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カセム・ソレイマニ将軍暗殺は
アメリカの身勝手

The US unwittingly helped create Qassem Soleimani. Then they killed him.

Rt. op-ed 2020年1月3日

(翻訳:寺島メソッド翻訳グループo.n. 2020年1月9日)

<記事原文>寺島先生推薦 ‘Journalism is dying’: US govt ‘has its tentacles’ in every part of media, reporter who quit over ‘suppressed’ OPCW story warns 

Scott Ritter

スコット・リッター
元米海兵隊諜報部員。ソ連ではINF条約の監視員として、湾岸戦争ではシュワルツコフ将軍の参謀として、1991年から1998年までは国連の武器監視員として勤務した。

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米国は、カセム・ソレイマニを暗殺したが、それがどういう結末をもたらすのかについての準備は何もできていない。 米国は、自分が殺戮した男の現実の姿について何も分かっていないし、彼の死がイランや中東に与える影響をきちんと評価する能力もない、という点だけでもそう言える。

カセム・ソレイマニは、イスラム革命防衛隊コッズ軍として知られる準軍事組織の司令官。 イランを中東における近代的強国にまで高めるのに力があった。 彼は、米国大統領ドナルド・トランプの命令で2020年1月3日に暗殺された。米国の共和、民主二大政党の政治指導者たちは、ソレイマニを邪悪な人物と表現することで一致しているが、ソレイマニの死が今後どんな結果をもたらすのかは現時点ではまったくわからないままだ。

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しかし、ソレイマニが死んだことを喜ぶのは、彼が主導して作り上げた出来事や行動がまるで分かっていないからだし、彼が手を加えた世界の輪郭がきちんと描けていないからだ。アメリカは、ソレイマニを中東におけるイランの悪意の副産物と見なしているが、現実はそんな柔なものではない。 :ソレイマニはアメリカの無責任な攻撃的政策の直接の結果である。因果関係によって定義される世界で、ソレイマニと米国の関係は否定できない。

イランの英雄を出現させることに

ソレイマニが、イランで頭角を現したのは、イラン革命や8年におよぶイラクとの戦争期間中だ。 その指導力、勇気、決断力は当時のアリ・ハメネイ大統領を含むイランの指導者たちの注目を集めた。この間、ソレイマニは後にイスラム革命防衛隊コッズ軍の指導者として役立つことになる一連のスキルを開発した。 コッズ軍とはイラン・イラク戦争後、彼がその創設に加わった準軍事組織のこと。

コッズ軍の設立意図は、非公然の手段を通してイランの影響力を広めることだ。 ソレイマニとコッズ軍が1998年に初めて衆目を集めるようになったのは、アフガニスタン北部の都市マザリ・シャリフの攻略後タリバンによって数百人のシーア派と9人のイラン人(8人の外交官と1人のジャーナリスト)が殺害された後だ。

イラン軍の上層部がアフガニスタン西部への大規模な懲罰的遠征を提唱したのに対し、ソレイマニは、クッズ軍がタリバンに対抗する北部同盟に訓練と物資支援を提供するなど、より限定的な対応を提案した。ソレイマニはこの提案を自ら指揮し、北部同盟を効果的な戦闘部隊に変貌させた。

「9・11」同時多発テロの後、米国は北部同盟を利用してアフガニスタンに足掛かりを築き、タリバンを駆逐した。ソレイマニは、作戦面や情報面での支援を含め、米国と北部同盟のパートナーシップを実現するために陰で大きな役割を果たした。

米国とイランの協力は短命に終わった。ブッシュ大統領がイランを「悪の枢軸」に指定したことで、イランは米国に対する協力を打ち切った。

イラク反米抵抗組織の訓練

2003年の米国のイラク侵攻は、イラン系アメリカ人の協力という新たな機会を生み出したが、米国はあっという間にその好機を逸した。イランは中東における米国の軍事的プレゼンスを高めることを望んでいなかったが、米国とは、最大の敵であるサダム・フセインを権力の座から引きずり下ろすという共通の大義があった。

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しかし、米国は、サダム後のイラク、特に多数派のシーア派住民がイラクの統治について大きな役割を要求するであろうという現実に対処する準備ができていなかった。米国がシーア派に銃を向け始めた時、ソレイマニと彼が率いるコッズ軍が先頭に立ってイラクで反米抵抗運動を組織し、衝突が激化してアメリカ人の死傷者が続出した。

今日、イラクでアメリカが行った戦争について、退役軍人の多くが考えているのは、ソレイマニのコッズ軍によって訓練され装備されたイラク民兵の戦術によって何百人もの米兵が命を落としたが、それはソレイマニに個人的な責任がある、ということだ。


イラン政府の中東支配計画の全体図?

ソレイマニという人物は何もないところから現れたのではない。 それは他国の行動によってもたらされる外的脅威に対するイランの論理的な反応の現れなのだ。 レバノンにおけるイランの役割は、1982年にイスラエルがレバノン南部に侵攻し占拠することを決定したことで明確になった; レバノンのヒズボラ運動が生まれたのはその後のことだ。

イランのシリアへの介入も、シリアのアサド大統領を権力の座から引きずり下ろすため、米国、トルコ、サウジアラビアなどの外部勢力が大規模な介入を行った直後だった。シリアで親アサド・シーア派民兵を組織するようコッズ軍に指示したソレイマニの行動は、単にシリアの主権問題に対する外国の介入に対して反応したものだった。

同様に、2014年イスラム国(IS)が突如出現した際、イラク政府の招待を受けたソレイマニは、人民動員軍(PMF)傘下の様々なシーア派民兵組織の編成と装備を支援した。ソレイマニは、一連の血なまぐさい戦闘でPMFを指揮し、米国が戦闘に決定的に関与するずっと前にISとの戦いの流れを変えるのに貢献した。「9・11」の余波の中で、ソレイマニは中東の形成に決定的な役割を果たした。 つまり、イランを唯一の大国ではないにしても、中東の大国のひとつにまで高めたのだ。

しかし、この結果を達成するためのソレイマニの行動は、中東地域支配を目指すイラン全体計画の流れの中にあったのではなく、むしろ、中東地域において米国とその同盟国が攻た。撃的政策を実施する上で犯す諸々の過ちに効果的にイランが対応できるという本質を示している。

米国が2018年にイラン核合意からの脱退を表明し、その後、米国が進めるいわゆる「最大圧力」と呼ばれる経済制裁と政治的封じ込め作戦の実施を受けて、ソレイマニはトランプ大統領に対して対立への道を歩み始めることを警告した。

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ソレイマニは2018年夏の演説で、「あなたは、中東地域における我々の力と能力はよく分かっています。 非対称戦での我々の力も分かっています。」と述べた。

ソレイマニの声明は予言的だった;米国がイラン産石油の販売を阻止した後、ソレイマニのコッズ軍は、ホルムズ海峡の石油タンカーへの一連のはっきりしない攻撃を組織した。 そしてイエメンのフーシ派を代理者として利用し、武装ドローンを使ったサウジアラビアの戦略的石油生産施設への破壊的な攻撃を仕掛けた。

ソレイマニは、イラクにおける米国の立場の脆弱性を認識し、イラク国内における米軍の駐留を終わらせるようイラク政府に圧力をかけ始めた。このような活動は、米国が先週日曜日にイラクの民兵部隊(PMF)を爆撃する前から行われており、ソレイマニの暗殺に至った事件の発端となっ

ソレイマニの死で世界はより安全になるのか?

現実はこうなっている。 カセム・ソレイマニが生きている世界よりも米国にとって危険なのは、カセム・ソレイマニが死んだ世界以外にない。 その彼は米国大統領の命令によって殺されたのだ。

次は彼が生きていればの話だ。 ソレイマニは、中東地域における米国、サウジアラビア、イスラエルの政策に対抗するために、より積極的な姿勢をとるようイランの防衛組織のより好戦的なメンバーからますます圧力をかけられているイランの指導部に、忍耐と注意深さを納得のいくよう助言することができるだろう。

実際は殺害された。 そのソレイマニは殉教者ヒーローとなる。 彼の功績に倣って、敵アメリカ人へ歯向かおうとする人々は元気づくことになるだろう。 なにせ、このアメリカ人ときたら、経験から生み出される類いの自己抑制も知恵もないのだから。 

トランプ大統領によるカセム・ソレイマニの事態を急変させる暗殺は、中東や世界をより安全な生活と仕事の場にするどころではない。「9・11」以降の米国の行き過ぎた行動がもたらした悲劇的な結果の苦しみを、さらに次の世代にも強制することになったのだ。

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