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米ロ関係を破壊するアメリカの三つの嘘

米・ロ関係を破壊するアメリカの三つの嘘

ロバート・ブリッジ
2017.8.9
RT Op-Edge

ロバート・ブリッジはアメリカの作家で、ジャーナリストです。
また彼は、企業権力に関する本『アメリカ帝国の暗黒』
(2013年発行)の著者です。

NATO事務総長イェンス・ストルテンベルグが米国対ミサイル・イージスアショア基地の落成式で儀仗兵に答礼する。
2016年5月ルーマニアのデベセル軍事基地にて。© Aniel Mihailescu / AFP

今ロシアを標的とした欧米のフェイク・ニュースの増大が、もう一つの避けがたい現象だ。それはアメリカ流の大嘘だ。実際、アメリカがモスクワに言った三つの紛れもない「偽の真実」によって、今やワシントンに不可避のこと、つまり「ロシアを責めること」が不可避となった。

アメリカには、若きジョージ・ワシントンの話をする古風な伝統がある。彼が父親から贈られた斧を受け取ると、すぐさま庭に出て桜の木を切り倒した話である。父親は卑劣な行いを見つけて犯人が誰か問いただした。

若きジョージはためらうことなく、前に進み出て言った。「父さん、私は嘘が言えません...しかしロシアは嘘を言った」と。その時アメリカメディアは、様々な確証のない資料を引用しているのに、その話を信用した。そして話の続きは、彼らが言うように歴史となった。

アメリカ人の心を捕らえた反ロシア錯乱の赤信号から判断すると、私はどれほど多くの人々が、の修正アメリカ史バージョンを、紛れもない真実として受け入れているのかと考えるとぞっとする。我々が最近の展開からわかったように、ワシントンはどのような出来事でも元の話の通り偽りがなく率直であることはほとんどない。事実、ロシアに関して、ワシントンは強迫観念にとらわれた嘘つきである。そして次の三つの例がそれを証明する。

嘘1:1インチも東へは伸展しない

ソ連が、その大きさ、権力、影響力に不釣り合いなあっけない崩壊の死の激痛を耐えているときに、ワシントンは最初の醜悪な嘘を述べた。それは1990年2月のことであった。西欧とソ連の外交官がドイツ統一で一致点を調整していた時、アメリカ高官は、当時の国務長官ジェームズ・ベーカーだとされているが、「NATOは1インチも東に拡大しない」という口頭の約束をした。

今日、NATOの拠点はロシア国境から1インチの所まで迫っている。

オリバー・ストーンとピーター・カズニックが『語られざるアメリカ史』という貴重な本で書いたように、NATO軍はジョージ・W・ブッシュ大統領の時、アメリカとNATO軍でロシアを包囲し始めた。旧ソ連領土にも展開したのもあった。

著者が書いたように1999年最初のNATO拡大はポーランド、ハンガリー・チェコ共和国を吸収した。第2波が2002年に後半にありブルガリア、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、リトアニア、ラトビア、エストニアを加入させた。アルバニアとクロアチアは2009年に署名し、最新のものとしてモンテネグロが今年6月29番目に加入した。

「ロシア人は猛烈に反対した」とストーンとカズニックは書いた。「旧ワルシャワ条約諸国にNATOを拡大することは...十分反対を招くことであるが、NATOをリトアニアやラトビアやエストニアのような旧ソ連諸国に拡大することは、傷つけた上にさらに侮辱することであった。

プーチン大統領は2007年ミュンヘンの安全保障会議で集まった代議員に、NATOの拡大はばかげた考えだと警告した。ロシアの指導者は語った。「NATOの拡大が、同盟自体の現代化やヨーロッパの安全を保障するものとは無関係であることは明かだと思う。そして我々西欧の同盟国がワルシャワ条約機構解体の後になされた確約はどうなったのか。それらの宣言は今日どこへ行ったのか」と。

外国軍隊がロシアの長い国境に向かって進展し続けるとき、モスクワに残された唯一の選択は軍事化である。しかしこの自然な自衛の行為さえロシアの悪意の証拠として非難される。言い換えれば、嘘がさらなる嘘を生んでいるのだ。

地平線に本物の敵がいなくても、欧米軍事連合は挑戦的で危険な難題を抱えている。つまり正統な脅威が存在しないときに、どうやって国々を拡大する軍事クラブに加入させるのかという難題である。だから西側は妖怪を作り出すように強いられた。この妖怪は、NATOがその存在そのものの言い訳に使われ、またこれらのお金に困っている国々がなぜ軍事支出を増大させなければならないかの口実に使われる。最近、欧米メディアは絶えず誰かについて唱えている。「侵略的な」ロシアは本来「帝国の野望」を抱いていると。

しかし現実の状況は明確ではない。つまり9・11の攻撃以降、主権国家や人民を徐々に悪魔的に踏みつけているのは米主導のNATOであって、ロシアではない。非常に奇妙なことに、あの火曜日の朝、アメリカが攻撃されたのとは矛盾したやり方で、アメリカは無実の国を非難する。アフガニスタン、イラク、リビア、シリアの何百万人の人々に起こった悲劇的運命を考える必要がある。全ての国は米・NATO勢力によって不当に攻撃されたのであり、グローバル舞台で誰が真の侵略者なのかを理解する必要がある。

一方「1インチも」ロシア国境に進まないという約束が破られたことによって、冷戦終結以来のどの時期よりもヨーロッパ大陸が不安定になってしまった。

嘘2:「アメリカのミサイル防衛に協力しよう」

バラク・オバマが2009年第44代大統領に就任したとき、戦争神経症に陥った地球を吹き飛ばす「希望と変化」のヒステリーにだれもが感染せざるを得なかった。彼が大統領に選ばれる前でさえ、オバマは、彼の前任者の悪口を聞くためにベルリンの広場に集まった何千人のドイツ人に迎えられた。自称「戦争大統領」のジョージ・W・ブッシュはある程度奇妙な変態であると我々は信じたかった。我々は自分自身に言い聞かせた。アメリカ人は世界的利益のため主権国家を侵略するなどという嘘は決して言わない。まして、戦争捕虜を拷問するなどということもないと。なぜオバマにノーベル平和賞が与えられたかのか。アメリカが未だ二つの戦線で戦争をしているというのに。読者諸君、それはメディアの力なのだ。

私の考えでは、このオバマの魔法の攻撃は、モスクワの防衛体制を解かせるために注意深く画策された見え透いた口実であると思う。オバマが第二のキリスト再来に似たものとしてもてはやされいるときに、ロシア人が最も気にかけていることは、ブッシュが東ヨーロッパに計画したミサイル防衛網であることを考えておくことが大切である。

2001年12月弾道弾ミサイル禁止条約から脱退した後、プーチンがそれを正しくも間違いと呼んだ動きのように、ブッシュは「大量破壊兵器を模索する悪党国家」から守るために、ポーランドやチェコ共和国にアメリカのミサイル防衛システム設置計画を発表した。その「悪党国家」はイランを意味すると解釈された。イランがそんな能力も意図もない国であることはよく知られているにもかかわらずだ。

最初オバマが本物のように見えたのは、彼がブッシュのミサイル計画を棚上げにして、あまり大がかりでない代替案を選択したときだ。ABCニュースは、独力で対決するというより、取り決めと協力を強調するものとして、ジョージ・W・ブッシュより全く異なったトーンの動きとして歓迎したが、実際はそれほど真実とかけ離れた話はなかった。それは、詐欺だった。

当時防衛長官だったロバート・ゲーツがニューヨーク・タイムズに書いたのは、オバマの新ミサイル防衛システムが、「過去のたった10個の地上設置型迎撃体に対して、何十個ものSM3ミサイルを含んでいる」という輝かしい説明だ。ゲーツは彼のボスが「ヨーロッパ・ミサイル防衛を解体するのではなく、増強している」ことを認めるとも書いている。

一方、オバマの魔法の攻撃は決して休むことはなかった。特に印象的な一つの出来事は、国務長官ヒラリー・クリントンが、ジュネーブでセルゲイ・ラブロフ・ロシア外相を迎え、米ロ「リセット(修復)」の高尚な見せかけを示したことである。彼女は劇場効果として小さな赤いボタンのリセット装置を携えていたと私は思う。しかし国務省のスペルミスのせいで、セルゲイ・ラブロフはボタンの「リセット」の言葉をロシア語で「高値をふっかける」と誤訳して説明しなければならなかった。後から考えれば「誤り」は奇妙に予測できるもので、全て考慮されていたようである。

だからアメリカが防衛網を増加させていたとき、明らかにロシアは進んでその戦力を減少させると考えられた。それは2011年2月に導入されたいわゆるSTART(戦略兵器削減条約)の間に明かになったその条約では、双方に配置された戦略的核弾頭の数を1550に制限することが求められていた。それは現有数の3分の2近くに減少させることだった。興味深いことではないか。アメリカはロシアに核兵器を減らす交渉にサインさせることに熱中していたまさにその時、アメリカはロシア国境にミサイル防衛システムを急いで設置していたのだ。

一方、ワシントンがミサイル防衛システムに喜んで協力すると言った後も、モスクワは辛抱強く待っていた。しかもそれは結局ユーラシア大陸への「ならず者」の攻撃を隠すように設計されていた。ロシアの専門技術は防衛システムの有効性を補完するだけではないのか。さらにロシアは向かってくる発射体の場合には、防衛システムの傘を味わう資格がないのではないか。明らかにアメリカは別の考えを持っていた。ロシアは行き場のない交渉にうんざりして、一番の行動はどんな防衛システムにも打ち勝つ能力があるミサイルを設計することに決めた。

アメリカとのミサイル防衛協力の約束は、NATOを拡大しない約束のように、もう一つの嘘であることが分かった。

嘘3:テロに対する同盟

9・11攻撃の後、ウラジミール・プーチンはジョージ・ブッシュに電話した世界で最初の指導者であった。そしてアメリカ国土で約3000人の死者に弔意を表した。しかもロシアの支援は安っぽい言葉だけではなかった。9月24日ストーンとカズニックの説明によるとプーチンは「アメリカのテロ戦争を支援する五つの計画を発表した。プーチンは情報を共有し、ロシア空域をアメリカに対して開放するだけではなく、中東の米軍配置にも便宜を与えることさえすると言った。」

とにかく、ロシアで同じ規模の攻撃が起こったとしたら、ワシントンからそのような寛大さが出てくると考えることは私には極めて難しい。思考実験として、例えば南米にロシア兵を供給するため、アメリカ空域を使ってロシアが輸送すると考えてみよう。どうしても私にはそんなことが起こりうるとは考えられない。

どもあれ9・11攻撃以来、ロシアと他の世界は「テロ戦争」と呼ばれるアメリカの悪夢に対して静かな観客であることを強いられた。(ジョージ・W・ブッシュが主要な悪人だと考える人々にとって、バラク・オバマは2010年だけで26000発以上の爆弾を落とし、ブッシュと同様に平和をかき乱す者であることが忘れ去られていた。)

米ロ反テロ同盟には多くの雑音があったにもかかわらず、ワシントンは、モスクワの支援が物理的で事前対策となるものではなく、もっと道徳的で弱められたものであるべきだと考えていたようだ。一方アメリカが破壊的で、極めて非民主的な体制転覆プログラムを押し進めたので、中東や北アフリカ諸国は、ドミノのように崩壊しつつあり、シリア戦線では未だにくすぶり続けている。このためロシアはアメリカの「テロに対決するパートナー」の主張が嘘であることを胸に刻んだのだ。

2015年9月、自国領土のイスラム国戦士に対して、シリア政府の軍事支援要請のもとにロシアは戦闘態勢に入ったのだ。ロシアが戦闘態勢に入る前、ISISはアメリカ主導軍に対して抵抗を示すだけでなく、利益が上がる石油輸出ビジネスを試みた。ロシアはすぐさまこの作戦を失敗させ、シリア軍がパルミラやアレッポを含むISISの主要拠点を解放するのを助けた。

シリアでISISを消滅させるのにロシア軍は大成功を収めたにもかかわらず、アメリカはかたくなにロシアを助けることを拒否した。

モスクワはワシントンに戦闘員の位置情報を与えて調整をはかった。それは偶発事故を避け、ISISやジャハート・アル・ヌスラと闘うグループへの偶発事故を防ぐためである。

アメリカは不可解にもこの調整を拒否した。

「結局シリアのテロリストは、活発に再編成し、緊張は再び高まった。こんなことは無制限に続かない」とロシア参謀本部部長バレリー・ゲラシモフは述べた。「ロシア防衛大臣はアメリカにテロリスト目標のリストを与えた」と付け加えた。

その時、ゲラシモフは停戦違反に関してアメリカの二重基準を非難した。

ゲラシモフは「彼らの意見では、戦闘員によるシリア政府軍やコミュニティへのミサイル攻撃は重要な停戦違反ではないということだ。しかしそれに応じたシリア軍による戦闘員への反撃は、反政府派への不適切な攻撃と直ちに宣言される」と述べた。

4月、トランプ政権はシリア軍事施設へのアメリカの最初の軍事攻撃を開始した。つまり、シリア政府軍が化学兵器を使ってイドリブ州市民を殺したという実証されない主張をもとに、シリア政府のアル・シャイラート空軍基地を攻撃した。

6年に及ぶシリア内戦の悲劇は、もしアメリカがシリアでテロに対するロシアの戦いに加わることを受け入れたら、多くの暴力や流血が避けられたはずだ。

そうせずにワシントンは、アメリカが主権国家を体制転覆しようとするのをロシアが妨害するので、ロシアを罰する道を選んだのだと思う。それが核兵器大国間のこの特別な関係で、アメリカがロシアを侮辱する真の理由である。想像上のアメリカ大統領選挙のハッキングとかロシアの侵略ではない。それはメディアのカモフラージュにすぎない。

後から私達がわかるのは、ジョージ・ブッシュとバラク・オバマと、今はドナルド・トランプも同様に嘘の糸でつながっていることだ。ブッシュが「テロへの戦争」を始めた。それはイラクのように全く潔白な国への戦いだけでなく、ABM(弾頭団迎撃ミサイル)制限条約からの離脱も含まれる。それは30年間核大国間の平和を維持させてきた。ブッシュは当時アメリカのヨーロッパにおけるミサイル防衛網の扉を開いた。それはルーマニアに実戦配備されが、弾道弾ミサイルに対抗して核弾頭に頼るかも知れないテロリストを阻止するためでは絶対になかった。

あからさまな嘘は、バラク・オバマでも止まらなかった。彼は大量破壊兵器から世界を解放すると熱く語っていた。しかし彼は一方で、すぐに攻撃に転化できるミサイル防衛システムを密かに導入していたのだ。

2016年6月17日、第20回ペテルブルグ国際経済フォーラムで、外国の会社や経済人と会合するウラジミール・プーチン。「我々はアメリカがロシアの核装備を脅かす新たなミサイルをいつ手に入れたか知っている」

「彼らはミサイル・システムが防衛能力の一部であり、攻撃用ではないと言う。これらのシステムは侵略から彼らを守ることを意図されたものである」と。それは事実ではない。プーチンは去年ペテルブルグの国際経済フォーラム(SPIEF)で言った。「戦略的弾道ミサイル防衛は、攻撃的ミサイルシステムと連結した攻撃的戦略能力と機能の一部である」と付け加えた。

「大きな危険」は、防衛ミサイルに使用される同じ発射装置が、「2・3時間で」設置できるトマホーク発射装置に転換できるとプーチンは述べた。これらのNATO連合軍がいる諸国政府は、そんなことであるとは全く知らないとも付け加えた。

ワシントンが弾道ミサイル防衛を東に移動しているのは「イランの核脅威に対抗するためだと主張するのは全く欺瞞だ。テヘランの核攻撃能力と言われるのは今は存在しない(これはオバマのおかげでもあるが)」とプーチンは述べた。

「だから彼らは今なぜルーマニアにミサイル防衛システムを設置するのか」とプーチンは問う。

その答えを強く示唆するものは、誰がホワイトハウスにいようが、陰の勢力(陰の国家もしくはSwampとも言うが)はアメリカとロシアの協力とかいうものに明らかに反対なのだ。しかしもしこれが修復されなければ、アメリカ中にあるロシア嫌いの波は、結局我々の時代の一大悲劇となる。そして、さらに真実は失われるだろう。


                       <翻訳:新見明>
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