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ガザ住民の強制移住:イスラエルの秘密計画を暴く

<記事原文 寺島先生推薦>
Gaza’s Forced Exodus: Unveiling Israel’s Secret Plan
筆者:ジェシカ・ブクスバウム(Jessica Buxbaum)
出典: INTERNATIONALIST 360°  2023年11月4日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年11月20日





 先週末、イスラエルの新聞『Local Call』は、イスラエル政府の公式文書をリークした。その内容は、イスラエルがガザに対する戦争で既に実行しようとしているとパレスチナ人が言っていること、つまり、ガザの230万人のパレスチナ人をエジプトのシナイ半島に強制移住させることを推奨しているものである。

 ベンヤミン・ネタニヤフ首相の事務局は、情報省の提案が存在することを認めた。しかし、『タイムズ・オブ・イスラエル』紙に寄せた声明では、それを「コンセプト・ペーパー(研究のための草稿)に過ぎず、政府や安全保障機関のどこでも準備されているものだ」と否定している。

 しかし、イスラエルの行動や、流布している情報や、国際的な支援は、すべてこの紙の上の政策が急速に現場の政策に移行しつつあることを示している。

政策草案から現実へ

 10月13日付の文書では、イスラエルが「(ガザの)民間人をシナイ半島に避難させる」ために、まずテント村を設置し、次にシナイ北部に新しい町を建設することを求めている。同文書は、移住後「エジプト国内に数キロの不毛地帯を作り、住民がイスラエル国境付近に戻って活動したり、居住したりすることを認めない」ことを推奨している。

 ネタニヤフ首相はすでにこの計画を実行に移そうとしている。『フィナンシャル・タイムズ紙』によると、イスラエル首相は先週、エジプトに圧力をかけてガザからの難民を受け入れるよう、ヨーロッパの指導者たちを説得しようとした。しかし、フランス、ドイツ、イギリスの外交官は、エジプトがガザからのパレスチナ人の移住を強く拒否していることを理由に、この案を却下した。

 その手段が失敗したため、ネタニヤフ首相は現在、世界銀行を通じてエジプトの債務の大部分を帳消しにし、エジプトにガザの住民を受け入れる誘因を与えるという提案していると報じられている。

 「この文書に書かれていることは、私たちがいま目にしていること全てです」、と国際人権弁護士ダイアナ・ブトゥは『ミントプレス・ニュース』に語った。

 計画の第一段階では、イスラエルによるガザ地区北部への空爆と、100万人を超える住民の南部への移動が詳述されている。第二段階の概要は、イスラエルによる地上攻撃であり、北部から始まり、全地域を占領する。

 「パレスチナ人をどんどん小さな地域に圧縮していくことは、最終的にこれら紙上の計画を実現するための最初の一歩に過ぎないかもしれません」と、人権団体「Democracy for the Arab World Now(DAWN)」のイスラエル/パレスチナ担当部長アダム・シャピロは『ミントプレス・ニュース』に語った。

 物議を醸している情報省の文書が、230万人のガザ住民のエジプトへの強制移送を推奨する唯一の政策文書ではない。イスラエルの安全保障シンクタンクMisgav(国家安全保障とシオニスト戦略研究所)は10月17日、Misgavの研究者アミール・ワイトマンが執筆した論文「ガザの全住民のエジプトへの再定住と最終的な復興計画:経済的側面」を発表した。ワイトマンはネタニヤフ首相率いるリクード党の活動家で、ギラ・ガムリエル情報相の側近と伝えられている。

 報告書は、「イスラエルは...(中略)できるだけ多くのガザ住民を他国に移住させるべきである。したがって、ガザの住民はシナイ砂漠に移され、避難民は他国で吸収されるべきだ」、と呼びかけている。



 Misgavはこの論文をX(旧ツイッター)で発表し、論文の主要な論点をまとめたツイートも掲載した。しかし広範な反発を受け、この投稿は削除された。

 元のツイートはこうだ。

現在、エジプト政府と協調してガザ地区全体を避難させる[ママ]またとない貴重な機会がある。イスラエル、エジプト、アメリカ、サウジアラビアの経済的・地政学的利益に合致していて、ガザ地区のアラブ系住民全体の再定住と人道的復興のための、即時かつ現実的で持続可能な計画が必要だ。

 • 2017年、エジプトには約1,000万戸の空き家があると報告されたが、そのうち約半分が建設されていて、あと半分が建設中である。
 例えば、カイロの2大近郊都市では......政府と民間が所有する膨大な量の建設済みアパートと空きアパートがあり、約600万人の住民が住むのに十分な建設区域がある。

 • 上記の2つの都市のうち1つで、5.14人からなる平均的なガザの家族が住む、面積95平方メートルの3部屋アパートの平均価格は約1万9000ドルである。現在わかっているガザ地区の全人口(約140万人から約220万人)を考慮すると、プロジェクトの資金調達に必要なエジプトへの送金額は、総額50億~80億ドル規模になると推定できる。

 • このような規模の刺激剤をエジプト経済に即座に注入することは、アル=シシ政権にとてつもなく大きな利益を即座にもたらすだろう。イスラエル経済との関係で言えば、この金額はごくわずかだ。この難題を解決するために数十億ドル(たとえ200億ドルでも300億ドルでも)を投資することは、革新的で安価かつ持続可能な解決策である。

 • この計画を実現するためには、多くの条件が同時に存在しなければならないことは間違いない。現在のところ、これらの条件は最適であり、このような機会が再び訪れるとしても、いつになるかわからない。

 続いてMisgavは、特別研究員のイシャイ・アルモニが10月19日に書いた「ハマス、ガザ住民の間で広範な支持を享受」と題するガザ関連の別の論文を発表した。

 この論文でアルモニは、ハマスが住民からかなりの支持を得ていることを詳述し、次のように書いている。

 「ガザ市民の大多数が和平を望み、ハマスに捕らわれていると主張されているが、過去20年間に収集されたデータや証拠は一貫して反対のことを示している。ハマスがガザの市民の間で広く支持されているのだ」。

 そして、「ガザ住民の大多数とハマスとの間に、明確なイデオロギー的・政治的区別が存在するという主張は、まったく根拠のないものである」と結論付けている。

 アルモニは、市民とハマスの過激派を混同しないよう明言しているが、ガザ住民の間でのハマスの人気は、「軍事作戦に関する決定や、ガザ地区における戦後の取り決めに関して」 考慮されるべきであると指摘している。

 これらのポジション・ペーパー(意見表明書)に関するコメントを『ミントプレス・ニュース』は求めたが、Misgav研究所から、回答は得られなかった。

 イスラエルの法律顧問であるイタイ・エプシュテイン(Itay Epshtain)は、Misgavの最近の文書に概説されている見解がすでに行動に移されていることをソーシャルメディアで説明した。



 イスラエル軍からガザ北部に投下されたビラによれば、南部に避難しない者はだれでもハマスの関係者とみなされる可能性があるという。

 さらに、Misgavの幹部はすでに政府の法案作成に欠かせない存在となっているようだ。Misgavは、イスラエルの安全保障分野で影響力のある人物であり、イスラエルとUAE、バーレーン、モロッコとの国交正常化取引の立役者の一人でもある、元ネタニヤフ首相国家安全保障顧問のミール・ベン・シャバトが率いている。Misgavはまた、現イスラエル政府の司法改革計画の背後にいることで悪名高いコヘレト政策フォーラム( Kohelet Policy Forum)からも資金提供を受けている。

 研究所の創設者や前理事長もイスラエル政府と関係がある。ヨアズ・ヘンデル前会長はイスラエルの通信大臣を務めた。モシェ・ヤアロンはネタニヤフ首相の下で国防相を務めた。モシェ・アレンスもイスラエルの国防大臣と外務大臣を務めた。ナタン・シャランスキーは内務大臣と副首相を務めた。

アメリカは「加担」している

 情報省の文書で重要なポイントのひとつは、追放計画に対する国際的な支援の必要性を強調していることだ。批評家は、西側の同盟国が既に行なっているものだと主張している。

 10月20日、ホワイトハウスはイスラエル、ガザ、ウクライナへの援助のために140億ドルの資金要求を議会に送った。この書簡の文言は、ガザ住民の他国への強制移住を示唆しているとして批判を浴びている。

 書簡にはこうある。

 「これらの資金は、ガザやヨルダン川西岸地区のパレスチナ難民を含む、避難民や紛争の影響を受けた市民を支援し、近隣諸国に逃れたガザ住民の潜在的なニーズに対応するものである。この危機は、国境を越えた避難民や、地域のより重要な人道的ニーズをもたらす可能性があり、資金はガザ以外での発展的なプログラム要件を満たすために使われるかもしれない。」

 DAWN(現代アラブ世界のための民主主義)は、ホワイトハウスの要求の文言を非難し、議会に対し、補正予算法案を否決するよう求めた。

 「バイデン政権は、単に民族浄化にゴーサインを出しただけでなく、それを資金援助しているのです」とDAWNのサラ・リア・ウィットソン事務局長は声明で述べた。「『人道支援』という名目で、アメリカ人を平然とだまし、イスラエルが長年温めてきたガザ過疎化計画を促進させることは、残酷で奇怪なでたらめです」。

 ホワイトハウスの要請は、戦争中にガザ住民が追放される可能性を認めたが、ジョー・バイデン米大統領は以前、この強制移住に反対することを主張していた。ホワイトハウスは、『ミントプレス・ニュース』が援助法案についてコメントを求めたのに、回答はなかった。

 「アメリカはイスラエルを支援し、人道的見地から破滅的な状況を作り出している」とDAWNのシャピロは『ミントプレス・ニュース』に語った。

 これまでアメリカは、イスラエルによるガザ攻撃の停戦要求を繰り返し拒否してきた。しかし、バイデンは最近、ハマスが拘束しているアメリカ人捕虜の解放を確保するための「一時停止」を提唱した。米国はまた、ガザへの地上侵攻についてイスラエル軍に助言するために軍幹部を派遣し、中東や東地中海地域での武器や兵力を増強してきた。その中には、装甲ジープや最新兵器のイスラエルへの輸送も含まれている。







 ネット上に出回っている映像には、イスラエルのガザ攻撃で使用された、白リン弾を含む米国製の武器も映っている。これらの砲弾は、白リン弾の供給で知られるアーカンソー州の化学兵器メーカー、パインブラフ・アーセナル社製だ。





 「世界の大多数はガザ攻撃に反対している。しかし、西ヨーロッパ、アメリカ、カナダはそうではない。」

 ブトゥは、アメリカがイスラエルによるガザのパレスチナ人強制移住に 「完全に加担している」と評し、こう言った。「これはイスラエルの計画であり、アメリカ、カナダ、ヨーロッパなども賛成することになる。」

 ガザの民族浄化を推進するイスラエルの政策文書は、この戦争が始まって以来、多くのイスラエルの政治家やメディアの識者が表明してきたことをそのまま反映している。

 イスラエルの国会議員であるアリエル・カルナーは、1948年のイスラエル建国時におこなわれたパレスチナ人の民族浄化(アラビア語で「ナクバ」または「カタストロフィ」として知られる)を、より大規模な形で繰り返すことを求めた。

 「現在、ひとつの目標がある! 1948年のナクバを上回るようなナクバを」とカルナーはXに書いている。

 イスラエルの元イタリア大使ドロール・アイダーは、イタリアのチャンネル『レテ4』とのライブ・インタビューで、ガザの完全破壊を呼びかけた。

 「私たちには、ガザを破壊し、絶対悪を滅ぼすという目的がある」、と彼は述べた。

 イスラエルがガザを絨毯爆撃し続けている時、そして、包囲されたガザに一片の人道支援さえも入り込ますまいとしているいま、もうひとつのナクバが、いや、間違いなくこの大量虐殺シリーズのもうひとつの章が、急速に実行されようとしている。

 「これは48年から続いていることなんだ。人々を立ち去らせるために、このようにゆっくりと滴り落ちている。そしてある時は、ゆっくりではなく、かなり急速に行なわれるのだ」、とブトゥは述べた。


この記事の筆者ジェシカ・ブクスバウムは、エルサレムを拠点にパレスチナ、イスラエル、シリアを取材する『ミントプレス・ニュース』のジャーナリスト。『Middle East Eye』、『The New Arab』、『Gulf News』などに寄稿。
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