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米国における刑務所産業:ビッグビジネスか?それとも、新しい奴隷制度か?

<記事原文>The Prison Industry in the United States: Big Business or a New Form of Slavery?
グローバルリサーチ 2019年12月15日
ヴィッキー・ペラーエス

<記事翻訳>寺島メソッド翻訳グループ  2020年3月24日

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  鋭くかつ慎重に調査された本記事は、11年前の2008年3月にGlobal Researchによって初めて公開された。最近の進展で、カリフォルニア州は、私立刑務所産業の州内での活動を禁止する法律を採択した。

  「おそらく、こうなったことで、一度に最大4,500人を収容できる4つの大規模な移民収容施設も閉鎖されるでしょう」

  この法律は、刑事司法改革の大きな勝利として歓迎されている。牢獄から利益を得ようとする動機を取り除くことになるからだ。また、州営刑務所の混雑を減らすために施設刑務所に依存していたカリフォルニア州が、その過去から劇的な出発をしたことになる。

  民間の刑務所産業は、これまで、カリフォルニアを最も急成長している市場の1つと見なしていた。 (ガーディアン紙、2019年9月13日)

***

  人権団体は、社会的団体も政治的団体も、これらの団体が「米国での非人道的な搾取の新しい形態」と呼んでいるものを非難している。これらの団体によれば、米国には、200万人以上の囚人がおり、そのうちほとんどが黒人やヒスパニックなのだが、その囚人達が、様々な産業のためにわずかな手当で働いている。刑務所産業に投資した大企業にとって、夢のような大金を見つけるようなものだった。刑務所産業なら、ストライキや失業保険、休暇、代休などを心配する必要はない。すべての労働者はフルタイムであり、家族の問題のために遅刻したり欠勤したりすることはない。さらに、労働者が1時間25セントの給与が気に入らず、仕事を拒否しても、独房に閉じ込められて終わりだ。

  全国の州、連邦、私設刑務所には約200万人の囚人がいる。囚人の人権を守る団体である「カリフォルニア刑務所フォーカス」によると、「人類史上、これほど多くの自国民を投獄した社会は他にない」。

  数字を見ると、米国が他のどの国よりも多くの人々を刑務所に閉じ込めていることがわかる。これは中国よりも50万人多い。中国の人口は米国の5倍あるのに、だ。統計によると、米国には世界の囚人のうちの25%の囚人がいる。米国の人口は、世界人口のわずか5%しかないのに。1972年には、囚人は30万人未満しかいなかったのに、2000年には200万人に増加した。1990年には100万人だったのに。10年前、国内には5つの私設刑務所しかなく、そこにいる囚人数は2,000人だった。現在、100の私設刑務所があり、そこに62,000人の囚人がいる。今後10年でその数は360,000に達すると、複数の報告は予想している。

この10年で何が起こったのか? なぜそんなに多くの囚人がいるのか?
  「囚人との私的な労働契約を結ぼうとすれば、もっと多くの人々を牢屋に閉じ込めようという動機につながる。刑務所は、この収入に依存している。刑務所産業で利益を得ている企業株主たちは、刑の執行機関を長くするよう、ロビー活動を行う。労働力を増やすためだ。そういうおいしいシステムなのだ」。これは、進歩的労働党の研究結果だ。進歩的労働党は、さらに、「刑務所産業は、“強制奴隷労働と強制収容所という点で、ナチスドイツの模倣”だ」と非難している。

  刑務所産業複合体は、米国で最も急成長している産業の1つであり、それに投資する投資家はウォール街にいる。「この数百万ドルの業界には、独自の見本市、協議会、ウェブサイト、通信販売/インターネットカタログがあります。また、以下のものも所有しています。ダイレクトメールを使った広告キャンペーン、建築会社、建設会社、ウォール街にある投資会社、配管供給会社、食料供給会社、武装警備、暴れる囚人を癒やすための多種多様な色を取り入れた独房も」。

犯罪は減少しているのに、刑務所は増えている

  複数の人権団体の報告によると、以下の内容が、刑務所産業複合体に投資する人々の利益の高める可能性がある。

・非暴力的な犯罪で有罪判決を受けた者を拘留し、顕微鏡的量の違法薬物所持で長期の禁固刑を宣告するようになったこと。

・連邦法は、5グラムのクラックコカインまたは98gのヘロインの所持については仮釈放の可能性がない5年の懲役、56g未満のコカインまたはクラックコカインの所持については10年の刑を規定している。粉末コカインならば、500グラムの所持でないと5年の刑にはならない–それは、同量のロックコカインの100倍の量だ。粉末コカインを使用するのは、ほとんどが白人、中流階級、または金持ちで、ほとんどの黒人とラテン系住民はロックコカインを使用している。テキサス州では、112gのマリファナを所持していると、最大2年の禁固刑を宣告される場合がある。ここニューヨークでは、1973年のネルソン・ロックフェラー反薬物法により、112gオンスの違法薬物の所持に対して、15年の懲役刑が定められている。

・「悪事3回」法(重罪で有罪判決を3回受けると、無期懲役になる法律)が、13州で通過したことで、新しい連邦刑務所を20カ所建設しなければならなくなったこと。この法律のせいで起こった最もびっくりさせるような事例の1つは、車と2台の自転車を盗んだ罪で25年の刑を3回受けた囚人の事件だった。

・刑期が長くなっていること。

・犯罪が起こった状況を考慮しなくても最低限の判決を要求できる法律が通過したこと。

・囚人による仕事が大規模に拡大したことにより、利益が発生し、それが、より多くの人々をより長期にわたって投獄したいという動機につながっていること。

・刑期を延長するため、囚人をさらに処罰するようになったこと。

アメリカ合衆国の刑務所労働の歴史

  刑務所労働は、奴隷制にルーツを持っている。1861-1865年の南北戦争後、奴隷制度の伝統を継続するために「囚人雇用」システムが導入された。解放された奴隷は、以下のような理由で起訴された。一つは、小作農に従事しなかったこと(収穫の一部と引き換えに他の小作地を耕作したのがその理由とされた)、あるいは、ちょっとした窃盗行為(ほとんどは罪が証明されなかった)。そのような理由で起訴された後、彼ら解放された奴隷は、綿花摘み、鉱山での作業、鉄道建築に「雇われ」た。1870年から1910年まで、ジョージア州で雇われた囚人の88%が黒人だった。アラバマ州では、「雇われた」鉱山労働者の93%が黒人だった。ミシシッピ州では、囚人の雇用システムの代わりに、古い奴隷農園に似た巨大な刑務所農場が機能していた。悪名高いパーチマン農園は1972年まで存在していた。

  南北戦争後、ジム・クロウの人種差別法がすべての州で課され、学校、住居、結婚、および日常生活の他の多くの面で法的な差別が行われた。「今日、著しく人種差別的な新しい法律が、現在“刑務所産業複合体”という名で知られるきちんとした刑事司法制度の上にどんと乗っている。」と、ニュースレター「レフト・ビジネス・オブザーバー」はコメントしている。

誰が投資しているのか?

   少なくとも37の州が、州の刑務所内で事業を展開する民間企業による刑務所労働の契約を合法化している。そのような民間企業からのうまい汁を吸っているのは、米国企業界の以下の面々だ。IBM、ボーイング、モトローラ、マイクロソフト、AT&T、ワイヤレス、テキサスインストゥルメント、デル、コンパック、ハネウェル、ヒューレットパッカード、ノーテル、ルーセントテクノロジーズ、3Com、インテル、ノーザンテレコム、TWA、ノードストローム、レブロン、メイシー、ピエールカルダン、ターゲットストアなど。これらの企業はすべて、刑務所労働者による経済ブームの発生に興奮している。1980年から1994年の間に、利益は3億9200万ドルから13億1000万ドルにまで増加した。州の刑務所に収容されている受刑者は、普通、最低賃金を受け取っているが、すべての刑務所がそうではない。コロラド州では、1時間あたり約2ドルで、最低賃金を大きく下回っている。

   また、私設刑務所では、1日に最大6時間の勤務で、時給はわずか17セント、月額でいうと20ドルだ。給料の最も高い私設刑務所はテネシー州のコレクショナル・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)であり、そこでは囚人は「高度なスキルを備えた仕事」と呼ばれる労働で1時間あたり50セントを受け取っている。そのくらいしかもらえていないので、囚人達が、連邦刑務所の給料を、非常に気前が良いと感じることは驚くことではない。そこでは、囚人達は1時間あたり1.25ドルを稼ぎ、1日8時間、時には残業することもできる。囚人達は月に200〜300ドル、家に仕送りできる。
 
  刑務所労働のおかげで、米国は、第三世界の労働市場向けに設計された労働へ投資されていた投資の新しい魅力ある投資先地域として再浮上している。マキラドーラ(国境近くのメキシコの組立工場)を運営していた会社は、そこでの事業を閉鎖し、カリフォルニア州のサンクエンティン州刑務所に移転した。テキサスでは、工場が150人の労働者を解雇し、私設刑務所であるロックハートテキサス刑務所から囚人労働者のサービスを請け負い、IBMやCompaqなどの企業向けの回路基板組み立て作業に従事させている。

  [元]オレゴン州代表国会議員のケビン・マニックスは、最近、ナイキ社にインドネシアでの生産を削減し、オレゴン州に工場を誘致するよう促す際、こんなことを言った。「輸送費はかかりません。こちらでは、競争力のある刑務所労働を提供しますよ。」

私設刑務所
  刑務所民営化ブームは、ロナルド・レーガンとブッシュ・シニア政権の1980年代に始まった。・ウイリアム・クリントン政権下の1990年代に、そのブームは頂点に達し、私設刑務所の株はウォールストリートで飛ぶように売れた。連邦刑務所を削減するというクリントンの政策のために、司法省は私設刑務所会社と契約し、不法就労者や厳重警備の必要な囚人を収容してもらうことになった。
 
  私設刑務所は、刑務所産業複合体における最大の事業だ。約18の企業が27州で10,000人の囚人を監視している。最大の2つは、コレクショナル・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)とウエケンハットであり、両社で囚人の75%を管理している。私設刑務所は、各囚人に対する保証金を受け取る。刑務所の維持費とは別に。バージニア州の私設刑務所管理者であるラッセル・ボラスによると、「運営費を抑える秘訣は、最大数の囚人に対して最小限の数の警備員を持つこと」だそうだ。CCA刑務所には、バージニア州ローレンスビルに超近代的な刑務所があり、そこでは、日中は5人、夜は2人の警備員が、750人以上の囚人を監視している。これらの刑務所では、受刑者は「良い行動」を理由に減刑される場合があるが、逆に、違反があった場合は30日間刑期が追加される。そうなると、コレクショナル・コーポレーション・オブ・アメリカ(CCA)の利益が増える。ニューメキシコ州の刑務所の調査によると、CCAの囚人は州の刑務所の8倍の割合で「良い行動による減刑」が少ないことがわかった。

囚人の輸出入

   刑務所産業での利益は非常に良く、今では新しいビジネスが始まっている。それは、最悪の犯罪者つまり、長期の刑を受けた囚人を輸入することだ。連邦刑事がテキサスの刑務所が、過密すぎて、そこでの交流が、残酷で異常な刑罰になっているという裁定をしたとき、CCAは貧しい郡の執行官と契約を結び、新しい刑務所を建設して運営し、州と利益を分配しようとした。1998年12月のアトランティック・マンスリー誌の記事によると、このプログラムは、メリル・リンチ、シアーソン・リーマン、アメリカン・エクスプレス、オールステートの投資家に支えられており、事業はテキサスの田舎中に散らばっていった。その州の知事であるアン・リチャーズは、ニューヨークのマリオ・クオモの例に従い、非常に多くの州刑務所を建設したので、囚人労働市場があふれ、私設刑務所の利益を食いつぶすことになった。 

  1996年にクリントンによって署名された法律(裁判所の監督と決定を終了するという内容)が連邦刑務所の過密状態と暴力的で危険な状態を引き起こした後、テキサスの私設刑務所企業は、刑務所が過密状態にある他の州と連絡を取り、テキサスの小さな町にあるCCAの刑務所で独房レンタルを提供し始めた。独房レンタル手数料は、1泊2日で2.50ドルから5.50ドルだ。郡は囚人一人につき1.50ドルを受け取る。

統計 

  125,000人の連邦囚人の97%が非暴力犯罪で有罪判決を受けている。市または郡の刑務所に収容されている623,000人の受刑者の半数以上は、彼らが告発されている犯罪について無実であると考えられている。これらのうち、大半は裁判を待っている。100万人の州の囚人の3分の2が非暴力犯罪によるものだ。米国の200万人の囚人の16パーセントは精神疾患に苦しんでいる。 
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BLMについて調べていて、このブログにたどり着きました。とてもわかり易かったです。どうもありがとうございます。

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