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EUの債務問題は時限爆弾

<記事原文 寺島先生推薦>
The EU debt time bomb is ticking
金利上昇、政治的混乱、経済の不確実性が2024年の危機を予感させる
筆者:ロシアン・マーケット(Russian Market)
ロシアン・マーケットは、チューリッヒ在住の金融ブロガー、スイス人ジャーナリスト、政治評論家によるプロジェクト。X @runewsでフォロー
出典:RT   2024年1月19日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2024年2月2日


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© Getty Images / cherezoff


EUは2024年、多くの加盟国を圧迫しかねない金利上昇の中、債務残高の増大に直面し、微妙な綱渡りを強いられることになりそうだ。年末までに本格的な危機に発展する可能性もある緊迫した状況だ。

EU諸国の中では、フランスとイタリアが、それぞれ約3兆500億ユーロと2兆8500億ユーロの国家債務を抱え、債務危機の先頭を走っている。名目債務額ではフランスがランキング首位だが、イタリアは債務残高対GDP比が高いため、財政状態の持続可能性に懸念が生じている。

欧州中央銀行(ECB)は、特に長年にわたるマイナス金利政策が意図せざる結果を招いたことで、批判にさらされている。2014年から実施されていたマイナス預金金利の廃止決定は、議論を巻き起こした。批評家たちは、特にECBが過去に国債を買い入れてきたことを考えると、利上げそのものが根本的な問題に対処するには不十分かもしれないと主張している。

2022年半ばにユーロ圏のインフレ率が上昇し、同年10月には2桁に達したことを受けて利上げを決定したが、当時は大きな論争を巻き起こすことはなかった。とはいえ、現在進行中の議論は、これらの措置がECBの過去の政策がもたらした広範な経済的課題と潜在的な影響に効果的に対処できるかどうかを中心に展開されている。

特に2010年のユーロ圏危機を振り返ってみると、同じようなシナリオがさらに大きな結果をもたらすのではないかという懸念が生じる。現在の債務水準と、増税や歳出削減といった従来型の対策でそれに対処するという選択肢が一部の国には限られていることが、2024年に時限爆弾が時を刻むのではないかという懸念を煽っている。

債務負担に対処する際、欧州各国政府は、ECBの金利引き上げによる金利コストの上昇という新たな課題に直面する。インフレ見通しが思わしくないことから、ECBは今年中に金利を引き下げるつもりはないと表明している。この観点から、ドイツ、フランス、イタリアは特に脆弱に見える。2028年には金利負担の大幅な増加が予想され、ドイツの金利負担は、2020年は歳入のわずか1%だったが、2.1%に上昇すると予想される。

ドイツは現在、財政的にある程度の余裕があるが、フランスと特にイタリアは困難に直面している。フランスでは、2028年までに政府歳入に占める利払いが2020年の割合から2.9ポイント増加し、5.2%になる可能性がある。イタリアでは、その割合は8.2%とさらに高くなる可能性がある。ジョルジア・メローニ首相率いる政府の努力にもかかわらず、イタリアに対する金融市場への懐疑的な見方が強まっていることは注目に値する。この上昇は、政府の財政赤字拡大見通しの中で10月に顕著に見られ、スプレッド*の急上昇につながった。
*スプレッドとは、売買値幅のこと。

しかし、その後スプレッドはここ数カ月で大幅に低下しており、市場心理の変化を示していることを認識することが重要である。そこで疑問が生じる。この改善は嵐の前の静けさを示す一時的なものなのか、それとも投資家心理の持続的な変化を示すものなのか。

多くのユーロ圏諸国において、慢性的な財政赤字と相まって債務増加率の高騰が続いていることから、こうした追加コストの管理に苦慮している可能性が示唆される。新たに生じる差額を新たな債務で賄うという選択は、債務の悪循環を加速させる可能性がある。

最近の急激な利上げからの緩やかな低下を達成することが、EUの財政安定を維持するために不可欠であることは明らかである。これは、より広範な金融情勢への潜在的な影響を緩和するのに役立つため、望ましい結果であろう。特に懸念されるのは、利払いの負担を最終的に誰が負うのかという問題である。ドイツの納税者は既に実質的な負担を負っている。ユーロ圏各国政府が必要な予算改革を実施する余地は、長期的には減少する可能性があるが、負債の時限爆弾は作動している。
ECBは板挟みに直面している。利下げが早すぎれば、頑迷なインフレが長期化する危険性がある。一方、金利が上昇すれば、一部の主要EU諸国は、払うべき利子を借金で賄うという債務連鎖の罠に陥る可能性がある。

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関連記事:フランスには困難な時期が待っている ― 大臣

2024年に向けて、ECBは薄氷を踏む思いである。欧州連合(EU)の財務相は、債務削減のための明確な計画をまだ示していない。債務残高は安定成長協定で定められたGDP比60%を大幅に超えている。この持続的な水準は徐々に新たな常態になりつつあると見ている専門家らもいる。重債務国の債務削減努力は、今後数年間は極めて重要である。

しかし、EU内の政治的不和が、債務問題に対処するための統一計画を策定する作業を複雑にしている。ドイツは、迅速な債務削減を確実にするため、すべての国に対して適応される明確な予算指針の創設を提唱している。対照的に、フランスとイタリアは、それぞれの国特有の状況を考慮した個別の債務削減路線を主張している。

EU委員会と財務相は、債務上の取り決めについて新たな同意を得るという課題に直面している。これができなければ、新たな借り入れに厳しい制限を設けた以前の規制が再び発動され、対立と不確実性が生じる可能性がある。

一方、EUは各国の債務だけでなく、EU全体としての債務にも取り組んでいる。これは初めてのことだ。コロナ後の復興計画の資金調達は、高金利のため予想以上に高くつくことが判明している。しかし、加盟国は追加費用の負担に消極的で、EU内での負担の分配をめぐる新たな争いが生じている。

全体として、2024年はEUとその財政の安定にとって重要な年になることが示唆されている。債務危機は、政治的不和や経済の不確実性と相まって、EUの将来に深刻な試練をもたらす可能性がある。
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