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新たな世界大戦への準備:ナチス・ニッポン枢軸の再構築

<記事原文 寺島先生推薦>
The Preparation of a New World War: Reconstituting the Nazi-Nippon Axis
筆者:ティエリ・メイサン(Thierry Meyssan)
出典:INTERNATIONALIST 360°  2023年3月28日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>  2023年10月3日


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岸田首相、キエフに支援を申し出る


 米国は欧州連合(EU)の同盟国に対し、第三次世界大戦に備えるよう促している。「トゥキディデスの罠*」から抜け出して勝利したいのであれば、同盟国は第三次世界大戦に参戦するしかない。南米、アフリカ、アジアの多くの国家が「中立」を宣言する一方で、この騒ぎが同盟国を「味方につけておく」ためのただの演出にすぎないのでなければ。いま、この軍靴の音が日本の軍国主義者たちを煽り立てている。彼らは、ウクライナの「過激な民族主義者」たちのように、また戻ってきたのだ。
*古代アテナイの歴史家トゥキュディデスにちなむ言葉で、従来の覇権国家と台頭する新興国家が、戦争が不可避な状態にまで衝突する現象を指す。アメリカ合衆国の政治学者グレアム・アリソンが作った造語。(ウィキペディア)

 多極化世界の提唱者たちによる進展に直面し、「アメリカ帝国主義」の擁護者たちの反応は鈍くない。ここでは、ヨーロッパ共同市場の軍事構造への転換と、第二次世界大戦中の枢軸国の改革という2つの作戦を分析する。この第二の側面は、新たなアクターを登場させる: 日本である。


欧州連合の変化

 1949年、アメリカとイギリスは北大西洋条約機構(NATO)を創設した。NATOにはカナダと、西ヨーロッパで解放した国々が含まれていた。NATO諸国にとっては、自国を守ることではなく、ソ連への攻撃を準備することが問題だった。ソ連は、ワルシャワ条約機構を創設することで対抗した。

 1950年、朝鮮戦争が始まると、アメリカは紛争をドイツ民主共和国(通称「東ドイツ」)まで拡大することを計画した。そのためには、フランス、ベルギー、ルクセンブルクの反対にもかかわらず、ドイツ連邦共和国(通称「西ドイツ」)を再武装させる必要があった。そのため、彼らは欧州防衛共同体(EDC)の創設を提案したが、ゴーリストとフランス共産主義者の抵抗に遭い、失敗に終わった。

 同時に彼らは、マーシャル・プランによって西ヨーロッパの再建を支援した。この計画には、ヨーロッパ共同市場の建設を含む多くの秘密条項が含まれていた。ワシントンは西ヨーロッパを経済的に支配し、かつ共産主義の影響やソ連の帝国主義から政治的に守りたかったのだ。欧州経済共同体(後の欧州連合)は、軍事面ではNATOを擁するアメリカの建前上の民間側を形成している。欧州委員会は、欧州連合における国や政府の首脳の行政機関ではなく、首脳と大西洋同盟との接点である。軍備や建設だけでなく、装備、衣服、食料などに関する欧州の基準は、最初はルクセンブルクで、次にベルギーで、NATO諸機関によって制定される。それらは欧州委員会に送られ、現在は、欧州議会で承認される。

 ソビエト連邦が崩壊しつつあった1989年、フランスのフランソワ・ミッテラン大統領とドイツのヘルムート・コール首相は、西ヨーロッパをアメリカの支配から解放し、ワシントンに対抗できるようにしようと考えた。この条約の交渉は、ドイツ四分割占領の終結(1990年9月12日)、両ドイツの再統一(1990年10月3日)、ワルシャワ条約(政治部門)の解消(1991年7月1日)と時期が同じだった。ワシントンは、マーストリヒト条約*がアメリカの軍事支配を認めるという条件で、この条約を受け入れた。西ヨーロッパ諸国もこの原則を受け入れた。
*1991年12月、オランダのマーストリヒトにおけるEC(欧州共同体)首脳会議で合意された欧州連合条約の通称。ECの経済・政治統合の推進を目的として、EU(欧州連合)の創設、経済・通貨同盟の設定、共通の外交・安全保障政策、欧州市民権などを規定。のちにアムステルダム条約やニース条約へ発展した。

 しかし、ワシントンはミッテラン・コールのペアに不信感を抱き、土壇場でEUにワルシャワ条約の旧加盟国すべて、さらには旧ソ連から生まれた新しい独立国家を含めるよう要求した。これらの国々は、マーストリヒト交渉団の願望を共有していなかった。実際、これらの国々は交渉団を疑っている。これらの国々はドイツとロシアの影響から自由になりたいと考えているのだ。彼らは自国の防衛を「アメリカの傘」に頼っている。

 2003年、ワシントンはスペインのEU議長国(社会党のフェリペ・ゴンサレス)とハビエル・ソラナ共通外交・安全保障政策上級代表を利用して、ジョージ・W・ブッシュ米大統領の国家安全保障戦略に倣った「欧州安全保障戦略」を採択させた。フェデリカ・モゲリーニ上級代表は2016年にこの文書を改訂した。

 2022年、ウクライナ戦争中、米国は朝鮮戦争の時と同様に、ロシア(ソ連の後継国)に対するドイツの再軍備の必要性を再び感じた。そこで彼らは、今度は慎重にEUを変革しようとしている。フランスのエマニュエル・マクロン大統領の任期中に、彼らは「戦略的羅針盤」を提案した。これが採択されたのは、ロシアのウクライナ介入からわずか1カ月後のことだった。EU加盟国は、協力するのか、それとも統合するのか、いまだに正確にわかっていないからだ。(ヘンリー・キッシンジャーが言うところの「建設的曖昧さ」だろう。)

 2023年3月、ジョゼップ・ボレル現欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表は、第1回「安全保障と防衛に関するロバート・シューマン・フォーラム」を開催した。EU加盟国の国防相や外相が多数参加している。親米派の非EU欧州諸国に加え、アンゴラ、ガーナ、モザンビーク、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、ソマリア、エジプト、チリ、ペルー、グルジア、インドネシア、日本など、多くの国々が閣僚レベルで参加している。NATOに加え、ASEAN、湾岸協力会議、アフリカ連合も参加している。とりわけアラブ連盟は事務総長を派遣する。



 このフォーラムの明確な目的は、「多国間主義と規則に基づく国際秩序」を擁護することであり、また「国際法に基づく多極化世界」というロシアと中国の事業計画を糾弾する上品な方法でもある。

 COVIDの流行に伴い、欧州連合は既存の条約で予想されていなかった健康分野における権限をすでに自分のものとしている。私はこの流行の冒頭で、健康な人々の監禁という措置は歴史上前例がないと説明した。この措置は、ギリアド・サイエンシズの前代表であり、ドナルド・ラムズフェルド前国防長官の要請により、CEPI(Coalition for Epidemic Preparedness Innovations)の監督者となったリチャード・ハチェット博士によって考案されたものであり、世界的にこの措置を開始した人物である[1]。残念ながら、この報告書が引き起こした反応からしか知ることができないが、2005年の彼の機密報告書によれば、健康な一般市民を自宅に閉じ込めることで、移転可能な仕事を特定し、西側諸国の消費財産業を閉鎖し、労働力を防衛産業に集中させることになっていた。しかし、欧州連合はまだその段階には達していないが、既存の条約で予想されていなかった公衆衛生権限を自分のものとし、何の抗議も引き起こすことなく、今、軍事大国になれるように条約の文面解釈の作業中である。

 先週のシューマン・フォーラムで、ジョゼップ・ボレルは「戦略指針」の実施に関する最初の報告書を発表した。この構想は、情報機関を含む各国の軍隊を、協力ではなく統合の精神で調整することである。エマニュエル・マクロンの事業計画は、シャルル・ドゴールとフランス共産党の事業計画を葬り去った。「国防のヨーロッパ」は今や、EU加盟国の作戦部隊を欧州連合軍最高司令官(SACEUR)、現在のクリストファー・G・カヴォリ米大将の権限下に置くだけでなく、以前は各国議会の責任であったすべての資金調達に関する決定、さらには加盟国の行政機関の責任であった軍備や組織に関する決定を掌握することを目的とした活動理念のように見える。こうして連邦は、誰が指揮を執るのかわからないまま、共通の軍隊を組織することになる。


ナチス・日本枢軸の再構築

 第二次世界大戦といえば、ヨーロッパでは1939年と1945年を思い浮かべる。これは絶対に間違っている。戦争は1931年、日本の将兵が満州で中国兵を攻撃したことから始まった。これは軍国主義派による日本の文民権力の最初の行き過ぎであり、その数ヵ月後、軍人集団による文民首相の暗殺によって増幅された。数年後、日本は軍国主義的で拡張主義的な大国へと変貌した。この戦争は、1945年のソ連赤軍による満州解放では終わらなかった。実際、アメリカは日本のソ連への降伏を阻止し、降伏が自国の将兵の前でしか行なわれないようにするため、2発の原爆を使用した。1946年まで戦い続けたのは、それまで太平洋であまり戦ってこなかったアメリカに降伏することを多くの日本人が拒んだからだ。第二次世界大戦は1931年から1946年まで続いた。もし我々がこのような日付の間違いを犯すとすれば、その理由は、ローマ・ベルリン・東京枢軸国(「三国同盟」)が、ハンガリー、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアがすぐにそれに加わったことで、初めてグローバル化したからである。

 枢軸国の根底にあったのは、メンバーの利害の不一致ではなく、強さという妄信だった。今日、枢軸を改革するためには、この妄信を共有する人々を団結させなければならない。

 1946年にアメリカが日本を占領したとき、最初に考えたのは、日本から軍国主義的な要素を一掃することだった。しかし、朝鮮戦争が勃発すると、アメリカは共産主義と戦うために日本を利用することを決めた。当時、進行中だった裁判を終わらせ、5万5千人の高官を免罪した。ヨーロッパにおけるマーシャル・プランに相当するドッジ・プランを実施したのだ。この政策変更の幸運な受益者の一人が池田勇人で、彼は首相に就任し、日本経済を回復させた。彼はCIAの助けを借りて自由民主党を結成した。この政党から安倍晋三首相(2012-20年)と後継者の岸田文雄(2020年-)が誕生した。

 岸田はこのほどウクライナを突然に訪問した。戦争が始まって以来、アジアの首脳がウクライナを訪問するのは初めてである。彼はブチャの集団墓地を訪れ、「ロシアによる虐待」の犠牲者の家族に哀悼の意を表した。多くの分析家は、この訪問は日本で開催されるG7サミットの準備だと解釈している。ただし、それがはるかに先を行く可能性はある。

 岸田文雄首相とヴォロディミル・ゼレンスキーは最終コミュニケで、「欧州大西洋とインド太平洋の安全保障の不可分性」と「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調している。彼らにとっては、ウクライナをロシアから守るだけでなく、日本を中国から守ることも問題なのだ。このコミュニケは、ウクライナの「完全な民族主義者」[2]であるナチスの後継者たちと、昭和時代の民族主義者の後継者たちとの新たな同盟の基礎を築くものである。今日のウクライナは、人種差別を明文化した憲法を持つ世界で唯一の国家である。1996年に採択され、2020年に改正されたこの憲法は、第16条で「ウクライナ人の遺伝的遺産の保存は国家の責任である」と述べている。ウクライナのナチス首相ヤロスラフ・ステツコの未亡人がこの条項を書いている。

 対照的に、日本国憲法は第9条で戦争を放棄している。しかし、安倍晋三と岸田文雄はこの条項を撤廃するための闘いを始めた。とりわけ、殺傷力のある防衛装備品の移転は不可能であるため、岸田はキエフに約71億ドルの人道的・財政的援助を申し出た。彼が今週できたのは、殺傷力のない軍備に関して、3000万ドル相当の備蓄品の出荷を発表することだけだった。

 このような日本の再軍国主義化は、すでにウクライナを支持する側にいるワシントンによって支持されている。ラーム・エマニュエル駐日米国大使は、「岸田首相は、ウクライナの人々を守り、国連憲章に謳われた普遍的価値を促進するために、ウクライナへの歴史的訪問の最中だ......約900キロ離れたモスクワでは、別の、より邪悪な協力関係が形成されつつある」(プーチン-習近平首脳会談を指す)とツイートした。

 一方、中国外務省の王維斌報道官は逆に、首相の外遊について「日本が事態の宥和を求めることを望むが、その逆ではない」と述べた。ロシア側は、戦略爆撃機2機を約7時間にわたって日本海上空に飛ばした。


翻訳:ロジャー・ラガセ

この記事は「中東は西側から脱却しつつある」(2023年3月14日)の次のものである。

[1] 「Covid-19と赤い夜明けの電子メール」、ティエリ・メイサン著、ロジャー・ラガセ訳、ヴォルテール・ネットワーク、2020年4月28日。
[2] 「ウクライナの完全な民族主義者とは何者か」、ティエリ・メイサン著、ロジェ・ラガセ訳、『ヴォルテール・ネットワーク』、2022年11月15日
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