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イスラエル、経済崩壊の危機

<記事原文 寺島先生推薦>
Israel is in danger of economic collapse
著者:ビクトル・ミクヒン(Viktor Mikhin)
出典:New Eastern Outlook   2023年11月22日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年12月4日





 10月7日にハマスが行なったアル・アクサ・フラッド作戦の余波により、イスラエル企業は壊滅的な打撃を受け、入植者たちは、政府からの資金注入や彼らへの援助がないという前例のない、不慣れな状況に直面している。ハマスの作戦が始まって1カ月以上が経過し、ガザでの戦争はイスラエルの企業活動に壊滅的な影響を及ぼし、何百もの企業が倒産の危機に瀕している。経済学者や金融関係者は、テルアビブにとってガザ戦争の初期費用は510億ドル(約7兆5千億円)、イスラエルのGDPの約10%に相当すると見積もっている。

 イスラエル労働省の報告によると、イスラエル人約76万5000人(労働人口の18%)が仕事をやめ、ガザ地区でパレスチナの抵抗勢力と戦うために予備役として徴兵されている、という。フィナンシャル・タイムズ紙によれば、この戦争がイスラエル政権の経済活動に壊滅的な影響を及ぼしている証拠がすでに積み重なっているという。しかし、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とベザレル・スモトリッチ財務相が発表した財政措置は、経済界から非難を浴びている。高まる経済不安を和らげようと、イスラエル軍事政権は新たな規制を発表したが、専門家たちは、その規制はこの国の経済状況を悪化させるだけだ、と考えている。

 これに関連して、イスラエルの著名な経済学者300人からなる一団が、ネタニヤフ首相とスモトリッチ首相に「正気に戻る」よう求めた。「イスラエルに与えられた深刻な打撃は、国家の優先順位の根本的な転換と、戦争による被害を修復し、犠牲者を支援し、経済を再建するための資金の大規模な再配分を必要としている」とこの公開書簡にはある。フィナンシャル・タイムズ紙は、シンクタンク「スタートアップ・ネイション・ポリシー・インスティテュート」の会長で、書簡に署名した経済学者の一人であるユージン・カンデル氏の、イスラエル政府は「まだ事態の深刻さを理解していることを示していない」という発言を報じた。

 これらの経済の専門家たちは、ネタニヤフ首相が約束した倒産する危険度の高い企業への金融支援策も、政権の経済見通しが悪化し続ければ、十分なものにはならないだろうという深刻な懸念を表明した。どう考えても、イスラエル経済は最終的に崩壊するまで悪化するだろう、とのことだ。フィナンシャル・タイムズ紙は、支援策には公共支出の優先順位の全面的な見直しが伴わなければならないという意見もある、と報じた。

 ネタニヤフ政権と連立を組んでいる超正統派政党や入植者政党は、学生の宗教的遵守を奨励する計画など、戦時経済にはふさわしくないと批判されている取り組みに巨額の資金を投入し続けている。その結果、何百もの企業が首相の約束した財政支援を受けられていない。フォーリン・ポリシー誌によれば、イスラエルの戦時経済はいつまでも持ちこたえることはできず、間もなく不況に陥る可能性があるとし、その理由は、イスラエル政権による大規模な軍事動員によって深刻な景気後退が起こる可能性があるからだ、と報じた。

 ガザ地区での戦争が長期化した場合に打撃を受ける部門の筆頭は、石油・ガス、観光、医療、小売、そして近代的な技術の開発部門である。イスラエル経済は、2000億ドル(約32兆円)の予備資金と140億ドル(約290兆円)の米国からの軍事援助資金をもとに戦争に突入した、と推定されている。しかし専門家によれば、現在も続くガザでの戦争はイスラエル経済に数十億ドル以上の損害を与え、回復にはこれまでの実績よりもはるかに長い時間がかかるという。実際、経済学者や分析家らによれば、ガザでの戦争は短期的にも長期的にも政権経済に深刻な損害を与えると予想されている。

 フィッチ・レーティングス社、S&P社、ムーディーズ・インベスターズ・サービシズ社といった世界的な格付け会社は、戦争がさらに激化すれば、イスラエル政権の国債格付けの引き下げにつながる、と警告している。S&P社はすでに、イスラエルの信用格付けの見通しは低下傾向にあるとしており、その理由としてガザでの戦争が拡大し、経済への悪影響がより顕著になる危険性がある点を挙げている。同格付け会社は、「信用格付けの見通しが低下しているのは、......戦争がより広範囲に拡大したり、我々が予想するよりもイスラエルの信用度の指標に負の影響を与えたりする危険性を反映している」と指摘した。

 フォーリン・ポリシー誌は政治分析家らの話として、過去2回の戦争(2006年夏のイスラエルによる対レバノン戦争と2014年の対ガザ地区戦争)の費用はGDPの0.5%にも上ったが、そのほとんどの影響を受けたのが観光業だった、と報じた。しかし今回は、今年の最終四半期に「年間規模で15%」まで落ち込むと推定されている。それは、航空会社の多くがイスラエルと占領下のパレスチナ自治区の両方への飛行を中止しているからだ。飛行の取りやめは、イスラエルの経済、特に政権がその収入に大きく依存している観光産業にさらなる損害を与えるだろう。この飛行中止は、戦争や、連日包囲されたガザ地区からパレスチナ抵抗勢力が打ち込むロケット発射から逃れようと、国外に出ようとする何十万人もの不安なイスラエル人にとっても問題になっている。

 このロケット攻撃は終わるようには見えない。ハマスの作戦が始まってから30日間で、何十万人ものイスラエル人が避難したり、ガザ地区周辺の入植地から逃げ出したりしている。イスラエル観光省によると、ホテルの部屋は外国人観光客ではなく、亡命を求め、パレスチナ占領地を離れる計画を立てているイスラエル人入植者がほとんどを占めているという。すでに多くの人が海路でイスラエルを離れ、少なくとも一隻の米国船がハイファ港からイスラエル人を避難させたという。出国を計画するイスラエル人はますます増えており、すべてのイスラエル人がガザ近郊の入植地やその他の地域から永久に出国する意向であることを強調するオンライン・キャンペーンも現れ始めている。

 ネタニヤフ首相が1月上旬に政権に復帰して以来、すでに不満を抱いていたイスラエル国民の間では知識人の移住が当たり前となり、その多くは新政権にただただ激怒していた。ロケット弾が連日のように飛び交い、ネタニヤフ首相とその内閣に対する怒りが高まっている今、優秀なイスラエル人の移住はさらに増えている。

 政権が最も困難な時期を迎えている今、ある住民はイスラエルの報道機関にこう語った。「土曜日にサイレンがなった直後に、私たちはキプロスに逃げました。私たちの家族には、両親と4人の子どもがいます。私は直感で、これはただの攻撃ではないと分かりましたし、ここ10ヶ月間、私の神経はピリピリしていました。この国が気の狂ったようになっていたからです。午前10時にチケットを買い、午後5時にはキプロスのパフォスに着いていました。ここキプロスで、落ち着いた新しい生活を始めようとしています」と。

 ガザでの戦争が長引くなか、多くのイスラエル人が、その家族とともに、占領下のパレスチナ全域から、さらにはイスラエル本土から、すでに海外に渡航しているか、あるいはその意思を表明している。人々の最大の懸念は、ガザ地区に対する近代史上最大規模の戦争が国境を越えて拡大する危険性があるため、もはや安全が確保されていないことだ。人々は命の危険を感じ、イスラエルに来たことを後悔している。
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