プリゴジンのクーデター:CIAを怯えさせたロシア連邦保安庁
<記事原文 寺島先生推薦>
FSB Spooked the CIA on Prigozhin Coup
筆者:M. K. バドラクマール(M. K. Bhadrakumar)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年6月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月5日

CNNに続いてニューヨーク・タイムズ紙が日曜日(6月25日)に報じたところによると、アメリカと西側の諜報機関は、ロシアの軍事請負会社ワグナー・グループのトップであるエフゲニー・プリゴジンが金曜(6月23日)の夜に起こしたクーデターの失敗を「かなり以前から知っており、武器や弾薬を大量に用意するなど、そのような動きに備えていた」のだという。
私たちが知らないのは、ロシアの諜報機関がどの時点でそれを知ったかである。クレムリンは、クーデターの企てを数時間以内に阻止するために、リアルタイムで、力強く、断固として、先見の明をもって行動した。土曜日(6月24日)の夕方までに、対外情報長官セルゲイ・ナリシキンはクーデター未遂は失敗したと発表した。ロシア当局はプリゴジンが動き出すのを待っていたのだ。
ロシアの諜報機関がワグナーのテントの中でずっと存在感を示していたのは当然のことだ。ロシアの命運がかかった戦場なのだから。スティングの有名な曲の歌詞が頭に浮かぶ: 君が息をするたび/君がする一挙手一投足/君が壊す絆/君が踏み出す一歩一歩/僕は君を見てるよ...」。
そしてコーラスはこう歌う。/ あなたが一歩踏み出すたびに/私の惨めな心はどんなに痛むことか...」。
CIAやほとんどの諜報組織がそうであるように、ロシア連邦保安庁(FSB)もまた、深遠な意味を求めて標的の発言を精神分析する。彼らは日常的にそれを行っており、そのためだけに訓練を受けた分析官がいる。
昨年秋から冬にかけてドネツクでプリゴジンがわめき散らしたのは、当初はドネツク州でのバフムート戦線の作戦面に関するものだったが、次第に政治的な含みを帯びるようになり、ついには2022年2月以降のウクライナでの特別軍事作戦の存在意義はすべてでたらめだという信じられないような発言に至ったことは、ロシア情報機関の分析官の注意を逃れることはできなかっただろう。
さらに奇妙なことに、バフムートの戦いを実際に目撃したこの人物(プリゴジン)は、キエフやNATOはドンバスやロシアに対して悪意はないという奇妙な結論に達した。
したがって、ここで『知られている既知の事実』とは、ワグナーが運転席に座っていたバフムートの戦いでは、ロシアの諜報機関は『聞き耳モード』で、渦に自由な流れを与えるよう指示されていたということだ。(しかし、興味深いことに、ある時点で、プリゴジンを困らせたモスクワは、ワグナーの戦闘員と一緒に、バフムート戦線に正規軍を選択的に配備し始めたのである)。
土曜日(6月24日)には、ロシア当局がプリゴジンのクーデター未遂をつぶすための工程表を用意して待っていることが明らかになり、アメリカ情報当局のトップがメディアに説明するために行動を開始した。チェチェン民兵も待機させられた。
プリゴジンと交わされた取引における重要な要素は、彼が訴追されることなく、ただ行方不明になることである。そして、惑星地球上で、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の慈悲深い目の下にあるベラルーシ以外のどこに、彼の亡命先が用意されているだろうか?
さて、プーチンが「知る必要がある」という理由でルカシェンコに秘密を打ち明けたのは一体いつなのか、彼は長い間秘密を守るのに苦労しているから、いずれ知ることになるかもしれない。このような複雑な取り決めが、モスクワ、ミンスク、ロストフ・オン・ドン*の3者間の紆余曲折を経た交渉を通じて、数時間のうちに可能だったというのは、反逆のワグナー隊がモスクワに接近しているときでさえ、信憑性を疑わせる。
*ワグナー傭兵団が軍事施設を占拠したロシア南部の最大の都市。ウクライナとの国境からわずか100キロメートル(60マイル)の距離にある。
ここで興味深い補足的な話がある。それは、こうした激しい往来の中でルカシェンコはヌルスルタン・ナザルバエフとも交渉したということである。彼はカザフスタンの元独裁者で、アスタナで親西側政権を率い、30年近く在位した後に失脚した人物である。2021-2022年冬の事だが、米国が支援した同様のクーデター計画がプリゴジンのように失敗し、それもロシアの将軍が率いるCSTO軍 (ロシア軍) の支援を受けて鎮圧されていた。
実は前日、プーチンはカザフのジョマルト・トカエフ大統領とウズベクのシャフカト・ミロモノビッチ・ミルジヨエフ大統領という中央アジアの2人の指導者と会談していた。何か重要な情報を共有したのだろうか? 実際、この両国は最近、西側の政権交代の陰謀に直面している。ところで、モスクワがウクライナに気を取られていることから、中国の習近平国家主席は中央アジア地域の安定と安全保障を強化するため、実務的な役割に踏み切った。(私の最近の記事を参照してください—「中国は中央アジアで指導的役割を果たす」、「SCOを補完する「7軸」」、「ロシア、中国はパミールとヒンズークシを総合的に見ている」。
ロシアと中国に挟まれ、中央アジアの地政学的に最も重要な不動産であるカザフスタンで、何かが進行中であることは明らかだ。
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は(6月)11日、ABCの番組で、ロシアで起きたクーデター未遂事件の状況は「まだ発展途上である...推測はしたくないし、最終回を見たとも思わない」と語ったが、この発言はおそらくそうしたものだろう。とはいえ、ブリンケンのロシアに対する評価は、一貫してひどく間違っている記録を積み重ねてきた。それは、「地獄からの制裁」 がロシア経済に与えると予想されていた致命的な打撃、から始まり、プーチンの権力掌握、ウクライナにおけるロシアの壊滅的な敗北、ロシア軍の欠陥、キエフの不動の軍事的勝利、といったものである。
この場合、ブリンケンが苦々しく思う理由がある。というのも、特にロシア国家、政治エリート、メディア、地方官僚、連邦官僚、そして軍と安全保障機構がプーチンの後ろ盾として結集し、目を見張るような団結を見せているからだ。一方でアメリカは、プーチンの政治的地位は今やロシアで揺るぎなく、難攻不落のものとなっており、アメリカ人はジョー・バイデンがこの舞台から去った後も、ずっとこの現実を背負って生きていかなければならない。
今後のこと
クレムリンは非常に思慮深い戦略を採用している。これまでのところ、入手可能な詳細から、それには次の5つの重要な要素がある:
1.最優先事項は、流血を避けることであり、それによって生活が前進し、転換期を迎えているウクライナでの戦争に焦点が当てられるようにすることである;
2.即座に、数少ないワグナーの反乱軍兵士とプリゴジンをロストフ・オン・ドンから去らせ、ルガンスクのキャンプに帰還させること;
3.プリゴジンをワグナーグループの他のメンバーから実質的に引き離すこと(実際、ワグネルの指揮官や将校は一人も彼の反乱に加わっていない);
4.ワグナー・グループの大部分(もちろんクーデター参加者を除く)に免責を与え、国防省への正式な統合を促進する。つまり、ワグナー・グループを国防省(と無名の極秘内部安全保障機関)が創設した理屈は今でも通用するが、もはや準国家軍ではなく、居住地と名称を持ち、プリゴジンのような自由奔放な占い師ではなく、指名されたプロの軍司令官が率いることになる)。
5.プリゴジンをベラルーシに向かわせることは、彼がプーチン(彼はオリガルヒのベラルーシへの安全な通過に同意した)に慈悲を求めるべきだと理解すれば、難しいことではなかった。
最後の要素は実に魅力的だ。クレムリンはプリゴジンの扇動的な行動に非常に腹を立てているが、おそらく情報に基づいて、彼が西側勢力に操られていることにも気づいている。もちろん、その代償は大きい。プリゴジンは、12億ドル(約1700億円)の個人資産を持つオリガルヒとしての威光や、彼が送っていた素晴らしい生活の仕方を取り戻すことはないだろう。
しかし、少なくともこの62歳のオリガルヒは、20年の懲役刑を免れた。これは、プーチンのオリガルヒ全般に対する扱いと同じである。(私の書いた記事「ロシアのオリガルヒの栄枯盛衰」を読んでほしい)。
* 訳註:本サイトに邦訳があります。「ロシア・オリガルヒの興亡」
遅かれ早かれ、ルカシェンコはプリゴジンに歌を歌わせ、その歌はクレムリンに生中継されるだろう。そしてそれはワシントンの大きな神経過敏の原因となっている。彼らはロシアを不安定化させようとするCIAの策略から注意をそらすために核戦争などの不安を煽っているからだ。熱意あふれるロシア外相セルゲイ・ラブロフはこれを「激動の意識の流れ」と呼んでいる。
確かに、CIA-MI6-プリゴジンの陰謀が失敗した今、その残骸から、灰の中から不死鳥のように新しい西側の物語が生まれるだろう。そして、インドのメディアを含め、海外に眠るアメリカの細胞は、そのシナリオをオウム返しするだろう。
しかし、それも長くは続かない。この先に待ち受けているのは、ウクライナ危機の全面的な軍事的解決を目指すというクレムリン(そしてプーチン自身)の固い決意の現れだからだ。プーチンは先週―おそらく地平線上に吹き荒れる嵐を見越して―、戦場からウクライナ軍がいなくなり、NATOの武器もなくなれば戦争は終わると宣言した。
先週の木曜日(6月22日)、プリゴジンのクーデター未遂の直前、プーチンが安全保障理事会(ポストソビエト・ロシアの「政治局」)の全定数と行ったビデオ会議の公式記録を読めば、クレムリンの雰囲気がわかり、今後のウクライナの戦場で何が予想されるかを知る手がかりになるだろう。それは、「集団的西側」に対して、何事も忘れ去られることはないという大きな事前通告である。
FSB Spooked the CIA on Prigozhin Coup
筆者:M. K. バドラクマール(M. K. Bhadrakumar)
出典:INTERNATIONALIST 360° 2023年6月26日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ> 2023年7月5日

CNNに続いてニューヨーク・タイムズ紙が日曜日(6月25日)に報じたところによると、アメリカと西側の諜報機関は、ロシアの軍事請負会社ワグナー・グループのトップであるエフゲニー・プリゴジンが金曜(6月23日)の夜に起こしたクーデターの失敗を「かなり以前から知っており、武器や弾薬を大量に用意するなど、そのような動きに備えていた」のだという。
私たちが知らないのは、ロシアの諜報機関がどの時点でそれを知ったかである。クレムリンは、クーデターの企てを数時間以内に阻止するために、リアルタイムで、力強く、断固として、先見の明をもって行動した。土曜日(6月24日)の夕方までに、対外情報長官セルゲイ・ナリシキンはクーデター未遂は失敗したと発表した。ロシア当局はプリゴジンが動き出すのを待っていたのだ。
ロシアの諜報機関がワグナーのテントの中でずっと存在感を示していたのは当然のことだ。ロシアの命運がかかった戦場なのだから。スティングの有名な曲の歌詞が頭に浮かぶ: 君が息をするたび/君がする一挙手一投足/君が壊す絆/君が踏み出す一歩一歩/僕は君を見てるよ...」。
そしてコーラスはこう歌う。/ あなたが一歩踏み出すたびに/私の惨めな心はどんなに痛むことか...」。
CIAやほとんどの諜報組織がそうであるように、ロシア連邦保安庁(FSB)もまた、深遠な意味を求めて標的の発言を精神分析する。彼らは日常的にそれを行っており、そのためだけに訓練を受けた分析官がいる。
昨年秋から冬にかけてドネツクでプリゴジンがわめき散らしたのは、当初はドネツク州でのバフムート戦線の作戦面に関するものだったが、次第に政治的な含みを帯びるようになり、ついには2022年2月以降のウクライナでの特別軍事作戦の存在意義はすべてでたらめだという信じられないような発言に至ったことは、ロシア情報機関の分析官の注意を逃れることはできなかっただろう。
さらに奇妙なことに、バフムートの戦いを実際に目撃したこの人物(プリゴジン)は、キエフやNATOはドンバスやロシアに対して悪意はないという奇妙な結論に達した。
したがって、ここで『知られている既知の事実』とは、ワグナーが運転席に座っていたバフムートの戦いでは、ロシアの諜報機関は『聞き耳モード』で、渦に自由な流れを与えるよう指示されていたということだ。(しかし、興味深いことに、ある時点で、プリゴジンを困らせたモスクワは、ワグナーの戦闘員と一緒に、バフムート戦線に正規軍を選択的に配備し始めたのである)。
土曜日(6月24日)には、ロシア当局がプリゴジンのクーデター未遂をつぶすための工程表を用意して待っていることが明らかになり、アメリカ情報当局のトップがメディアに説明するために行動を開始した。チェチェン民兵も待機させられた。
プリゴジンと交わされた取引における重要な要素は、彼が訴追されることなく、ただ行方不明になることである。そして、惑星地球上で、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領の慈悲深い目の下にあるベラルーシ以外のどこに、彼の亡命先が用意されているだろうか?
さて、プーチンが「知る必要がある」という理由でルカシェンコに秘密を打ち明けたのは一体いつなのか、彼は長い間秘密を守るのに苦労しているから、いずれ知ることになるかもしれない。このような複雑な取り決めが、モスクワ、ミンスク、ロストフ・オン・ドン*の3者間の紆余曲折を経た交渉を通じて、数時間のうちに可能だったというのは、反逆のワグナー隊がモスクワに接近しているときでさえ、信憑性を疑わせる。
*ワグナー傭兵団が軍事施設を占拠したロシア南部の最大の都市。ウクライナとの国境からわずか100キロメートル(60マイル)の距離にある。
ここで興味深い補足的な話がある。それは、こうした激しい往来の中でルカシェンコはヌルスルタン・ナザルバエフとも交渉したということである。彼はカザフスタンの元独裁者で、アスタナで親西側政権を率い、30年近く在位した後に失脚した人物である。2021-2022年冬の事だが、米国が支援した同様のクーデター計画がプリゴジンのように失敗し、それもロシアの将軍が率いるCSTO軍 (ロシア軍) の支援を受けて鎮圧されていた。
実は前日、プーチンはカザフのジョマルト・トカエフ大統領とウズベクのシャフカト・ミロモノビッチ・ミルジヨエフ大統領という中央アジアの2人の指導者と会談していた。何か重要な情報を共有したのだろうか? 実際、この両国は最近、西側の政権交代の陰謀に直面している。ところで、モスクワがウクライナに気を取られていることから、中国の習近平国家主席は中央アジア地域の安定と安全保障を強化するため、実務的な役割に踏み切った。(私の最近の記事を参照してください—「中国は中央アジアで指導的役割を果たす」、「SCOを補完する「7軸」」、「ロシア、中国はパミールとヒンズークシを総合的に見ている」。
ロシアと中国に挟まれ、中央アジアの地政学的に最も重要な不動産であるカザフスタンで、何かが進行中であることは明らかだ。
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は(6月)11日、ABCの番組で、ロシアで起きたクーデター未遂事件の状況は「まだ発展途上である...推測はしたくないし、最終回を見たとも思わない」と語ったが、この発言はおそらくそうしたものだろう。とはいえ、ブリンケンのロシアに対する評価は、一貫してひどく間違っている記録を積み重ねてきた。それは、「地獄からの制裁」 がロシア経済に与えると予想されていた致命的な打撃、から始まり、プーチンの権力掌握、ウクライナにおけるロシアの壊滅的な敗北、ロシア軍の欠陥、キエフの不動の軍事的勝利、といったものである。
この場合、ブリンケンが苦々しく思う理由がある。というのも、特にロシア国家、政治エリート、メディア、地方官僚、連邦官僚、そして軍と安全保障機構がプーチンの後ろ盾として結集し、目を見張るような団結を見せているからだ。一方でアメリカは、プーチンの政治的地位は今やロシアで揺るぎなく、難攻不落のものとなっており、アメリカ人はジョー・バイデンがこの舞台から去った後も、ずっとこの現実を背負って生きていかなければならない。
今後のこと
クレムリンは非常に思慮深い戦略を採用している。これまでのところ、入手可能な詳細から、それには次の5つの重要な要素がある:
1.最優先事項は、流血を避けることであり、それによって生活が前進し、転換期を迎えているウクライナでの戦争に焦点が当てられるようにすることである;
2.即座に、数少ないワグナーの反乱軍兵士とプリゴジンをロストフ・オン・ドンから去らせ、ルガンスクのキャンプに帰還させること;
3.プリゴジンをワグナーグループの他のメンバーから実質的に引き離すこと(実際、ワグネルの指揮官や将校は一人も彼の反乱に加わっていない);
4.ワグナー・グループの大部分(もちろんクーデター参加者を除く)に免責を与え、国防省への正式な統合を促進する。つまり、ワグナー・グループを国防省(と無名の極秘内部安全保障機関)が創設した理屈は今でも通用するが、もはや準国家軍ではなく、居住地と名称を持ち、プリゴジンのような自由奔放な占い師ではなく、指名されたプロの軍司令官が率いることになる)。
5.プリゴジンをベラルーシに向かわせることは、彼がプーチン(彼はオリガルヒのベラルーシへの安全な通過に同意した)に慈悲を求めるべきだと理解すれば、難しいことではなかった。
最後の要素は実に魅力的だ。クレムリンはプリゴジンの扇動的な行動に非常に腹を立てているが、おそらく情報に基づいて、彼が西側勢力に操られていることにも気づいている。もちろん、その代償は大きい。プリゴジンは、12億ドル(約1700億円)の個人資産を持つオリガルヒとしての威光や、彼が送っていた素晴らしい生活の仕方を取り戻すことはないだろう。
しかし、少なくともこの62歳のオリガルヒは、20年の懲役刑を免れた。これは、プーチンのオリガルヒ全般に対する扱いと同じである。(私の書いた記事「ロシアのオリガルヒの栄枯盛衰」を読んでほしい)。
* 訳註:本サイトに邦訳があります。「ロシア・オリガルヒの興亡」
遅かれ早かれ、ルカシェンコはプリゴジンに歌を歌わせ、その歌はクレムリンに生中継されるだろう。そしてそれはワシントンの大きな神経過敏の原因となっている。彼らはロシアを不安定化させようとするCIAの策略から注意をそらすために核戦争などの不安を煽っているからだ。熱意あふれるロシア外相セルゲイ・ラブロフはこれを「激動の意識の流れ」と呼んでいる。
確かに、CIA-MI6-プリゴジンの陰謀が失敗した今、その残骸から、灰の中から不死鳥のように新しい西側の物語が生まれるだろう。そして、インドのメディアを含め、海外に眠るアメリカの細胞は、そのシナリオをオウム返しするだろう。
しかし、それも長くは続かない。この先に待ち受けているのは、ウクライナ危機の全面的な軍事的解決を目指すというクレムリン(そしてプーチン自身)の固い決意の現れだからだ。プーチンは先週―おそらく地平線上に吹き荒れる嵐を見越して―、戦場からウクライナ軍がいなくなり、NATOの武器もなくなれば戦争は終わると宣言した。
先週の木曜日(6月22日)、プリゴジンのクーデター未遂の直前、プーチンが安全保障理事会(ポストソビエト・ロシアの「政治局」)の全定数と行ったビデオ会議の公式記録を読めば、クレムリンの雰囲気がわかり、今後のウクライナの戦場で何が予想されるかを知る手がかりになるだろう。それは、「集団的西側」に対して、何事も忘れ去られることはないという大きな事前通告である。
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