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米国がガザでのこの戦争を必要としている理由とは?

<記事原文 寺島先生推薦>
Why the US needs this war in Gaza
米国政府がガザでのこの戦争でイランに勝たねばならぬのは、ウクライナでロシアに勝てなかったからだ
筆者:ぺぺ・エスコバル
出典:The Cradle  2023年11月15日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月5日





 グローバル・サウスは、新たなアラブの真実の夜明けを期待していた。

 結局のところ、アラブ社会は、たとえ自国で抑圧を受けていたとしても、ガザ地区におけるイスラエルによる大規模な虐殺に対するやるせない怒りで、抗議したい気持ちでいっぱいなのだ。

 アラブの指導者たちはイスラエルとの外交関係を一時停止する以上の措置をとらざるをえなくなり、イスラム協力機構(OIC)の特別首脳会談の開催を求め、現在進行中のイスラエルによるパレスチナの子どもたちに対する戦争について話し合うことになった。

 57カ国のイスラム教国家の代表らが、11月11日、リヤドに集まり、この大虐殺の実行者やその虐殺を可能にしている支援国に対して、決定的かつ実用的な打撃を与えた。しかし最終的には、何の提案もなされず、癒やしさえも提供できなかった。

 OICによる最終報告は「臆病者の金ピカ城」にずっと祀られることになるような代物だった。安物の口先だけの見世物の見せ場は以下のとおり。「イスラエルの『自衛行為』には反対する。ガザに対する攻撃を厳しく非難する。イスラエルに武器を売らないことを依頼する(え、誰に?)。イカサマ師のようなICC(国際刑事裁判所)に戦争犯罪を『捜査』するよう求める。イスラエルを非難する国連決議を求める」だ。

 言っておくが、この21世紀の大虐殺に対して、イスラム教徒が多数を占める57カ国が打ち出した最善策がこれだ。

 たとえ勝者により記された歴史であっても、歴史は、臆病者を許さない、という傾向がある。

 今回の臆病者代表四人衆は、サウジアラビアとアラブ首長国連邦、バーレーンとモロッコだ。後者3カ国は、米国の手引きにより、2020年にイスラエルとの関係を正常化していた。これらの国々こそ、OICの首脳会談で、厳しい措置の採択を常に妨害してきた国々だ。例えばアルジェリアは、その措置として、イスラエルへの石油供給を止め、加えてアラブ諸国の飛行場を使った、この占領国への武器の輸送を禁じる措置を提案していた。

 長年米帝国に従属してきたエジプトとヨルダンも、見て見ぬふりだったし、内戦の真っ只中のスーダンもだ。トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン皇帝も、再び「口だけで動かない」姿を見せた。この新オスマン皇帝は、カーボーイの帽子だけ被って、牛の扱いもできないテキサスっ子になったようだ。

BRICSかIMEC(インド・中東回廊)か?

 この代表四人衆に、もう少し吟味を加えよう。バーレーンは、米国の基地を有する帝国の下っ端従属国だ。モロッコはイスラエル政府と緊密な関係を持っている。イスラエルが西サハラ問題に関して、モロッコの主権を認めたとき、モロッコは簡単にイスラエルの手に落ちたのだ。さらにモロッコは、観光業に大きく依存しているが、その主な顧客は西側連合だ。

 続いて2匹の大型犬、サウジアラビアとアラブ首長国連邦に目を向けよう。両国とも、米国の兵器でがんじがらめにされていて、バーレーン同様、米軍基地を有している。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン(MbS)王子と彼の昔からの仲間であるアラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ザーイド (MbZ)王子は、王としての支配力をカラー革命を起こしてズタズタにする、と帝国に脅され、帝国に言われたことからかけ離れた行為をしすぎないよう自重している。

 しかし2024年1月1日からの数週間で、ロシア主導のもと、サウジアラビアもアラブ首長国連邦も、それぞれの限界を拡げることになる。そう、BRICS 11に正式加盟するのだ。

 サウジアラビアとアラブ首長国連邦が拡大されたBRICSの加盟を認めた唯一の理由は、露中の戦略的友好関係による地政学上及び地経学上の慎重な計算があったからだ。

 露中両国と戦略的友好関係を築いているイランとともに、サウジアラビアもアラブ首長国連邦もBRICS圏内のエネルギー面での影響力を強化する役目を果たす重要な国になり、脱ドルの動きにさらなる拍車がかかることが期待されている。そして脱ドルの最終目標は、ペトロ・ダラーの迂回だ。

 ただし同時に気をつけるべきことは、サウジアラビアもアラブ首長国連邦も、1963年に立てられたある計画からも大きな利益を得られる、という点だ。その計画とは、別に秘密にされているわけではない、ベン・グリオン運河建設計画のことだ。この運河は、アカバ湾から東地中海を結ぶもので、その到着点は、なんという偶然か、現在激しい攻撃が加えられている北ガザ地区の近くになる。

 この運河ができれば、イスラエルはエネルギー輸送上の重要な中継地点となり、エジプトのスエズ運河の代替となる。そうなれば、イスラエルが果たすべき役割は、経済回廊を巡る戦争の最新章の事実上重要な中継ぎとなることになる。その回廊とは、米国発案の「インド・中東回廊(IMEC)」だ。

 IMECとは、かなりひねくれた略語だ。というのも、この素敵な名前の回廊の裏に潜む論理というのは、国際法破りのイスラエルを、ヨーロッパ、アラブ世界の一部、そしてインドを結ぶ重要な貿易中継地点、さらにはエネルギー供給源として位置づけることにあるからである。

 それは、9月にイスラエルのネタニヤフ首相が国連で見せた茶番劇の背後にある論理でもあった。同首相は「国際社会」全体に、パレスチナが完全に消去された「新しい中東」の地図をちらつかせたのだ。

 上記のすべては、IMECとベングリオン運河が建設されることを前提としている。だがこんなことは、現実的な標準からすれば当たり前のことではない。

 OICでの投票に話を戻すと、米国の手先であるエジプトとヨルダン(それぞれイスラエルの西と東の国境に位置する2カ国)は、最も厳しい立場に立たされた。占領国イスラエルは、約450万人のパレスチナ人を永久に自国の国境外に追いやりたがっていた。しかし、エジプト政府やヨルダン政府もまた、米国からの武器に溢れ、これらのパレスチナ人を引き受ければ財政的に破綻するし、容認されない程度までに親パレスチナの方向に傾けば課されるであろう米国の制裁に耐えることはできないだろう。

 結局のところ、自国の国益を考えるという非常に狭く、現実的な方向に進み、正義よりも屈辱を選ぶイスラム諸国が多くなりすぎてしまった、ということだ。

 地政学は情け容赦ない。各国の資源と市場が全てなのだ。片方がなければ、もう片方が必要で、両方ともなければ、米国という覇権国家が、何を持てばいいかを命じるのだ。

 アラブ界隈やイスラム教徒界隈、さらにはグローバル・マジョリティ(世界情勢の大多数)がガッカリしているのも当然だ。これらアラブ諸国の「指導者たち」が、迫り来る多極化世界において、イスラム世界を真に力を持つ一極にする心づもりを見せないのだから。

 それ以外のことは起こりえない。主要アラブ諸国の多くは、自国の主権を失ってしまったのだ。みな身動きできなくされて、従属国的な考え方にとらわれてしまっている。この先迫り来る歴史の転換点に対する心づもりができていないのだ。悲しいことに、これらの国々は、いまだに、自身の「屈辱の世紀」から抜け出せずにいる。

 屈辱的な一撃を喰らわしたのは、他でもないイスラエル政府の狂信的な大虐殺欲によるものだった。イスラエルは、すべてのアラブ諸国に対して、黙らなければ何をするか分からない、と脅したのだ。その脅しは、もう既に実行されているのだ。

 もちろん、主要アラブ諸国の中にも、勇敢な心を持った国々は存在する。イラン、シリア、パレスチナ、イラク、レバノン、イエメンだ。これらの国々はまったく主流派ではないが、これらの抵抗勢力ほど、アラブ界隈の人々の感情を忠実に再現している勢力はない。日に日にイスラエルによる攻撃が激しさを増すなか、これらの抵抗勢力の宗教上の影響力や世界的な影響力は計り知れないほど、増大しつつある。そう、米帝国による他の地域でのすべての戦争に対する反応とまったく同じことが起こっているのだ

ゆりかごの中で息吹を上げつつある新世紀の到来を封じること

 ウクライナ作戦の壊滅的な失敗と手に余る西アジアでの戦争の再来は深く繋がりあっている。

 米国政府が見せる、イスラエルによる大虐殺という凶行に対する見せかけの「心配」という煙の裏にある残酷な事実は、我々はいま、BRICS11との戦争の真っ只中にある、という事実だ。

 米帝国は何ら戦略を講じていない。やっていることといえば、せいぜい戦略的事業計画を思いつきで繰り出している程度だ。現在取り掛かっているその場しのぎ的な対策は2つ。①東地中海への米軍の配置。ただしこれは、抵抗勢力の二大枢軸であるイランとヒズボラを脅迫することにはなっていない無駄な努力だ、②アルゼンチンの大統領選でミレイ候補が勝つ可能性があり、同候補が掲げているブラジル・アルゼンチン間の関係断絶という公約をしていること、だ。

 つまりこの2つは、BRICS11に対する2つの同時戦争の前線だ、ということになる。西アジアと南米での、だ。BRICS11がOPECプラスに近づけないようにする努力を米国は惜しまないだろう。大事な目的は、サウジアラビア政府とアラブ首長国連邦政府に恐怖を注入することにある。ペルシャ湾の複数の情報源がそのことを確認している。

 OICの見世物に参加した米国従属諸国の指導者たちでさえ、我々が今、『帝国の逆襲』の奥深くにいることを認識していただろう。だからこそ、これらの国々の指導者たちは臆病さを見せているのだ。

 これらの国々の指導者たちは、覇権国家である米帝国にとって多極化は「混沌」、一極化は「秩序」、悪意ある主体は「独裁者」であることを理解している。そしてその悪意のある主体とは、ロシア・中国・イランという新たな「悪の枢軸」や「ルールに基づく国際秩序」に反対する国々のことであり、これまで米国の属国だった国々が裏切った場合は、特にそう捉えられることが分かっている。

 そういう状況下で、2つの戦争の停戦の話が出てきているのだ。何千万人ものグローバル・マジョリティが疑問に思っているのは、なぜ覇権国家米帝国が、ウクライナでは停戦を熱望しているのに、パレスチナでの停戦は頑として受け付けようとしていないのか、という点だ。

 ウクライナ計画を凍結すれば、亡霊のような覇権国家も少しは生き長らえられる。ロシア政府がこの餌に飛びつく(そうなることは考えにくいが)としよう。ただし、欧州でのウクライナ作戦を凍結するのであれば、米帝国はガザでイスラエルが勝つ必要が生じるのだ。おそらくどんな代価を払っても、だ。そうしないと、この覇権国家の過去の栄光の面影さえ消し去られかねないからだ。

 だが、イスラエルは、ウクライナよりもましな戦果を得られるだろうか?イスラエル政府は10月7日の時点で既に敗戦したと言えるかもしれない。無敵を誇ったイスラエル軍の強さを取り戻すことができなさそうだからだ。さらにこの戦争が地域戦争に発展して、それにイスラエルが敗れるとなれば、米国は一夜にしてアラブ従属諸国を失うことになろう。そしてこれらの国々の前には、中露という選択肢が翼を拡げて待っているのだから。

 アラブ界隈からの叫び声はどんどん大きくなっている。その声が求めているのは、いまやイスラエル当局と共謀しているバイデン政権に、世界戦争に繋がるようなイスラエルによる大虐殺を止めさせることだ。だが、米国政府はその声には応じないだろう。欧州と西アジアでの戦争は米国にとって妨害できる最後の好機かもしれない。つまり繁栄し、互いにつながり合う、平和なユーラシアの世紀の到来を妨害する好機だということだ(ただしおそらく上手くはいかないだろうが)。
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