統合の舞台として、サヘル諸国連合はゲームチェンジャーになるために必要なすべてを備えている。ファイの率いるセネガルがいずれ加盟するだろう。が、ギニアは同盟に信頼できる海上アクセスを提供する地理的能力をすでに備えているのだ。そうなれば、西側諸国が支配し、ナイジェリアを拠点とするECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は徐々に消滅していくだろう。

ただ、覇権国(アメリカ)の強大な触手を決して無視してはならない。ペンタゴンの主計画に、アフリカをロシア・中国・イランという多極圏に委ねることは入っていない。サヘル地域の抵抗軸において、もはや誰も米国の「テロ脅威」カードを信じていない。2011年までアフリカには実質的にテロはなかった。この年にNATOはリビアを荒廃させ、その後アフリカ全土に軍隊を送り込み、軍事基地を建設したのだ。

これまでのところ、サヘル諸国同盟は主権優先の情報戦争に勝利している。しかし、帝国(アメリカ)が反撃するのは間違いない。結局のところ、すべてのゲームは、ロシアがサヘルと中央アフリカを支配するというアメリカ政界の突拍子もない妄想に結びついているからだ。

コートジボワール(象牙海岸)の参入。セネガルがサヘル諸国連合に歩み寄ろうとしているからだ。

コートジボワールは、例えばチャドよりもワシントンにとって戦略的に重要である。なぜなら、コートジボワールの領土はサヘル同盟に非常に近いからだ。それでも、チャドはすでに外交政策を再調整しており、もはや西側の支配下にはなく、モスクワに近づくことに新たな重点を置いている。

帝国(アメリカ)の前途は? サヘル同盟を牽制するために、コートジボワールのフランス軍基地でパリと共有する米国の「対テロ」無人偵察機ということになるのかもしれない。西アフリカで干からびたクロワッサンのパン屑すら受け取れない覇権国(アメリカ)を抱いている卑屈な「ガリアの雄鶏」(フランスのシンボル)とでも言っておこう。
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