英国メディアがフランス「イエローベスト」運動より
イラン反政府デモの報道に力を入れている。 なぜ?
記事原文<寺島先生推薦> ‘Don’t look there, look here!’ UK media much more excited about Iran protests than those in neighboring France‘Don’t look there, look here!’ UK media much more excited about Iran protests than those in neighboring France
RT Op-ed 2020年1月13日 Neil Clark
翻訳<寺島メソッド翻訳グループ o. n. 2020年1月20日〉

イランは英国から数千マイルも離れているが、権力エリートたちの支持があるため、テヘランの反政府デモは、ドーバー海峡一つ挟んだだけのフランスの反政府デモよりもはるかに広範な報道がなされている。
何人のイギリス人がイランを訪れたことがあるのだろうか?何人がイランに住んだことがあるのだろうか?どれだけの人がイランに別荘を持っているのだろうか?
そんなに数は多くないと思う。フランスとはかなり対照的だ。2018年には、イギリス人が訪れた国に関する調査でフランスがトップになったことが明らかになった。イギリス人の76%は人生のどこかの時点でフランスに行ったことがある。英国政府のウェブサイトによると、毎年約1700万人のイギリス人がフランスを訪れている。
私が前回フランスに行ったのは10月だった。それから、フランスに居住しているイギリス人がいる。2017年、19万人の英国生まれの人々がフランスに住んでいた。多くのイギリス人にとって、プロバンスに一年(あるいはそれ以上)に居住することは夢の世界の出来事ではない。
さて、ご自分が英国のニュース編集者だと思ってみてほしい。英国のテレビ視聴者は、遠く離れたイランよりも、彼らがよく知っているフランスでの大規模な反政府デモに関心があると考えるのが妥当ではないだろうか?
しかし、現実はそうなっていない。 今週末のイランでの反政府デモ(過失から起こったウクライナの旅客機撃墜に対するもの)は、BBCのニュース速報やトップ記事として日曜日に一日中流されたが、フランスのデモや年金改革をめぐる全国的なストライキについての報道はほとんどなかった。
ALSO ON RT.COM Iran summons UK ambassador over his participation in ‘illegal rally’ following his arrest at anti-govt protest
フランス人は自分が気に入らないことにはすぐに 「ノン」 と言うことで知られているが、彼らの基準からしても、そこで起きている抗議行動は通常の枠を越えていると言い方でも捉えきれないものだ。 「イエローベスト」によるデモは、2018年12月から毎週末にフランス全土で行われている。
先週末は デモ発生から61週目に当たる「アクト61」 だった。パリではデモ隊が警察に石を投げつけたり、通りにバリケードを築いたり、ゴミ箱に火をつけたりしていた。警察は催涙ガスと暴力で対応した。
ALSO ON RT.COM Tear gas vs rocks: Anti-pension reform & Yellow Vests protests get heated in France (VIDEOS)
同時に、年金支給年齢を62歳から64歳に引き上げることを予定したマクロン大統領に反対するゼネストは31日目を迎えた。これを受け、マクロンはこの引き上げ案を一時取り下げた。この話の教訓は、直接的な行動が有効だということだ。
しかし、繰り返し強調しておくが、英国海峡を越えたところで起きているこれらの出来事はいずれも、英国の主要ニュースに値するとは見なされなかった。英国からのスコットランド独立を要求するために、グラスゴーで何千人もの人々が行進したことも同様の扱いだった。そのことも言っておかなければならない。びっくりしない方がおかしい。
そういったニュースの代わりに、私たちが日曜日に目を覚まして耳目に触れたのは、何千マイルも離れたイランでの反政府(いや「反体制」 )デモに関する広範な報道だった。「識者」と呼ばれる評論家達も同じようにイランに焦点を当てている。テヘランでの週末の抗議行動について発信されたツイートや声明の数と、フランスでの「イエローベスト」運動とデモへの無関心を比べてみてほしい。
「驚き」は、報道レベルの「開き」(わざと韻を踏んだわけではない)だけではない。「驚き」はそれぞれの抗議行動がどう受け止められたか、だ。イランの「反体制」街頭抗議運動は、12ヶ月前のベネズエラや香港での抗議運動と同じく、明らかにたいへん大きな支持を受けている。ドナルド・トランプは、支持を表明し、ガチガチのネオコンであるジョン・ボルトンは興奮を隠せず、「体制変換が進行中」とツイートしている。
しかし、「イエローベスト」運動はこういった「エリート層」の支持を得ていない。それどころか彼らはぼろくそに言われている。彼らは 「反ユダヤ主義」 で、極左で極右であると非難されてきた。実際を言えば、イエロー・ベストは信じられないほど民主的な草の根運動であり、不正な現状に怒りを感じるすべての人に開かれている運動だ。運動全体には有機的な繋がりがあり、どの政党や派閥の支配下にもない。それが権力エリートが恐れている理由だろう。「イエローベスト」抗議運動を、英国の支配者たちは我々に真似してほしくないと思っているため、それはほとんど報道されておらず、報道されてもしぶしぶだ。
むしろ彼らが望むのは、我々が石油の豊富なイランでの市民騒乱を応援することだ。イラン政府を弱体化させるものは何であれ、それが彼らの強欲で覇権主義的な利益に役立つことを彼らは知っているからだ。これらの権益は、イランが保有する膨大な原油・天然ガスの埋蔵量を確保することにとどまらない(推定530億バレルの新しい油田が発見されたのは、昨年十一月のことだった)。それはまた、中東を完全に支配するためのネオコンの計画に抵抗するテヘランとダマスカスとヒズボラの抵抗の軸を打ち砕き、パレスチナ人を支持する独立した主体を 「排除」 することでもある。
強調しておかなければならないが、本稿の趣旨はイランの抗議者や彼らが街頭に出てきた理由を批判することではない。「フランスではなくイランに視線を!」と我々に語りかける輩の隠された意図に光を当てることが本稿の趣旨だ。イラクの大量破壊兵器に関するでっち上げ事件があった。ニュース編集者たちは再び権力者の操り人形に成り下がっている。同じことの繰り返し。
RT Op-ed 2020年1月13日 Neil Clark
翻訳<寺島メソッド翻訳グループ o. n. 2020年1月20日〉

イランは英国から数千マイルも離れているが、権力エリートたちの支持があるため、テヘランの反政府デモは、ドーバー海峡一つ挟んだだけのフランスの反政府デモよりもはるかに広範な報道がなされている。
何人のイギリス人がイランを訪れたことがあるのだろうか?何人がイランに住んだことがあるのだろうか?どれだけの人がイランに別荘を持っているのだろうか?
そんなに数は多くないと思う。フランスとはかなり対照的だ。2018年には、イギリス人が訪れた国に関する調査でフランスがトップになったことが明らかになった。イギリス人の76%は人生のどこかの時点でフランスに行ったことがある。英国政府のウェブサイトによると、毎年約1700万人のイギリス人がフランスを訪れている。
私が前回フランスに行ったのは10月だった。それから、フランスに居住しているイギリス人がいる。2017年、19万人の英国生まれの人々がフランスに住んでいた。多くのイギリス人にとって、プロバンスに一年(あるいはそれ以上)に居住することは夢の世界の出来事ではない。
さて、ご自分が英国のニュース編集者だと思ってみてほしい。英国のテレビ視聴者は、遠く離れたイランよりも、彼らがよく知っているフランスでの大規模な反政府デモに関心があると考えるのが妥当ではないだろうか?
しかし、現実はそうなっていない。 今週末のイランでの反政府デモ(過失から起こったウクライナの旅客機撃墜に対するもの)は、BBCのニュース速報やトップ記事として日曜日に一日中流されたが、フランスのデモや年金改革をめぐる全国的なストライキについての報道はほとんどなかった。
ALSO ON RT.COM Iran summons UK ambassador over his participation in ‘illegal rally’ following his arrest at anti-govt protest
フランス人は自分が気に入らないことにはすぐに 「ノン」 と言うことで知られているが、彼らの基準からしても、そこで起きている抗議行動は通常の枠を越えていると言い方でも捉えきれないものだ。 「イエローベスト」によるデモは、2018年12月から毎週末にフランス全土で行われている。
先週末は デモ発生から61週目に当たる「アクト61」 だった。パリではデモ隊が警察に石を投げつけたり、通りにバリケードを築いたり、ゴミ箱に火をつけたりしていた。警察は催涙ガスと暴力で対応した。
ALSO ON RT.COM Tear gas vs rocks: Anti-pension reform & Yellow Vests protests get heated in France (VIDEOS)
同時に、年金支給年齢を62歳から64歳に引き上げることを予定したマクロン大統領に反対するゼネストは31日目を迎えた。これを受け、マクロンはこの引き上げ案を一時取り下げた。この話の教訓は、直接的な行動が有効だということだ。
しかし、繰り返し強調しておくが、英国海峡を越えたところで起きているこれらの出来事はいずれも、英国の主要ニュースに値するとは見なされなかった。英国からのスコットランド独立を要求するために、グラスゴーで何千人もの人々が行進したことも同様の扱いだった。そのことも言っておかなければならない。びっくりしない方がおかしい。
そういったニュースの代わりに、私たちが日曜日に目を覚まして耳目に触れたのは、何千マイルも離れたイランでの反政府(いや「反体制」 )デモに関する広範な報道だった。「識者」と呼ばれる評論家達も同じようにイランに焦点を当てている。テヘランでの週末の抗議行動について発信されたツイートや声明の数と、フランスでの「イエローベスト」運動とデモへの無関心を比べてみてほしい。
「驚き」は、報道レベルの「開き」(わざと韻を踏んだわけではない)だけではない。「驚き」はそれぞれの抗議行動がどう受け止められたか、だ。イランの「反体制」街頭抗議運動は、12ヶ月前のベネズエラや香港での抗議運動と同じく、明らかにたいへん大きな支持を受けている。ドナルド・トランプは、支持を表明し、ガチガチのネオコンであるジョン・ボルトンは興奮を隠せず、「体制変換が進行中」とツイートしている。
しかし、「イエローベスト」運動はこういった「エリート層」の支持を得ていない。それどころか彼らはぼろくそに言われている。彼らは 「反ユダヤ主義」 で、極左で極右であると非難されてきた。実際を言えば、イエロー・ベストは信じられないほど民主的な草の根運動であり、不正な現状に怒りを感じるすべての人に開かれている運動だ。運動全体には有機的な繋がりがあり、どの政党や派閥の支配下にもない。それが権力エリートが恐れている理由だろう。「イエローベスト」抗議運動を、英国の支配者たちは我々に真似してほしくないと思っているため、それはほとんど報道されておらず、報道されてもしぶしぶだ。
むしろ彼らが望むのは、我々が石油の豊富なイランでの市民騒乱を応援することだ。イラン政府を弱体化させるものは何であれ、それが彼らの強欲で覇権主義的な利益に役立つことを彼らは知っているからだ。これらの権益は、イランが保有する膨大な原油・天然ガスの埋蔵量を確保することにとどまらない(推定530億バレルの新しい油田が発見されたのは、昨年十一月のことだった)。それはまた、中東を完全に支配するためのネオコンの計画に抵抗するテヘランとダマスカスとヒズボラの抵抗の軸を打ち砕き、パレスチナ人を支持する独立した主体を 「排除」 することでもある。
強調しておかなければならないが、本稿の趣旨はイランの抗議者や彼らが街頭に出てきた理由を批判することではない。「フランスではなくイランに視線を!」と我々に語りかける輩の隠された意図に光を当てることが本稿の趣旨だ。イラクの大量破壊兵器に関するでっち上げ事件があった。ニュース編集者たちは再び権力者の操り人形に成り下がっている。同じことの繰り返し。
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