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スペイン・カタロニア州の「分離主義者」は非難されるべきだが、
香港の「民主化運動家」は称賛されるべきだ!?
---- オーウェルの小説『1984年』はついに
    自由メディアの指南書になってしまった

<記事原文>Catalonia ‘separatists’ bad, HK ‘pro-democracy protesters’ good: Orwell’s 1984 becomes user’s manual for Western ‘free media’

ジョージ・ギャラウェイ

George Galloway
was a member of the British Parliament for nearly 30 years. He presents TV and radio shows (including on RT). He is a film-maker, writer and a renowned orator.


RT  Home/Op-ed/ 2019年10月15日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループ:寺島美紀子 2020年1月31日)


(写真左)2019年10月14日、カタロニア州都バルセロナのエル・プラット空港に通じる高速道路で、抗議運動参加者たちがスペイン警察と衝突©AFP/PAU BARRENA
(写真右)2019年10月6日、香港シャムスイホ(深水土歩)の反政府抗議運動参加者©REUTERS/Tyrone Siu

スペインからの独立をめざすカタロニア州の民主的な州民投票を組織したとして投獄された指導者たちに支持を表明する人たちが、2019年10月14日にバルセロナのエル・プラット空港に続くハイウェイに進撃した。すると、メディアは「分離主義者」が混乱を引き起こしていると大騒ぎをした。ところが、香港で同じ戦術が使われると、それは「民主化運動」となる。

ジョージ・オーウェルの小説『1984年』では、戦争省は平和省と改名された。戦争は平和であり、真実は嘘であり、憎悪が愛なのだ。しかし、ルイス・キャロルのほうが先に同じことを述べていた。

1871年に出版されたルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』では、卵男のハンプティ・ダンプティがアリスに、ちょっと軽蔑するようにこう言った。「おれが言葉を使うとき、それが何を意味するのかは、おれが意図したことだけだ――それ以上でも以下でもない」

アリスは言った。「問題は、言葉にいろんな意味を持たせることができるかどうかだわ」

ハンプティ・ダンプティは言った。「問題は、どちらが言葉のご主人様か。それだけさ」

                     
イギリスの伝承童話『マザーグース』に登場するハンプティ・ダンプティ

ハンプティ・ダンプティが、西側のニュース編集室や、西側の政治家の発言のなかに再びよみがえってきた。いつものごとくだが、それが今シリアで頂点に達しているのだ。

ある人にとっては「テロリスト」でも、別の人にとってはもちろん「自由の戦士」なのだ。今ではそれはもうバカげたことになりつつある。なぜなら、いわゆる括弧つきの「自由」「シリア」「軍」(自由シリア軍FSA=Fighting Syrian Army)は、いまではシリア北東部のトルコ人(トルコ国境沿いのクルド人)襲撃の際におこなった虐殺行為のせいで世界中で非難されているからだ。


Also on rt.com Westerners who propped up Islamist ‘moderate rebels’ suddenly realize they're terrorists as they launch ‘genocide’ of Kurds 西側の人々はイスラム「穏健派反乱軍」を支援してきたのだが、彼らイスラム穏健派反乱軍がクルド人「虐殺」を開始したことで、彼らこそテロリストであると突然に認識するに至った。


現代のハンプティ・ダンプティたちは、今になって自由シリア軍FSAの虐殺行為をペンで猛烈に非難している。問題は、その同じハンプティ・ダンプティたちが、FSAこそシリアの「独裁政権」に対抗して「民主主義」のために戦っている「穏健な反乱軍」「世俗的な兵士たち」だと、これまで強弁してきたことだ。そう強弁しつつ、彼らは銃をテロリストたちに渡してきた。その銃を使って彼らは現在クルドの民間人を射殺しているし、そのことで私たちはいま肝を潰しているのだ。

ユーチューブ上では、自由シリア軍FSA司令官の一人が囚人の心臓をえぐり出して食べていた。そのことを私たちが指摘すると、逆に非難され、ソーシャルメディアから排除されたり、「アサド擁護者」だとか「プーチン擁護者」だとかとの烙印を押されたのだ。私個人は、その両方のレッテルを貼られた。シリアのいわゆる「民主的」反対派とは、オバマ大統領の国務長官ヒラリー・クリントンから褒めそやされた白ヘル集団、すなわちイスラム原理主義狂信勢力の略語にすぎなかった。ところが当時、これは口にすることすら禁じられたのだ。

この悲劇的な茶番劇は、始まると同時に終わりを迎えつつある。ヒラリー・ハンプティ・ダンプティ・クリントンの肝いりでスタートした「民主的シリア連合CDS」が今や「民主的」という言葉を口に出せなくなったからであり、その「連合」を構成する国の多くが世界で最も非自由で最も非民主的なイスラム原理主義の国々だと分かったからだ。

ISIS、ISIL、IELTSなどからIS(イスラム国)へと次々と名前を変えたが、銃やお金や政治やプロパガンダ支援の流れは何も変わらなかった。

<
Also on rt.com Protesters shut down key Catalonian transport routes after night of violence (PHOTOS, VIDEOS) 


大手メディアの垂れ流すシリアの嘘物語を概略だけでも示そうとしたが、書くスペースも限られているし、それを思うとイライラしてくる。だから、次にカタロニア万歳、カタロニア讃歌に話を移したい。[註:ジョージ・オーウェルのスペイン人民戦争・カタロニア従軍記『カタロニア讃歌 Homage to Catalonia』を想起せよ]

「民主的」EUにおけるスペインの「民主的」政府は、カタロニアで民主的な州民投票を組織した民主的カタロニア人政治家たちに100年の禁固刑を言い渡した。さらに悪いことに、その政治家たちを支持する、いわゆる「暴徒たち」がバルセロナの空港に押し寄せた! そして商業や休日や貿易が「台無しにされた」。それらは確かに、この「暴徒たち」がおこなった非民主的形式の抗議によって、台無しにされた。

しかし、香港で全く同じ戦術が使われたばあい、デモ参加者は「暴徒」ではなく、破壊者でもなく、 「民主的抗議運動の参加者」なのだ。

香港のデモ隊が、火炎瓶やナイフや銃さえも使って中国の警察と対峙すると、首にナイフが突き刺された警官が悪者となるのだ。フランス警察が文字通りイエローベストの抗議運動参加者たちから武器を取り上げるため、銃で彼らの手を吹き飛ばした。これについては現代のハンプティ・ダンプティでさえも言葉を失ってしまう。だからこそ憲兵によって眼球や手や命でさえもが奪われていることに対しては、メディアに完全な秘密のベールがかけられるというわけだ。


Also on rt.com Hong Kong phooey! Would you like any hypocrisy with that?
  

ジョージ・オーウェルの『1984年』は、ディスト暗黒ピア郷(←→ユートピア理想郷)の世界を描いた小説だ。もし私たちが注意を怠れば、全体主義を維持するために真実の歪曲が要求されることになる、という警告なのだ。

2019年に小説『1984年』は、全体主義を維持する「指南書」となり「台本」となった。世界最悪の偽善者たち――すなわち「自由」主義国の「自由」メディア――は、自分たちが仕える政治的階級から賛同をいただくために、この「指南書」を使った。

ハンプティ・ダンプティが言うように、「問題は、どちらがご主人様か。それだけなのだ」
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