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SMO(特別軍事作戦)開始から2年。西側は完全にまひ状態

<記事原文 寺島先生推薦>
Two Years After the Start of the SMO, the West is Totally Paralyzed
筆者:ぺぺ・エスコバル(Pepe Escobar)
出典:ストラテジック・カルチャー(Strategic Culture) 2024年2月24日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年2月27日


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ちょうど2年前の土曜日、2022年2月24日、ウラジーミル・プーチンはウクライナにおける特別軍事作戦(SMO)の開始を発表し、その目的を説明した。それは、その3日前の2月21日、つまりキエフでのマイダン2014からちょうど8年後、プーチンが共和国を宣言したドネツクとルガンスクを公式に承認したときに起こったことからの必然的な流れだった。

このわずか3日間という短い期間に、ロシア軍が軍事介入し、3週間にわたって前線全域で続いていた大規模な爆撃と砲撃を終わらせるだろうと誰もが期待していた。ロシアの諜報機関は、NATOに支援されたキエフ軍がロシア語圏のドンバスの民族浄化を実行する準備ができているという決定的な証拠を持っていた。

2022年2月24日は、21世紀の地政学をいくつかの複雑な方法で永遠に変えた日だった。とりわけ、ウクライナを戦場とする「カオスと嘘と略奪の米帝国」と、それに簡単になびくNATOの家臣たち、そしてロシアとの間で、ロシア人が言うところの「軍事技術的」な、凶悪で全面的な対決が始まったのである。その戦場がウクライナだった。

プーチンが、この運命の3日間の前にも、そしてその最中にも、自らの決断が西側諸国の怒りを爆発させ、制裁の津波を巻き起こすことを計算に入れていたことは疑いようがない。

そう、そこが問題なのだ。国家主権の問題なのだ。真の主権国家は、永続的な脅威の下では生きていけない。プーチンはロシアが死ぬまで制裁を受けることを望んでいた可能性さえある(斜字は筆者)。結局のところ、外国からの深刻な邪魔がなければ、ロシアは天然資源に富むので、容易に生産できるものは輸入し、(天然資源から得られる)利益で生活したいという誘惑は非常に大きい。

例外主義者たちはいつも、ロシアは「核兵器を持つガソリンスタンド」だとほくそ笑んでいる。それは馬鹿げている。ロシアでは、石油とガスはGDPのおよそ15%、政府予算の30%、輸出の45%を占めている。石油とガスはロシア経済に力を与えるものであり、足を引っ張るものではない。プーチンはロシアの自己満足を揺さぶることで、自国で必要なガスはすべて自国で生産することを可能にし、比類のない核兵器と極超音速兵器を完備した。どうだ!


ウクライナが「今ほど国家としての体裁を失ったことはない」

グザヴィエ・モローはロシア在住24年のフランス人政治戦略分析家。名門サン=シール陸軍士官学校を卒業し、ソルボンヌ大学で学位を取得した。現在、フランス語版RTで2つの番組の司会をしている。

最新刊『Ukraine:Pourquoi La Russie a Gagné(ウクライナ:ロシアはなぜ勝ったのか?』は、NATO属国圏で、総合的な軍事経験がゼロに等しい即席の「専門家」たちによってでっち上げられた幼稚な空想ではなく、戦争の現実を伝えるヨーロッパの読者にとって不可欠な指南書である。

モローは、公平で現実主義的な分析家なら誰もが当初から気づいていたこと、つまり、終盤戦の条件となるロシアの決定的な軍事的優位をはっきりと示している。問題は、この終盤戦―モスクワが打ち出したウクライナの「非軍事化」と「非ナチ化」―がどのように達成されるかである。

すでに明らかなことは、ウクライナとNATOの「非軍事化」は、F-16のような新しい驚異的な兵器では変えることができない大成功を収めているということだ。

モローは、マイダンから10年近く経ったウクライナがいかに国家でないかを完璧に理解している。ウクライナは、あらゆるものが分離している、人口がごちゃ混ぜになった領土なのだ。しかも、独立以来ずっと「気味の悪い」破綻国家である。モローは、ステパン・バンデラの賛美者とレディー・ガガのファンのイデオロギーに同時に言及するような体制の下にあるウクライナの腐敗の奇妙さを、読者を非常に愉快な気持ちにさせる数ページを通じて説明している。

もちろん、オリガルヒに支配されたヨーロッパの主流報道機関は、上記のどれも報道していない。


プーチンの鄧小平化に気をつけろ

本書は、「ウクライナで米国とEU当局を待ち受けている戦略的破局に大きな責任を負っている」狂ったポーランドの支配者層について、極めて有益な分析を提供している。ポーランド人は、実際、プーチンに対するカラー革命が功を奏してロシアが内部から崩壊するだろうと信じていた。しかし(アフガニスタンでムジャヒディンを使ってソ連の弱体化に成功して)ハイになっていたブレジンスキーのようなわけにはゆかない。

モローは、2022年という年が、いかにNATO属国諸国、特に歴史的に嫌露主義者であるアングロ・サクソンが、ロシアは「貧弱な力しかない国」だから降参するだろうと自己確信していた年だったかを示している。プーチンが中国経済における鄧小平のようにロシア経済を強化したことを、これら優秀な人間たちは誰も理解していなかったのは明らかだ。モローが言うように、NATO諸国のこの「自己陶酔」はクレムリンに劇的な効果をもたらすことになった。

ロシア経済に対する電撃作戦が大失敗であったのと同様に、欧州経済を破壊することが米帝国にとって大規模な戦術であり、歴史的勝利であったことは、耳が聞こえず、口がきけず、目が見えない人にとってさえ、今や明らかである。

上記のような流れの中で、今週リオで開催されたG20外相会議を迎えた。この会議は決して画期的なものではなかった。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、G20の西側諸国があらゆる手段を使って議題を「ウクライナ化」しようとしたが、成功はゼロに等しかった、と明言した。BRICSやグローバル・サウス国々は、数を力に反撃に出たのだ。

ラブロフ外相は記者会見で、西側諸国がロシアに対して集団で仕掛ける戦争の見通しについて、これ以上ないほど厳しく述べた。 以下はその要点である:

・西側諸国は、ウクライナに関する真剣な対話を一切望んでいない。

・米国からは、戦略的安定に関するロシア連邦との接触を開始するという真剣な提案はなかった。ロシアが敵国と宣言されている今、信頼を回復することはできない。

・G20の傍らで、ブリンケン米国務長官や英国外相との接触はなかった。

・ロシア連邦は、西側の新たな制裁措置に対して、ロシア経済の自給自足的発展に関わる実際的な行動で対応するだろう。

・欧州がロシア連邦との関係を回復しようとしても、もしそれが気まぐれに依存するならば、そのような接触は必要ない。

一言で言えば、外交的には「あなた方は無関係であり、私たちは気にしない」ということだ。

これは、G20中のラブロフの介入を補完するものであり、多極化に向けた明確で殊勝な道筋を再び明確にした。以下はその要点である:

・明確な中心と周縁を持たない公正な多極的世界秩序の形成は、ここ数年、より一層強まっている。アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国は、世界経済の重要な一部となりつつある。アジアやアフリカ、ラテンアメリカの国々が、世界経済の重要な部分を占めるようになってきている。

・多くの西欧経済、特にヨーロッパ経済は、このような背景のもとで、実際には停滞している。これらの統計は、IMF、世界銀行、OECDといった欧米の監督機関によるものである。

・これらの機関は過去の遺物となりつつある。欧米の支配はすでに、時代の要請に応える形ではその影響力に陰りが出ている。いっぽう、現在人類が抱えている問題は、協調的な努力と、グローバル・サウス諸国とグローバル・サウスの利益への十分な配慮によってのみ解決できるものであることは、今日完全に明白である。

・IMFや世界銀行、EBRD(欧州復興開発銀行)、EIB(欧州投資銀行)といった機関は、ウクライナの軍事的資金やその他の資金を優先している。西側諸国は2500億ドル以上の資金をその下支えのために割り当て、世界の他の地域で資金不足を引き起こしている。ウクライナへの資金が大半を占め、アフリカやその他のグローバル・サウス諸国は配給制に追いやられている。

・地政学的な敵対国への恨みを晴らすために、一方的な制裁や国有資産や私有財産の差し押さえから、封鎖、禁輸、国籍による経済事業者への差別まで、非合法的な行為を用いて自国の信用を失墜させた国は、金融の安定を保証する国とは言えない。

・間違いなく、世界経済の管理体制を民主化するためには、共通理解と相互利益に焦点を当てた新しい制度が必要である。今日、BRICS、SCO、ASEAN、アフリカ連合、LAS(アラブ連盟)、CELAC(ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体)、EAEU(ユーラシア経済連合)など、さまざまな同盟関係を強化するための積極的な動きが見られる。

・今年はロシアがBRICSの議長国を務め、新たに数カ国がBRICSに加盟した。我が国は、BRICSの可能性とG20との結びつきを強化するために全力を尽くすつもりだ。

・国連安全保障理事会理事国15カ国のうち6カ国が西側諸国を代表していることを考慮すれば、私たちは、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々の加盟を通じてのみ、この理事会の拡大を支持する。

これが、SMO開始から2年後の、地政学的な現状だ。
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