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上海協力機構(SCO)を補完する「7つの枢軸」

<記事原文 寺島先生推薦>
An “Axis of Seven” to supplement SCO
筆者:M.K.バドラクマール
出典:INDIAN PUNCHLINE 2023年6月2日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>   2023年7月29日


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中国・中央アジアサミットにおける中国・中央アジア人民文化芸術年の開幕(西安、2023年5月18日)


 ロシアの日刊紙『ネザヴィジマヤ・ガゼータ』は、西安で開催される中国・中央アジア首脳会議の前夜に、「中国は中央アジアとの協力の形式を変えようとしている」と題する報道を掲載した。同記事は、5月18日から19日に西安に集まる6カ国の首脳が、「各分野における協力のための新しい仕組みの構築と重要な政治文書の署名」について話し合うだろうと予想した。

 同紙は、西安サミットは5月9日(ロシア戦勝記念日)にモスクワで行われたプーチン大統領と中央アジア5カ国の首脳との会談の文脈でとらえるべきだとした。プーチンは西安での行事に出席していないが、明らかにロシアの利益は考慮されている。

 形成されつつある新しい「5プラス2軸」は、上海協力機構(SCO)や一帯一路構想、ユーラシア経済連合共同体とは異なる独自の仕組みと見通しを持つことになる。西安サミットでは、「協力とそれを実行する機構の機能を包括的に促進するため」に、事務局を通じて中央アジア・中国間の話し合いを制度化する可能性が検討された。もちろん、中央アジア諸国の上意下達型の意思決定の特徴を考えれば、中国・中央アジア形式の首脳協議会合(隔年開催)の仕組みは、この地域の安全、安定、持続可能な発展を確保する上で重要な要素となる。

 上海協力機構(SCO)が、インドの参加後、ますます「抽象的」になり、目的もなく蛇行し始めた今、中国と中央アジア諸国、そしてロシアが、共通の空間において、より効果的な仕組みや計画を構築し、新たな協力の質を伝え合い、必要に応じてSCOを補完する必要性を感じたことは、十分に考えられることである。

 SCOの機能には対立の要素が入り込んでいる。特にインドは、この点において自己反省をする必要がある。確かに、2005年に中国とロシアが上海ファイブ(後にSCOに変化)を結成したとき、このような状況は念頭になかった。意思決定における合意形成はSCOの機能の中核的な原則として採用されたが、最近では、二国間の相違や紛争に起因する負債を解決しようとする競争心が忍び寄っている。最近デリーで開催されたSCO外相会議では、インドとパキスタンが険悪な対立を繰り広げ、「上海精神」が損なわれているのを、中央アジア諸国やロシア、中国が黙って見守る状況が生じた。

 南アジア地域協力連合(SAARC)の悲劇的な例もある。SAARCはここ10年の間に同じような心的外傷に苦しみ、最終的には葬り去られようとしている。しかし、ロシアと中国はSCO(上海協力機構)にそのような悲劇的な運命をもたらすわけにはいかない。米国のロシアと中国に対する二重の封じ込め戦略と、NATOのアジアへの拡大が目前に迫っていることから、内陸アジアという共通の空間において、結束力があり、意欲的で、うまく調整された地域協力の措置を利用できるようにすることが決定的に重要である。

 これまでは、ロシアは政治的統合の強化に取り組み、中国は本格的な経済拡大の枠組みの中で、エネルギーや産業基盤の開発のために中央アジア諸国の政府と組織的かつ強力に交流していた。このような役割分担は比較的うまくいっていたが、その後、この地域の安全保障環境は劇的に変化した。

 例えば、ロシアとヨーロッパとのエネルギー関係の断絶という状況の中で、モスクワにとって石油とガスの輸出を中国市場に振り向けることが不可欠となり、そのためには中央アジアの交通機関の基盤が必要となる。さらに中央アジア諸国の国家計画の高度な調和と同期化が必要であることは言うまでもない。現在、人口7500万人の中央アジア地域には、合意された共通戦略がない。一帯一路(the Belt and Road)」事業はロシアの利益を十分に考慮しておらず、ユーラシア経済連合(the Eurasian Economic Union)事業との仲立ちも、制度的な弱点があるため、十分な規模の相互作用を提供することはできない。

 確かに、西安サミットに向けて、中央アジア諸国の首脳は周到な準備を行い、重要な提案の組み合わせを提示した。こうして、新疆ウイグル自治区や中央アジアとアフガニスタン、パキスタン、イランを結ぶ極めて戦略的な中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道の建設工事は、線路の幅の測り方をめぐるいざこざで20年ほど遅れていたが、現在、着工の準備が整いつつある!

 当然のことながら、地域の安全保障を除けば、西安サミットで最も注目された話題は接続性の問題だった。

 前向きな要因は、カザフスタンの「一帯一路構想(BRI)」への関与が深まっていることだ。中国とカザフスタンは、輸送・物流、工業・農業、エネルギー、観光などの分野を網羅する総額210億ドルを超える52のBRI投資計画の項目を効果的に実施している。6本のBRI回廊のうち2本がカザフスタンを通り、中国とヨーロッパ、イランと西アジアをそれぞれ結んでいる。これらのBRI回廊は、中央アジアのほとんどの経済にとって重要である。それは中央アジア諸国に対して、中国が最も近い海港を提供できる国だからだ。そのため、カザフスタンは中央アジアに入るための潜在的な集約地点となっている。

 西安サミットではまた、カザフ-中国鉄道のアヤグズ-タチェン間の開通の重要性についても触れられ、トルクメニスタン-中国ガス輸送管の4号線建設の加速が求められた。タチェン地域には石炭、花崗岩、金、銅、鉄鉱石など多くの鉱物資源が埋蔵されている。

 西安サミットの傍ら、中国の習近平国家主席は中央アジア地域の5首脳それぞれと会談を行った。西安サミットの前夜、中国の報道機関は中央アジアを、「一帯一路」事業の「入り口」と呼んだ。というのも、習近平が2013年に立ち上げた一帯一路構想は、カザフスタンから始まったものだったからだ。一帯一路をめぐっては、アメリカやインドが情報方面でさまざまな脅しをかけているが、中央アジア諸国には影響がないようだ。北京が「一帯一路」構想の10周年に率先して第1回中国・中央アジア首脳会議を開催したことは象徴的だ。

 同様に、中国はパキスタンとアフガニスタンを中央アジアのBRI産業基盤建設計画と結びつけたいと考えている。その第一歩として、中国とパキスタンは最近、中国・パキスタン経済回廊をアフガニスタンまで延長することで合意した。これは、西安での中国・中央アジア首脳会議の2週間前、5月5日にイスラマバードで開催されたパキスタン・アフガニスタン・中国閣僚会議の主な成果である。中国がカブールのタリバン政権への関与を強化させない限り、中国・中央アジアの勢いが最高潮に達しないのは明らかだ。
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