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フーシ派は「正しいことをしているから」罰を受けているのか?

<記事原文 寺島先生推薦>
Are the Houthis Being Punished for 'Doing the Right Thing'?
筆者:マイク・ホイットニー(Mike Whitney)
出典:The Uns Review  2024年1月23日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2024年2月8日


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「ジェノサイドを止めようとしない者は人間性を失っている」モハメド・アル・ブカイティ、フーシ派報道官


中東での出来事は制御不能になっている。先週、米国はイエメン本土のフーシ派拠点を7回攻撃し、フーシ派は紅海で商船と米軍艦に対して5回攻撃を開始した。同時に、イランはシリア、イラク、パキスタンの拠点に複数の攻撃を開始し、イスラエルはレバノンとダマスカスの両方の標的を攻撃した。火に油を注ぐ形で、イスラエル国防軍はガザに住むパレスチナ人に対する容赦ない攻撃を続け、新たに多数の死傷者を出している。つまり、中東全域で軍事活動が急激に活発化し、着実に増加しているのだ。これは、私たちがここ数週間見てきた低強度の紛争が、より暴力的で広範囲にわたる予測不可能なものに爆発しようとしていることを示唆している。多くの専門家は、私たちは本格的な地域戦争の瀬戸際にあると信じているが、最近の展開を考慮すると、それは避けられないかもしれない。以下はワシントン・ポストの記事からの抜粋だ。

バイデン政権は、10日間にわたる空爆でフーシ派による海上通商攻撃を阻止できなかったことを受け、イエメンのフーシ派を標的とした継続的な軍事作戦計画を策定している。

当局者らは、この作戦がイラク、アフガニスタン、シリアで過去米国が仕掛けた戦争のように何年にもわたって続くとは予想していないと述べた。同時に彼らは、イエメンの軍事能力がいつ適切に低下するのか、終了日を特定したり、推定したりすることはできないことを認めている…。

これまでのところ、攻撃による被害は米国よりも欧州に大きい。また、フーシ派の作戦により、世界の海運地図は形を変え始めている。一部の企業は、アフリカ南部沖合の喜望峰周辺に船舶の航路を変更することを選択し、BP社やシェル社などの大手石油会社は紅海を通る輸送を停止した。

「何が起こるかを正確に予測することは不可能ですし、この先どんな作戦が取られるのかを予測することももちろん不可能です。このような高度な能力を持つテロ組織が、国際的な要衝を通る海運を実質的に停止させたり、支配したりすることは許されないという原則は、我々が非常に強く感じていることです」と一人目の米当局者は述べた。

米当局者らがさらに懸念しているのは、フーシ派に攻撃をおこなえば、出口戦略がほとんどなく、主要同盟国からの支援も限られたまま、米国を紛争に追い込んでしまうという状況だ。注目すべきことに、米国の最も強力な友好湾岸諸国は、米国の作戦への支持を差し控えている。湾岸地域における米国の重要な同盟国であるカタールの首相は、西側諸国の攻撃では暴力は止まらず、地域の不安定化を招く可能性があると警告した。フーシ派が戦い続けると誓う中、米国は継続的な作戦の準備をしている(ワシントン・ポストより)


ワシントン・ポストの記事には新しい情報はほとんどないが、いくつかの重要な点を明確にするのに役立つ。

①米国は現在、国連安全保障理事会、米国議会、米国民によって承認されていない別の「持続的な軍事作戦」(戦争)に巻き込まれているということ。わが国の国内政治が、国が戦争をするかどうかを大統領だけで決定できるところまで悪化しているのは明らかだ。そして、驚くことではないが、こうした戦争は常に、億万長者の支配者層の利益の促進に繋がっている。これらの億万長者らは、選挙で選ばれた政府の影から政策を操っている。実のところ、戦争を起こす原動力はすべてこれらの億万長者が持っているのだ。

②空爆だけではフーシ派の軍事能力は「低下」しないため、「作戦は何年も続くだろう」。 (だから、アフガニスタンと同様に、この先さらに20年間を擁するとの覚悟が必要)。

③政権がフーシ派との直接対話を避けてきた本当の理由は、「テロ組織が......重要な国際的海路を通る海運を支配することは、単純に容認できない」からだ。これは、米国政府が対等とみなさない相手との交渉を拒否していることを暗黙のうちに認めている現れだ。したがって、フーシ側にとって利用可能な唯一の選択肢は、「攻撃をした後に質問する」ことなのである。

④興味深いことに、ワシントン・ポスト紙は「フーシ派は、出口戦略が乏しく、主要同盟国からの支援も限定的な紛争に米国を突き落とした」と認めている。記者が付け加えるべきだったのは、現在の戦略のすべてがいわゆるパウエル・ドクトリン*に違反しているということだ。 達成可能な明確な目標もなく、危険性と費用も十分に分析されておらず、他の非暴力的な選択肢がすべて出尽くしたわけでもなく、もっともらしい出口戦略もなく、米国民に支持されている行動でもない、米国が広範な国際的支持を得ているわけでもなく、重要な国家安全保障上の利益が脅かされているわけでもない。バイデンの外交政策団は、パウエル・ドクトリンの主要な教訓をすべて無視したのだ。その結果、計画も最終目標も戦略目標もなく、イエメンに戦争を仕掛けるというこの計画は、おそらくここ最近で最も衝動的で思慮の浅い作戦となった。
*<span style="font-size:x-small;">パウエル国務長官がベトナム戦争の経験から説いた武力行使の原則。軍事力の行使は、死活的な国益が脅かされた際の最後の手段であると規定。実行する場合は、目的を明確化し、圧倒的に優位な戦力を投入すべきだとする。(英辞郎)

この計画がうまくいくという保証も全くない。実際、この攻撃により、壮大な反撃が加えられ、もっとずっと大きな危機を招くと考えられる要素がいくらでもある。オンライン・ニュースサイトのレスポンシブル・ステートクラフト(RS)の記事からの以下の抜粋をお読みいただきたい。

ここでの真の脅威は、米国の空爆の継続による戦争の激化であると言えよう。実際にその空爆で人々が亡くなっているのだから。当RSがこのサイトで何度も報じているように、フーシ派は戦闘を強化し、彼らの挑発に対する西側の反応によってさらに勇気づけられている。 ......多くの現実主義者の声は、報復的暴力の負の連鎖に再び陥ることの愚かさを批判している。そうなれば真の軍事的危機に繋がる可能性が生じるからだ。複数の米国軍人が殺害されたことを受けての攻撃だとしても、だ。

米国に拠点を置く政策研究所ディフェンス・プライオリティの上級研究員であるベン・フリードマンは以下のように述べている:「攻撃はうまくいかない。 フーシの能力を十分に低下させることはできないし、海運への攻撃を止めることもできない。明らかに無謀なことをなぜするのか? ちょっと頭を冷やせばわかることだが、効果のない空爆をしなければならないという法などどこにもない。 私たちには、無意味な暴力を用いないという選択肢が常にあるのだ」。 アメリカはイエメンを再び攻撃したが、フーシの攻撃は続いている。(RSの記事)



サウジアラビアによる8年間にわたる執拗な空爆がフーシ派を強化することにしかならなかったという事実があっても、同じことを繰り返そうという米政権の熱意は衰えていない。バイデンは、同じ政策が異なる結果を生むと確信している。しかし、それは「狂気」の定義ではないだろうか? そして、これまで指示されてきた方法が実際に機能した証拠がどこにあるのだろうか: アフガニスタン? イラク? シリア? リビア? ウクライナ? これらは、バイデンに正しい道を歩んでいると確信させる「軍事的勝利」の輝かしい例なのだろうか?

しかし、たとえバイデンのチームが首尾一貫した軍事戦略を持っていたとしても、現在の方策には根本的な問題がある。米国は、ジェノサイド条約を実施しようとしている人々とともに行動すべきであり、敵として扱うべきでない。フーシ派は、ガザにおけるイスラエルの略奪に対して建設的かつ(今のところ)非殺傷的な方策をとっている。この方策は、ジェノサイドの犯罪の防止及び処罰に関する条約第1条に合致している。同条約には次のように明記されている:

締約国は、ジェノサイドが、平時であるか戦時であるかを問わず、国際法上の犯罪であり、その防止と処罰を約束することを確認する。


紅海を通過するイスラエル関連の商業船をフーシ派が封鎖しているのも、「保護する責任」(R2P)の信条に沿ったものである。R2Pは「史上最大の首脳の集まりであった2005年の国連世界サミットにおいて全会一致で採択された」もので、ちなみにこの文書には米国の代表も署名している。以下はその条項からの短い抜粋である:

個々の国家は、自国の住民をジェノサイド、戦争犯罪、民族浄化および人道に対する罪から守る責任を有する。国際社会はまた、国際連合を通じて、憲章第6章および第8章に従い、適切な外交的、人道的その他の平和的手段を用いて、ジェノサイド、戦争犯罪、民族浄化および人道に対する罪から住民の保護を助ける責任を有する。

柱1
すべての国家には、ジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪、民族浄化という4つの集団残虐犯罪から国民を守る責任がある。


柱2
より広範な国際社会は、個々の国家がその責任を果たすことを奨励し、支援する責任がある。

柱3
ある国家が自国民の保護を明らかに怠っている場合、国際社会は、国連憲章に従い、適時かつ断固とした態度で、適切な集団行動をとる用意がなければならない。



R2Pとは何か?「保護する責任のための世界センター」編より

フーシ派がイスラエル行きの船舶を一方的に封鎖することについて、国連安保理の承認を得ていないのは事実だが、それは以前の停戦決議を阻止したように、米国がそのような措置をすべて阻止しているからである。しかし、国際社会が米国の妨害によって基本的な人道規範を実施できないからといって、人々や国家がその義務を免れるわけではない。国連の承認があればそれに越したことはないが、絶対に必要というわけではない。より高い優先順位は、罪のない人々の命を救うことである。フーシ派のモハメッド・アル・ブカイティ報道官が最近ツイッターで発表した声明の要約はこうだ:

虐げられた人々を支援するために行動を起こすことは...道徳性があるかどうかの真の試験紙であり...ジェノサイドという犯罪を止めるために行動を起こさない者は...人間性を失っているということです。

道徳...価値観は...人種や宗教によって変わるものではありません。私たちは、パレスチナ人が受けているような不当な扱いを他の集団が受けていても、宗教や人種に関係なく、支援するために行動を起こします。

イエメン国民は......すべての国と国民の尊厳、安全、安全を保証する公正な平和を達成するために尽力します。
モハメッド・アル・ブカイティ。@M_N_Albukhaiti


フーシ派が普遍的に認められている正義と人道の原則に従って行動していると考えるのは、私たちの考えが甘いのだろうか?フーシ派が理性的で、封鎖とガザでの猛攻撃を同時に終わらせる協定を交渉できる相手だと考えるのは間違っているだろうか?もしそうなら、バイデンはなぜ彼らの港や都市を砲撃する代わりに、外交的手段で対応しないのだろうか?

そして、念のために言っておく:政権とその盟友である報道機関は、フーシ派による商業船への「無差別」攻撃のために紅海の交通量が歴史的な低水準にあるとほのめかし続けている。しかし、それは事実ではない。月曜日(1月22日)、イランのホセイン・アミール=アブドラヒアン外相は(国連を訪問した際に)、紅海の交通量は、イスラエルに関連する船舶の航行が妨げられているという事実を除けば、比較的正常であるという証拠書類を提出した。つまり、西側報道機関は、戦争への突入を加速させるために、米国民に意図的に誤認させているのだ。以下はプレスTV(イラン国営放送)の記事である:

イラン外相は、米・英がイエメンに対する攻撃をおこなった当時、約230隻の商船と石油タンカーが紅海を航行していたことが衛星画像からわかった、と指摘した。

「つまり、占領しているイスラエル政権が運営する港に向かう船だけが阻止されるというイエメン側の指摘を彼ら(米・英)がよく理解していた、ということです」とアミール=アブドラヒアン外相は述べた。さらに、イランはイエメンへの攻撃に対して米国側に厳重に警告した、と同イラン外相は述べた。 (プレスTVより)


イラン外相の発言は、X上で発表されたフーシ派の公式声明でも強調されている:

イエメン海軍は、封鎖とガザ侵攻の停止まで紅海での活動を継続するという立場を堅持しています。その結果、紅海における海上活動や航行は、イスラエルに所属する船舶やイスラエルの港に向かう船舶を除くすべての船舶に対して安全におこなわれています。イスラエルと関係のない船舶については、以下のチャンネル(無線および電子メール)を通じて、航行中ずっとイエメン当局との不断の連絡を維持することが極めて重要です。イエメン軍は、ジェノサイドを防止し、その責任者を処罰することを目的とする国際的な法的原則を厳守して作戦を遂行することに全力を尽くすことを改めて表明します。さらに、紅海およびより広範な地域における、妨げのない交通の流れを促進し、海上安全保障を維持するという立場を強調します。イエメン海軍 の「自国の船舶が標的にされないよう、自国の船舶を特定するために必要なこと」をお読みください。(フーシ派報道官より)


フーシ派が商業船舶を無差別に攻撃しているという考えは、「嗅覚検査」に合格しない。もっとありそうなのは、イスラエルの敵を悪者扱いするために、そんなふうな話に変えられた、という筋書きだ。

最後に、フーシ派が道徳的に優位に立っただけでなく、米国とイスラエルが無謀で偽善的な行動をとり、自国の利益を損なっていると主張するティム・アンダーソンの短い動画の中身を勝手に書き起こさせてもらった。時間を費やして見る価値があると思う:

米国は、フーシ派を外国テロ組織に指定したが、その理由は、イスラエルのジェノサイドを止めようとしているからだという。アンサール・アラー(別名フーシ派)による封鎖の目的は、国連ジェノサイド条約第1条を守ることである。イエメンは国連ジェノサイド条約の加盟国であることから、フーシ派は、イスラエルがジェノサイドを犯している間、イスラエルへの武器やその他の物資の輸送を阻止する義務がある、とフーシ派は主張している。米国が「テロリスト」呼ばわりしているのは、ジェノサイドをおこなっているほうではなく、ジェノサイドを止めようとしているほうだ。 ...

アンサー・アラーをテロリストに指定することは、米国が現在キューバとベネズエラに対する2つの一方的な経済封鎖を実施していることからも、非常に皮肉なことである。 ...そして、アンサー・アラーによるイスラエル封鎖でまだ誰も死んでいないのとは異なり、米国による封鎖は何千人もの人々を殺している......アンサー・アラーはジェノサイドを阻止するために封鎖を利用しているが、米国の封鎖は対象国を飢えさせ、集団で罰することを目的としており、ジェノサイドの一形態であるとみなされうるものだ。

アンサー・アラーが罰を受けているのはテロ行為が理由ではない。イスラエルの封鎖がうまくいっているから罰せられているのだ。イスラエルは99%の商品を海上輸入している。イスラエルのエイラート港はフーシ派によって封鎖され、85%の活動低下が見られる。 海運会社は上昇した物価とますます希少化している輸入品の費用を消費者に転嫁しようとしている。 ...この戦争はイスラエルにとっては経済不況を招くものになっている。11月に実施された調査によると、イスラエルでは3社に1社の企業の操業率が20%以下に落ちこんでおり、半数以上の企業が売上が50%に減じている。労働省によれば、イスラエル人労働者の18%が戦争に招集され、イスラエルの労働力に大きな穴が空いた、という。100万人以上のイスラエル人が国外に流出し、観光業は崩壊し、企業投資は落ち込み、イスラエル財務省は第4四半期のイスラエルのGDPは15%減少すると予測していて、さらに、この戦争はイスラエルに総額580億ドル(約8兆6000万円)の損害をもたらすという。 ...

国務省の記録によれば、何十年もの間、米国の支配者層は紅海の支配権を失うことを懸念していた。そして2015年、米国はサウジアラビアがアンサール・アラーに対しておこなったジェノサイド戦争に対して武器を与え、資金を提供し、支援した。この戦争はイエメンの人口の3分の2を飢餓の淵に追いやり、人類史上最悪のコレラの大流行を引き起こした。しかし、それでもアンサール・アラーを倒すことはできなかった。そして今、ほんの数年前まで米国の支援による大虐殺に直面していたイエメンの人々が、ガザにおける米国の支援による大虐殺に対して、最も破壊的な行動を起こしている。これはもちろん、米国にとって屈辱的なことだ。

米国がネルソン・マンデラとその支持者を「テロリスト」と見なしたのは、それほど昔のことではない。その後、マンデラらは南アフリカのアパルトヘイトを打ち破った。その意味で、今回、フーシ派勢をテロリストに指定したことは、この非常に長い傾向の継続にすぎない。テロリズムとは高度に政治化された用語である。もちろん、アパルトヘイト国家とその支持者は、アパルトヘイト国家を終わらせようとする試みをテロとみなすだろう。しかし、パレスチナや中東では、本当のテロリストは、病院や学校、近隣全体を絨毯爆撃している者たちである。すなわち、イスラエルと米国だ。



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